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占いの流行目ざめよ! 1970 | 3月8日
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占いの流行
あなたは最近,近所の人,職場の仲間,またラジオやテレビに出る人などが,何年か前より星占いについて多くを語るようになったことにお気づきですか。星占いに関係したことばがそうした人々の口から何度ももれ,しかも真実らしく語られます。また占星術に関する本,雑誌,新聞記事などが多くなったことにも気づいておられるかもしれません。星占いが流行していることは確かです。
アメリカについて見ると,占星術の信奉者がざっと1,000万人おり,星占術に手を出している人がほかに4,000万人もいます。その多くは女性です。英国では人口の3分の2が星占い用の天宮図を読んでいます。ドイツでは星占いにたよる人が1,800万人もおり,フランス人は占星術者その他の占い師に毎年2,000億円以上も払っています。そして最近の一調査によると,フランス人の58%は十二宮図のうち自分と関係のある記号を知っており,53%は自分の天宮図を毎日見ています。
20年前,紙面にその日の天宮図を載せるアメリカの日刊紙は100に満ちませんでした。しかし今日ではざっと1,200紙を数えます。かつては本屋の店先でほこりをかぶった占星術関係の雑誌が,今ではどんどん売れています。アメリカの場合,その種の雑誌が年々幾百万部も売れています。フランスの占星術関係の一雑誌は毎号40万部も発行されています。学生相手の書店の中には占星術関係の書棚を広げたところもあります。大学生の間で星占いに対する興味が増しているからです。
ニューヨークのテレビ放送局WPIX-TVは,プログラムの合い間に星占い用の十二宮図を出したところ,かなり人気があることを知り,星占い師を雇って毎週30分の星占い番組を作ることにしました。占星術の人気が高まっていることは,星占いで使う記号が種々の商品に利用されている点にも表われています。ガラス製品・装身具・子供の衣類・便せん類などに星占いの記号をごらんになったかたもあるでしょう。
星占いにたよる人が多いため,それに答えるのに電子計算機さえ採用されています。1966年には,星占い用の十二宮図およびその判読結果を計算機で書き出すための会社が設立されました。判読文は最高1万5,000語にも及び,この商売がりっぱに成功していることは,占星術に対する世の関心のほどを示しています。この会社の業務は,アメリカの350のデパートを通じてなされ,ひと月1万5,000人がその客となっています。この業務について宣伝しているあるデパートは星占いにたよる客を一週間に500人扱ったこともあります。
客は一回の相談に20ドル(7,200円)払い,自分の性格,健康,異性関係,またその後1年間のことなどに関し占星術が示すとされる事柄について書き出したものを10日ほどのうちに受け取るしくみです。
この商売はたいへんにあたり,会社設立後3年目の1969年には180万ドル(約6億5,000万円)の売り上げがありました。現在ではその業務をカナダと英国に拡張しようとしています。
ほかの占い師にとっても星占いは魅力のある商売です。たとえば,映画俳優の間で人気のある一占星術師は年収10万ドル(3,600万円)以上をあげるとされています。
インドにおいても占星術は昔ながらの人気を保っています。星占いはヒンズー教徒の生活の中に深くしみ込んでおり,インドの共産主義者の中には候補者の指名推薦の日取りを十二宮図の縁起を見て決める者さえいます。
セイロンでは,自分の娘に適したむこを求める親たちの広告が毎日の新聞にのり,そこでも占星術が大きな役割を果たしています。娘の親は求婚者に自分の十二宮図を持って来ることを求め,それを娘の十二宮図と比べてその縁談が“好ましい”かどうかを決めるのです。これはインドでも同じです。
他のアジア諸国でも占星術は人々の生活に少なからぬ影響を与えています。しかし,西欧諸国を含め,占星術に関心をもつ人がふえているのはなぜですか。占星術はどんなものを提供するのですか。それはしるされた神のみことばである聖書と両立するものですか。
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占星術が提供するもの目ざめよ! 1970 | 3月8日
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占星術が提供するもの
占星術の流行が,将来のことを知ろうとする人間共通の願いの表われであることは明らかです。あなたもそうした願いを持たれたことがありませんか。不安やまどいをいだき,何が最善かを決定しかねている場合などには,そうした願いを特に強く感じるものです。しかし将来に関する信頼できる情報を星占いに求めることができますか。
