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豊富に存在するエネルギー供給源目ざめよ! 1975 | 12月8日
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温水や暖房のためにこうした“地熱”のエネルギー源を,幾十年にもわたって利用してきた家庭や温室もあります。1904年に,イタリアの人々は,イタリアのラルダレロにある天然の噴気孔に発電機を取り付けました。この発電所は,毎年イタリアの鉄道網の大半を運行させるに足るだけの電力を産み出します。地熱エネルギーの可能性を探査する面で多くの功績を残した地質学者ロバート・レックスは,この種のエネルギーに関して大規模な探査をすれば,十億㌔㍗の発電能力を持つものになろうと考えています。それは,現在の米国の発電能力のほぼ三倍に相当します。
しかし,ここでも経済上および政治上の障害が持ち上がります。地熱による蒸気は大抵の発電所で使われる蒸気よりも温度が低く,それほど効率がよくないので,設備投資が高くつきます。“水分の少ない”地下層からエネルギーを引き出すためには,蒸気が吹き上げて来るよう地表から水を送り込んでやるための井戸を,熱い岩石の層まで掘らねばなりません。別の問題は,温泉水や蒸気に含まれる塩類,イオウなどによる汚染です。個人の益よりも隣人愛が優先される事物の体制で,こうした難題が克服されるなら,地殻の下に横たわるこの豊かなエネルギー源は,人類にとって大きな益をもたらすものとなるでしょう。
原子力についてはどうか
原子力エネルギー,つまり原子核の中に閉じ込められたエネルギーは,物質宇宙の中で知られている力の源としては群を抜いています。そのエネルギーを放出させる二つの方法は,“核分裂”および“核融合”と呼ばれています。
核分裂とは,一つの原子核をより軽い二つのものに分裂させることを指します。科学者は,新しくできた二つの原子核の質量を合わせても最初の核の質量にわずかばかり足りないことを知りました。その差がエネルギーに変えられるのです。原子に秘められる力は非常に大きいので,一塊のパンよりも軽く,ゴルフボールよりも小さなウラニウム塊を核分裂させるだけで,1,040㌧分の石炭に匹敵するエネルギーを放出すると言われています。
しかし,エネルギー源としての核分裂には問題がないわけではありません。一つの点として,核分裂の燃料となるウランのうち,核分裂を起こしやすい種類(ウラン235と呼ばれる)のものは0.7%にすぎません。科学者たちは,特別な“増殖炉”を開発することによって,この難題を克服しようとしてきました。それは,核分裂を起こし得る燃料を消費する以上に生産する,つまり増殖する原子炉です。1973年のアメリカナ年報によると,理想的な増殖炉があれば,世界にあるとされるウラニウムの五割から八割までを使えるようになります。それだけのウランを利用できれば,世界の電力需要を「少なくとも数百年間」満たしてゆけます。
原子力発電所から出る放射能の危険,とくに放射性廃棄物に伴う危険は,多くの人の目に前以上に深刻な問題として映っています。放射能を浴びた結果,ガンや白血病になる危険は,十年足らず前に専門家たちが考えていたより20倍も高くなっています。また,原子炉が制御不能になったり,敵国によって破壊されたりしたらどうなりますか。その結果,幾十万人もの人が死ぬ危険があります。b
太陽の内部で生じるような核融合は,二つの原子核が一緒になる時に起こり,その過程でエネルギーを放出します。核融合は,それを起こすに必要なエネルギーの1,750倍の熱エネルギーを放出することができます。そして核融合には,核分裂の場合のような放射能の危険がありません。
核融合を繰り返させる際の難題は,融合可能な原子核の“プラズマ”を,狭い場所に,十分高い温度(摂氏約一億度)で保って,核融合が生じるような装置を作ることです。この工程が完成した場合,エネルギーを生産する可能性はどんなものですか。1972年のサイエンス・イヤーは次のように述べています。
「核融合発電所は,リチウムおよび二つの形態の水素,つまり重水素と三重水素を燃料として使うことになるであろう。海水は,30億年分の需要を満たすだけの重水素を擁しており,地殻の上層部数㌔には,1,500万年分のリチウムがある」。
それほど豊富なエネルギー資源が地球にあるのに,資源不足がこれほど叫ばれているのはなぜですか。それはおもに,化石燃料(石炭,石油,および天燃ガス)が入手困難になっているからです。
化石燃料に伴う問題 ― なぜか
化石燃料が不足するようになった原因は何ですか。
ジョン・ノーブル・ウイルフォードは,1973年4月22日付のニューヨーク・タイムズ紙の中で,今日のエネルギー不足の根本的な原因を指摘し,次のように述べています。
「エネルギー危機は予知し得るものであり,回避しうるものであったかもしれないが,実際にはそうならなかった。アメリカ人は,高エネルギー技術社会を選んだ。そして,より多くのまたより大型の自動車を乗り回し,それを動かすための燃料を得ようとして,沖合にまで進出し石油を掘った。アメリカ人は,洗たく機や冷暖房装置およびあらゆる種類の便利な機械を備え付け,それらを動かす電気を発電するために石炭を掘って,山腹を削り取ってしまった……
「速い自動車,ジェット機,冷暖房装置などによる便利な生活をあきらめたいと思う人はいない……経済成長が鈍化することを真剣に望んでいる人はほとんどいない。そうなると,現段階において,失業問題,購買力,そして政治力などに考えられないほどの影響を及ぼすからである」。
ゆえに,化石燃料に伴う今日のエネルギー危機を招来したのは,人をとりこにする政治および経済体制,人間の貪欲さと見通しの悪さなどです。そうしたものが,他のエネルギー資源の開発を妨げてきた場合も少なくありません。創造者としては人間に豊富なエネルギー資源を与えてくださったのです。
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真の神に仕えることを選んだ女家長制社会出身の一少女目ざめよ! 1975 | 12月8日
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真の神に仕えることを選んだ女家長制社会出身の一少女
私は,スリナムのはるか奥地の,タパナホニ川の流域の一番奥の村で育ちました。その村まで行くには,数日,ことによると数週間かかります。船体の外にモーターを取り付けたボートで,岩の多い危険な急流を幾個所も通り,耳を聾するばかりの音をたてて落ちる滝を幾つも通過して行くのです。わたしたちミス・ジャン族の村は20以上あります。
わたしたちの村は,女家長制社会です。これは家系が,父方からではなく,母方から調べられるという意味です。従って,父方よりも母方のほうがずっと大きな権力を持っています。その結果,私の養育については,私の父よりも,私の母の兄弟たちのほうがよく発言しました。事実,私は母の家族の所有物または財産と考えられていました。
わたしたちの村の宗教
どの村にもたくさんの神があります。その多くは死んだ先祖であると信じられています。私が生まれた村では,偶像崇拝が生活のあらゆる面に特に強い影響を及ぼしています。主神がそこに住んでいるのです。
村人は,病気は,いや死さえも,神々によって引き起こされるもの,そしてまたそれらの神々は病気をいやしたり死を防いだりする力を持つもの,と信じています。下位の神々の助けが得られないと,村人は最後に主神のところへ来て,病気をなおしてもらおうとします。病弱だった母も,私が生まれる前にそのようにしました。
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