『すべての国の人々を弟子とする』
エホバの証人の1970年度年鑑より
沖縄
人口: 972,000人
伝道者最高数: 372人
比率: 2,599人に1人
沖縄の女性は,多くの場合,妻というより召し使いのような待遇を受けています。女性は家に居て子供を育て,夫が家にいる時にはその必要を満たすようにいつも気を配ります。夫は妻が時おり教会に行くことには反対しません。ところが妻が「真理にしたがって歩み」はじめ,真理を信じ,それに基づいて行動を始めると,夫の方も行動を開始します。
学校の教師を夫に持つひとりの婦人の場合もそうでした。彼女が真理を受け入れると,夫はそれをやめさせるために思いつく限りの手段に出ました。彼女は夫の言う事に対しすべて聖書から答えました。そこで夫は,彼女を論ばくする知識を得るために,いろいろな種類の本を求めはじめました。しかし,そのすべては神のみことばの真理に対して無力であることを知りました。そこで彼は妻が宗教に忙しく携わっているのだから自分も楽器を手に入れてそれに専念し,みずから楽しんで心の安らぎを得てはと考えました。しかしそれは無益でした。夫は宗教をやめなければ自殺するとおどすことさえしました。そんなある日,当時やはり教師をしていたその婦人は,彼女のクリスチャンとしての立場に関して同僚から嘲笑や批判を浴びせられました。それを見た夫は嘲笑者に加わる代わりに妻の味方をしたのです。同僚の非難に答えるため,彼は協会の出版物を読みはじめました。読めば読むほど妻が真理を得ているとの確信を強くしました。家族を連れて集会に出席するようになった彼はめざましく進歩し,浸礼を受け,今では沖縄で最も大きな会衆の一つを監督しています。また,真理に反対している多くの夫たちを訪問し,神のみことばを学んで真の幸福を見いだすよう自分の経験を通して彼らを助けています。そして,成長する会衆の監督であり,家族7人のすべてが幸福な神につかえる活発な奉仕者というめぐまれた家庭を持つ,きわめて幸福な人となりました。
夫に激しく反対された別の姉妹の経験があります。ある日その姉妹が集会から帰宅すると,夫は彼女を縛り,ナイフを突きつけて,「この宗教をやめないなら,おまえを殺す」と言いました。姉妹はただ目を閉じて静かにエホバに祈り,夫に向かってひとことも言いませんでした。妻がおどろかないことを知った夫は,縛っていた綱を切りました。ところがある晩,帰宅した夫は,妻が伝道に出かけたり集会に行くことにはらを立てていました,その姉妹と子供たちはすでにかやの中で眠っていました。夫は彼女をとがめ,やめないなら子供もろとも焼き殺すといいながらかやに火をつけました。炎が激しく燃え上がった時,かやの中にいた妻は静かにエホバに祈りました。すると夫はこわくなり,自分で火を消しはじめました。またある時,夫は妻が集会から帰るのをビールを飲みながら待っていました。そして「その宗教をやめるように言ったのに,おまえは言うことを聞かない」と言ってビールびんの底を割り,それで彼女を突きました。血が頭から出たので姉妹は包帯を巻くために座を立ちました。そしてその夜は頭全部に包帯をして床に着きました。翌日彼女は早朝に出かけました。夫は彼女が病院へ行ったものと思い,いやな気持で1日中心配していました。ところが姉妹は病院へ行くどころか終日奉仕をしたのです。それからのち,妻をやめさせることができないことを悟った夫はあまり反対しなくなりました。そこで姉妹は正規開拓奉仕の申し込みをしました。また夫は,その姉妹が真理を得て以来たいへん良い妻になり,家事をじょうずに処理し,また近所の子供たちとの相違がはっきりするほどよく子供をしつけていることなどを認めるようになりました。現在夫は妻の宗教に対して非常に好意的となり,最近彼女を自動車学校に通わせて自動車の免許証を得させました。そして彼女のために自動車を買い,それを使って神のわざにいっそう励むように言いました。
次は,姉妹が忍耐したことによって,その子供が真理にはいったという経験です。妻に聖書研究をやめさせようとした夫は,聖書や書籍を全部焼いてしまいました。それでも妻がやめないので,絶えず彼女をとがめ時には打ったりしました。妻を心身ともに疲れさせるため,口やかましくしかったり,打ったりし続けたのです。集会の開かれる晩には友人を家に連れて来ました。妻が接待のために家に居なければならないようにするためです。夫の考えを知ったその姉妹は,客に必要な物を全部あらかじめ整え,食事その他をならべてこう言いました。「申しわけありませんがわたしは聖書研究に行かねばなりません。9時半には戻りますから,わたしの留守中,どうかご自由に召し上がってください」。夫はあぜんとして妻を見つめましたが,友人の手前,彼女を引きとめる勇気がありませんでした。姉妹が帰宅すると,すべての物がちらかっていました。しかし,彼女は忍耐強くかたずけ,夫の絶え間ない反対にも耐え続けました。夫の反対はこれまで3年間ほど続いていますが,こうし反対にもかかわらず,この姉妹は昨年3月の巡回のしもべの訪問中休暇開拓奉仕を楽しみました。あらゆる反対にあっても忍耐し,喜びを失わない母親を見たふたりの娘は,聖書を学びはじめました。母親の信仰には,どんな仕うちを受けても喜びの失われない価値ある何かがあるに違いないと感じたからです。真理を知る前,この姉妹は,日本のあらゆる宗教の門をたたきましたが心に喜びを得られませんでした。ところが現在,こうしたきびしい圧迫の下にあってさえ,彼女が喜びにあふれ,幸福であることは,一般の人の目にも明らかです。また彼女は,娘のひとりがバプテスマを受け,またすでに結婚しているもうひとりの娘が野外奉仕を始めるのを見る喜びを得ています。夫は今なお反対し続けていますが,姉妹のことを語る時には,「この宗教とエホバがなかったら,わたしの妻は世界中で一番です」と言います。しかし,自分の妻を世界一にしたのはほかならぬエホバと真の宗教であることを彼は知りません。
