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神の支配権 ― 全人類に唯一の希望を与えるものものみの塔 1973 | 1月1日
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ました。ローマ軍団はエルサレムを滅ぼしてから3年後,つまり西暦73年にユダヤ人の最後の要さい,マサダを攻略しました。世界中の生来の正当派のユダヤ人は,キリスト教世界と協力関係にあるとはいえ,キリスト教世界のものではありません。
26 キリスト教世界はいつ,どのようにして,またどんな自称クリスチャンとともに始まりましたか。
26 ユダヤの荒野でイエス・キリストが誘惑を受けたのち,3世紀ほど経ってキリスト教世界は存在するようになりました。それは,ローマ皇帝,コンスタンチヌス大帝の時代のことでした。同皇帝は西暦337年に死ぬ直前にキリスト教の信奉者としてバプテスマを施されました。しかし,彼はそれ以前の西暦312年にキリスト教に改宗したと唱えていました。その当時までには,いわゆるキリスト教はイエス・キリストとその使徒たちの教えからあまりにも遠く逸脱していたため,この異教徒の将軍で政治家であるコンスタンチヌスのため武装して戦う自称クリスチャンの兵士がいたほどでした。そのうえ,当時の諸教会の司教たちは三位一体,つまり「父なる神,子なる神,また聖霊なる神」によって構成される三位一体の神という異教の教理を教えていました。司教たちは,神はヘブル語聖書の述べるエホバなる唯一の神か,それともいずれも同等で永遠の,いわゆる「三つの位格を有する神」かどうかに関して激烈な論争を行なっていました。そこで,コンスタンチヌスはその論争を終わらせようとしました。
27 (イ)コンスタンチヌスはどんな宗教を作りだそうとしましたか。彼は教会の司教たちに何を提供しましたか。(ロ)司教たちに対するそうした申し出の背後にいたのはだれですか。キリストですか。サタンですか。
27 異教徒の最高僧院長であるコンスタンチヌスは教会の司教全員を味方に引き入れようとして,融合宗教,つまり異教とキリスト教をいっしょにした「信仰合同」による宗教を作り出そうとしました。最高僧院長として,したがってローマ帝国の宗教上のかしらとして行動したコンスタンチヌスは,ローマの国教を司どる役員としてローマ政府と関係を持ち,権力や富を伴う顕著な地位を司教たちに提供しました。今やここで,政治政府と関連した人間の支配権がいわゆるキリスト教の司教たちに提供されたのです。わたしたちは,天のイエス・キリストがかつて自ら退けた『世のもろもろの王国』に関連する人間の支配権をここでそれらの「司教たち」に提供していたと考えるべきでしょうか。それとも,それを提供していたのは,それらの王国を自分に委ねられたものとしてその所有権を依然主張していた誘惑者,悪魔サタンでしたか。その正しい答えを出すのはむずかしいことではありません。それは地上の配下の最高僧院長を通して事を進めた悪魔サタンです。その最高僧院長は,イエス・キリストに提供されたのと同様の誘惑を司教たちに差し伸べていたのです。それにしても,「ローマの司教」を含め,それらの司教たちはイエスの模範に従いましたか。
28 (イ)それらの司教たちはキリストの手本に従いましたか。その結果,どうなりましたか。(ロ)「ローマの司教」はどんな称号を襲用しましたか。キリスト教世界の一致はどうなりましたか。
28 一般の歴史および教会史は,否と答えます! 多くの司教は誘惑に屈し,ローマの国教つまりローマの国立教会の教階制度の成員として皇帝のための奉仕を開始しました。こうしてキリスト教世界は誕生し,成長しました。西暦378年には時のローマ司教は,ローマ皇帝グラチアヌスの放棄した最高僧院長の称号とその職責を襲用するほどになりました。以後,幾世紀にもわたってキリスト教世界はさまざまの分裂を経験し,それに伴って宗教戦争や十字軍,はては自称クリスチャンの間での迫害が起こりました。多くの国々には独自の国立の教会が確立されました。キリスト教世界は地上で最も強力で,最も多くの成員を擁する宗教組織に成長しました。それは,キリスト教を奉じていない,世界人口の今や3分の2以上を占める全異教世界にとって見ものとなりました。しかしそれは何を示す実例となっていますか。真のキリスト教を表わすものですか。それとも,王権神授説を主張する人間の王たちと協力する教階制度を通して行使されたいわゆる神の支配権を表わす実例ですか。
29 二つの世界大戦,世界平和のための機構,また別の世界大戦のための準備がキリスト教的精神にかなうものであるかどうかを問うのはなぜですか。
