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勇気を得よ ― 神の御国は近し!ものみの塔 1963 | 1月1日
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世ではなやみがある。しかし,勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」― ヨハネ 16:33,新口。
37 今日,恐れに支配されること,あるいは勇気を出すことは,それぞれどんな道に従うことになりますか。
37 今日,恐れの気持ちに負けてしまう人は,この世の道を行くことになります。しかしイエス・キリストの命じたことを行ない,イエスにあって平安を得,イエスのゆえに恐れない人は勇気を出すことができます。19世紀前,杭にかけて殺される何時間か前に,イエスは弟子たちに対し,世にあってなやみがあろうとも,勇気を出しなさいと告げました。そのなやみは,イエスが受けようとしていた苦しみにくらべれば決して大きなものではありません。そのとき,彼らの指導者であるイエスは,すでに世に勝っていました。世はイエスになやみをもたらしましたが,神の御国に対するイエスの忠実を砕くことができなかったからです。
38 なぜ今日イエスには,勇気を出しなさいと告げる大きな理由がありますか。この理由がたしかなことを,どうすれば知ることができますか。
38 今日は,イエス・キリストには,勇気を出しなさいと私たちに告げるいっそう大きな理由があります。なぜならば,イエスは神から油そそがれ,位につけられた新しい世の王として御国に来たからです。この事には少しの疑いもありません。1914年以来,私たちの経験してきた世界の出来事は,イエスが御国に来られたという証拠です。これらの世界の出来事と状態は,1914年にイエスが天の位につけられたことを示す見える証拠であると,イエスは預言していたからです。それは第一次世界大戦の勃発と共にこのすべての悩みが始まった年でした。
39,40 (イ)イエスは1914年以来の世界の出来事の意味をどのように正しく解釈しましたか。(ロ)イエスの言葉によれば,イエスの追随者に加えられた悩みは何の証拠ですか。
39 「お話しください。これらのことはいつ起こるのですか。あなたの臨在とこの組織制度の終結のしるしはどんなものですか」。4人の使徒のこの質問に答えて,王イエス・キリストは,これらの出来事をきわめて詳細に預言しました。その預言は聖書の四つの章にわたっています。(マタイ伝 24章,25章。マルコ伝 13章。ルカ伝 21章)イエスは1914年以来のこの時代の出来事にどんな意味があるかを教え,真実の解釈を与えています。その解釈によれば,約束された天の御国におけるイエスの臨在は1914年に始まりました。その年にこの世の組織制度は終りにはいったのです。そのうえこの時代に生きるイエスの本当の追随者が1914年以来こうむった悩みは,御国が近いこと,この組織制度が全き終りに直面している「しるし」すなわち見える証拠のひとつです。イエスはこの預言の中で,マタイ伝 24章9-13節(新口)にある次の言葉を述べました,
40 「そのとき人々は,あなたがたを苦しみにあわせ,また殺すであろう。またあなたがたは,わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。そのとき,多くの人がつまずき,また互に裏切り,憎み合うであろう。また多くのにせ預言者が起って,多くの人を惑わすであろう。また不法がはびこるので,多くの人の愛が冷えるであろう。しかし,最後まで耐え忍ぶ者は救われる」。
41 (イ)油そゝがれた忠実な追随者の残れる者がまだ地上にいるのは,どうしてですか。(ロ)イエスによると,起りつゝある出来事のゆえに彼らはどんな態度をとらねばなりませんか。
41 油そそがれた,これら忠実な追随者の残れる者は,1914年以来のすべての患難にもかかわらず,今日私たちと共に地上にいます。それは指導者イエス・キリストにならって世に勝ったからです。しかし最後の勝利はまだ得ていません。この世に完全に打ち勝たねばなりません。そのためには,この世すなわち組織制度の終るまで患難に耐えることが必要です。「勇気を出しなさい」。勝利を得たイエス・キリストのこの言葉は,彼らの耳に鳴り響いていなければなりません。この世の組織制度の終りを間違いなくしるしづける出来事を預言した言葉の中で,イエスが教えた態度を保たねばなりません。1914年以降における世界情勢の進展を預言してのち,イエスはこう言われました,「人々は世界に起ろうとする事を思い,恐怖と不安で気絶するであろう。もろもろの天体が揺り動かされるからである。そのとき,大いなる力と栄光とをもって,人の子が雲に乗って来るのを,人々は見るであろう。これらの事が起るのを見たなら,身を起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近づいているのだから」。それで,勇気を出すのは当然ではありませんか。―ルカ 21:26-28,新口。
