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この世界にとって時は尽きようとしていますか目ざめよ! 1985 | 1月22日
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この世界にとって時は尽きようとしていますか
世界中の著名な人々は,時は尽きようとしているという結論に確かに達しています。諸国家を絶えず核戦争の瀬戸際へと追いやっているさまざまな影響力は,けたたましく鳴り響く警報のサイレンのように人々の脳裏に焼きつけられます。全地球的な経済破綻の危険や命にかかわるようなさまざまな環境汚染のために,その不安感は募っています。人々は幾つかの国々だけではなく,全世界にとって時が尽きようとしていると感じています。なぜでしょうか。本当に効を奏するような解決策を提出することのできる国がひとつもないからです。
最も憂慮されているのは核戦争の脅威です。昨年,18人のノーベル賞受賞者を含む47人の科学者の意見と調和して,月刊の「原子科学者会報」は,その“世の終わりの時計”を1分進め,午前零時3分前としました。この時計は,世界が核戦争にどれほど近づいていると科学者たちが考えているかを表わしています。「これは警告の一つの表われである」とその科学者たちは述べています。“世の終わりの時計”は今や,午前零時にここ30年来最も近くなっているのです。
他のさまざまな脅威もこの警告の重みを増し加えています。
● “核クラブ”はかつて6か国の独占する領域と考えられていましたが,実際には9か国に増えているかもしれません。ハーバード大学のダニエル・ヤーギン教授は,1985年までに,核爆弾製造国は40か国になるであろうと計算しています。
● 地球を回る軌道に載せられた兵器からレーザー光線が吐き出され,地表面に破壊を引き起こすようになり,宇宙空間が将来戦場になる可能性が現実のものとなっています。
● 軍事戦略家たちは,核戦争に勝利を収めるという希望を抱いて,先制第一撃を加えるという恐ろしい考えを思い巡らしています。
こうした事柄は人々に核恐怖症を生じさせています。核戦争の歯止めとなるものが少なくなり,偶発的な事件が核による大破壊を引き起こす可能性が大きくなっているからです。
偶発的な事件がきっかけになって,核戦争の生じることがあり得るでしょうか。マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授ハロルド・フリーマンは,「世界はこのようにして終わる ― 何もしなければ,あなたもこのようにして終わる」と題する本を書きました。その本の中で同教授は,1980年10月までの18か月間に,攻撃が迫っていることを示す表示が151回出たことを述べています。「4回は,報復の準備として,B-52爆撃機と大陸間弾道弾が発進準備を調えて待機するという事態にまで至った。大事に至る前にすべての誤りは訂正されたが,中には間一髪というものもあった」と同教授は述べています。間一髪といっても,どれほど危ういところだったのでしょうか。同教授はさらに,1979年11月9日,「爆撃機が核による報復攻撃の準備を整えて,6分以内に発進した」と述べています。
どこに身を隠すことができるでしょうか。安全な所がどこかにありますか。ありません! 北半球に限定された核戦争の場合でも,一面を覆う致命的な死の灰が南半球にも広がり,全地球的な“核の冬”が生じることもあります。事態が深刻であるために,インド,メキシコ,タンザニア,スウェーデン,ギリシャおよびアルゼンチンの6か国の指導者たちは,「四大陸平和提言」として知られる声明を出しました。その声明には,「今日,人類の生存は危険にさらされている」と述べられています。
しかし,自分たちの恐れを締め出してしまおうとする人は少なくありません。そうした人たちは,この事態について自分たちにできることはほとんど,あるいは全くないので,何事も生じないかのように生きてゆこうとするのです。しかし,そのような態度はある重要な事実を考慮に入れていません。それはどんな事実でしょうか。
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秒読みは終わろうとしている!目ざめよ! 1985 | 1月22日
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秒読みは終わろうとしている!
