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西側に対する共産主義の挑戦目ざめよ! 1971 | 9月22日
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ドイツ,ハンガリー,ポーランド,ルーマニア,ソ連がこれに含まれる。北大西洋条約機構(NATO)軍の司令官である,アメリカのアンドリュー・グードパスター元帥のことばによると,ワルシャワ条約は「今までに前例を見ない規模の兵力を集結」させた。
ところがこれには,中共のような他の共産国は含まれていない。中共はこの点比較的に弱いとはいえ,莫大な人力を有している。その増大しつつある兵器庫には核兵器もあれば,すでに人工衛星を打ち上げたミサイルもある。
このように,軍事的な優位を勝ち取ろうとする共産諸国のひたむきな決意は,西側にとってきわめて不利な結果を生みだした。しかもこの状態は,アメリカが社会的,経済的難問をかかえていて,軍事予算をこれ以上ふやせない時に起こっているのである。
工業と農業
アメリカは世界の指導的な工業国である。ところがこの地位もとくに重要な部門においてソ連の挑戦にあっている。
軍資と関係の深い基幹重工業品目のあるものの,1970年度生産高に注目してみよう。数字は概数で,単位は百万米トン。
米国 ソ連
セメント 73 105
石炭 590 688
鉄鉱石 96 195
石油 522 389
鋼鉄 131 128
むろん消費財の総生産量はアメリカのほうがずっと高い。しかしその理由の一つをU・S・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は次のように示している。「クレムリンは,消費分野には生活水準をごく徐々に上げていくにかろうじて足るだけの出資しかしない。ところが,ほかのものはすべて軍と軍関係の製産に投入している」。
農業の面ではアメリカは長いあいだ世界の「パンかご」と考えられてきた。とくにトウモロコシはソ連よりもはるかに多く生産する。しかし,1968-1969収穫年度の他の基本産物の生産量を考えてみよう。単位は百万トン。
米国 ソ連
大麦 9 22
ばれいしょ 13 102
ライ麦 0.6 13
小麦 43 79
軍事力および工業や農業の生産量の面でのソ連の全面的な挑戦は増大している。これは西側を大いに憂慮させる原因となっている。
結末はどうなる
そこで最大の関心事は,世界支配のこの闘争がどんな結末をみるかということである。共産主義はますます強力になり,そのためいっそう攻撃的になるであろうし,さらに,現在の傾向からすれば,より多くの国が『左』に傾くように思われる,という人もいる。たとえばヘンリー・ワルリックは,「なんとかしてこの傾向を変えなければならない。われわれの多くがまだ生きているうちに,アメリカは共産主義に変更したラテン・アメリカと顔をつき合わせることになるかもしれない」とニューズウィーク誌で述べている。
しかしこのことは,共産主義が西側への挑戦に成功して,世界の覇権をにぎることを意味するだろうか。人間は将来を正確に予言することはできない。しかし聖書にはそれができる。聖書の預言は,現代のこの世界制覇をめぐる闘争とその結末に関してほんとうに光を投げかけているだろうか。証拠を考えてみよう。
ダニエル書 11章は,敵対する二つの勢力「北の王」と「南の王」の間の闘争を預言的に述べている。この預言の出発点が古代にあることは事実である。(ダニエル 11:1-5)しかし問題の敵対勢力間の進退にかんするその描写は,歴史をくだって「終の時」に至るまで続いている。(ダニエル 11:3-5,40)預言の終わりのほうに示されている場面と,この記事でとりあげた現代の状況とを比較してみよう。
ダニエルの預言は,象徴的な「北の王」がこの最後的な時期に,あらゆる古い崇拝形式をその地位からおろし,もしくは格下げし,「神々の神」たるものに向かって大言を吐くことさえすると説明している。この「王」は,おのれを高くし,「先祖等の識ざりし」「軍神」を崇め,そのために金銀その他の貴重なものを使う。―ダニエル 11:36-39。