月・惑星・恒星など種々の天体は人間の生活に影響を与えるというのが占星術者の主張です。占星術の信奉者は,これら諸天体の動きが自分にとって“好ましい”時を見はからって行なえば,物事は成功すると信じています。また,天体の動きが“好ましくない”時期を避ければ,悪い結果を見ないですむとも信じています。
吉兆がないからという占星術者の勧めに従って結婚を1年間延ばした東洋のある王子についてお読みになったことがあるかもしれません。それはインド保護領シッキムの王子パルデン・トンダップ・ナムギャルです。占星術者は王子の結婚を1962年ではなく1963年にするようにと説得しました。その後,父の死を伴う王位の継承にあたっても,占星術者は同じ理由で戴冠式を1年間延ばすことを王子に納得させました。
西欧世界では,契約の調印,事業その他新計画の着手に先だち,まず占星術者に相談する人がいます。1968年12月15日付ニューヨーク・タイムズ・マガジンによると,ニューヨークとパリのファッション業者は,占星術者が好ましくないとする時期には,服装デザインの新コレクションを発表しません。どんな根拠に基づいて,“好ましい”とか“好ましくない”ということが決まるのですか。
黄道帯
占星術者は地球から見た天空のうち,太陽・月・星などが移動するように見える部分を黄道帯と呼んでいます。「黄道帯」にあたる英語ゾーディアクはギリシア語から来ており,「動物の環」という意味です。黄道帯は十二区分され,その一つ一つは「宮」と呼ばれ,それぞれに星座の名が付されています。たとえば,十二宮の一つは天蝎宮と呼ばれてさそりの絵で表わされ,10月24日から11月22日までの期間に当たります。金牛宮は雄牛の絵で表わされ,4月21日から5月21日までの期間に当たります。こうした十二宮のある期間に生まれた人は他の期間に生まれた人とは違った性格をもつと占星術者は唱えます。
占星術者は黄道帯に基づいて各人ごとの十二宮図を描きます。これはその人の誕生時における諸天体の位置関係を図にしたものです。誕生時に昇る星がなんであれ,それはその人の性格に影響を与えるとみなされています。
また,幾つかの惑星には互いに反発し,あるいは補い合う作用があり,その相互作用が人に良くも悪くも影響を与えるとも主張されています。こうした主張を信じ,占星術者にまず相談してからでなければ重要な決定をしない人が多くいるのです。しかし占星術者の助言は信頼できますか。
どれほど正確か
1962年に悲惨な災いが到来するというインド占星術者たちの主張を覚えておられますか。五つの惑星が接近つまり地球から宇宙に引いた仮想上の一本の線に集まることをあらかじめ知って,占星術者たちは興奮しました。それと時を同じくして日食も起きるはずでした。これら天体のまれな動きが黄道帯のうち好ましくないとされる部分で起きるはずでした。
占星術者たちは地震,洪水,戦乱などの事態に備えるべきであると唱えて民衆を騒がせました。問題の1962年2月3日が来ましたが,予告された災害は起こりませんでした。占星術者たちが悪いしるしとみなしたものにはなんの意味もありませんでした。占星術者がしるしの解釈を誤ったのだと言う人もいます。しかしいずれにしても,星占いが将来に関する正確な啓示でなかったという事実は残ります。
あやまりの別の例はアポロ8号が月のまわりを回ったときのことです。ロケットの打ち上げ前,英国のある占星術者たちは,「月の周回中に宇宙飛行士の性格が変わる率が非常に高い」と警告しました。理由は?「木星と天王星が14年来初めて会合し,その影響は非常に強いから」ということでした。しかしこれら二つの星の会合は宇宙飛行士たちになんら悪影響をもたらしませんでした。
最近の失敗の例をさらにあげれば,ジャクリーヌ・ケネディは近い将来に再婚しないというふたりの占星術者の別々の予言です。しかし彼女は海運業界の大ものである一ギリシア人と再婚し,その予言はあたりませんでした。夫となったオナシス氏の年齢という点から考え,これは結婚とはみなせないと一方の占星術者は唱えましたが,彼女は法律的な手続きをふんで正式に結婚したのであり,もはやひとり身ではありません。
ヒトラーは5人の占星術者をかかえ,自分が決定した事柄をいつ実行すべきかについて進言させたと伝えられています。占星術にたよったにもかかわらず,それは彼の導きとならず,ヒトラーとその計画は破滅に終わりました。
あいまいな言いまわし
知っておられるかたがいるかもしれませんが,占星術者の言いまわしはたいてい含みの多いあいまいなもので,さまざまな意味に解釈できます。ある人の「友人との関係は洗練されるであろう」とか,人の生がいのある時に「快い進展」があるであろうといった表現が用いられます。
16世紀の有名な占星術者ノストラダムスの予言について,ワールド・ブック百科事典1966年版はこうしるしています。「彼の予言にはあいまいでばく然としたことばが故意に用いられ,いろいろな解釈ができるようになっていた」。
