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預言と世界強国の行進ものみの塔 1961 | 9月15日
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ました。バビロンは,わしの翼に助けられたししのスピードで猛進して攻撃を加えました。それは神の国民イスラエルをも含めて国々をのみつくし,世界強国となりました。しかし間もなくそのスピードは二本の足を持つ人間の歩みほどに落ち,「熊のよう」な「第二の獣」に捕えられて打ち砕かれました。(ダニエル 7:5)もちろんこれは次につづいた世界強国メデヤ-ペルシャでした。
ダニエルの幻は「ひょうのような獣で,その背には鳥の翼が四つ」ある第三の獣を示しており,ギリシャが世界強国として興隆することを預言していました。アレキサンダー大王のひきいるギリシャは,「翼を持つ,ひよう」のようにほとんど信じられないほどの早さで征服をすすめました。アレキサンダーの死後,ギリシャは「この獣には四つの頭があり」と聖書の預言した通り四つの小帝国に分裂したのです。―ダニエル 7:6。
「第四の獣は,恐ろしい,ものすごい,非常に強いもので……その前に出たすべての獣と違って,十の角を持っていた」。(ダニエル 7:7)この獣はローマ帝国と共に始まりました。しかし預言の示したようにローマ帝国も遂に崩壊してしまい,十の角はローマ帝国から分れ出た国々を象徴しました。これら十の角の中から一つの小さい角が出て,それは「先の者と異なり」と述べられています。(ダニエル 7:8,24)この小さな角は17世紀以降,隆盛をきわめた大英帝国として起こり,後にアメリカを加えて英米世界強国となりました。
ダニエルの第二の幻は二重に確証を与えるものであり,エホバは「終りの事を初めから告げ,まだなされない事を昔から告げて言」われることを証明します。(イザヤ 46:10)ダニエルは雄羊と雄やぎを見たと述べています。二つの角のある雄羊はしばらくのあいだ優勢で「これに当ることのできる獣は一匹も」ありませんでしたが,やがて一匹の雄やぎが西から起こり,雄羊に向かって突進し,これを地に打ち倒して踏みつけ服従させます。エホバの預言のたしかな言葉は,これらの象徴的な言葉の意味をはっきりと説明しています。「あなたが見た,あの二つの角のある雄羊は,メデアとペルシャの王です。また,かの雄やぎはギリシャの王です。その目の間の大きな角は,その第一の王です。またその角が折れて,その代りに四つの角が生じたのは,その民から四つの国が起るのです。しかし,第一の王のような勢力はない」。―ダニエル 8:3-8,20-22。
ダニエルの幻の預言した通り,メデヤ-ペルシャは世界強国となりました。しかし,これもまた預言されていた通り,アレキサンダー大王のひきいるギリシャがメデヤ-ペルシャを征服しました。アレキサンダーを表わしていた大きな角が折れたとき,すなわち彼の死んだとき,その国はアレキサンダーの四人の将軍の手に分れて四つのヘレニック帝国が生まれました。神の言葉は何と正確に将来を預言しているのでしょう。たしかに私たちはその預言に信頼できます。
赤い獣
聖書の中でサタンの眼に見える制度全体は,「海から上って来る」「角が十本,頭が七つ」ある獣であると述べられています。(黙示 13:1)聖書はまた「ほかの獣が地から上って来……それには小羊のような角が二つあって,竜のように物を言った」と述べています。(黙示 13:11)この二つの角のある獣は,角が十本,頭が七つある先の獣の「像を造ることを,地に住む人々に命じ」ます。―黙示 13:14。
二つの角を持ち,竜のように語った獣は英国と米国とから成る英米世界強国を表わします。それは羊の角を持つので侵略的には見えませんが,竜すなわちサタン悪魔の如く語って「獣の像」を作ることを命じ,サタンの宣伝の代弁者をつとめさせます。国際連盟とその後継者である国際連合は,サタンの見える制度全部の像となりました。そして聖書の預言した通り,それは英国と米国の提唱によって出来たものです。
黙示録 17章の中でこの「獣の像」は「赤い獣」と呼ばれており,御使はその獣の正体を明らかにしています。「あなたの見た獣は,昔はいたが,今はおらず,そして,やがて底知れぬ所から上ってきて,ついには滅びに至るものである」。(黙示 17:3,8)1920年1月10日にその運営を始めた国際連盟は「昔はいたが」,1939年,第二次世界大戦の勃発と共に無活動の底知れぬ所へ行き,1945年になると国際連合として再び現われました。
