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『こうべを上げ』て救いを知らせるものみの塔 1969 | 7月1日
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伝道者はたえず気を配ってあらゆる機会を捕えるように努め,偶然に会う人に真理について話すのは大切です。若夫婦の家で子守りをしている一姉妹は,夫婦が留守の時電話に出ました。電話をかけた老婦人は家の女主人にかけていると勘違いし,あなたの恩知らずには全くあきれたと言って,盛んに非難のことばをならべ始めました。少女は話をさえぎって,老婦人の話している相手は女中であることを告げました。そして友だちのそのような仕打ちは,聖書の預言の成就として予期しなければならないことを話して婦人に同情を示し,決して人を失望させない神に頼るように勧めました。その老婦人は,家にきてほしいと姉妹に頼みましたが,聖書研究を始めようとした姉妹のあらゆる努力は無駄でした。婦人の心は失望のあまり混乱してしまっていたのです。その後しばらくして姉妹は再び彼女を尋ねて見ましたが,そのときは円熟した姉妹と一緒に訪問しました。婦人は二人に会えて大喜びでした。失望もしだいに薄れて行き,二人の姉妹は聖書研究を始めることについに成功しました。老婦人は一人の友人さえその研究に誘いました。やがて壁にかかっていた宗教画を取り除き,親類や知人に証言しはじめました。この二人の婦人はどちらも,心から神の国を支持しています。
カトリック教会が今なお人々に強い影響力をもっている区域のある所では,伝道者は時々乱暴で非クリスチャン的な仕打ちを受けます。数人の伝道者が,その種の区域に住んでいる兄弟たちを助けるためにそこへ行きました。そしてそこに滞在して,付近の村々で一緒に野外奉仕をしました。ある日,彼らは,怒った村人たちから石を投げつけられ,ある場所から追い出されました。敵意をいだいていた人々はそれだけでは満足できなくて,警察に知らせたのでしょう。パトカーが来て,兄弟たち全員を連れて行きました。しかし1時間半の尋問ののち,全員が釈放されました。無神論者であった警察官のほうが,クリスチャンと公言する狂信的な人々より親切でした。
ルーマニア
ルーマニアの忠実な兄弟たちは,聖書に述べられている真のクリスチャンに対する聖なる要求にかなった生活をし続けています。しかし,彼らがそうすることは自由主義諸国の兄弟たちより困難な時があります。兄弟たちは小さなグループになって交わるだけでなく,苦境の下で御国のこの良いたよりを伝道しています。1967年,7人のエホバの証人は,多くの非難に答えるため法廷に立たされました。兄弟たちはその機会を巧みに利用し,自分たちの活動が国家に何らの害をも与えないこと,またエホバの証人がいかなる政府と戦っているのでもないことを説明ました。兄弟たちはその巧みな弁明の結果,家に帰るのを許されました。この事件は国中に広がって人々に知れ渡りました。さっそく国中の多数の人々がこれらの兄弟たちを訪れ,信仰に関する多くの質問をしました。兄弟たちが無料の家庭聖書研究を勧めたところ,訪問者の3人がそれに応じました。彼らは今よい進歩を遂げています。この経験は,苦境の下で勇気と忠節を保つことが真理と正義を求める人の注意を引くことを物語っています。
ある町で,正統派教会の祈とう式に大勢の群衆が集まりました。主教は,一つの群れ,一人の羊飼となるため,全教会は合同する必要があるという話をし,エホバの証人は宗教が合同すべきであることを認めず,その国際的運動に反対していると述べました。主教のこの公式の話の後,ある人々はエホバの証人に関心をいだきはじめ,彼らがどこに住んでいるのか,どんな人であるかを知りたく思いました。偶然ひとりの兄弟は,エホバの証人に関心をいだいているそのような人を5人見つけました。その兄弟は神の存在や神の組織そして聖職者級が真理から脱落したことなど,多くの事柄を彼らに説明し,7時間も証言を続けました。やがてそのうちの3人がエホバの証人の訪問を求め,神の組織の一員になりたいという気持ちを表わしました。他の二人も関心はありましたが,初めの3人ほど進歩は早くありませんでした。この兄弟の報告によると,これら3人の人々は心から関心をいだいており,まもなくエホバに献身して浸礼を受ける可能性が強いようです。もちろん主教は自分の説教がこんな結果になるとは夢にも思っていなかったことでしょう。
一兄弟は聖書に関心のある家族を訪問するため汽車に乗っていました。その日は宗教祭日でしたので,一車室には一群のバプテスト派の信者たちがすわって賛美歌を歌っていました。この兄弟は機会を捕えて彼らに話しかけ,神の国に関して活発な討議をしました。初めのうちそのグループの人たちは注意深く聞いていましたが,やがて兄弟の話が自分たちの信仰と矛盾することに気づき,そのうちのいく人かは兄弟に,わたしたちにかまわないでくれと言いました。しかしある人は自分の聖書を取り出して兄弟の証言と照し合せ,彼ら同志で議論を始めました。その結果そのうちの3人が自分の席を離れて兄弟の所に来,さらに詳しい説明を求めたのです。そして,兄弟の説明に全く同意すると述べ,兄弟の行き先を尋ねて,自分たちも一緒に行きたいと言いました。兄弟が,聖書に関心のある家族を訪問するところだと言うと,彼らも一緒に行ってその関心ある家族を訪問することにしました。後日その兄弟が彼らの家を尋ねて聖書研究をすすめたところ彼らはそれに応じました。そして,ある期間研究したのちに,3人ともバプテスマを受けたいという気持ちを表わしました。これは伝道者が積極的に車中で偶然の証言をした結果でした。