予言の言いまわしはおおむねあいまいなものですから,事態がどのように進展しても,占星術者はたいてい自分が正しかったかのように言うことができます。たとえば,占星術上の予兆が“良好”であった人がけがをした場合,予兆が“凶”であった場合に起こるような事柄を避け得たのは好運であったと占星術者は言います。占星術上のしるしが“凶”であった人に何も悪い結果が出なかった場合,占星術者は,あらかじめ警告を受けたので潜在意識が働き用心することができたと言います。
インドの占星術者は自分が予言した悪い事態を乗り越える方法を教えるというやり方で,収入の多くの部分を得ています。予言した事柄が起きなかった場合,自分がその人に買わせたやくよけにききめがあったのだと占星術者は唱えます。占星術者が買わせる物の中には,指環にはめ込んだ宝石,神秘的な草木類を入れたお守り,木の皮にまじない文句を書いたもの,そしてヒンズー教の破壊の女神カーリに対する賛歌をしるしたものなどがあります。
占いの一種
人の将来を見通すというのが占星術の主張です。古代の偶像崇拝者は犠牲動物の肝臓の模様を見て物事の予兆を読み取ろうとしました。星の動きが動物の生活にも影響を与えているので,肝臓の模様は星が語るものの反映であると考えたのです。彼らはまた,鳥の飛び方,惑星や恒星の運動などにも物事の予兆を読もうとしました。これらはみな占いの一種です。
フマンクとワグナルスの「民話・神話・伝説標準辞典」は,占星術が単なる占いの一種であることを示してこう書いています。「占星術は最も古い占いの一種であり,歴史のごく初期にすでに東洋諸国民(エジプト,カルデア,インド,中国)の間で広く行なわれた。……占い師としての占星術者はやがて物事の判断のために補助的な手段を採用している。[地面にまいた砂の形状や線によって占う]中国の土占い,[動物の肝臓を見て占う]近東の肝臓占い,中国や日本の亀卜,ジプシーの鑑掌術などは占星術と密接に結びついている」。
バビロンで始まった
占星術の歴史を調べれば,それがいつの時代でも,偶像を崇拝する迷信的な人々と結びついていたことがわかるでしょう。事実 占星術が,人を欺きかつ堕落させる偽善的な宗教慣習の源であるバビロンで始まったことは明らかです。ジャストロウ著の「バビロニアとアッシリアの宗教」という本は,「バビロニアの宗教思想およびその地で栄えた宗教活動が古代世界に与えた強い影響」について述べています。また,J・ガーニエーの「死者の崇拝」という本は,「現代著述家の研究は一致して……バビロンとアッシリアを古代諸宗教の発詳地と見ている」と述べています。
占星術がバビロンを含むメソポタミア地方で始まったことについて,E・O・ジェームズの「古代の神々」と題する本は次のように述べています。「この地においては,高度に組織化された予言者・占い師・占星術者などの集団によって星に関する複雑な学問が発達し,あらゆる陰陽現象についてしるした泥板を集めた卜占文書が大量に残された。……事実,あらゆる天体現象にはそれに対応する人間のできごとがあり,人間すべては自分の生がいの運命を定めた惑星か恒星の影響下に置かれると唱えられた。……星の動きには個人的な意味合いがより強く付され,占星術上の複雑な伝承の下に,太陽・月・惑星・恒星などが人間の運命を決定すると唱えられた。これは紀元前4世紀のアレキサンダー大王の遠征に伴って地中海東岸およびエーゲ海地方に伝わった」。
占星術関係のことばをしるした数千年前の泥板が古代バビロン市の近くで発見されています。古代の占星術者はバビロニア人の異名であるカルデア人の名で呼ばれることもありました。占星術がバビロンと密接に結びついていたためです。占星術はバビロンを起点としてギリシア,ローマ,そして全地に伝わりました。
偽りの宗教との結びつき
もろもろの天体は神々のすみかであり,それゆえ人間生活に影響を与えるというのがバビロニア人の考えでした。ジョン・ロード著「歴史のあけぼの」の第1巻47ページはその点をこう述べています。「アッシリア人やバビロニア人の崇拝の対象として,このほかに下級の神々がいた。しかしそれは人間生活に大きな力を及ぼすものと考えられていた。その神々とは惑星であり,それぞれに名前が付されていた」。
惑星のうち最大のものは今日では木星と呼ばれていますが,バビロニア人はこれに自分たちの神の名マルドウクを付しました。バビロニア人はマルドウクの象徴として雄牛を神聖視しました。雄牛は十二宮の中でも特に重要なものとなり,今日の占星術者はこれを金牛宮と呼んでいます。
日の出・日の入り,春分・秋分,夏至・冬至,日食・月食,月のみちかけ,流星の動きなど,あらゆる天体現象はこれら神々の働きとみなされました。そして,人間世界に起きる事柄を予示するものとして,これら天体現象に関する念入りな図表が作られました。
