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「バイブル・ベルト」の教会をゆすぶる人種問題目ざめよ! 1973 | 5月22日
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を黒人に許しても,それを喜ぶ黒人はいなかったでしょう。「ディープ・サウス」の著者は次のように述べています。「彼らが知っていたのはアングロ・サクソン人のバプテスト派とメソジスト派の信徒によって象徴されたキリスト教でしかなかったし,またそれが白人のボスや地主を強く連想させたので,彼らは,白人の神が自分たちの上に,長い間経験してきたのと同様の残虐と不正をひきつづき押しつける場所で,永久に生活することを余儀なくされるのではないかという恐れをいだいていた」。
アメリカの歴史は,黒人が白人主義者の神と関係を持とうとしなかったことを物語るものです。大多数の黒人は,彼ら独自の正統派宗教を好みました。
現代の変革が南部の教会におよぼした影響
そして1954年,南部の状態に劇的な変化が生じはじめました。アメリカ最高裁判所は,学校における人種差別を打ち砕きました。その時以来,黒人は「バイブル・ベルト」をかき回しています。100年にわたって黒人の心と精神を奴隷にしていた壁はくずれつつあり,黒人の大学卒の世代が出てきて遠慮なく発言し,白人との平等を要求しています。
昔の南部の白人上位主義者の宗教上の主張は,相ついで制定される法律や国民的支持を有する反対運動の前にその力を失いました。多くの人は,以前人種的偏見をいだいていた教会を捨てました。とはいえ,過去数年間に生じた激しい変化の中で,南部の黒人の教会も無きずではすみませんでした。
黒人の教会は抗議運動やデモを組織するための集会場と化しました。社会正義のための闘争で著名な黒人牧師たちは,市会議員から上院議員に至るまでのすべての政治的地位をねらうことさえしました。
さらに一般の黒人は,平等を要求した結果,以前よりもさらに物質主義的になりました。U・S・ニュース・アンド・ワールド・リポート誌は,「黒人牧師たちは,かつて黒人教会を生活の大黒柱としていた人びとの間に,宗教への無関心が広がっているのを感じ取っている」と述べています。(1972年9月25日号)南部の黒人の多くが非常に宗教的で聖書を尊敬していることは事実です。しかし,社会的,宗教的状態の急激な変化によって,ひとつの新しいムードが生まれてきています。ある白人が言ったとおり,南部の黒人は今,「教会を捨てて懐疑主義者,あるいは無神論者になるとしても,ほとんどうしろめたさを感じません」。
人種差別の撤廃と黒人勢力の台頭は,「白人」と「黒人」の正統派宗教が,「バイブル・ベルト」で足場を失う原因となっています。しかし,他にどんな要素が,これまで堅固であった南部の宗教戦線にくさびを打ち込んでいるのでしょうか。
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増加する輸血なしの手術目ざめよ! 1973 | 5月22日
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増加する輸血なしの手術
◆ 最近,アメリカでは,指導的な外科医たちが輸血をきらうようになっている。ヒューストン市の外科医,クーレイ博士は110人のエホバの証人に輸血なしで心臓手術を施した。同博士は,彼が行なうすべての心臓切開手術の30%は供血者の血液を輸血せずに行なっていると言っている。しかし彼はまた,「大手術の大半は輸血なしで行なえるということは今や明らかである」と語っている。ロサンゼルスのJ・H・ケイによれば,彼の患者の45%から50%は心臓手術中にもはや供血者の血を輸血されない。同氏はその利点として,血清肝炎の危険がないこと,手術後の出血が少ないこと,入院期間が少なくてすむことをあげている。ペンシルベニヤ大学のS・ダドリックは,輸血を施すよりも手術の前後に患者の血液をふやすほうがよいと言っている。彼は,「わたしたちはもはやいやでも血液のビンを振りまわすことはしない」と語っている。
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