今日,世界のあるきわめて強力な国がそのとおりのことをしているのを見てはいないだろうか,と自分に尋ねてみよう。世界共産主義,特にソ連が,現存する宗教の崇拝を劣位に追いやり,その代わりに現代の科学的軍事政策,つまり「軍神」をほめたたえているのは事実ではないだろうか,そしてそのために,ばく大な富をつぎ込んでこなかっただろうか。
しかしそれだけではない。預言はさらに,二人の王の押し合いで北の王が怒りをいだき,『軍備と多くの船とをもって国々に攻め入って潮のようにみなぎりわたり』,あまたの宝を手に入れ,多くの国々を自己の勢力下におくことを予告している。―ダニエル 11:40-43。
わたしたちはこれについても,とりわけ第二次世界大戦以降,(英国を最も近い同盟国とする)優勢な世界強国アメリカと,これにつぐ強国ソ連との激しい競争を見てこなかっただろうか。共産主義連合の軍事力が,「上げ潮」と現代の観測者たちによばれるまでに強化されるのを見なかっただろうか。また,このことによって共産主義の勢力はいよいよ多くの国にめざましい勢いで広がり,西側の勢力の経済的利益は危険にさらされはしなかっただろうか。
窮極の結果はどうなるか。預言は,「北の王」が「南の王」をその支配的な地位から倒すと述べているだろうか。そうは言っていない。預言によると,「北の王」には,『その終りにいたり,それを助ける者はいない』と述べられている。そうかといって,彼がその敵である「南の王」によって滅ぼされるとは預言は述べていない。(ダニエル 11:44,45)これはどういう意味であろうか。
聖書の他の預言が示すところによると,この預言されていた「終の時」は,大小を問わずすべての国家が,彼らの連合戦力よりもはるかに優勢なある力に出くわすときである。その力は神の権能であって,神ご自身のみ子キリスト・イエスによって現わされる。キリストは神より任命を受けて,すべての国家に,彼らが地上で行なってきたことに対する責任を問うのである。黙示録はこの任命された世界支配者キリスト・イエスが,「諸国の民をうち,鉄の杖をもってこれを治め」ることを示して,ダニエルの預言の描画を完結させている。この破壊によってキリストは,世界支配をめぐる政治闘争とそれがもたらした経済的圧迫と流血とを完全に終わらせるのである。それは,どの国の軍事力にも頼らず,ただキリストの正しい政府,すなわちその王国にのみ信頼をおく人々すべてにとって,なんと祝福された解放となることだろう。―黙示 19:11-16。
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パキスタンで公園の設計をしている日本人目ざめよ! 1971 | 9月22日
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パキスタンで公園の設計をしている日本人
● パキスタンで公園の設計に従事しているある日本人とその妻は,戸別の伝道奉仕をしていたエホバの証人に会いました。夫の英語の理解力が増すにつれて,家庭聖書研究は2か国語で行なわれました。妻は日本語で答え,夫がそれを英語に通訳するのです。ふたりはもともと仏教を信奉していましたが,急速に変化し,仏教の本をすべて焼きました。そして新らたに得た信仰について親族全員に手紙で知らせ,友人や仕事仲間にも証言しはじめました。それは反対を招きました。特に職場では,人々がいっしょになって,その人が配った小冊子と「ものみの塔」誌を焼きました。その間ふたりが出席したのは主の記念式と特別な公開講演だけでした。エホバの証人はふたりと「ものみの塔」誌の1970年6月1日号に掲載された,「あなたはご自分の学んだ事柄に関して何をしておられますか」と題する記事を討議しました。するとそのすぐあと,ふたりは地元で開かれた巡回大会に出席し,それ以来日曜日の集会に毎週出席しています。夫は話されている事柄の60%ぐらい,また妻はわずか5%しか理解できないにもかかわらず出席しているのです。夫は現在,戸別の伝道奉仕に携わっており,ハルマゲドン後にもっと大きな公園を設計することを楽しみにしています。
― エホバの証人の1971年度年鑑より
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