42 (イ)これらの者の救いが近いことは,ほかにも何を意味しますか。(ロ)キリストの山上の乗訓中にあるどんな適切な事柄に彼らはいま信仰を抱きますか。
42 神の天の御国の相続者である忠実な残れる者の救いは,いま近づいています。幸いなことにそれは,あらゆる国民,民族,皮膚の色,言語の人々のうち,いまキリストによる神の国を自分の関心事にして,神の国を生活の中で第一にする人々の救いもまた近いことを意味しています。これらの人々はキリストの有名な山上の垂訓に信仰を持っています。「何事でも人々からしてほしいと望むことは,人々にもそのとおりにせよ」と教えた黄金律だけでなく,その全部に信仰を持っているのです。それで次の言葉も信じています,「だから,何を食べようか,何を飲もうか,あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。これらのものはみな,異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は,これらのものが,ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば,これらのものは,すべて添えて与えられるであろう」― マタイ 7:12; 6:31-33,新口。
43 (イ)これらの言葉に従う勇気を得るため,何を持たなければなりませんか。(ロ)なぜ神の御国は全創造の中で最も支持されていますか。
43 山上の垂訓にあるこれらの言葉に従うには,勇気が必要です。このような勇気を持つには,天の父である神に信仰を抱かなければなりません。それでも設立された神の国が来たことと,この御国が私たちを後押ししていることを信ずる十分の理由があります。100以上の成員国を擁する国際連合があっても,神の御国は,見えるものも見えないものも凡ての創造の中でいちばん大きく支持されているものなのです。神の御国に対しては世界をあげての反対があり,それを伝道する人々には憎しみと迫害が加えられているのに,どうしてそうなのですか。それは神の天に住む聖なる天使たちがこぞって,キリストによる神の国を支持しているからです。私たちも同じものを支持すれば,これらの天使が私たちの側にいます。
44 (イ)天使の軍勢について何が言えますか。(ロ)それは何時最終的な戦いをしますか。どんな結果になりますか
44 人間には数えることのできないほど多いこれらの天使は,全創造のうちで最精鋭の戦力です。天使たちはかつて戦いに敗れたことがなく,彼らの神を失望させたことも,その栄光の御名にそしりを招いたこともありません。見えない霊的な天における出来事を順に描いた聖書の預言によれば,1914年に神の御国が設立されてのち,これらの天使は神の御国のために戦いました。その結果,御国の主要な敵対者であるサタン悪魔は,その悪鬼もろともに聖なる天から地にまで追い落され,ハルマゲドンの敗北を待つばかりになりました。ハルマゲドンの宇宙的な戦争のとき,神の天使たちは王イエス・キリストにひきいられて,神の御国のために最後の決戦をすることでしょう。この世すなわち組織制度は滅びます。神の御国は勝利を得て永遠に治め,人類を祝福します。―黙示 12:1-12; 19:11-21。
どのように勇気を出すか
45,46 (イ)ハルマゲドンは人類の経験したもののうち,どんな出来事になりますか。(ロ)そのとき動かされないものは何ですか。それで世のかん難のあいだ,だれの言い表わした確信を持つことができますか。
45 全世界の組織制度がハルマゲドンで滅びるとき,人類はノアの時代の大洪水以来,最大のかん難を経験するでしょう。イエスの預言はそのことを述べています。(マタイ 24:21,22,37-39)災の絶えないこの組織制度はその根底から除かれて,あたかも大洋の暗黒のふちに投げ込まれたかのように無くなります。大地が人間の足許から取り去られたかのようになるでしょう。しかし神の御国は動かされることなく,無くなることはありません。それを第一に求め,それに望みをおく限り,私たちは詩篇 46篇1-7節に預言的に言い表わされた確信を持つことができます。
46 「神はわれらの避所また力なり,なやめるときの最ちかき助なりさればたとへ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我らはおそれじ よしその水はなりとどろきてさわぐとも,その溢れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらん,河あり,そのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖所をよろこばしむ神そのなかにいませば都はうごかじ,神は朝つとにこれを助けたまはんもろもろの民はさわぎたちもろもろの国はうごきたり,神その声をいだしたまへば地はやがてとけぬ万軍のエホバはわれらとともなり。ヤコブの神はわれらのたかき櫓なり」。
47 (イ)敬虔な勇気を持つ人々は,どなたと一致しますか。そして何を祈りますか。(ロ)この人々は,政治権力に関する使徒のどんな教えに従いますか。どのように?