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読者からの質問ものみの塔 1969 | 7月1日
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読者からの質問
● ヘロデの誕生日に舞をまい,バプテスマのヨハネの首を求めた少女の名前はサロメでしたか。―アメリカの一読者より。
聖書は少女の名前をあげていませんが,それが彼女の名前だったようです。マタイ伝 14章6-8節にはつぎのようにしるされています。「ヘロデの誕生日にあたり,ヘロデヤの娘その席上に舞をまひてヘロデ[アンテパス]を喜ばせたれば,ヘロデこれに何にても求むるままに与へんと誓へり。娘その母にそそのかされて言ふ『バプテマスのヨハネの首を盆に載せてここに賜はれ』」。
第1世紀のユダヤの歴史家フラビウス・ヨセハスによると,ヘロデヤは彼女のおじピリポ(ルカ伝 3章1節に出てくる分封の国守とは別)と結婚しました。この結婚からサロメという娘が生まれました。その後,ヘロデ・アンテパスが義兄弟を訪れ,ヘロデヤに熱をあげます。そして妻を離縁し,めいのヘロデヤと結婚します。―「古代ユダヤ人の風習」第18巻,5章,4節。
バプテマスのヨハネはこの不義の結婚をあからさまに非難し,その大胆さのゆえに投獄されました。(マタイ 14:3,4。ルカ 3:19,20)しかしヘロデヤにとってはそれでも足りませんでした。「ヨハネを恨み,彼を殺そうと思っていた」からです。ヘロデの誕生日に彼女はその機会を得ました。サロメという名前だったとヨセハスが言っている彼女の娘が舞をまって,ヨハネの首を求めました。―マルコ 6:19。
この殺人共犯者のサロメと,イエスに従ったサロメとを混同しないようにしましょう。(マルコ 15:40; 16:1)聖書に名前のしるされているサロメは,ゼベダイの妻であり,使徒ヤコブとヨハネの母でした。―マタイ 27:56。
● エホバの証人はたばこの使用に対してどんな態度をとりますか。―アメリカの一読者より。
神のしもべはたばこの使用に注意しなければならないという見方にかんして,聖書は直接には何も述べていません。ある百科事典によると,聖書の土地でたばこが用いられるようになったのは,聖書が完成してから15世紀以上ものちのことですから,それは理解できます。しかし神のことばの内容からすると,たばこの使用は,吸うにしても,かむにしても,かぐにしても,聖書の原則にもとる不潔な習慣です。そのためにエホバの証人はたばこを使用しないように強く勧めます。そしてクリスチャンの中にいつまでもたばこをやめない人がいれば,その人がだれであろうと,霊的に未熟な人とみなします。
巻きたばこであろうと,葉巻きやきざみたばこであろうと,たばこのいちばんふつうの使用法は喫煙です。この喫煙が,がん,心臓病その他,多くの致命的な病気の一因となることは,ここで証拠をあげるまでもありません。これを証明する多くの証拠があることは周知の事実です。事実,喫煙が健康に非常に危険なことから,いくつかの大国は,巻きたばこの宣伝に制限を加えたほどです。たばこをかんだり,かぎたばこを鼻から吸ったりすることにかんしては,それほど多くの資料はありません。しかし,この習慣のない人たちよりも,この習慣のある人たちの中にがん患者が多く,またこの習慣が神経と嗅覚に影響を与えることは,研究によって明らかになっています。
健康と生命に大きな脅威となるものを避けることは,いうまでもなく道理にかなった行ないです。そしてこれはクリスチャンにとって特に重要なことです。なぜなら神の崇拝が関係しているからです。どのように? ロマ書 12章1節によると,クリスチャンは自分のからだを「神の悦びたまふ潔き活ける供物」としてささげなければなりません。もし有害な喫煙の習慣を捨てないならば,健康をそこない,命を縮めることによって,神にささげたものの一部を取り去ることになります。神はそれを喜ばれるでしょうか。
そのうえに円熟したクリスチャンは,「肉と霊との汚穢より全く己を潔め,神を畏れてその清潔を成就すべし」という助言を実行することに努めます。(コリント後 7:1)たばこの使用は明らかに,この霊感による助言に逆行します。たばこを吸ったり,かんだりする人たちの多くが,手や口にやけどのあとやしみがついていることを考えてごらんなさい。喫煙や,たばこをかぐことからくる鼻孔や肺の中の『肉の汚れ』はどうですか。またたばこから生ずる不潔は,灰,しみ,焼け焦しなどをも含めてその人
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