台湾,中華民国
伝道者最高数: 1,087人
人口: 14,000,000人
比率: 12,879人に1人
昨奉仕年度中,台湾では組織を清めるわざがさらに続き,再び伝道者数がいくらか減少したものの,非常に顕著で励みとなるでき事がいくつかあり,兄弟たちは前途に対して明るい見通しをいだいています。その一つは,6か月の聖書研究課程の効果がはっきりしはじめたことです。一昨年9月の地域大会の時に中国語の「真理」の本はまだありませんでしたが,「良いたより」と「正義」の小冊子を用いて,「真理」の本とほぼ同様の事柄を教える課程が始められました。その成果はどうでしたか,それは,一昨年にバプテスマを受けた人が17人であったのに対し,昨奉仕年度中にはバプテスマを受けた人が48人もいた事実に表われています。もう一つは,昨年6月上旬に中国語の「真理」の本の第1回目の荷が届き,それが各会衆に送られたことです。
6か月の聖書研究の課程が台湾で始まったとき,中国人が真理を受け入れるのには普通かなり時間がかかるので,それが効果的であるかどうかを疑う人は多くいました。しかし次の経験が示すとおり,心から命を願う人は自分の態度をすぐに決定します。ほとんど関心を示さないある男の人が「目ざめよ!」誌を求めました。二,三週間後,その人の兄弟が友人とともに御国会館にやってきました。彼は雑誌と残されていった招待ビラを見て少し関心を持ったのです。ところが聖書研究に応じたのは,なんと3番目の人,つまり兄弟の友人だったのです。よく予習する必要を知った彼は,「良いたより」の小冊子のすべての質問に対する答えを紙に書き出しはじめました。そして「正義」の小冊子を入手してから4日間でそれを研究し終え,初めから終わりまで大切な部分に線を引いたのです。そして,研究が始まってから6か月たたないうちに野外奉仕に参加することを願い,真理を知ってから1年以内にバプテスマを受け,今では自ら二つの家庭聖書研究を司会して,教える喜びを味わっています。
インドネシアから台湾にもどったある中国人夫婦の経験は,エホバがほんとうに正義を求める人の祈りを聞かれることを示しています。妻は中国語を話せませんでしたが,神に関する真理を求め,聖書を学びたいので教会につれていって欲しいと夫に頼みました。夫はそれまで住んでいたインドネシアその他の場所の教会で行なわれている事柄を見て,ある程度反感をいだいていましたが,妻が神に仕えることをほんとうに願っているなら,教える者を神がつかわしてくださるであろうと言いました。妻は正しい宗教を見つけられるようにと祈ったところ,ほどなくしてひとりの宣教者が彼女の所を訪れたのです。妻はほとんど中国語がわかりませんでしたが,英語の「真理」の本を用いてすぐに研究が始まりました。第2章を終えたとき,何か質問があるかどうかを尋ねられた彼女は,「質問などありません。非常にわかりやすく書かれています」と答えました。中国語を習いたてだったので最初のうちは話の多くを理解できなかったにもかかわらず,彼女は夫とともにまもなく日曜日の集会に出席しはじめました。やがて会衆の書籍研究にも出席して,注解するようになり,最近,宣教に参加しはじめました。今では夫が聖書研究を始めたことを非常に喜んでいます。夫は妻が研究していたほぼ1年間をむだに過ごしたことを今では残念がっています。確かにエホバはご自分の「羊」を知っておられます。
伝道者は数多くの再訪問をしても良い結果がないため失望し,関心ある他の人々に再訪問をするわざを少しおろそかにすることがあります。しかしどんな人がほんとうに羊のような人になるかはだれにもわかりません。それで,関心を示した人を必ず再び訪問することが必要です。台湾中部の大きな市で奉仕している巡回のしもべの妻は若い女子大生に会い,「楽園」の本を勧めましたが,その女子大生は本を求めず,だれかが台北にある大学寮に持ってくるなら,そこで求めると述べました。こうした訪問が良い結果になることはあまりありませんが,通知を受けた宣教者が尋ねてみると,女子学生は本を求めたのです。そして聖書研究が始まりました。彼女が実家に帰ったときは,その土地の宣教者に教えてもらい,台北にいるときは台北の宣教者の姉妹に教えてもらいました。やがてこの女子大生は集会に出席するようになり,家に帰ったとき,信心深い仏教徒である母親に話しはじめました。その結果母親も研究を始め,集会に出席するようになったのです。大学を卒業した彼女は家に帰り,その土地の小さな会衆で定期的に神権学校の研究生の話をし,毎週日曜日には野外奉仕に参加しています。そして台北での「地に平和」大会でバプテスマを受ける予定です。確かにわずかな関心を示した人をも最後まで世話するのは当然なことです。
台湾の兄弟たちは,立派な御国会館を含む,協会の新しい支部事務所と宣教者の家が9月に完成し,また10月に台北で開かれる「地に平和」国際大会を楽しみにしていました。これらはともに,台湾での真の崇拝を大いに促すでしょう。すべての兄弟たちは神の組織によってなされたこれらの備えに心から感謝しています。