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コンピューター化社会 ― 空想科学小説か,現実か目ざめよ! 1979 | 8月22日
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は概して事務所の机より小さいとはいえ,小規模に使う場合には,優れた計算能力を発揮します。これは,親類関係にある大型コンピューターと同じように使用します。もっとも,記憶容量や利用できる人の数にはおのずと限度があります。
他の新製品が開発される場合と同様に,コンピューターの開発にも問題が伴いました。例えば,新種の犯罪が発生するようになりました。コンピューターを利用した500件を超す犯罪が記録されています。この種の犯罪によって米国の実業家が被る損失は,現在でも年間約600億円に上っています。
また,プライバシーの問題もあります。わたしたちは“情報爆発”と呼ばれるものの中に生活しています。そして,その情報のすべてはコンピューターによって処理されています。人間では処理しきれないほどの情報があるわけですから,それは当然のことです。しかし,こうした情報の大半は内密のものであるため,それが悪行者の手に渡って,社会の最善の益に反する目的に使用されることが危ぐされています。“情報を制する者が権力を得る”と言われており,コンピューター化社会をこの面から憂慮する人も多くなっています。
こうした傾向の社会的意味についても,取り沙汰されています。こうした科学技術を開発する技術者や科学者は,仕事の技術的側面だけに気を奪われており,その社会的意味について十分関心を払っていないと感じている人がいます。コンピューターおよび通信業界は,その業務の及ぼす社会的影響よりも,自己の利益の追求にいっそうの注意を向けているのではないかとの懸念もあります。わたしたちが情報の洪水におぼれるばかりになり,情報なしにはやっていけなくなっている背後には,こうした傾向が関係しているとする意見があります。
また,将来はどうでしょうか。これまでに考慮した事柄から明らかなように,コンピューターの使用が,電気やガスや電話と同じく,公益事業となる道具立ては整っています。すでに現在の技術をもってすれば,各事務所や家庭で,教育を施したり情報を提供したりする広範な国際コンピューター通信網を利用することも可能でしょう。ある権威者は,1985年までに米国の全勤労者の70%がコンピューターを使用して仕事を行なうようになっているであろうと予測しています。さらに,コンピューターや通信の分野の専門家は,過去25年間に見られた革命的な進歩はこれからも続くであろうと予告しています。ですから,コンピューター化社会は全くの作り事であるというわけではありません。しかし,それは望ましいものでしょうか。その答えを得るには時の経過を待たねばなりません。
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売り込みの世界目ざめよ! 1979 | 8月22日
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売り込みの世界
◆ 共産圏以外の国々では,製品の販売を促進する宣伝に,年平均一人当たり5,000円ほどが費やされています。そして,「世界宣伝費報告」1978年版によると,米国は残りのすべての国を合計したよりも多くの宣伝費を使っています。エチオピア人に費やされる宣伝費は一人当たり約6円ですが,アメリカ人の場合には,一人当たり約3万円が費やされています。
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