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  • 将来の食物供給は十分ですか
    目ざめよ! 1980 | 11月22日
    • 将来の食物供給は十分ですか

      フランスではヌリチュールと呼び,ギリシャ人の間ではトロフェとして知られています。英語ではフードです。日本語では何と言うでしょうか。食物です。

      自国語で何と呼ぶにしても,おなかがすいている時おいしい食物のことを思い巡らすと,食欲をそそられませんか。確かに,おいしい食物とは,思わず手を出したくなるような,味覚を満足させる栄養豊かな食物のことです。

      それに対し,飢えのことを思い巡らすと恐ろしくなります。飢えは破壊的な結果をもたらします。心身両面の成長を阻害し,正常な生活を送る機会を幾百万もの人々から奪います。それだけではありません。飢えは人の命を奪います。

      西欧諸国に住んでいる人なら,飢えについてあまり考えることはないでしょう。食費が高くて困っている人はいるかもしれませんが,そうした国々では実際に飢えている人はほとんどいません。

      土地によって事情は様々に異なります。

      どれほどの人が飢餓に苦しんでいるか

      今日,約10億の人が飢えに苦しんでいるのを知って衝撃を受ける人がいることでしょう。国連の機関である世界食糧理事会がそのような推定をしているのです。それは世界人口のほぼ25%に当たります。それで,専門家の中には,十分の食糧を確保する闘いこそ人類が直面している最大の問題であると考えている人が少なくありません。

      ところで,問題はいくらかでも改善されているのでしょうか。残念ながらそうではありません。「世界的食糧難の問題は改善されるどころか悪化の一途をたどっている」と,世界的食糧難に関する米国大統領委員会の委員長ソル・ロノウィッツは言明しました。同氏は,「危機を回避すべく一致した努力が払われないなら,将来,重大な危機が生じよう」と言葉を加えました。

      同様に,USニューズ・アンド・ワールド・リポート誌もこう報じています。「米国をはじめとする国々が思い切った行動を起こさないなら,現在のエネルギー危機以上に深刻な危機が今後20年以内に世界平和を脅かすものになる」。

      なぜ飢えが世界平和を脅かすのですか。人並みの生活をしたいという貧しい人々の満たされない願望が今日の世界においてまさに爆発寸前のところにあるからです。自暴自棄になり,怒りを抱く10億を数える人々が世界の秩序を脅かす真の脅威となっているのです。

      実際の脅威はそれ以上であるかもしれません。カナダ銀行は,「世界人口の40%が栄養失調に苦しんでいる」と述べています。その数は実に16億人以上にも達するのです。一つの例を挙げると,アフリカのある国では,子供の45%が5歳になる前に死亡すると言われています。

      悪化の一途をたどっているのはなぜか

      状況が悪化の一途をたどっているのはなぜでしょうか。ある国々でこれまで以上に多くの食物が得られるようになったという報道がなされていませんか。確かにある程度の増加が見られました。しかし,それを上回る勢いで世界人口が増えてきたのです。

      このように,平均すると一人当たりに配分される食物の量は実質的に減少してきています。例えば,世界監視協会の行なったある研究は次のような数字を挙げています。

      全世界の人々一人に配分される年間食糧生産

      1970-76年の生産最高量 1979年

      魚 19.4㌔ 16.2㌔

      牛肉 11.7㌔ 10.8㌔

      マトン 1.9㌔ 1.8㌔

      穀物 339.3㌔ 315.5㌔

      現在の世界人口の増加はどの程度でしょうか。年間7,000万人から8,000万人です。これはパキスタンに匹敵する国家が毎年誕生することに相当します。さらに,このような人口増加は農耕地の転用に拍車をかけるものとなっています。農耕地に用いるべき土地に,家や商店街,工場,道路,空港,学校その他が建設されています。

      全世界で毎日,作物を栽培していた幾百幾千ヘクタールもの土地がこうした用途に振り向けられています。人類は早晩,農耕地が失われつつあることに危機感を抱くようになるでしょう。米国では,実際の農地と潜在農地の相方を合わせて,1日平均10平方㌔の土地が失われつつあるものと推定されています。これは,ニューヨークからサンフランシスコに至る幅0.8㌔の帯状の土地が毎年失われることに相当します。

      砂漠との境界付近の農耕地では,過放牧が原因で農地の一部分が砂漠と化しています。国連の一係官は,主に過放牧が原因で,サハラ砂漠はすでに毎年6㌔の割合で南に広がっていると推定しています。アラビア砂漠,南西アフリカのカラハリ砂漠,メキシコのソノラ砂漠,米国南部の砂漠など,他の砂漠も拡大していると伝えられています。