47 今日,真に敬虔なこの勇気を持つ人々は,アブラハム,イサク,ヤコブの神すなわち万軍のエホバ,と一致しています。この人々は神の御国が来てこの世の組織制度を滅ぼすように祈ります。イエス・キリストは山上の垂訓の中でその祈りを教えました,「天にいますわれらの父よ,御名があがめられますように,御国がきますように。みこころが天に行われるとおり,地にも行われますように」。(マタイ 6:9,10,新口)それで神の御国の来るのを待たずに亡命政府を樹立して秘密裡に反政府活動をすすめ,暴力に訴えて人々を無理やりに神の御国の側につかせるような早まった事をしません。むしろロマ書 13章1,5節(新口)にある使徒の教えに平和に従います,「すべての人は,上に立つ権威に従うべきである。なぜなら,神によらない権威はなく,おおよそ存在している権威は,すべて神によって立てられたものだからである。だから,ただ〔上にある権威の表わす〕怒りをのがれるためだけではなく,良心のためにも従うべきである」。真のクリスチャンは,自分たちがこの世の組織制度をくつがえすことはできないことを知っています。しかもその事をする神の時が近いことを知っているのです。
48 どうすれば勇気を出すことができますか。キリスト教国においてさえ,勇気はなぜ必要ですか。
48 「勇気を出しなさい」と呼びかけるのは簡単なことです。しかし世界情勢がこのように緊迫している現在,どうすれば勇気を出すことができますか。唯一の方法は,神の言葉,聖書を学ぶことです。聖書は神がどなたであり,神の御国が私たちにとって何を意味するかを教え,確信を与えます。今日,聖書の神に対する不信仰は,キリスト教国においてさえも,一般的になっています。したがって嘲笑する世の中にあって,この神への信仰を言い表わすのにも勇気がいります。しかもキリスト教国の世界改宗によるのではなく,神御自身,世界を滅ぼすことによって御国が設立されることに信仰を持つには,なおのこと勇気が必要です。
49 聖書とその約束に関して,何をしなければなりませんか。
49 しかし神のことを学ばなければ,私たちの避け所であるこの神を求めることはできません。神の御国とその重要さを知らないでいるなら,神の御国をまず求めることはできません。ゆえに聖書を1冊求めて,心を喜ばすその約束を学び,それに信仰を持つことはどうしても必要です。これらすべての貴重な約束をして下さった神に祈ることも必要です。神は,この世のとり除かれること,神の御国の設立と正義の新しい世の到来,死人の復活と全地にわたる楽園の出現を保証しています。
50 聖書から何を学びますか。どのようにして,確信にみちた勇気を示さねばなりませんか。
50 ゆえに御国の本,聖書に親しんで下さい。聖書を学び,王であるエホバ神と,人類を愛して人々のために犠牲の死をとげたキリスト・イエスのことを知って下さい。御国と,この時代における御国の勝利がなぜ確実かを学んで下さい。御国が全地とすべての人にとって絶対の政府である理由を学んで下さい。そして生命を救うこの知識を他の人々に分かち,この組織制度の「終りの時」に成就される栄光ある預言の成就にあずかって確信に基づいた勇気を示して下さい。どの預言ですか。それはイエスが御国に来られ,この世が「終りの時」にはいったことを示す証拠のひとつとして成就すると,イエスの言われた預言です。すなわち「この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」― マタイ 24:14,新口。ダニエル 12:4。
51 (イ)なぜ伝道のわざを一人でする必要はありませんか。(ロ)その人々と交わることはなぜ必要ですか。それはヘブル書のどんなさとしに従うことですか。