人間は計算をする際,往々にして地球と人類の創造者を考慮に入れません。人間の支配者や科学者たちの予言する事柄という観点からしか将来を見ません。しかし,聖書はずっと昔に,わたしたちの時代に起きる出来事およびその結果を生き生きと描写していました。聖書の預言が誤っていたことはかつて一度もありません。ですから,今それらの預言を注意深く調べてみるもっともな理由があるのです。
世界で最も広く頒布されているその本には,イエス・キリストが「この世の終わり……についての合図」と言われた事柄が記録されています。(マタイ 24:3,フィリップス訳)この資料は秒読みがいつ始まり,その終わりが何を意味するかをわたしたちに教えています。その預言は,惑星である地球の破壊ではなく,この現在の事物の体制の終わりを指し示していました。それは全人類にとって滅亡の預言ではなく,希望の預言です。
イエスが説明された「合図」は何でしょうか。それは幾年もの期間にわたるものでしたから,誠実な人々にはどこに住んでいようとその合図を見分ける機会がありました。それは数多くの出来事から成っており,いずれもある特定の世代の生存期間中に生じることになっていました。その合図のほんの幾つかの側面をここで考慮してみましょう。
戦争
「国民は国民に,王国は王国に敵対して立ち上が(る)」― マタイ 24:7。マルコ 13:8。ルカ 21:10。
言うまでもなく,イエスがこの言葉を語られてからも数多くの戦争がありました。今日でさえ,米国ワシントン特別区の国防情報センターの推定によると,1984年5月現在,400万人が42の別個の紛争で戦闘に従事しています。しかし1914年は,その当時まで歴史上行なわれたいかなる戦争とも異なった戦争の始まりを印づけるものとなりました。その結果,1790年から1913年までに起きた主要な戦争すべてで死亡した軍人の合計数の2倍に相当する軍人が死亡しました。
● 死者: 殺された兵士900万人,実際の戦場の周辺で死亡した民間人500万人。
● 参戦国: 25か国以上が戦争に巻き込まれる。
● 戦費: 3,370億㌦以上がつぎ込まれる。
第二次世界大戦はどうだったでしょうか。米国陸軍のジェームズ・L・コリンズ2世准将によると,同大戦は「人類に知られている中で最も破壊的な戦争」でした。
● 死者: 殺された兵士1,600万人。民間人の死者3,900万人。
● 参戦国: 50か国以上が戦闘に加わる。
● 戦費: 1兆1,500億㌦という膨大な額の戦費に加え,総計2,390億㌦以上の資産の損害。
第三次世界大戦は何をもたらすでしょうか。絶滅の危険があります。イエスの予告された時の『合図となる』この預言の成就をわたしたちがすでに見ていないとしたら,一体どれほどの成就があればよいというのでしょうか。
食糧不足
『そこからここへと食糧不足があるのです』― マタイ 24:7。マルコ 13:8。ルカ 21:11。
1974年にローマで開かれた世界食糧会議の席上,1985年までに世界の飢きんを根絶することが誓われました。今日,極度の飢えに悩まされている人の数の急増傾向を逆転させる見込みはおろか,その増加を食い止める見込みさえかつてなかったほど暗いものに思えます。「慢性的な飢えは幾千万もの人々にとって依然として問題になっている」と,国際連合の出版物であるユネスコ・クーリエ誌は述べています。「貧困にあえぐほぼ5億の人間は,日々,飢きんの脅威にさらされている」。イエスの預言の成就を目撃していることを正直な心の持ち主に得心させるために本当にこれ以上のことが求められるでしょうか。
地震
『そこからここへと地震があるのです』― マタイ 24:7。マルコ 13:8。ルカ 21:11。
地球上では年に100万回以上の地震が起こり,その地表面を著しく揺り動かすほど強い地震は3,000回に上ります。近代的な科学機器は微妙なところまで調整されており,ほんのかすかな地震でも検知し,記録するようになっています。しかし,イエスは「大きな地震」について予告されました。(ルカ 21:11)そうした大きな地震の起きる頻度に本当に変化があったでしょうか。いつ大地震に見舞われたかを知るのに,感度の良い測定装置は決して必要とはされません。1914年以来,毎年報道される激しい地震の平均数は,1914年より前の1,000年間のその同じ平均を11倍も上回っています。この預言の成就に,これ以上の証拠が必要とされるでしょうか。
疫病
「そこからここへと疫病があります」― ルカ 21:11。
「これまでに行なわれた戦争すべてよりも,病気のために死亡したり体が不自由になった人のほうが多い」と,ワールドブック百科事典は述べています。ここに特に厄介な病気の幾つかと,毎年,全世界でその患者になる人の数を挙げることにしましょう。
● ガンにかかる人3,700万人。
● シャガス病に悩まされる人1,000万人。
● マラリアになる人1億5,000万人。
● オンコセルカ症に感染した人4,000万人。
● 住血吸虫病の痛みに悩まされる人2億人。
● 急性呼吸器疾患で少なくとも200万人が死亡。