さて,古代バビロンの偽りの神々にたよることによって将来を正確に知ることができると思いますか。あなたは惑星や恒星を神とは見ていないかもしれません。しかし星占いにたよるなら,バビロンの星の神々にたよることになります。なぜ? 星が人間生活に影響を与えるという占星術の考えは,星に神々がやどるという信仰のもとに成立したからです。
古代の神々がもはや占星術を信ずる根拠とならないことから,天体は人間に影響を与える“発散物”を出すと唱える人がいます。しかし,人の性格や運命を左右するほどの発散物は科学的になんら検出されていません。そうした主張をする人は,占星術の背後の力をどこに求めるのですか。その人は,他の占い師の場合と同じく,何か超自然の力が働いていると考えねばなりません。たとえその人が認めなくても,実際には心霊術にたよっているのです。
わたしたちはここで幾つかの点を調べました。つまり,占星術が将来を予告しても,それは信頼できるものではありません。占星術は占いの一種にすぎず,惑星その他の天体を神とした誤りの信念に由来し,バビロニア人の宗教と密接に結びついています。以上の点を考えるとき,占星術はクリスチャンのたよるべきものですか。
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占星術はクリスチャンのたよるべきものですか目ざめよ! 1970 | 3月8日
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占星術はクリスチャンのたよるべきものですか
占星術はクリスチャンと唱える人々の間にさえ流行しています。ほんとうのクリスチャンはこれに対してどんな態度をとったらよいですか。なんらかの導きがほしいとき,クリスチャンは占星術にたよってもよいですか。たよらないまでも,ただの好奇心で,占星術者に自分の十二宮図を書いてもらうことはさしつかえありませんか。
占星術は本来,多神教から生まれたものです。では,唯一の神を信ずる真のクリスチャンがどうして占星術に導きをあおぐべきですか。占星術に導きをあおぐクリスチャンを創造者は喜ばれますか。
占星術はもはや昔の多神教と結びついておらず,星を神々とみなしているわけではないと言う人もあるでしょう。教育程度の高い人々の間ではそうかもしれません。しかし,この慣習そのものはそうした宗教に由来しており,惑星その他の星を神とした宗教上の偽りの考えがその根底にあります。幹から広がる技はその木の一部ではありませんか。
古代イスラエルから学ぶ
古代のイスラエル国民,またその国民が偽りの宗教の慣習に染まったことについては,聖書中に多くの記録があります。エホバが非とされた慣習に携わったとき,エホバ神に対するこの国民の関係がどうなったかを思い返してください。その経験は,クリスチャンが占星術をどう見るべきかという点で助けになります。
神は二つに分裂したイスラエル人の王国が滅ぼされ,その民が連れ去られることを許されましたが,それはイスラエル人が偽りの宗教の慣習に深く染まったためです。彼らの罪の中には,天体を神として崇拝したことがあります。たとえば,ユダ王国のマナセ王は国民をそうした神々の崇拝に導き入れたことがしるされています。「(彼は)天の衆群を拝みてこれにつかへ(たり)」― 列王下 21:3。
のちに賢王ヨシアは偽りの宗教の悪影響を国民の中から根絶することに努めました。記録は次のとおりです。「(彼は)ユダの町々とエルサレムの周囲にある高き所で香をたくためにユダの王たちが任命した祭司たちを廃し,またバアルと日と月と星宿[十二宮の星座,新世訳]と天の万象とに香をたく者どもをも廃した」― 列王下 23:5,口語。
ヨシアはこの行為のゆえに神のみことばの中で賞賛されています。太陽,月,「十二宮の星座」などに香をたいたりすることをヨシアがやめさせたことに注意してください。神はヨシアのこの処置を是認されました。では「十二宮の星座」をあおぎ見るような占星術と関係することを神が今日是認されると考えられるでしょうか。
預言者ゼパニヤを通じて語られたエホバ神のことばも,偽りの宗教の慣習に染まったイスラエル人を,「屋上で天の万象を拝む者,……またミルコム〔モレク〕をさして誓う者」と呼んでとがめています。(ゼパニヤ 1:5,口語)ミルコムつまりモレクに対する古代の崇拝には占星術が密接に結びついていました。
クリスチャンとして最初に殉教の死を遂げたステパノはイスラエル人のこの種の悪い慣習にふれてこう語りました。「そこで,神は顔をそむけ,彼らを天の星を拝むままに任せられた。預言者の書にこう書いてあるとおりである,『イスラエルの家よ,四十年のあいだ荒野にいた時に,いけにえと供え物とを,わたしにささげたことがあったか。あなたがたは,モロクの幕屋やロンパの星の神を,かつぎ回った。それらは,拝むために自分で造った偶像に過ぎぬ。だからわたしは,あなたがたをバビロンのかなたへ,移してしまうであろう』」― 使行 7:42,43,口語。
占星術は禁じられた
