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  • 春の小鳥のコーラス
  • 目ざめよ! 1970
  • 副見出し
  • 遠くからやって来る歌い手たち
  • つれ合いを求めて歌う
  • さまざまな鳴き声
目ざめよ! 1970
目70 4/8 12–15ページ

春の小鳥のコーラス

聞いてごらんなさい,春を喜ぶ歌が再びあたりを満たしています。美しいコーラスです。喜びにはずむその歌声は,神をたたえ,人の心を楽しませます。心を浮き立たせる春が来たのです。その訪れがなんと喜ばしく伝えられているではありませんか。それは小鳥たちのはなやかなコーラスです。コマドリ,スズメ,ツグミ,その他さまざまな鳥類が,それぞれに自分の声を出し,調べゆたかな春の合唱となっています。その楽しげな歌声は,長い冬の支配が終わったことを告げているのです。

春の初め,北半球の高緯度地方では,さまざまな調子でさえずる小さな吟遊詩人が,群れをなして次々に飛来し,ほころびはじめた春の美しさをたたえます。こうした小鳥たちは,冬を過ごした南の国からの長旅を無事に終え,その喜びを表現しているようにも思えます。長くて冷たい冬に閉ざされていた北国の人々にとって,こののどかで楽しげな小鳥の歌声は,なんと快いものではありませんか。その軽快な調べは,みずみずしい青葉で野山の装いが一新する時の近いことを人々に思い起こさせるのです。

これら翼を持つ歌い手たちが,空を舞いつつなめらかに歌う姿は,人の心をはずませます。この季節になると,老人も若者も足どりが軽くなるのです。そうです,春の日ざしを浴びて空気は日ごとに暖まり,森や草原には,新しい生命のいぶきと甘い花のかおりとが漂って,春はこのうえない喜びの時となります。この愛らしい季節に伴う感興は,生きていることの喜びを人に感じさせます。そして敬虔な人々は,このすべてを整えてくださった創造者への感謝と賛美を深くするのです。

遠くからやって来る歌い手たち

北国で小鳥たちの春のコーラスの編成が始まるのは,日が長くなり,日ざしがようやく力強さを取りもどすころです。南の地で冬を過ごしていた渡り鳥は,自分の繁殖地にもどろうという本能に動かされます。たとえば北米生まれの鳴き鳥は,米国の南部・中米・南米しかも遠くアルゼンチンなどから一路北に向かい,幾百万羽となく飛び帰ります。

冬が米国とカナダの国境の北に去りかけたころ,枯れた声を出すカラス,元気のよいコマドリ,黒鳥とも呼ばれるムクドリの仲間,羽の色の美しいアオドリ,そして陽気なヒバリなどが登場します。春のコンサートの始まりです。

こうした鳴き鳥が群れをなして飛び帰るさまを見る人は少ないかもしれません。そうした鳥類の多くは,夜間,しかも600メートルから1,800メートルの高空を飛びます。そして,昼間に,どこからともなく姿を現わし,庭・公園・畑・森・沼地・草原・山などに,その明るい鳴き声をにわかに響かせるのです。小鳥たちは群がっていこい,またえさを求めます。春の雨が残したたまり水につかって遊び,その色とりどりの羽をはばたかせることもあります。それは空から舞い落ちた小花のようでもあります。

4月から5月ごろ,米国を通ってさらに北に飛んでゆく鳴き鳥の中にコメクイドリがいます。白と黒のこの小さな鳥は,他の多くの鳥と違い,飛びながらよく鳴きます。そのころころした鳴き声は,しだいに速さを増すところに特徴があります。この鳥ほどに長旅をする歌い手は多くありません。北米産のコメクイドリは,アルゼンチンの草原からカナダ南部まで1万キロも飛びます。これをしのぐものとしては,東シベリア産のカラフトムシクイがいます。この鳥は10グラム程度の体重しかないのに,東アフリカからシベリアの繁殖地まで1万3,000キロも飛ぶのです。