      アフリカの雑誌トゥー・ザ・ポイント誌はこれらの砂漠について次のように報じました。「[砂漠]は毎年6万平方㌔も耕作適地を侵害している。地域によっては,それが毎年11㌔も進むところがある」。同誌はさらにこう述べています。「今や科学者はこの過程を『地球の皮膚がん』と名づけている。科学者によると,それは悪性の腫瘍が広がるように拡大しつつあるとのことである。世界の耕作適地の1%もの土地が毎年砂漠化しているものと推定される。……専門家のほとんどは,この責めを第一に負うべきなのは人間であると考えている。破壊的な農耕法や土地の過剰利用……がその根本原因である」。

      燃料が高価なことも一つの問題となっています。この燃料費は食糧生産に大きな影響を及ぼします。化学肥料およびトラクター,トラックなどの機械類には石油が必要です。農業専門家レスター・ブラウンはこう語りました。「エネルギー価格の高騰に化学肥料の使用に伴う収益の減少が結び付いたことも,穀草類の生産減少に拍車をかけるものとなっている」。

      すでに危機的な域に達している食糧供給に暗い影を投げ掛けているもう一つの要因は,自動車やトラックの燃料用アルコールの製造に用いる穀物の量がますます増えていることです。国々が燃料の製造にこれまで以上に多くの穀物を用いるようになれば,食用に回す穀物の量は必然的に減少することになります。

      しかし,新しい食糧生産法は形勢を一変させているのではありませんか。例えば“緑の革命”についてはどうですか。

  • “緑の革命”はどうなったか
    目ざめよ! 1980 | 11月22日
    • “緑の革命”はどうなったか

      40年近く前のこと,農業の専門家たちは新種の小麦を用いて実験を始めました。これらの“作物栽培家”たちは単位耕作面積当たりの収量の増加を目指していました。そしてそれに成功しました。

      その後,実験の成果は米にも及ぶようになりました。これら新品種の小麦や米が中南米やアジア地域で広範囲に植えられ,収量は急激に増大しました。そのため,ある人々は,世界の食糧不足をある程度解決する手掛かりがここにあると考えました。

      どうなったか

      最近のこと,「飢餓を終わらせると考えられていた“緑の革命”はどうなったのか」と尋ねられて,著名な農業専門家レスター・ブラウンはこう答えました。「緑の革命は食糧問題の解決を意図したものではなく,単に人口増加を抑制する時間をかせぐためのものであった。……[人口]増加に追い付くような農業技術はない」。

      このように,“緑の革命”は食糧生産のある程度の増加をもたらしました。しかし,そうこうしているうちに,人口の急激な増加がそれを大きく上回ってしまったのです。

      また,“緑の革命”には一つの“アキレスけん”つまり弱点があります。それは何ですか。収量は増加したものの,肥料や殺虫剤の大量使用,灌漑の整備,機械の大幅導入といったものがその基盤にあったという事実です。前の記事でも取り上げたように,これは,“緑の革命”で用いられる肥料や化学物質の製造をはじめ,トラクターその他の機械を動かすための石油が入手できるかどうかに大きく依存しています。

      しかも,エネルギー問題で締めつけられているだけではなく,「天井知らずの高騰する」石油価格の問題があります。食糧を一番必要としている国々が石油を入手するのに最も不利な立場にあります。石油がなければ“緑の革命”を行なってゆくことはできません。

      最近行なわれた石油価格の再引上げの前に,タイム誌はこの点を取り上げ,こう報じました。

      「[それらの国々は]今や,1970年当時と比べて,OPEC価格で1,600%も高い代金を支払っている。石油がなければ何もできないが,かといって石油を買う資力もない。

      「国連食糧農業機関の一職員は次の点を認めている。『我々の勧めに従って機械類や肥料を購入した進歩的な人々はにっちもさっちも行かなくなっている。それに対し,水牛を手放さなかった農夫の方はずっと良い立場にいる』」。

      また貧しい国々には,“緑の革命”を成功させるために必要な新技術を採用する資力があるのは普通,裕福な農夫だけであるという逆説的な事態が見られます。食糧生産量を増やす必要の最も大きい貧しい農夫にはその余裕がないのです。

      事態を一層複雑にしているのは,地球に住む40億人の大半が貧しい人々であるという事実です。ですから,たとえ食糧生産が人口の増加に追い付いていったとしても,これらの貧しい人々には十分な食物を購入する資力がありません。

      新たな突破口?

