世界展望
異常な見通し
◆ 南アフリカ,ヨハネスバーグのある金融事業は1979年の全般的な見通しを発表し,次のように述べている。「長期的な見地に立って良識ある決定を下す時代は過ぎ去った。もはや“長期”ということは存在しない。この経済体制に見られるゆがみともろさは常軌を逸しており,そのため,すでに正常な商取引や株式市場の循環は消失している。この体制全体は一触即発の状態にあるため,その衝撃は,政情不安定,経済的摩擦,戦争,ストライキなどさまざまな形で表われている。この世界は実に頼りなく不安定であり,実際,政治的にも経済的にも混乱の頂点にある。指導力は極めて貧弱で,諸政府には増大する深刻な問題に対処するすべもない。ゆえに,我々の住むような世界では,国際間の安定した経済体制などあり得ないのである」。
幼児の急死を防ぐ
◆ 幼児急死症候群の主要な原因は,多くの乳飲み子の間に生じる睡眠中の仮死状態,つまり呼吸が一時的に停止する状態である。この状態は普通15秒も続かず,害が及ぶこともない。しかし子供が呼吸を再び始めないなら,だれかが援助しなければならない。そうしないなら子供は死亡する,米国でこの幼児急死症候群は生後二週間から一年までの赤ちゃんの死因のうち,単一では第一位となっており,毎年,健康そうな子供たち約一万人の命を奪っている。この現状と闘う助けとして,ボストン市のマサチューセッツ総合病院は,家にいる乳飲み子の睡眠を測定できる装置を用いている。赤ん坊の胸には電極ベルトが巻かれ,その電極は監視装置につながっている。その監視装置は,万一子供の呼吸が停止した場合には,それを両親に知らせるために警報が鳴る仕組みになっている。この装置が取り付けられた子供たちに関し,ダニエル・シャンノン博士は,「過去二年の間,死者はひとりも出ていない」と語っている。どの子供に監視装置を取り付けるべきかを決めるのが大問題で,現在のところ,機械で測定されている子供の多くは,以前,呼吸が停止してから蘇生した赤ちゃんである。シャンノン博士はこう警告している。「これは決して治療ではない。仮死状態が長く続いて急死を招きかねない赤ちゃんを選んで援助を与えているだけのことである」。
ソ連の宗教
◆ ソビエト・ライフ誌は,今のソ連の宗教と共産主義以前のロシアの状況とを対照させた。1914年,ロシア人民は圧倒的に宗教を好み,7万7,000を超える正教会の教会や礼拝堂,そして1,000を数える修道院があり,11万7,000人の司祭,9万5,000人の修道僧と修道士がいた。共産主義支配になって60年以上を経た今日では,これらの数字は減少して,ごく少数になっている。ソビエト・ライフ誌によれば,「現在の信者数は,国内の成人人口の15-20%にあた」り,それもほとんどが高齢者である。無神論がすべての学校で教えられているため,神の存在を信じる若者の割合は極めて低いと言われる。例えば,同誌の説明によれば,無記名のアンケートに答えたレニングラードの1,619人の児童・生徒のうち,神の存在を信じると述べたのはわずかに24人だった。レニングラード電子技術大学や同市内の高等教育を施す学校の1,530人の学生の中では,18人のみが信仰を持つと答えている。
1,000億ドルの脱税
◆ ニューヨーク・ポスト紙によれば,米国国税庁はアメリカのいわゆる“地下経済”の詳細な数値を初めて入手した。その研究は,不正な方法であるいは犯罪によって得た無申告の収入や,正当な職業で得た無申告の賃金が,なんと年間1,000億㌦(約20兆円)に達することを示していると言われる。これは以前の国税庁の算定をはるかに上回るものである。ポスト紙の情報筋はこう書いている。「関係者は[この情報を]4月16日以前に発表することを危ぶんでいる。なぜならその情報は,公正にふるまう人々,税の申告はつつみ隠さずに行なう人々に心理的な大打撃を与えることになるからである」。多くの労働者が賃金すべてを申告しなかったことが,1,000億㌦の脱税の約三分の二を占めると言われる。
薬物治療の危険
◆ アメリカン・メディカル・ニューズ誌の述べるところによると,何の問題もない健康な妊産婦から生まれた3,528人の赤ちゃんを対象にした,七年間に及ぶ国家的な研究で,分べんの際の投薬は,「薬物を用いた母親の赤ちゃんに深刻な運動障害[立ったり,歩いたり,座ったりできない状態]を引き起こす場合の多い」ことが分かった。このような投薬の中には,局部的に鎮痛剤を用いることや麻酔薬を用いることが含まれていた。この研究の結果,神経及び伝達経路障害全国協会のサラ・H・ブローマン博士は,この種の薬の投与を必要最少限にとどめるよう医師たちに勧めている。吸入式の麻酔薬は赤ちゃんに長期的な影響を及ぼすようである。同時に,影響を受けた子供たちを長期にわたって追跡調査した結果,知能指数が平均して四点低いことが判明した。さらに“自然出産”が流行しているため,今では出産に薬物を用いることはあまりなくなったという誤解をも退けることになった。「事実上,陣痛と出産の際に用いる薬は増えている」とその報告は述べている。
インフレの傾向
◆ エジソン電気協会によれば,今のアメリカの一ドルで購入できるものは,1927年と比べると約71セント分少なくなっている。その購買力は1960年よりも約60セント,1970年より36セント,1973年より27セント少なくなっている。
無法の者を祝福する