● 下痢が原因でほぼ500万人の子供が死亡したことが伝えられている。これは,発展途上国で毎年,毎日,1分ごとに10人の子供が死亡するという恐るべき割合になる。医学の進歩にもかかわらずこうしたことすべてが起きている。イエスの信頼のおける預言が今日成就していることを本当に否定できる人がいるだろうか。
『この世の終わりの合図』の特色はほかにも数多くあり,それらの成就が明らかに見られます。しかし,今の時代に聖書預言が成就していることを示すのには,これまでに挙げたものだけで十分です。
では,この現在の事物の体制はあとどれほど続くのでしょうか。イエスの次の言葉はその答えになっています。
「あなた方に真実に言いますが,これらのすべての事が起こるまで,この世代は決して過ぎ去りません」― マタイ 24:34。マルコ 13:30。ルカ 21:32。
この世代とはどの世代のことでしょうか。イエスの預言の成就の始まりを目撃した世代です。つまり1914年に生きていた人々のことです。その世代の人で健在である人はどれほどいるでしょうか。入手できる最新の統計によると,1980年に,65歳以上の人で健在だった人は2億5,900万人しかいませんでした。a このうち1980年からこれまでの間に亡くなった人も少なくありません。歴史的な年である1914年前後に生まれた人々は今では70歳になっており,1914年に生きていた他の人々は80代あるいは90代に入っており,中には少数ながら100歳代に達している人もいます。しかし,その数は急速に減少しつつあります。
1914年の意味を理解しているのはだれか
エホバの証人がこうした出来事の意味を指摘する声を上げたのは最近になってのことではありません。1914年の前からだけでなく,その年以降も,エホバの証人は1914年という年の重要性について繰り返し公に意見を述べてきました。b 例えば,30年以上も前になる1947年11月22日のフィラデルフィア大会で,エホバの証人は一つの決議文を満場一致で採択しました。それは一部次のように述べていました。
「第一次世界大戦をもって始まった1914年以降の世界の出来事は,この世の終わりに関する預言を成就している」。
わたしたちはすでに『この世の終わりの合図』の71年目に入っています。年の経過につれて証拠が薄れてゆくということはありませんでした。それどころか,証拠はその度合を一層強め,より広範にわたって見られるようになりました。
過去において都市や国家やさらには帝国にとって時が尽きようとしたことがあったのと同じように,わたしたちはすべての国や王国にとっての時が同時に尽きようとしている時点に今や達しているのです。
この世界にとってついに時が尽きるときに,地球とその上に住む人々にはどんなことが起きるのでしょうか。
[脚注]
a 国際連合国際経済社会局の「1981年度人口統計年鑑」,1983年ニューヨークで発行。
b 1914年の重要性についてさらに情報をお望みの方は,ものみの塔協会発行の「あなたの王国が来ますように」という本をご覧ください。
[6ページの囲み記事]
1914年以降,二つの世界大戦がありました。第二次世界大戦は,二発の小型原子爆弾の使用をもって幕を閉じました。現在備蓄されている核兵器全体には,広島に投下された爆弾の約100万倍の破壊力があります。イエスの預言が本当に成就していることを人々に納得させるために,人類をぬぐい去るような核による大破壊が生じなければならないのでしょうか。
[6ページの囲み記事]
1914年以来,1年間に報告される地震の数の平均は急上昇しています。1914年よりも前の1,000年間に起きた地震の数の年平均回数の11倍の地震が起きています。さらに,1914年よりも前の2,000年間の年平均の20倍に達しています。c 預言の成就には,これ以上に大きな増加が必要とされるでしょうか。
[脚注]
c リストに挙げられている地震は以下の条件のうち少なくとも一つを満たしていなければなりませんでした:
地震の規模……マグニチュード7.5以上
死者……100人以上
損害……500万㌦(約12億円)の資産の破壊
[7ページの囲み記事/グラフ]
消え去りつつある1914年の世代
米国,英国そして日本で,1970年から1980年までの間に,1914年に生きていた人々の約3分の1が死亡しました。
1914年に生きていた人々のうち,1980年にまだ健在であった人は世界中で1914年当時の約15%に過ぎませんでした。『この世代が過ぎ去る』までに一体どれほどの時間が残されているといえるでしょうか。
[グラフ]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
1914
1980
15%
生きている人の数
[8ページの囲み記事]
『人々は恐れから気を失う』― なぜか
今日の世界を見る時,次の言葉が意義深く思えますか
「太陽と月と星にしるしがあり,地上では,海のとどろきとその動揺のゆえに逃げ道を知らない諸国民の苦もんがあるでしょう。同時に人々は,人の住む地に臨もうとする事柄への恐れと予想から気を失います。天のもろもろの力が揺り動かされるからです」― ルカ 21:25,26。