先の七つの世界強国との関係から見て,この獣の正体はますます明らかになります。この「獣は,すなわち第八のものであるが,またそれは,かの七人の中のひとりであって,ついには滅びに至るものである」。(黙示 17:11)ある人々は,その滅びの間近いことを認めています。英国議会のメンバーであるアントニー・フエルは次のように語りました,「国際連合は失敗した。それは我々の造ったものであったが我々の希望を実現しなかった。失敗の理由はよい意図に欠けていたからではない。それははじめから失敗に終るように定められていたのだ」。
神の御国は唯一の永続する宇宙的な政府
イエス・キリストは地上にいたあいだ,エホバの永遠の王になる権利を持つことを証明しました。西暦33年,死から復活してのちのキリストは「神の右に座し,それから,敵をその足台とするときまで,待っておられる」。と聖書は述べています。(ヘブル 10:12,13)この待つ期間は,1914年「諸国民の定められた時」が終わったとき,終了しました。それは神の任命された王,「権利を持つ者」が支配を始める時でした。黙示録 12章は,キリストが支配する権利を行使し,サタンと悪鬼を天から地に追い落したことを描いています。そしていま,サタンと悪鬼はサタンの見える獣の如き組織と共に滅びに定められているのです。
それゆえに,今日,平和を愛する人々は勇気を持って下さい。神は宇宙的な政府,キリストの手にある御国を設立されました。ダニエルはネブカデネザルの夢の像が打ち砕かれたことを述べ,今の時代について語りました。「それらの王たちの世に,天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく……これらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう」。ですから希望と確信を神の御国において,神の御国と共に何時までも生きつづけて下さい。―ダニエル 2:44。
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見出された羊ものみの塔 1961 | 9月15日
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見出された羊
シエラ・レオネにて
ある宣教者は,心あたたまる次のようなおもしろい経験を話しました。「中年の婦人とついに「楽園」の本の研究がはじまりました。『ついに』といいますのは,その婦人が3回も4回も来て下さいと頼んだのに,白人だから私の訪問に興味があるのだろうと思ってのびのびに延ばしていたからです。ところが,毎週研究が進むにつれて,最初に頼まれた時に再訪問しなかったことを恥ずかしく思いました。最初の研究の時から,これこそほんとうの羊だということを感じました。というのは,彼女はいつでもよく予習していて,ちゃんと準備をととのえて待っていたからです。私を失望させたことは一度もありませんでした。ですから私も,どんなに大雨が降っても一度も休むまいという決意をますます堅くしたわけでした。最初の勉強の後その人は御国会館の集会に出席しはじめ,病気の時を除いては,欠席したことがありません。ほどなくして奉仕に連れて行ってくださいと彼女は私に頼みました。ところがその時失望がやってきました。彼女は合意結婚をしていたのです。私は結婚に関するエホバの律法を詳しく説明し,研究をつづけるように励ましました。エホバへの献身と真理に対する愛は,彼女に賢明な決意をさせました。彼女は男に正式に結婚してくれるように頼みましたが,多くの約束がみなうそだったので彼から離れねばならぬことに気づきました。自分とふたりの息子の生活を神が支えて下さることを信頼し,何日かのうちにその婦人は男の家を出,彼の姓を捨てて旧姓にかえりました。彼女は最後の巡回大会で洗礼を受け,伝道をつづけています。定期的に研究をつづけ,毎週かかさずに訪問したことをエホバに感謝しています」。―1961年のエホバの証者の年鑑より
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