◆ トロントのウィークエンド・マガジン誌の最近号は,トロント暗黒街の顔役の殺害と彼の葬式について詳しい記事を載せている。葬式は「三人の司祭と七人の聖歌隊による」鎮魂大ミサによって「行なわれた」。「葬列は豪華な花で飾られた35台の車をつらね,イタリア人地区で最も格式の高いマドンナ・デラ・ディフェサ教会に向かって雪の中の曲りくねった道を進んだが,それを見る人々からは感嘆のため息がもれた」とその記事は説明している。「かつてマフィアのカポ・ディ・トゥティ・カビ(ボスの中の大ボス)と称せられた服役中の犯罪者をも含め」,世界中の暗黒街の面々から弔花が寄せられた。
「教会の右側,3,000人の弔問客のはるか上の方には,法王や聖徒を描いたフレスコ壁画の,名誉ある場所に[ベニト]ムッソリーニの肖像があった。シチリア島やカラブリア州の多くの人にとって,ムッソリーニは南イタリアの生活を著しく向上させた偉人なのである」と同誌は伝えている。―1979年1月20日号4,6ページ。
緑内障に“冷たい”レーザー
◆ ソ連の眼科医ミカイル・クラスノフ博士によると,たいていの緑内障は同博士独自の“冷たいレーザー”装置で治せるという。緑内障は眼房水のために眼圧が上昇して眼球のそこなわれる病気である。クラスノフ博士はこう語っている。「我々の方法はレーザーで穴を開けて眼房水を流し出す簡単なものである。よくない副作用は全く見られず,患者は1時間ほど診察室にいるだけで良い」。レーザーを用いて同様な手術を行なっている専門医は他にもいるが,同博士の言葉によると,それは“熱い”レーザーで実際には目に焼け穴を開けるものであり,傷跡が残りやすい傾向を助長するという。クラスノフ博士の“冷たい”,すなわち“キュー・スイッチ式”レーザーは,その波動がはるかに強力であり,また持続時間が短いので組織を焼くことなく蒸発させると言われている。「レーザー療法」は緑内障の患者がふつう用いる点眼薬よりも「ずっと安全」で,「点眼薬を持ち歩いて時間通りに点眼するわずらわしさがない」と同博士は自負している。
有名の代価
◆ 有名であるとはどんなことかにつき,女優のファーラ・フォーセット・メージャーズは最近,感想を述べている。彼女の主演した映画「だれかが彼女の夫を殺した」の封切りのためロンドンに来た彼女は次のように語った。「わたしには少しも自由がありません。わたしは有名であることの代価がどんなものかを悟っていませんでした。今では私の身辺にいつも護衛が必要ですし,それだけでも大変な緊張を強いられます」。メキシコでは彼女を誘かいしようとした事件で護衛のひとりが殺されている。真の友人に関しても彼女は損をしていると感じている。「真の友人は十指に満たないほどです。しかもその大多数はわたしが有名になる前からの友人です」と彼女は語っている。
“結婚持参金”代わりにネズミの死骸
◆ インドネシアの中ジャワで,ネズミ駆除の一助として,アルジャウィナングン地区の役人が新奇な方法を考え出した。その人の命令によれば,花婿は結婚の正式な許可を得るために最低ネズミ25匹の死骸を持参しなければならないという。またベリタ・ブアナ紙は,学童が毎日の放課後,少なくとも3匹のネズミを捕えるように命ぜられたと述べている。ネズミは米の収穫物を台なしにしている。
ロシア人をウォッカから引離す
◆ ソ連はこのところ急に米国から大量のホップを輸入し始めた。ホップはビールに風味を添えるために用いられるもので,政府としては酔っぱらいを減らす努力の一環として,人々を伝統的なウオッカからビールに転向させることを望んでいるようである。ソ連では,ビールやぶどう酒を飲む人は上品な人であり,ウオッカ党は酔っぱらいであるという宣伝が行なわれている。今までのところ,ソ連のビールは品質が劣るとされており,ホップの輸入は明らかに品質の向上を目ざしたものである。
危険にさらされる郵便配達人
◆ かみつく犬に悩まされる郵便配達人が増えている。米国郵政省の最新の統計は,1978会計年度の間に9,062人の郵便配達人が「動物に起因するけがをした」ことを示している。それは四年前と比べて15パーセントの増加にあたる。けがの約90パーセントは犬によるもので,犬にかまれたか,犬から逃げる途中に転んだものである。郵便配達人組合のビンセント・ソムブロット議長は,これを「深刻な問題である」と言明している。記録の示すところによると,「この犬はかまない」と飼い主が保証した場合にかまれた例が多い。
ヘルメットの価値
◆ 以前テキサス州では保護用のヘルメットをかぶることが,オートバイの乗用者に義務づけられていた。しかしこの法律は二年前に廃止された。テキサス州運輸研究所のマイロン・ケーラー博士は,その後の事態を次のように述べている。「結果は反論の余地がない。ヘルメットがあまり着用されなくなるにつれて,けがも大きくなり,死亡者も増加した」。病院および検死官の報告は,ヘルメット法の廃止以来,「病院に到着した時は死亡」のケースが二倍以上に増え,また体を不具にする頭部の負傷が著しく増加した事を示している。
最も高価な土地
◆ 英文毎日によれば,日本で最も地価の高い土地は東京の新宿区にある。それはたぶん世界一高価な土地であろう。新宿駅周辺のその土地は商店の集中した地区を含む。一平方メートルの評価額は288万円であり,この割合で一エーカーの土地を買うとすれば,約120億円を要することになる。