51 御国の伝道をするのは,あなた一人ではありません。全世界187の国々で150以上の言語を用いて,大ぜいのエホバの証者が活発にこの伝道をしています。彼らは「万軍のエホバ」を避け所,力,助けとしました。いま勇気を得るには,一緒に神の言葉を学んで,その持つ勇気を吸収するため,エホバの御国証者と交わることが必要です。このことについて,聖書の時宜を得たさとしに従いなさい,「愛と善行とを励むように互に努め……集会をやめることはしないで互に励まし,かの日が近づいているのを見て,ますます,そうしようではないか」― ヘブル 10:24,25,新口。
52 (イ)前途にある新しい世のことを考えるとき,なぜ今クリスチャンの勇気をつちかうことが必要ですか。(ロ)勇気のある人々は,ハルマゲドンのあいだ,何を経験しますか。
52 すべての証拠に照らしてみるとき,「かの日」は近づいています! ですから勇気,クリスチャンの勇気をつちかうため,積極的にあらゆる手段を講じて下さい。キリストと同じ勇気を持つ人々だけが,間もなく世界を滅ぼすハルマゲドンを通り抜けることでしょう。世に従う臆病な人々はその宇宙的な戦争に生き残りません。そのような人々は今日,神の側におらず,神の御子,王イエス・キリストの側にもいないからです。正義の宿る神の新しい世は,臆病者のはいる世界ではありません。聖書はそのことを明白に述べています。(黙示 21:8)二つの世界を代表する勢力間の決定的な戦いハルマゲドンにおいても,勇気のある人々は神の御国に忠実を保ち,御国がサタンの古い世に対する大勝利を得て,正義の新しい世をもたらすまで御国の伝道を決してやめないでしょう。これらの勇気ある人々は神から保護され,戦いを通り抜けてキリストによる神の勝利の御国の下,約束された新しい世にはいるでしょう。聖書のすすめにいま従うのは全く当を得たことです。勇気を出しなさい! 神の国は近づいたからです!
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神の目的をさしとめる事はできないものみの塔 1963 | 1月1日
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神の目的をさしとめる事はできない
あらゆる被造物のうち,エホバの目的が遂行されるのを,拒む事が出来るものはありません。「かくわが口よりいづる言もむなしくは我にかへらず,わが喜ぶところを成し,わが命じおくりし事をはたさん」。―イザヤ 55:11。
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神の目的とエホバの証者(その53)ものみの塔 1963 | 1月1日
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神の目的とエホバの証者(その53)
「『あなたがたは私の証者です』とエホバは言われる。」― イザヤ 43:10,新世訳
その頃,神とクリスチャンに敵対するデュプレシス一味の決定的敗北を招く一因になった別の事件が起きました。
婦人の奉仕者ルイス・ラムは,1946年12月7日,ケベック州バーダンにおいて,州警察官パウロ・ベノアの手で逮捕されました。ベノアは,「ケベックの燃える憎しみ」と題する文書を配布しているエホバの証者を逮捕するように命ぜられていたのです。ラム姉妹はこのパンフレットを持っていませんでしたが,彼は横暴きわまる仕方でこの姉妹を逮捕しました。
逮捕されたのは土曜日でしたが,彼女は逮捕の理由も明らかにされないまま,友人や弁護士を呼ぶことも許されずに,月曜日まで拘置されました。写真や指紋をとられたうえ,犯罪者のように取り扱われました。警察署の留置場は不潔で,病気の売春婦と同じ独房に入れられ,便所も同じでした。
このひどい取扱を受けてのち,この貞淑な若い女性は,月曜日にベノアから「良い知らせ」があると言われ,釈放されると告げられました。しかし一つの用件があります。このようなひどい場所に3日間も不法監禁したことに対して彼を訴えないことを誓約する一文を入れるようにと,いうのです。そうしなければ刑事犯として告訴すると言われ
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