これら吟遊詩人のすべては北の同じ土地に落ち着くわけではありません。あるものはずっと遠くまで行きます。首をぐっと突き出し,V字型の編隊で飛ぶガンの群れは,特有の鳴き声を立てながら,米国の空を飛び越えてゆきます。これらカナダガンはメキシコ中部で冬を過ごし,夏には北極圏にまで移動します。ももに堅い毛のあるダイシャクシギは,越冬地のハワイから,営巣地のアラスカまで,太平洋上を3,000キロ以上も飛びます。

驚くべき旅行家はホッキョクアジサシです。この鳥は南極海で冬を過ごし,その後,北極圏にまでもどって来るのです。これは往復3万5,000キロもの大旅行す。羅針儀その他の計器を持たない鳥が年ごとに同じ繁殖地にもどる能力は,鳥を創造された神の知恵と栄光を表わしています。創造者の付与された渡りの本能が,これらの鳥たちを,毎年一定の時期に,北や南の一定の場所に向かわせ,長大な距離を正確に飛ばせるのです。さらに驚くべき点は,若鳥が親鳥の飛び立ったあと,その導きを受けずに正しい進路を取ることです。―詩 104:24。

つれ合いを求めて歌う

小鳥の鳴き声が最も美しくなるのは,巣を構える春の季節です。つまり,小鳥の歌声は,つれ合いを求める声でもあり,このかわいい歌い手たちにとって,春は求愛の季節なのです。

普通は雄が先に登場します。雄鳥はまず,つれ合いを求めるための自分の勢力範囲を定めます。このころ,雄鳥の装いは最も輝き,その鳴き声は特にみがきのかかったものとなります。こうしてつれ合いとなる雌の注意を引くのです。胸の赤いブルーバードや,オレンジ色の胸毛を持つコウライウグイスなども,それぞれに最上等の羽衣をつけて自分の勢力範囲を定め,小高い枝にとまって鳴き声を上げます。その勢力範囲は数平方メートルから数百平方メートルに及びます。同種の鳥二,三羽が同じ場所を得ようとする場合には,けんかによってそれを解決するのが普通です。

やがて雌鳥の到着です。雄鳥は自分の最も甘いメロディーをそれぞれ感傷を込めて歌い,色あざやかな春の羽をふるわせて,つれ合いを求めます。オレンジと黒の配色がいかにも美しいコウライウグイスは,親しさを示す雌鳥のそばにとまります。それからできるだけ背伸びをし,燃えるようなオレンジ色の胸毛を見せながら少しずつおじぎをし,最後に黒い頭を見せます。この間終始,やわらかな笛のようにさえずりつづけます。近くでは黄色で小柄のムシクイが自分のアリアを歌います。

たいていの鳥は枝にとまって鳴きますが,コメクイドリのように,自分のセレナーデに,空中での舞いを添えるものもいます。海浜の鳥の一種であるシギは夕暮れに求愛の演技をします。羽音をたてながら,ら線状に数十メートル上昇したのち,声をふるわせつつ,ころがるようにして落下するのです。

ツノヒバリは大きな円を描き,さえずりながら空にのぼります。そして,望む高さに達すると,今度は翼を閉じてまっすぐに降下し,しだいに勢いを増しながら,地面に衝突する直前,ぱっと翼を広げて静かに着地するのです。異性の注意を引く演技としてはりっぱなものではありませんか。

やがて歌い手は自分の配偶者を勝ち得ます。雌鳥は雄が得た領地をまわり,好みに合った巣場所を選びます。そして,その好みは鳥の種類によって大いに異なっているのです。モズモドキは木の高い枝の先にかばんのような巣をぶらさげます。ハチドリのあるものはいごこちの良い小さな巣を地面に作ります。キツツキは木の幹に穴を掘って巣とします。また,やぶやかん木の茂みの中にすみかを設けるものもいます。4月と5月はこの陽気な歌い手たちが移動する季節であり,所によっては,彼らの朝のコンサートで耳が破れるほどになることもあります。そして6月と7月は巣ごもりの月,そうです,家庭を営む月です。