      食糧生産に関連して何らかの劇的な進歩が図られ,局面が打開される見込みがあるでしょうか。専門家たちは悲観的です。

      カナダ銀行月例書簡は次のように伝えています。「緑の革命は驚異的な事柄を成し遂げてきたが,これによって,人類が現在かかえている食糧問題の完全な解決が図られると主張した者は一人もいない。……その仕事を科学だけに負わせるのは無理というものである」。

      「今後,食糧の供給を急激に増加させる突破口のようなものを展望できるか」というUSニューズ・アンド・ワールド・リポート誌の質問に対して,レスター・ブラウンはこう答えました。

      「できることなら,然りと答えたい。だが,その見込みはない。

      「第二次世界大戦以降,トウモロコシの交配,化学肥料の大量使用,灌漑の急速な整備,高収量種の小麦や米の開発など数々の進歩がみられたが,今日の計画を見ても,同様の急速な進歩をもたらすようなものは何も見当たらない」。

      これは何の解決策もないことを意味しているのでしょうか。そうではありません。解決策はあります。しかも,その解決策は必ずもたらされる,満足のいく完全なものなのです。しかし,その時が訪れるまで,他の人が何を食物にしているかを知るなら,ある人々はそれから益を得ることができるのではないでしょうか。

  • 人々が食用にしているもの
    目ざめよ! 1980 | 11月22日
    • 人々が食用にしているもの

      食べ物について話すとき,世界のある土地の人々は,少なくとも日に一度は口にする肉,色とりどりの野菜や果物,種々のデザート,飲み物といったものを思い浮かべます。

      一方,生涯を通じてほとんど,もしくは一度も肉を目にすることのない人が幾億人もいます。そうした人々は,日に3度わずかな種類の野菜とお米といったような,ほんの数種類の食物だけでいつも変わらぬ同じ食事をしています。食卓には時々,魚か肉が一切れ添えられることもあります。人々がそうした食事をしているのは,良い食物が得られないためか,それを手に入れる余裕がないためです。

      しかし,世界の各地の人々は様々なものを食用にしています。こうしたものは腹をすかせている他の土地の人々の助けになることでしょう。

      食物とは何か

      食物は,「成長もしくは健康回復の目的で生物の体内に吸収または摂取される栄養物」と定義されています。それは「養分を供給したり,発育を促したり,体力を維持したりするもの」です。

      この定義からすると,植物,動物,昆虫の世界には食物と呼べるものが事実上,数限りなくあるように思えます。植物の世界を例に取ると,今日の人類は残念ながらほんの数種類の基本作物を食物として用いているにすぎません。しかし,人間は過去のいろいろな時代に,幾千種もの異なった植物を食用にしていました。

      科学者のあるグループは,あまり知られていない30種の熱帯植物が人間の食物として利用できるのではないかと報告しています。しかし,これらの植物は,現在のところ食用にされていません。アフリカのある科学者は,幾千種もの植物がアフリカにあるが,食用にされているのは,トウモロコシ,米,サツマイモなど,ほんの数種類にすぎないと述べました。これらはいずれも他の文明から「借りてきた」ものにすぎません。

      様々な食物

      あまり知られていない作物は変わっていて食べる気になれない,と言う人がいます。しかし,ある科学者はそれに答えて,「ほとんどすべてのものはどこかで,だれかが食べていることを忘れてはならない」と言いました。

      例えば,ある科学者は,優れたたんぱく質源としてミミズを他の食物に混ぜるよう勧めています。驚かれましたか。サイエンス・ダイジェスト誌によると,カリフォルニア大学で家政学を専攻しているある女性は「現に,昆虫を定期的に食べている」そうです。「この女性の好物はシロアリ,バッタ,ミツバチ,コクヌストモドキ」であるとのことです。

      この女性の“ごちそう”の一部がひろうされ,その試食会が行なわれました。試食した人々はどのように感じたでしょうか。シロアリピラフ,ミツバチ入りワンタンスープ,ジミニイパン(コオロギまたはバッタの成虫入り)を食べた人々はその味に驚き入り,そのうちの一人は,「シロアリピラフが気に入った」と語りました。

      米国の人類学者オーブリー・ウィリアムズはタラの魚かすで作った“フィッシュ・ピザ”やイモムシ・焼きバッタ・チョウ・ミミズ・ミツバチ料理を試食しました。結果はどうでしたか。「それが時に気味悪く思えることがあるのは知っているが,取り立てて気味悪いものと考えなければ,カタツムリを食べるのと大差ない。食用にイナゴやゴキブリの皮をむくのも,小エビのからをとるのも同じことである」。

