世界展望
できるだけ良い印象を与えようとする中国
◆ 現在中華人民共和国は他国からの旅行者を以前よりも多く受け入れるようになっているが,同国は良い印象を与える方法を国民に教えている。工人日報は最近,「外国人客に会ったときの心得」を扱ったコラムを載せた。そのコラムは,「我々がそれほど気にしないような言動も外国人の目には粗暴であるとか卑屈であると映ることがある」と指摘している。それで次のような指針が述べられていた。
「人(特に女性の客人)の年齢を尋ねてはならない。人の収入を尋ねたり,衣服や持ち物の値段を無頓着に尋ねたりしてはならない」。
「他の人が転んだり他の事故にあったりしたのを見たら,すぐに進み出て助けてやらねばならない。何もせずに笑っていることは禁物」。
「ナイフやフォークが皿に当たって余り大きな音を出さないようにする。食べ物を口に持っていく際にナイフを使ってはならない」。
“神聖な”サルが悩みの種
◆ 最近,野生のサルの一団がインドのニューデリーで人を襲い,食べ物を盗み,土地を荒らし,そのほか迷惑な行為をしている。ヒンズー教徒はサルの神ハヌマンを崇拝しており,この動物を殺すことに反対している。当局者はサルたちの破壊的な悪ふざけをどのように抑えたらよいか途方に暮れていることを認めた。一方,かまれた人のために狂犬病の予防注射ができるようになったと伝えられている。
ソ連で増大するエホバの証人
◆ イタリアのイル・レスト・デル・カルリノ紙は最近,「ソ連にとって災いになるエホバの証人」という見出しを掲げた。その記事によると,エホバの証人は「ソ連のイデオロギー信奉者たちの大きな心配の種になっているようである」。なぜだろうか。その記事はこう説明している。「主に中部ロシア,コーカサス地方,シベリア東部などにいるその会員は,ほんの少し前までは数万人を数えるにすぎないと考えられていたが,最近,若い人々が著しく流れ込んだために増加したと思われる。“証人たち”はソ連当局が容認している“登録ずみ”の宗教団体に入っていない」。当局者は,エホバの証人が何らかの脅威をもたらすという誤った印象を持っている。それは,彼らが政治的にも軍事的にも中立を保つためであるが,どんな政府の下に置かれても彼らはこうした態度を取る。
週労働時間の差
◆ 国際労働機関(ILO)は最近,様々な国の平均週労働時間を公表した。週労働時間が一番短かったのは米国で,平均35.6時間であった。スウェーデンの週労働時間は平均35.7時間,ベルギーは35.8時間,ニュージーランドは37.6時間となっている。しかし,「世界の労働者の圧倒的多数にとって週40時間労働はかつてないほど捕らえ難い目標になっている」と同国連機関は述べている。他の国々の週平均労働時間をあげると,日本は40.7時間,フランスは41.2時間,ドイツ連邦共和国は41.9時間,そして英国は男性44時間,女性37.4時間である。スイスの平均労働時間は44.5時間で,スイス国民は40時間の週労働時間の導入を投票で否決した。韓国の週労働時間は50.5時間であると伝えられ,週労働時間が一番長かったのは56時間のエジプトであった。
潰瘍には無刺激食が一番?
◆ 「規定された無刺激食は[潰瘍に]何の効果もないという圧倒的なデータがある」とカリフォルニア大学の消化器科の医長はアメリカ内科医師会の年次総会で言明した。また,カンザス大学医学部長のノートン・J・グリーンバーガー博士は,潰瘍専門家たちの結論を要約して次のように述べている。「1日に3度の普通食は6回の無刺激食と同じほど症状を和らげる効果がある。また,ミルクにはカルシウムが含まれており,それは酸の分泌を刺激し,そのはねかえりによるさまざまな問題をひき起こす」。潰瘍の患者は自分たちに合わない食べ物だけを避けるよう勧められている。言うまでもなく,特定の患者の食餌面の必要については専門家に相談するのが賢明である。
中国の背の高い5歳児
◆ 中国のある5歳の男の子は14歳の男子ほどの身長がある。この子の身長は147㌢で,体重は41.5㌔である。「中国建設」誌によると,この子は65㌔の男の人をおぶって,100㍍以上歩くことができる。この5歳の男の子は食事のたびに非常によく食べるが,医師たちはその驚くべき成長の原因になっている他の理由を見いだそうとしている。
食べ過ぎによる障害
◆ 「80年代の食物に関する障害は」,食欲異常亢進であるとパレード誌は述べている。この傾向を持った人々は,食物を詰め込んではそれを体外に押し出す。それは嘔吐を起こさせるか,あるいは下剤,利尿剤,食事療法の薬などを用いるかして行なわれる。米国神経性食欲欠乏症等障害全国協会のビビアン・ミーハンによると,典型的な食欲異常亢進の患者は,数週間に1回程度から1日数回程度まで食物を詰め込んでは体外に押し出している。こうした人々の大半は女性であり,1回の食事時間で,消化器系を空にしようとする前に4万カロリーもの食物を食べ尽くす。この破壊的な循環は,心臓,腎臓,消化器系の障害を引き起こし,最後には死を招く可能性がある。
盗みであわてる僧職者