占星術はバビロン的な偽りの宗教の生み出したものですから,エホバ神がご自分の民であるイスラエル国民にそれを禁じたとしても不思議ではありません。神が占星術をどう見ておられるかはそこに示されており,今日のクリスチャンはそれを導きとすることができます。イスラエルに与えた律法の中でエホバはこう言われました。「あなたがたのうちに,自分のむすこ,娘を火に焼いてささげる者があってはならない。また占いをする者,卜者易者[縁起を求める者,新世訳],魔法使(があってはならない)」― 申命 18:10,口語。
この聖句は占星術とどんな関係がありますか。「占い」が戒められている点に注意してください。すでに述べたとおり,占星術は占いの一種です。占星術にはまた惑星その他の星に縁起を求めることも含まれています。そして,縁起を求めることも神によって禁じられたのです。
神の律法はさらにこう続いています。「すべてこれらの事をなす者はエホバこれを憎みたまふ 汝の神エホバが彼らを汝の前よりおひはらひたまひしもこれらの憎むべき事のありしによりてなり」。(申命 18:12)神は変わることのないかたですから,あらゆる形の占いに対して今日も同じ態度をとっておられると考えられませんか。神は古代において,バビロン的な宗教の一部であった占星術を忌むべきものとされました。今日も同じ見方をされるでしょう。
心霊術
占星術は占いの一種ですから,それに関係する人を心霊術に巻き込む要素をもっています。それは人を「天のところにある悪の霊」と接触させやすいのです。(エペソ 6:12)あなたは自分がそうなることを願いますか。神はそうしたものに導きを求めることを厳重に戒められました。神はイスラエル国民に言われました,「もし口寄せ[霊媒,新世訳],または占い師のもとにおもむき,彼らを慕って姦淫する者があれば,わたしは顔をその人に向け,これを民のうちから断つであろう」― レビ 20:6,口語。
悪霊の勢力は物事をあやつり,星占いの予言が信頼できるものであるかのように見せることもときにはできます。したがって,それにたよるなら,悪霊たちの手中に陥る結果にもなります。あなたは悪霊の導きを受けたいと思いますか。悪霊は益となる方向にあなたを導くのですか。クリスチャンは悪霊ではなく神の導きを求めるべきではありませんか。―イザヤ 8:19,20。
聖書は今の時代の人々が「惑わす霊と悪霊の教えとに気をとら(れ)る」ことを予告していました。(テモテ前 4:1,口語)したがって,心霊術や種々の秘術的な慣習に対する世の関心が高まりつつあるとしても不思議ではありません。しかし,悪霊の勢力との接触を求める心霊術が,実際には汚れた肉のわざの一つであることを忘れてはなりません。―ガラテヤ 5:19,20。
クリスチャンは占星術をどう見るか
では,占星術がしだいに流行するのを見てクリスチャンはどうすべきですか。ローマ帝国内に住んだ初期クリスチャンの態度を手本にすることができます。
占星術はローマ帝国でもはやっていました。ジェームズ・ヘイスチング編「宗教・倫理百科事典」第4巻はこう述べています。「これら外来の占い者のうち最も影響力があったのはカルデア人であった。彼らは後に数学者とも称されたが,バビロニア占星術の教師であり,十二宮図を用いて人の運命を予告し,……また,天体の動きを基にして将来を予想した。これら占星術者は紀元前139年に初めてローマとイタリアから追放された。……しかしそれによって占星術者の活動が著しく減退したわけではない。彼らの常客の中には高位の人々が含まれ,皇帝たちさえ彼らの秘術を利用したからである」。
ローマ人の間で流行していても,初期のクリスチャンはそれとなんらの関係を持たなかったでしょう。クリスチャンとなる以前には占いその他の心霊術と関係していた者も多くいました。クリスチャンとなったとき,彼らは心霊術から離れ,偽りの宗教に付随したものすべてを捨てたのです。「魔術を行なっていたかなり多くの者は自分たちの本を集め,すべての人の前でそれを焼いた」としるされています。(使行 19:19,新)このとき焼かれた本の中には占星術関係のものもあったでしょう。星占いは当時一般に行なわれた占いの一種であったからです。
これはまさに適切な処置でした。しるされたみことばを通じて神からの霊的な食物にあずかるクリスチャンは,『神の食卓にあずかる』者です。占いをもてあそんで『悪霊の食卓にもあずかる』ことがどうして許されるでしょうか。
クリスチャンが占星術にたよるとすれば,不従順なイスラエル人と同じ立場に身を置くことになりませんか。占星術の根拠であった偽りの神々,つまりバビロニアの星の神々にたよることではありませんか。そして,創造者の嫌悪された偶像崇拝的な偽りの宗教が生み出したものの信奉者となることではありませんか。―黙示 22:15。