      感じ方は様々に異なる

      どこに住んでいようと,人間はすべて生物学的に同じですから,同じ種類の栄養物を摂取して体を支えることができるはずです。それでは,なぜ,他の人が食べているものを食べない人がいるのでしょうか。

      ある土地の人々が犬,ネコ,ネズミ,ヘビ,カエル,ミミズ,馬,サル,象を食べていることを聞くならどう感じますか。ひどく驚くでしょうか。どう感じるにせよ,次のことを覚えておいてください。あなたの好物も,他の土地の人から見ると胸のむかつくようなものかもしれないのです。

      ですから,問題は何を食用にしているかではないようです。それは,生まれた場所や子供のころからの食習慣によって変わります。宗教上の信念や文化的背景も関係していることでしょう。

      例えば,北米で育った人は,アフリカのある土地の人々がミミズをごちそうとみなしていることを聞くと,ぞっとするかもしれません。同様に,アフリカの各地で育った人々は,欧米人の中にカエルの肉を食べる人がいるのを知ると,胸のむかつきを覚えることでしょう。

      インドにいる人は,欧米人が牛肉を食用にしていることを聞いて憤激するかもしれません。イスラム教徒にとって,豚肉を食べることは神聖を冒とくする行為です。また,ヨーロッパ人の中には,大人がトウモロコシを食べることを考えただけで,思わず吹き出す人がいるかもしれませんが,他の人々はある種のトウモロコシを大変好みます。

      平衡のとれた見方

      ですから,他の人々が奇妙に思ったりぞっとしたりするようなものをある人々が食物にしているのは,多分に思いの問題です。世界のある地域で,人々がこうしたものを食べ,それによって体を支えているのですから,身体上の見地からすれば,他のだれでもそれらの食物から栄養分を得ることができます。

      人間の周囲にはあらゆる種類の食物があります。しかし,人間の嗜好が好き嫌いを生じさせてしまいます。十分食べ物がある間はそれでもよいのですが,飢きんの時には,栄養が不足することになります。

      興味深いことに,人間に与えられた最初の食物について聖書はこう述べています。「さあ,わたし[神]は,全地の表にあって種を結ぶすべての草木と,種を結ぶ木の実のあるあらゆる木をあなた方に与えた。あなた方のためにそれが食物となるように」。(創世 1:29,新)後に神は次のものを付け加えられました。「生きている動く生き物はすべてあなた方のための食物となるように。緑の草木の場合のように,わたしはそれをみなあなた方に確かに与える。ただし,その魂つまりその血を伴う肉を食べてはならない」― 創世 9:3,4,新。

      神が多種多様の植物,動物,昆虫を備えて,人間がそれを食べ,命を維持できるようにしてくださったことは明らかです。それゆえにこそ,聖書はさらに次のように述べているのです。『神の創造物はみなよいものであり,感謝して受けるなら,[食物として]退けるべきものは何一つありません』― テモテ第一 4:4,5。

  • 真の解決策は何か
    目ざめよ! 1980 | 11月22日
    • 真の解決策は何か

      人間が食べようと思えば食べることのできるものが現在以上にあるのは確かです。しかし,現実的には,すべての人が突然,それまで食べようとしなかったものに対して食欲を抱くようになるとは考えられません。そういうわけで,一部の人々は,近くに栄養源になると思われるものがありながら,それが自分たちの食習慣とあまり相入れないため,引き続き飢えに苦しむことでしょう。

      前にも取り上げたように,人間の努力によって問題の解決が図られる新たな突破口となるものはありません。そのような突破口を開くことが可能であるなら,毎晩10億もの人々がすき腹を抱えて床につくようなことはないでしょう。それゆえ,わたしたちは次の事実から逃れることはできません。つまり,それはいかに誠実かつ貴重な幾つかの救済策が提唱されようと,地球の住民の貧しい人々に食物を供給するレースでわたしたちは敗北を喫しつつあるということです。

      ブラジル栄養協会のワルター・サントス博士はこう語りました。「いずれの先進国においても,約束され,予測されていたことと,実際に成されたこととを巡ってほぼ全般的に欲求不満がうっ積している。どこにおいても,これまでの政策を急激に変更するよう求める声が聞かれ,現にその必要が認められる。これまでの政策は,社会的・経済的不平等をなくすどころか,それを一層はなはだしいものにしてきたからである」。