さまざまな鳴き声

春の小鳥のコーラスが最高潮に達するのは6月ごろです。このころまでに,コーラスの参加者すべてが集まり,すべての声がそろうようになります。どの声も同じには聞こえません。あるものはリズム豊かにさえずり,他のものは流れるように歌います。息をのむほどに甘美な声を出すものがあり,また,おしゃべりをするかのようににぎやかな声を出すのもいます。そして同じ種類の鳥でも,場所によって多少のなまりがあるのは不思議です。

深い森へはいって自分だけになった時に最も澄んだ声を出す歌い手もいれば,公園や庭先に来て,人に歌いかける歌い手もいます。ある鳥は朝夕に歌い,別の鳥は満月の晩に歌います。そして,雨の日に好んで歌うものもいます。

たいていの鳥は,自分の伝えようとする事柄をそれぞれに持っているようです。春は特にそうです。これは,森・沼地・草原・山あるいは人家の庭先など,どこで鳴くかには関係がありません。ツグミ・ヒバリ・ヒワ・シメ・スズメ・ウグイス,そしてモズモドキの類は,小鳥の音楽家として人々に愛されているほうでしょう。たとえば,北米産,独居性のツグミの一種は非常に印象的な,時には震えるような調べをかなで,それが森の中に響きわたります。その声には絶妙のひびきがあり,夕暮れに森にはいってそれを聞く人は,言い知れぬ感動を覚えます。ヤマツグミと俗称される北米産の別のツグミは,イーオーリー……イーオーレーと笛のような鳴き声を出し,一声ごとに休むさまは,自分の声のこだまをじっと聞いているかのようです。北米の鳴き鳥として最も知られているのはイワヒバリでしょう。この鳥は,夏であれば,カナダとアメリカのたいていの場所で見かけられます。しかしこの鳥は春に独特の鳴き方をします。1時間に300回もの割で声を張り上げるのです。

ネコドリやワライドリはツグミに類したものまねどりとして北米人に親しまれているものです。これらこっけいな小鳥はものまねの芸を好んでひろうし,自分の多彩な歌声に他の鳥の声や歌を加えます。

欧州の名鳥として最も愛されているのはナイチンゲールとも呼ばれるサヨナキドリでしょう。その清澄な鳴き声は静かな夜にひびきわたり,その愛らしさは古来幾多の詩人にたたえられてきました。サヨナキドリの営巣地は西および中央ヨーロッパです。別の有名な歌い手は,そのかわいらしい鳴き声をそのまま名前にしたカッコウです。その声の音楽的な特徴を言えば,低く繊細な音調が何度かくり返されることです。

サヨナキドリ,カッコウ,そのほか多くの鳥の美しい鳴き声は偉大な音楽家の心を動かしてきました。そうした音楽家は自分の作曲の中に小鳥の鳴き声を取り入れたのです。ベートーベンは「田園交響曲」中の小川の情景の描写に小鳥の鳴き声を用いました。鳥の擬声音を入れたヘンデルの活発なオルガン協奏曲は,「カッコウとサヨナキドリ」と呼ばれるようになりました。ヘンデルの聖たん曲「ソロモン」の中にある有名な「ナイチンゲールコーラス」は,合唱とサヨナキドリの声を交互に取り入れたきわめて美しいものです。こうして春の小鳥のコーラスは昔から人の耳を喜ばせ,その心を魅了してきたのです。

小鳥たちの春のコーラスの陽気な美しさは確かに天与の賜物です。そのつきない変化と創意とは,天の偉大の作曲家たるエホバ神の至上の知恵を表わすものです。どんな音楽上の趣味を持つとしても,暖かな春の日に野外に出,胸いっぱいに大気を吸いつつ小鳥たちの喜びの歌声を聞くならば,詩篇作者のさまざまなことばが思い出されるでしょう。「われらの神をほめうたふはよきことなり,たたへまつるはよろしきにかなへり」。「地よりエホバをほめたたへよ」。「翼ある鳥」だけでなく,「いきあるものは皆ヤハをほめたたふべし,なんぢらエホバをほめたたへよ」― 詩 147:1; 148:7,10; 150:6。

[13ページの図版]

コマドリ

ツグミの一種

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