29 第一次世界大戦は,それがキリスト教国をもって任ずるヨーロッパの二つの政治国家の間で勃発したゆえにキリスト教にかなう戦いでしたか。国際連盟は,それが英国国教会の支持を受けたゆえに,またアメリカの僧職者から「地上における神の王国の政治的表現」と呼ばれたゆえに,キリスト教にかなう組織でしたか。第二次世界大戦は,ある自称キリスト教国の軍隊が別のいわゆる「キリスト教」国の領土に侵入したために勃発したとの理由で,それはキリスト教にかなった戦いでしたか。国際連合は,その132の成員国の約半数がキリスト教を奉じているゆえに,キリスト教にのっとった,世界の平和と安全のための機構であると言えますか。核爆弾や核ミサイルを使用する第三次世界大戦に備えて着々と進められている準備は,キリスト教世界が自らの存続を図るためにそのような武器で自らを守らざるをえないと感じているゆえに,キリスト教の主旨にかなっていると言えますか。
30 (イ)今日,キリスト教世界を特徴づけている悪い事がらを上げなさい。それはキリスト教の表現といえますか。(ロ)これらの事がらは,誘惑者がイエスに提供した世界の支配権に関し,何を示すものといえますか。
30 創設以来,16世紀を経た今日のキリスト教世界の状態を見てください。キリスト教世界に見られる道徳の退廃,犯罪の増加,社会的また人種的偏見,圧制,経済的困難,貧困や飢え,正当な権威に対する尊敬の念の欠如,失政,利己的な快楽の狂気の追求,神に対する愛の喪失を示す隣人愛の欠如 ― このような事がらはキリスト教の表現と言えるでしょうか。絶対にそうは言えません! それは西暦4世紀に設立されたキリスト教世界のもたらした結果です。そして,キリスト教世界は,教会の司教たちが異教徒のローマ皇帝から差し伸べられた誘惑に屈したために生じたものですから,今日のキリスト教世界のそのような状態は,もしイエス・キリストご自身が提供された『世のもろもろの王国』を治める人間の支配権というわいろを受け入れたなら,何が生じたかということをまざまざと,痛々しいまでに示すものとなっています。それにしても,イエス・キリストは悪魔サタンの誘惑的な申し出を受け入れましたか。イエスは今日の世界の悩みに対して責任がありますか。
31 誘惑者の申し出をイエスはどのように取り扱いましたか。
31 聖書はこう述べています。『ここにイエス言いたもう「サタンよ,退け,『〔エホバ〕なる汝の神を拝し,ただこれにのみ仕えまつるべし』としるされたるなり」ここに悪魔は離れ去り,見よ,み使いたち来たり仕えぬ』― マタイ 4:10,11,〔新〕。マルコ 1:12,13。
32 (イ)宣べ伝えられた音信からして,イエスはどんな支配を認めていたことがわかりますか。(ロ)この点で,イエスは,エホバが何を行なうのを待ち望みましたか。
32 イエス・キリストは悪魔サタンの手中にある人間の支配権をきっぱりと拒否しました。イエスは神の支配権,つまりエホバ神の支配権を認めておられたのです。イエスがイスラエル国民の地の方々に行って,「悔い改めなさい。天の王国は近づいたからです」とふれ告げたのはそのためです。ヨルダン川でバプテスマを受けたのち,彼はその音信を宣べ伝えるよう,神の霊によって油が注がれました。そして,ご自分の12人の使徒を派遣して,全人類のためのその同じ希望の音信を宣べ伝えさせました。(マタイ 4:13-17,〔新〕。ルカ 4:16-21; 9:1-6。マタイ 10:1-7)イエス・キリストは,神が約束の苗裔の手で治められる天の王国を樹立することによってご自身の神聖な支配権を表明なさるのを待ち望みました。その約束の苗裔は,全人類を解放するために,大いなるへびの頭を砕いて打ち滅ぼすことになっています。イエスはほかならぬエホバ神を最高の支配者,宇宙主権者として認め,神の支配権に忠実を保って死にました。
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彼らは良いたよりを伝道し続けたものみの塔 1973 | 1月1日
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彼らは良いたよりを伝道し続けた
● ドミニカ共和国内のエホバの証人は投獄されていた時にもエホバに奉仕する特権がありました。ひとりのエホバの証人の語るところによると,彼ら囚人は,首都にある軍基地のまわりと,その中で働くよう命ぜられました。証人たちは会う人すべてに「良いたより」を伝えました。なかには友好的な態度を示す兵士もいて,証人たちが文書を入手するのを助けることさえしました。数か月間,彼らはメラに通じるハイウェイの沿道の草刈りを割り当てられました。その囚人たちのひとりは,次のように書いています。「わたしたちは看守を伴い,ハイウェイに沿って,47キロの区間,戸別伝道をしました。ほんとうに楽しい日々でした」。―「エホバの証人の1972年の年鑑」から。
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