      なぜこのような事態が生じているのでしょうか。それは,食糧問題の解決策が人間の手の及ばないところにあるためです。頭脳明せきな科学者,知恵のたけた政治指導者,知性豊かな経済学者が,時間と精力とお金をつぎ込んでも,その問題を解決することはできませんでした。これから先もそれは同じことでしょう。

      人間の持つ利己心や貪欲心,権力欲,他の人が苦しんでいても自分だけは利益を得ようとする態度,こうしたものすべてが行く手に立ちはだかっています。しかも,これは,永続的な解決を阻む根深い問題のほんの一部にすぎません。

      人間にその解決をもたらすことができないのであれば,いったいどうなるのでしょうか。規模としては,人類がこれまで経験してきたどんなものも及ばない大飢きんの到来を予告する科学者の言葉が的中するのでしょうか。逃れ道はないのですか。

      真の解決が間近に迫っている

      解決が間近に迫っている? どうしてそのようなことがあり得るのですか。専門家が将来に大きな不安を抱いていることを今しがた説明したばかりではありませんか。

      その通りです。しかし,今日の暗い現状と将来の展望そのものが一つの励ましを与えてくれるのです。どのようにですか。こうした事柄すべては,真の解決が近づいていることを示す証拠の一部を成しているのです。イエス・キリストがわたしたちの時代について語った次の預言の言葉に注目してください。「人びとは,人の住む地に臨もうとする事がらへの恐れと予想から気を失います」― ルカ 21:26。

      今日の飢きんは,他の様々な出来事と相まって,わたしたちの時代が,イエスの予告された「事物の体制の終結」の時にあることを明らかにしています。イエスは様々な事柄を予告なさいましたが,その際,『食糧不足があります』と言われました。―マタイ 24:3,7,8。

      聖書巻末の書には,わたしたちの時代に4人の象徴的な「騎士」が馬で乗り進む様が預言的に描かれています。その影響の一つは食糧価格の高騰です。ウェイマス訳は啓示 6章6節を「パン一かたまりが一日分の賃金」と訳出しています。これは,「多くの人にとって,一回の食事の費用は今や一日の収入を上回るようになっている」と述べるニューヨーク・タイムズ紙の解説とまさにぴったり符合しています。

      最悪の食糧不足はわたしたちの時代に起きました。他の数多くの出来事も,1914年から1918年にかけて起こった第一次世界大戦と共に,歴史上空前の規模で生じました。その戦争は現代史の転換期を画するものとなりました。その戦争は,わたしたちが,「事物の体制の終結」つまり『世の終わり』として知られている時期に入っていることを明示する数多くの出来事の一つだったのです。―文語聖書。

      豊かな新秩序

      しかし幸いなことに,聖書の預言は,この時期が終了するとともに,まもなく全地で驚くべき変化が生じることを予告しています。こう記されています。

      「『神の幕屋が人と共にあり……[神は]人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや,死もなく,悲しみも,叫びも,痛みもない。先のものが,すでに過ぎ去ったからである』。

      「すると,御座にいますかた[神]が言われた,『見よ,わたしはすべてのものを新たにする』」― 啓示 21:3-5,口。

      このように,暗たんたる食糧事情を含め,世界の出来事が実際に意味しているのは,人類を支配している不満足この上ない現在の事物の体制の終わりが間近に迫っていることにほかなりません。神の約束によると,神はまもなく人間の事柄に介入し,この邪悪な体制を打ち砕いて,大きな変化をもたらす新しい時代に通じる道を開いてくださいます。ペテロが予告したように,それは「新しい天と新しい地」になることでしょう。―ペテロ第二 3:13。

      神の新しい政府は天の領域から人間の事柄を管理し,人間を導くのです。(マタイ 6:9,10)その政府は地上に驚くべき変化をもたらします。社会の不正を終わらせ,自己本位の経済体制や貪欲な人間を一掃します。そして,人々を分ける国家的障壁も取り除き,飢きんや餓死,貧困といったものを永久になくします。餓死寸前のふくれた腹や,飢えて鉛筆のようにやせ細った手足を見ることは二度とありません。幾十億もの人々が腹をすかせて毎晩床につくという不幸な光景は永久に見られなくなります。

      考えただけでもぞっとするような飢えが過去のものとなり,その忌まわしい頭をもたげることがもはや決してない時が足早に近づいています。地上に確立される神の新秩序には,良いものが豊富にあることでしょう。そこには,「油を存分に用いた料理の宴」や『じゅうぶんな穀物と豊かなみのり』があります。その時,すべての人が食べて有り余るほどの食物があるでしょう。―イザヤ 25:6; 詩 72:16,新。

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