占星術が偶像を崇拝したバビロンの宗教に由来し,心霊術と結びついていることを考えれば,真のクリスチャンはどうしてこれを是認できるでしょうか。初期クリスチャンのひとりである使徒パウロは,この問題で取るべき態度を次のように述べました。「不信者とつり合わないくびきをともにしてはならない。正義と不法になんのかゝわりがあるのか。また,光とやみになんの交友があるのか。エホバは言われる。『それゆえ,彼らの中から出てゆき彼らから離れよ。汚れたものに触れることをやめよ』」― コリント後 6:14,17,新。
クリスチャンになろうとする人は占星術から離れていなければなりません。しかしこれは,将来を知る方法がクリスチャンにないという意味ではありません。実際には,将来の重要な事柄について知る方法があり,しかもそれははるかに信頼できるものなのです。
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占星術より良いもの目ざめよ! 1970 | 3月8日
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占星術より良いもの
将来どうなるかを知ろうとするのは人間にとって自然な願いであり。また正しいことでもあります。あなたは自分の身近な人々の福祉を心にかけ,物事の決定にあたっては,後にすべての者の最大の益となるような判断を下したいと思われるでしょう。「あらかじめ知っていれば,こんなふうにはしなかったのだが」と語った経験が,あなたにもおありでしょう。過去を振り返って自分のあやまちを見つけることは簡単ですが,将来を予測するのは全く別の問題です。
占星術その他の占いにたよる人が多くいるのはこのためです。将来を知ろうとすることそのものはあやまりでありません。しかし,占星術は情報の源としてたよるべきものではありません。
創造者にたよりなさい
惑星その他天体の動きをもとにして将来を予見しようとするよりは,それら天体を創造されたかたにたよるほうが道理にかなっていませんか。結婚生活について何か導きを得ようとするならば,無生の星より,生きた創造者のほうが,この人間関係について多くのことを知っておられるはずではありませんか。結婚の取り決めを設けられたのは創造者ご自身です。そのみことばである聖書を見れば,結婚に関する創造者の助言を見いだせます。その助言に従うなら,大きな失敗を避けられるのです。
たとえば,欲情にかられやすい若者に対しては,不道徳な女に従うべきでないことが戒められ,またその理由が示されています。(箴言 7:6-27)こうした戒めに従うなら,若者は深く後悔するようなあやまちを避けられるでしょう。夫や妻は長く続く幸福な結婚生活のための助言を見いだせます。(エペソ 5:22-31)また,子供の訓育にあたり,後に心痛となるようなあやまちを回避する方法も学べるでしょう。―エペソ 6:1-4。
人間関係一般に関する聖書の勧めに従うことによっても,人は悲惨な事態の多くを避けることができます。聖書は,激しい言い争いや,それから起こりがちな危害を避けるためのよい原則を示しているのです。(エペソ 4:31,32)占星術はある人がどんな性格の人と合いやすいかを占うかもしれません。しかし神のみことばはどんな人に対しても良い関係を築くための道を示しています。また聖書は愛のこもった友人を得,平安な将来をもつためにどうしたらよいかをも示しています。これはたよりない占星術の助言よりすぐれていませんか。
人は,神のみことばである聖書に従うことにより,自分の将来のためにあらかじめ多くのことを行なえます。現在どのように生活するかによって,自分の将来を良くも悪くもできるのです。もとより,避けがたい災いの臨む場合もあります。聖書もそのことを認め,『時と予見されないできごととはすべての者にふりかかる』と述べています。(伝道 9:11,新)しかし,そのようなことの起きた場合でも,聖書は問題を乗り越えるための助けを与えます。たとえば,不測の事故のために愛する者を失ったような場合,聖書はその衝撃に耐えるためのささえとなるのです。―テサロニケ前 4:13。使行 24:15。
エホバの預言者は将来を予告した
将来に関する信頼できる情報の源として,預言者が霊感の下に語った神のことばにまさるものはありません。神の預言者は自分の時代よりずっと先のことを予告しました。こうした予知のゆえに,彼らは占星術者よりはるかにすぐれています。
バビロンに住んだ神の預言者ダニエルは,ネブカデネザル王領内の魔術を行なう神官・まじない師・占星術者などより10倍も賢いとされました。(ダニエル 1:20)このことはある機会に実際に示されました。ある晩に見た夢の内容を忘れた王は,自分に仕える魔術者や占星術者に,それがどんな夢であったかを告げさせようとしたのです。カルデア人の占い者たちは「世の中には王のその事を示し得る人ひとりもなし」と答えました。(ダニエル 2:10)しかしダニエルは王の求めに応ずることができました。
