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障害児により明るい希望目ざめよ! 1976 | 8月22日
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方法についてこう述べています,「ウェバーの始めた新しい方法は,多くの既成の考え方を打破しつつある。彼の方法を使い始めて以来,我々は子供たちが植物から人間に変わるのを見ている」。
機能亢進症の子供
一緒に生活することも困難と思われた前述の子供は,実際には機能亢進症でした。機能亢進症(運動機能亢進症とも呼ばれる)にかかる子供はますます増えています。その大多数は男の子です。その特徴は極端なまでに落ち着きがなく,注意を集中できる時間が減少することです。このような機能亢進症の子供は,何にせよ一つの事にその幼い未発達の精神を十分に長く集中できないため,知識を増し加えることができません。このような子供はわがままで手に負えないことが多く,危険な物に手を出すおそれが他の子供の五倍も多いので問題はいっそう複雑です。確かにこのような子供は親にとって悩みの種となります。
これらの子供を治療する最も普通の,そして広く用いられている方法は,各種の薬物 ― 奇妙なことにおとなを興奮させる薬にはこれらの子供に対して鎮静作用があります ― に頼ることです。しかしこの問題に対処するのに薬を使うことはよくないという声が,ますます高くなっています。ひとつには,子供が薬に中毒し,おとなになってからも薬を必要とするようになる危険が常にあります。またこのような薬の副作用も常に考えなければなりません。さらに,このような薬は,機能亢進症の根底に多く横たわっている性格上の問題あるいは欠陥を隠してしまうことがよくあります。この理由で,ますます多くの児童心理学者は,このような子供を扱う上で親が厳格な態度をとることを勧めています。
また,ある精神病医が述べているように,身体面での検査が多くの場合,おろそかにされているのは不幸な事実です。しかし実際には,これをまず最初に行なわなければなりません。この精神病医は,子供の機能亢進の原因が,心臓の弁の故障あるいは新陳代謝機能の欠陥のような身体的欠陥にあることを一再ならず発見しました。その言葉を借りて言えば,「根底にある医学的または心理学的な問題を診断かつ矯正せずに,薬物を用いて機能亢進を抑えるのは,科学的に見て分別のあることとは言えません」。一例をあげれば,機能亢進症の一少年は,家の寝いすに火をつけることをやめませんでした。薬を与えられてその癖はやみましたが,直ったということで薬物による治療が中止された時,今度は何をしましたか。家の車庫に放火して燃やしてしまいました!
さまざまな“身体的”プログラム
非常に効果的であることが一再ならず証明された,もうひとつの方法は栄養です。身体の機能亢進は,奇妙なことに血糖濃度の低下,つまり低血糖症と呼ばれる状態が原因でおこります。これは蛋白質に富み,炭水化物を少なくした,そしてとくにソーダ水,精製された砂糖を含む一切の“甘いもの”,ポテトチップスなど“無益な食物”を除いて高度に制限された食事療法を行なうことによって治療できます。同時に,新陳代謝の面におけるこの方法には,必須の微量鉱物質をはじめ,ある種のビタミン類を多量に与えることも含まれています。このような治療法は,機能亢進の正反対の極端である自閉症さらには精神分裂症にかかっている子供の治療にさえ効果をあげてきました。
また人工着色料,人工香料,(食品のいたみを防ぐ)酸化防止剤などの食品添加物が,子供の機能亢進の原因かもしれないことを発見している精神科医は一,二にとどまりません。機能亢進症の子供の食物からこれらのものを除いた時,彼らは正常になりました。ホットドックを筆頭に子供が好む食物の約90パーセントはこれらの成分を含むゆえに,これは大きな問題です。
子供の機能亢進の可能な原因として過去一年間に注目されるようになったものに,人工の光,特に螢光燈があります。一精神科医の発見によれば,光の自然のスペクトルを含むものに照明を変え,また螢光燈の陰極側から普通,放射されるX線を受けないようにしたところ,機能の亢進した子供たちが正常になりました。
またノーベル賞受賞者ニコラス・ティンバーゲンが,あるタイプの情緒的障害に対して勧めている方法も見逃すことはできません。1974年7月5日号サイエンス誌で彼は筋肉をマッサージすることの価値について述べています。これは頭から足までの,穏やかな,しかしつぼを心得た,そして正しい方法で行なわれたマッサージとでも言うべきものであり,体の緊張をほぐして筋肉と神経の働きを正常にします。ティンバーゲンは,学者として知られている多くの人がこの方法の価値を認めていることを喜ぶ一方,他方では「精神医学のこの片隅が混乱状態にあるゆえに,また世間的に認められた専門家 ― 医師,教師,療法士 ― の多くが新しい考え方そして事実さえもなかなか受け入れないことを知って」驚いています。
“チェック・マーク”法
機能亢進症を治療する前述の方法はすべて体を通して問題に取り組むものであり,したがって「身体的」方法と言えます。これと対照的なのが,心理学的な方法つまり訓練と教える方法を使う“チェック・マーク”プログラムです。この新しい教育法では,子供たちがどれほど行儀よく振舞い,またどれほど良く行なったかに応じて「数取り<チェック>」と「点<マーク>」を与え,それを得ると,特定のほうびがもらえるようになっています。これは子供たちに絶えず個人的な注意を払う必要があるため,教師の側に多大の忍耐と理解が求められます。機能亢進症の子供の約80パーセントが,およそ18か月を要して正常な状態に回復し,あとの者はそれよりもやや長い時間かかりました。
前述の事柄から全く明らかな通り,知恵おくれあるいは機能亢進症に苦しむ子供たちにとっていっそう明るい希望が持てるようになっています。両親は利用できる各種の専門家の助けの中から選択できるだけでなく,親みずからが行なって大きな助けとなる事柄も数多くあるように思われます。
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聖書に従って生きることを学ぶ目ざめよ! 1976 | 8月22日
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聖書に従って生きることを学ぶ
◆ ユーラシア大陸のある都市に住むユダヤ人の一青年は,ユダヤ教の律法学者になる訓練を受けるよう,土地の律法学者たちから勧められていました。彼らは,その青年が道徳的な生活をしていないことを知りながら,そう勧めていました。その勧めについて考えていた矢先,青年はエホバの証人に会いました。その青年はヘブライ語聖書に精通していましたが,エホバの証人と聖書を学ぶことに同意しました。しばらくすると,聖書に教えられている事柄を知るだけでは不十分で,書かれている事柄を実行することも重要であるという点を認識するようになりました。求愛に関するクリスチャンの見方を記した,「ものみの塔」誌の一記事を読んで,彼は自分の生き方が神に喜ばれるものでないことを悟りました。青年はユダヤ教の律法学者のもとへ行き,聖書に従って生きることの重要性を彼らが教えなかったという点を指摘しました。律法学者たちは,納得のゆく答えを与えられませんでした。
その青年は,エホバの証人が真の宗教を教えているだけでなく,それに従って生活していることを確信しました。そこで,感謝の思いをいよいよ深めつつ聖書研究を続け,自分の生活を変えるようになりました。青年は,不義な関係を持っていた少女たちすべてを訪ね,共に座って,求愛に関するその記事を読んで聞かせることまでしました。これらの少女のうち二人は,現在,聖書の真理を熱心に他の人に分け与えており,青年自身,イエス・キリストのバプテスマを受けた弟子となっています。
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