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世界展望目ざめよ! 1979 | 10月22日
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ものと推定される。フットボールでは39万4,827人,バスケットボールでは34万9,760人が負傷した。また10万3,893人がスキーでけがをした。
宝さがし
◆ 最近,ソ連-アフガニスタン考古学探検隊はアフガニスタンの北部で財宝を掘り当てた。6か所の王室の墓地を掘ったところ黄金製の装身具が実に2万点も発見されたのである。あちこちに金が使われていた。ソ連のノーボスチ通信の報道によれば,王の遺体は二,三枚の外衣に包まれた状態で発見され,「埋葬されていた王の頭の下には,金の小さな樹木を飾り付けた金の大ざらが置かれていた。あごには金のリボンが結び付けられ,頭には金の王冠がかぶせられていた」。何千点もの装身具の外に,金のカップや短剣も出土した。伝えられたところによれば,金製品は西暦一世紀から二世紀のもので,ローマ,ギリシャ,インド,中国の文化の影響が明白に認められた。
英国では,二人の男が宝捜しに出掛け,ローマ人の遺跡で“珍しい硬貨”を捜した。二人が捜しあてたのは,珍しい硬貨ではなく,カエサル配下のローマ軍兵士約200人の一年分の給料に相当する貨幣だった。合計で5万6,000枚ほども掘り出されたそれらの貨幣は,西暦三世紀に鋳造された二倍のデナリウス銀貨であった。これらは主に,硬貨より200年ほど古い陶製のつぼに入っていた。
ガン患者に事実を知らせるべきか
◆ アメリカ医師会ジャーナル誌は最近,ガンの患者に真実を告げるべきか,という問題に関する医師たちの見解を調査し,その結果を報告した。20年前には,医師の90%が否定的な考えを持っていたが,今日では97%の医師が,患者は真実を知るべきであると考えている。
ガンの痛みを和らげる新しい治療法
◆ ガン患者の痛みを軽減するための新しい方法が日本の研究者によって報告されている。それは脳下垂体にアルコールを注入するという方法である。これには針が用いられ,それを脳下垂体の周囲に刺すのである。「鎮痛効果がすぐれているため,我々の病院では,ガンの痛みを和らげる治療法としてこの方法を第一に用いるようになった」と,武田文和博士は報告している。この治療を受けた患者30人のうち25人は,長期間痛みから完全に解放された。
鉛が多すぎる
◆ 人体に含まれる鉛の自然の量を測定するため,カリフォルニア州の研究者たちは最近,1,600年前に死んだペルーのインディアンの骨を分析した。ところがその結果は,現代人が産業公害の影響をいかに強く受けているかを物語るものであった。研究者たちは,今日のアメリカ人の体内には,自然の水準の500倍の鉛が蓄積されている,と新英国医学ジャーナル誌の中で報告している。
モスクワの諸教会
◆ 1917年にボルシェビキ革命が起きた時には,モスクワに657の教会があった。今日ではどうだろうか。わずか100ないし150の教会があるにすぎず,現在でも礼拝が行なわれているのはそのうちのわずか46にすぎない,とソ連の当局者は語っている。
野蛮な結婚式
◆ エジプトでは,内務大臣の命令によって,結婚式に出席する友人や親族は各自の銃を戸口に置いておかなければならなくなった。なぜだろうか。『結婚式の乱痴気騒ぎを盛り上げようとして,客が小火器を発射したため,過去3年間に,仲間の客769人が死亡し,3,087人がけがをした』とAFP通信は伝えている。
スウェーデンにおける私生児の出産
◆ スウェーデンの中央統計局が明らかにしたところによると,同国のカップルのうち九組に一組は結婚関係になく,生まれる子供の三人に一人は結婚外の性関係による。スウェーデンで未婚の男女の同棲生活が一般化したのは1960年代の初期であったと,同局の報告は示している。
サンパウロの犯罪
◆ サンパウロで発生した犯罪は昨年25.3%増加した。公表されたところによると,平均して30分に一件の強盗事件が発生し,毎日6人が殺害されている。強姦事件は24時間ごとに三件が報告された。財産犯罪の一日当たりの発生件数は,1977年の50.16件から55.35件に増えた。サンパウロの人口は1,208万9,000人と推定されている。
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聖書理解の助け ― 武器,武具(続き),贖罪目ざめよ! 1979 | 10月22日
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聖書理解の助け ― 武器,武具(続き),贖罪
「知恵は主要なものである。知恵を得よ。自分の得るすべてのものをもって,悟りを得よ」― 箴 4:7,新。
武器,武具(続き)
かぶと
戦いの際の戦士の保護を目的として作られた戦闘用のかぶり物で,基本的防御用具の一つです。ごく早い時代にかぶとは,い草類で作られ,蜂の巣あるいは頭がいずきんのような形をしていました。動物の頭皮を頭にかぶる場合もありました。これは兵士の身を隠すため,敵を威かくするため,あるいは着用している者がそれによってその動物の強さを身に帯びると感じたためでしょう。金属製のかぶとを最初に考案したのはエラム人(バビロニア東方の)であったと思われます。
かぶとの形状は様々でしたが,多くの場合その形にはそれなりの目的がありました。例えば,丸いあるいは円錐形のかぶとは刃物の貫通を防ぎ,失をそらせることができました。かぶとの形と飾りとは戦場で敵と味方を識別するのにも役立ちました。同じ軍隊に属する幾つかの部隊が違った形状のかぶとを着用する場合もありました。それによって司令官はそれぞれの部隊がどこにいるかを常に見ることができました。しかし,軍事的な目的というよりそれの属する伝統がかぶとの形や飾りを決定している場合もありました。