ダニエルは王の夢の内容を告げ得た理由をこう語りました。「王が求められる秘密は,知者,法術士,博士,占い師など,これを王に示すことはできません。しかし秘密をあらわすひとりの神が天におられます。彼は後の日に起るべき事を,ネブカデネザル王に知らされたのです」― ダニエル 2:27,28 口語。
この経験は,ダニエルの有していた情報の源が占星術よりすぐれていたことの証拠ではありませんか。そのすぐれた情報の源はエホバ神であり,聖書に導きを求めるなら,あなたも同じ源から将来の情報を得られます。まことの神であられる人間の創造者は,将来に関する知識という点で,どんな秘術より信頼できる源です。
占星術はバビロンを救えなかった
古代の都バビロンは星占いにたよることによって災いを回避できましたか。そうではありません。事実,預言者イザヤは神の霊感の下に,バビロンの占星術者が自らをさえ救えないことを予告しました。イザヤはこう語りました。「かの天を分かつ者,星を見る者,新月によって,あなたに臨む事を告げる者を立ちあがらせて,あなたを救わせてみよ。見よ,彼らはわらのようになって,火に焼き滅ぼされ,自分の身を炎の勢いから,救い出すことができない」― イザヤ 47:13,14,口語。
紀元前539年,強大なバビロン市はメデア人とペルシア人の前に倒れましたが,バビロンの占星術者はこれを予見できませんでした。他方,ダニエルはこれを明確に予見しました。それが起きる晩,エホバ神はベルシャザル王の宮殿の壁に不思議な文字を現われさせました。王とその高官たちは強大な城壁にたよって安心し酒宴にふけっていました。文字が現われたとき,王は自分の占星術者,まじない師などを呼び,それを解読させようとしましたが,彼らはできませんでした。―ダニエル 5:7,8。
そののちダニエルが呼ばれました。ダニエルはそれを読み,意味を解き明かすことができました。その説明によれば,文字の意味はこうでした,「神なんぢの治世を数へてこれをその終に至らせ……汝(は)はかりにてはかられて汝の重の足ざることのあらはれ……汝の国分たれてメデアとペルシャに与へらるゝ(なり)」― ダニエル 5:26-28。
その後おなじ晩にメデア人とペルシア人はバビロン市に攻め入り,これを攻略しました。占星術はバビロニア人に臨んだ恐ろしい災いを予告できませんでした。将来に関する情報という点でダニエルが占星術以上の源を有していたことはここでも示されました。
今の時代に何が臨むか
聖書は,昔のバビロンに臨んだよりはるかに大きな災いが今の時代に臨むことを予告しています。それは無数の人々の命を奪い,人間の諸政府が治める現在の体制を滅ぼし去るでしょう。聖書は諸国家に対するこの災いを,『全能の神の大いなる日の戦い』と呼んでいます。(黙示 16:14)それは,諸国民が神の律法をかたくなに退けてきたことに対し,エホバ神が怒りを表わされるときです。―ゼパニヤ 3:8。ダニエル 2:44。
それは占星術にたよる人々にとって災いとなるでしょう。そうした人々はだれもその災いを生き残れません。神の忌みきらわれることをならわしにしてきたからです。その災いののち,神は占星術その他の占いをもはや全く許されません。
地上の諸国民にやがて臨むその災いののち,平和と安全,そして豊かさのある一千年間がおとずれます。そのとき地上の人類すべてを治めるのは,ただ一つの正義の政府,神の御国です。そのとき人々はもはや今日と同じようには死にません。かわって,いつまでも生きつづける機会を与えられるでしょう。これは,占星術者ではなく,神の霊感を受けた聖書の預言者がわたしたちの前途に予告している事柄です。聖書の預言者が信頼できることは,その預言者たちの語った他の預言が成就していることに実証されています。それで,どんな確かな根拠に基づいて,残りの預言の真実性を疑えるでしょうか。預言者の情報の源はわたしたちの創造者であり,創造者は偽ることができないのです。―詩 37:11。黙示 21:4。イザヤ 55:11。
今日受ける益
聖書の導きに従うことによってエホバの証人は今すでに数々の益を受けています。それによってエホバの証人は幸福と一致と心の平安とを得ています。将来について世の人々のように不安をいだいていません。将来がどうなるかを知っているからです。エホバの証人は自分の性格・結婚・その他の問題に関して占星術に情報を求めません。聖書の原則が証人たちを導きます。事実,聖書に従うエホバの証人の生活はそれを見る人の心を動かします。
隣家に住むエホバの証人の家族の平和と一致と幸福とに心を動かされた一婦人はその家族を尋ねて言いました。「わたしもみなさんといっしょに聖書を勉強したいと思います。わたしはおたくのご家族を2年ほどじっと見てきましたが,みなさんはこのご近所でほんとうのクリスチャンだと思いました。わたしもみなさんのようになりたいと思います」。