◆ 「ローマ・カトリックが勢力を持っているスペインの教会でさえ,同国で急激に増加している犯罪から逃れられなかった」とロイター通信は述べている。その報道によると,価値ある像や他の宗教的物品が,1日に1つ以上の割合で教会から盗まれた。これらの物品の多くは,金や宝石でできているため価値が高い。教会はこうした遺物をより安全な博物館に引き渡すよう提案されていたが,宗教上の権威者たちは「会衆がその物品を崇拝できなくなる可能性がある」という理由でそれを渋っていた。しかしある司教は次のことを認めている。「社会的な傾向が悪化している現在の事情からすれば,こうした物品を保護することは非常に難しい」。
教師に関する学校の被害
◆ 世界の多くの場所で,教師たちが学生を恐れる傾向が一般化している。カナダのオンタリオ州にあるヨーク-フィンチ病院の精神科の医長は,幾人かの教師たちの症状を“戦争神経症”の症例と呼んでいる。同医長は次のように説明した。「彼らは治療を求めて我々のところにやって来る。彼らは絶えず深刻な不安感にさらされており,自分たちが全く無力であると感じている。彼らは自分のクラスをもはや制御できない。かつて彼らは善良で敏感な教師たちであった。……そして結局は教職から離れることになる」。
テレビは成績に影響を与える
◆ 米国カリフォルニア州の公立学校に通う50万以上の学生たちを対象にした調査の結果,テレビを見る時間と試験の得点の間に「統計的な強い相関関係」が見られた。一例として,テレビを見る時間が1日に1時間以下であると言った高校3年生の数学のテストの得点と,テレビを6時間以上見ていると言った人の得点との間には大きな相違が見られた。テレビを見る時間が最も少なかった人は,その時間が最も多かった人よりも24点も高かった。
子供たちのテレビの時間を少なくするよう親に勧めている東京の一小学校でも,同様の結果が得られた。「テレビを見る時間が少なくなると,生徒の成績は上がる」という見出しの記事が,英文毎日に掲載された。「これまでのところこうした努力は見事な成果を生み出している」とこの記事は述べ,「テレビを見る時間が少なくなるにつれて,生徒たちの生活態度が著しく改善されている」ことにも言及している。
空にいる方が安心
◆ 米国の大小様々な航空会社は,1980年に安全面での新記録を打ち立てた。つまり墜落事故は1度で死亡者は13名だった。それ以前の死者の最低記録は1933年の17人だった。1980年はまた,大型ジェット旅客機が墜落事故を起こして死者を出すことのなかった最初の年でもあった。それでも,飛行距離を見てみると,米国人一人当たり1,000マイル(約1,600㌔)以上飛行したことになる。
ハンドル自殺
◆ オーストリアの新聞ディ・プレセによると,オーストリアの幹線道路を時速80㌔から100㌔で走って正面衝突する自殺法が急速に“流行”しつつある。昨年の最初の5か月間に,20人以上の人が自動車を“凶器”代わりにして自殺を図ったことが判明している。運転免許の取得の失敗や免許の取り消しが,“ハンドル自殺”の動機の大半を占めていることが明らかにされている。英国の一調査からも,近年発生した自動車単独事故の1割は実際には自殺であったことが知られている。
最も速い鉄道
◆ この10月にフランスで新しい高速鉄道路線が開通することになっており,そのあかつきには,これは世界で最も速い鉄道となる。旅客の争奪戦では航空機でさえこれには太刀打ちできないものと考えられている。パリ-リヨン間425㌔を結ぶこの電車は,当初,時速260㌔で運転する予定であるが,最終的にはほぼ時速300㌔で走ることになっている。パリとリヨンの間をわずか2時間で旅行できることになる。フランスは,石油価格の高騰に対処するため,鉄道の電化を進めている。現在でさえ旅客の8割は電車で輸送されている。そのためフランスは,もはやディーゼル機関車を発注していない。米国の鉄道旅客輸送とは反対に,フランスでは鉄道の利用者数の記録が毎年更新されており,最新の旅客最高数は6億8,800万人を数えている。
「破壊活動」を行なう宗教グループ
◆ 米国のシカゴ警察は最近,「破壊活動分子」のファイルに名を連ねている組織の名称を公表した。その中には19の宗教団体があり,世界教会協議会,全米教会協議会,および幾つかのカトリック,プロテスタント,ユダヤ教の組織の名が見られた。
法王に宛てた書簡
◆ スイスのバズラー・ツァイトゥンク紙が伝えるところによると,バーゼル地方の140人のカトリック教徒が法王に宛てて1通の書簡を送った。これらのカトリック教徒は,その書簡の中で,法王が「クリスチャン兄弟としての親しさと公正の精神に基づき,童貞の誓いの拘束を解いて欲しいという司祭の求めを認める」よう訴えている。彼らはまた,童貞制の定めによりカトリック教会の礼拝を執り行なう立場から除かれたすべての人を復帰させて欲しいとも法王に要請している。「それらの人たちがいなければ,わたしたちはもはややっていけない」とその書簡の中には書かれていた。この免除が遅れるなら,これらの僧職者は経済的苦境に陥るだけでなく,道徳的また宗教的危機に陥るであろうと主張している。その書簡には27人の司祭,10人の神学者,および多数の政治家,実業家,知識人を含む103人の一般信徒が署名していた。