日の出が喜びをもたらした時代,喜ばしい期待をもって待ち望むさまざまな出来事の満ちた新しい日をもたらした時代がありました。今では,その日がどんなことをもたらすか極度に心配する人は少なくありません。月が出て星の輝く時間は,かつてはくつろぎのひととき,人々が心地よい散歩に出掛けることのできる時でした。今日では強盗や暴行魔がいるために,その同じ時間に街路を歩くのを恐れる人が少なくありません。世界の舞台で生じているさまざまな変化によっても,天は恐ろしい様相を呈するようになっています。
ストックホルム国際平和問題研究所の研究者たちが出版している,「ストックホルム国際平和問題研究所年鑑 1983」は,次のような厳粛な事実を伝えています。
核弾頭: 世界の核兵器の備蓄は今や弾頭約5万発に達しています。ストックホルム国際平和問題研究所の所長であるフランク・ブラッカビーによると,このことは超大国を合わせた場合,1945年に第二次世界大戦が終わってから,昼も夜も20分ごとに1発ずつ広島級の爆弾を世界の核備蓄に付け加えてきたことを意味しているのです。同研究所は,1990年代の初めには,優に6万発を超える核弾頭が世界に備蓄されているであろうと予言しています。これが示唆する事柄のために多くの人は『恐れから気を失う』ようになっています。
宇宙戦争の可能性: 大気圏外の武装化が増大しています。超大国は,軍事衛星攻撃用の兵器と宇宙に配置したレーザー発生装置の開発を続けています。1982年6月に,大気圏外で重要な軍事実験が行なわれました。その時,超大国の一方が,攻撃衛星に,軌道に載せられていた別の衛星を探し出させ,それを破壊させることに成功したのです。その時以来,両超大国は軍事宇宙科学技術の分野で著しい進歩を示しています。その進歩には,30㌧の軍事資材搭載能力のあるスペースシャトルの飛行の成功,再利用可能な,衛星打ち上げ装置,機上搭載のレーザー光線による遠隔操縦の標的の撃墜などが含まれています。確かに,天は恐ろしい様相を呈しています。
死をもたらす海: 軍艦の数は増加しています。核ミサイル発射装置を備えた潜水艦は,海岸線からほんの数分離れた海の中で,破壊の雨を降らせる準備をしています。それらの潜水艦の射程距離に入らない都市は地球上にありません。確かに,海には「とどろき」があります。
このすべてにもかかわらず,弟子たちには『頭を上げ,歓ぶ』確かな理由があるとイエスは言われました。なぜでしょうか。―ルカ 21:28-31。
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いよいよ「新しい地」を迎える時目ざめよ! 1985 | 1月22日
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いよいよ「新しい地」を迎える時
この世界にとって時が尽きると,すべての人にとって時が尽きることになるのでしょうか。決してそのようなことはありません。生存者がいます。しかし,その生存者たちの受け継ぐ地は放射能に汚染されて焦土と化した燃えがらか,暗くて凍てついた不毛の地でしょうか。そのどちらでもありません。地は動植物や人間で満ちあふれる場所になるでしょう。奇妙に思えますか。そうであれば,イエスの預言の言葉をもう一度ご覧になってください。
この世の終わりの近いことを示す合図になるしるしには数多くの面があることを,イエスが述べておられる聖書のその同じ章から調べてみましょう。イエスがわたしたちの時代を別の時代になぞらえておられるのが分かります。イエスはこう言われました。「人の子の臨在はちょうどノアの日のようだからです。人々は……洪水が来て彼らすべてを流し去るまで注意しませんでした」。(マタイ24:37-39)ノアの時代に,時は尽きました。だれ,あるいは何にとっての時ですか。不敬虔な者たちにとってのみ時は尽きたのです。
ノアとその家族にとって時は尽きませんでした。ノアとその家族は悪のぬぐい去られた地球に生き残り,地そのものが,きらめくように新しくなるのを見ました。なぜでしょうか。彼らが義を愛し,神に従ったからです。―創世記 6:5-9,22。ペテロ第二 2:5。
全地球的な洪水が差し迫っているという事実について,「神の警告を与えられた後」,ノアは自分が実際的な知恵を持っていることを示しました。人類の他の者たちとは異なり,ノアは信仰を示し,自分の家族を救うために行動を起こしました。(ヘブライ 11:7)ノアは自分が敬虔な専心を保つ人であることを実証しました。あなたもそのような人ですか。そうであれば,「エホバは,敬虔な専心を保つ人々をどのように試練から救い出すか,一方,不義の人々……を,切り断つ目的で裁きの日のためにどのように留め置くかを知っておられる」という事実から慰めを得られるでしょう。―ペテロ第二 2:9,10。
どんな状態が行き渡るか
神のご意志は,この惑星が生物の住まない黒焦げになった球体になることではなく,「敬虔な専心を保つ人々」のための平和の完全な楽園になることです。地は人類の永遠の家です。創造者は究極
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