神のみことばの原則と助言に従うエホバの証人は,それによって,他の人々が占いにたよるような事柄の多くについて不快な事態を避けられることを学んできました。証人たちはまた,諸国民に臨もうとする全世界的な災いを生き残り,その後に到来する新秩序で平安な生活を楽しむ希望をもいだいています。こうして彼らは自分の将来にあるものを知っています。
それゆえ,信頼できない占星術,また神の忌みきらわれるものにたよるより,霊感のもとにしるされた神のことば聖書にたよるべきではありませんか。聖書の予告があやまりであったことはありません。それはいつも真実で信頼できる導きです。
創始者であるバビロニア人を含め人々の期待にそむいた占星術にたよるより,神のみことばにたよるほうが賢明ではありませんか。天体の動きが自分と人間の将来について告げると考えるより,それら天体を造られたかたに導きや将来に関する知識を求めるほうが道理にかなっていませんか。宇宙に浮かぶ無生の物体の集合よりは,生きた創造者ご自身のほうが人間についてよく知っておられるはずではありませんか。
自分の将来を知り,生活の導きを得ようとするのは正しいことです。しかし,その二つは神のことばに求めるべきものです。そこに信頼できる情報があるのです。あなたがそうするなら,神のみことばはあなたの足のともしび,またあなたの道の光となります。そこに含まれる知恵は平安と,喜びと,とこしえの命への道を開きます。―詩 119:105。箴言 3:13-18。
あなたをこの時代に臨む災いから守り得るのは,占星術ではなく,エホバ神おひとりです。エホバ神だけがご自分の建てる新秩序での平和と安全という将来をあなたに与え得るのです。それで,しるされた神のみことばである聖書にたよるなら,あなたは,自分と自分の将来について,占星術が差し伸べるより,はるかにすぐれた知識を得られるでしょう。
[13ページの図版]
ダニエルは将来に関する情報という点で占星術者以上の源を有していた。占星術者は不思議な文字を解読できなかった。
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大災害に襲われたらどうしますか目ざめよ! 1970 | 3月8日
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大災害に襲われたらどうしますか
昨年8月,直径280キロの暴風圏を伴い,最高瞬間風速98メートルを記録したハリケーン・カミールがアメリカ南部を襲いました。全米ハリケーン・センターの理事ロバート・H・シンプソン博士はこれを,「西半球の都市を襲った史上最大のハリケーン」と評しました。
8月17日の夜,ハリケーン・カミールはメキシコ湾からミシシッピ,ルイジアナ両州の海岸一帯を襲い,次にアラバマ,バージニアまたウエスト・バージニアの各州を縦断して猛威をふるい,膨大な損害と多数の死傷者を出しました。車や家はおもちゃのようにつぶされ,トラックはひっくり返され,大型貨物船はほんろうされたすえ,海岸に打ち上げられ,また木立ちは根こそぎにされるか,折り曲げられて砕かれ,道路や橋も破壊されました。海岸地区の町は10メートル近くの高潮に洗われ,海浜の建物は山のような大波で破壊され,町は何分もたたないうちに荒廃し,4万1,000世帯の家が破壊もしくは相当の破損をこうむりました。家を失った人は2万5,000人余,また死者は300人を越えました。資産の損害は総額10億ドル(3,600億円)と推定されています。
こうした天災や大災害に見舞われたなら,あなたはどうしますか。どのように対処しますか。
ハリケーン・カミールは突然に襲ったのではありません。このハリケーンがメキシコ湾沿岸のこれらの地域を襲う48時間前に警報が発令されたのです。ですから家の戸や窓に板を打ちつけて補強し,また低地から高台にのがれる時間は十分にありました。警察からの警報に
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学ぶ決意目ざめよ! 1970 | 3月8日
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学ぶ決意
◆ 「とこしえの命に導く真理」の本が不足していた時のこと,アメリカ,オハイオ州に住むひとりのエホバの証人は,近所の婦人と家庭聖書研究を始めました。その証人は自分の「真理」の本しか持っていませんでした。そこで証人は,関心を持つその婦人に予習してもらうため,自分の本を毎回貸すことにしました。こうした事がしばらく続いた後,婦人は本を数日のあいだ借りました。聖書研究を司会するため,婦人の家に行った証人は驚きました。その婦人は,「真理」の本が手にはいるまで自分の勉強用の本が手もとにあればよいと考えて,「真理」の本の多くを質問欄も含めて手で書き写していたからです。たしかに,この婦人には神の真理を学ぼうという堅い決意がありました。
― エホバの証人の1970年度年鑑より
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