当初,イスラエル人のかぶとは革で作られていたようです。後にそれには銅または鉄がかぶせられ,毛,フェルト,革などのずきんの上に着用されました。イスラエルにおいて銅のかぶとは既にサウル王の時代に使用されています。(サムエル前 17:38)初めのうちかぶとは王や他の指導者たちだけのものであったかもしれませんが,後にはごく一般にも使用されたようです。ウジヤは自分の全軍にかぶとを支給しました。(歴代下 26:14)聖書そのものはイスラエル人のかぶとが実際にどのようなものであったかについて何も述べていません。
エジプト人の間では,革のかぶとも使用されましたが,亜麻布に刺し子をしたものの方が一般的でした。ペリシテ人は金属製のかぶとを持ち,ゴリアテは銅のかぶとをかぶっていました。(サムエル前 17:5)メディネト・ハブにあるラムセス三世の神殿の浮き彫りには戦死したペリシテ人の戦士が描かれていますが,それらの戦士は重武装をし,羽毛つきのかぶとをかぶっています。アッシリア人のかぶとは時代により形状が異なっています。古代の記念碑などに示されるとおり,あるものはただの丸いかぶり物で,イスラエル人がかぶったのもそのようなものであったかもしれません。アッシリアの他のかぶとは鉄製で,上端がとがっていました。これは撃ちかかる襲撃者の剣をそらすことができました。耳と後頭部を保護するためにひさしを付け,鱗とじの金属板を肩まで垂らしたものもありました。バビロニア人のかぶとにも耳おおいがついていました。
エゼキエルはペルシャ人やエチオピア人に関連してかぶとのことを述べています。(エゼキエル 27:10; 38:5)ヘロデ時代のギリシャ人やローマ人のかぶとは一般に革や青銅で作られていました。初期のギリシャのかぶとは首から上にすっぽりかぶるものでしたが,後にそれは小さくなり,面頬や前立て,時には羽毛も取り付けられました。ローマ兵のかぶとには可動式の耳おおいと羽毛がついていました。
イザヤはエホバが比喩的な意味で「救いのかぶと」を着けられたことを記しています。(イザヤ 59:15-17,新)使徒パウロはクリスチャンが着用すべき「神からのよろい」の一部として「救いのかぶと」を挙げました。(エフェソス 6:13,17)パウロはまた「かぶととして救いの希望」を身に着けるよう促しています。―テサロニケ第一 5:8。
贖罪 贖罪と訳される英語の言葉atonementは“at one”(一つになって)という表現から来ており,聖書的には,罪を覆うという意味で使われています。ヘブライ語聖書には贖罪と関係のある用語が数多く出ており,特にレビ記と民数紀に多くあります。贖罪をするという意味のヘブライ語はカーファルで,この語の原義は「覆う」であったと思われますが,「ぬぐう」の意味に取る見方も提出されています。
贖罪の必要性
人間は受け継いだ罪のために罪の覆いすなわち贖罪が必要です。(列王上 8:46。詩 51:5。伝道 7:20。ローマ 3:23)これに対する責任は神の側ではなく,人間自身にあります。(申命 32:4,5)アダムは人間として完全な状態での永遠の命を失い,自分の子孫に罪と死を譲り渡しました。(ローマ 5:12)そのためアダムの子孫は死の有罪宣告下にあります。神の公正の法は同類のものをもって償うことを定めていましたから(申命 19:21),人間が再度永遠の命の機会を持つためには,このようにして失ったと同等のものをもって贖罪をすることが必要でした。
聖書中の用例で言えば,「贖罪」という語には基本的に「覆う」もしくは「引き換える」という意味があります。そして,引き換えに与えられるもの,またあるものに対する「覆い」として与えられるものは,元のものと同等でなければなりません。つまり,失われ,喪失された物のその跡を満たすべき物は,初めのものと「一つになって」いて,厳密に等価値のものとしてそれをちょうど覆うものでなければなりません。はみ出しも多少の不足も許されません。不完全な人間はだれも,だれかにあるいは全人類に完全な人間の命を取り戻させるため,そのような覆いもしくは贖罪を差し出すことはできません。(詩 49:7,8)アダムの喪失したものに見合う贖罪をするためには,完全な人間の命と全く等価値の捧げ物が必要です。
エホバ神はイスラエル人の間に贖罪の取り決めを創始されましたが,それはより大きな贖罪の備えを予示するものでした。受け継いだ罪を覆ってその結果である死の有罪宣告から人を救済するための贖罪の方法を決定してそれを明らかにした功は,人間ではなく,エホバに帰せられるべきです。
予表的な贖罪の犠牲
神の指示に従い,イスラエル人は贖罪を行なうために,罪の捧げ物としての犠牲を捧げることになっていました。(出エジプト 29:36。レビ 4:20)特に重要であったのは年ごとの贖罪の日です。その日,イスラエルの大祭司は動物の犠牲を捧げて自分自身のため,他のレビ人のため,そして祭司でない残りのイスラエル諸部族のために贖罪を行ないました。(レビ記 16章)犠牲の動物はきずのないものでなければなりませんでした。それは,その対型となるものが完全であるべきことを予示していました。また,その贖罪が非常に貴重なものであることは,贖罪のためにその犠牲動物の命が与えられ,その血が流されたことによって示されていました。(レビ 17:11)イスラエル人の捧げた罪の捧げ物,また年ごとの贖罪の日の種々の特色は,人の持つ罪の状態の重大さ,そして完全な贖罪の切実な必要性をその人々の脳裏に深く銘記させたに違いありません。しかし,動物の犠牲は人間の罪に対する完全な贖罪とはなり得ませんでした。人間は獣を支配する立場に置かれ,獣は人間に劣る
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