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  • 銀行はどれほど安全ですか
    目ざめよ! 1975 | 9月8日
    • れる可能性のあることを承知しています。もし経済事情の悪化のために多くの企業や個人が債務不履行になった場合,政府が肩代わりをする方法はありません。たいていの政府は多くの負債をかかえており,その多くは銀行からの借入金だからです。

      たとえば1974年に米国の連邦政府の代理機関である連邦預金保証機関(FDIC)は,個人の銀行預金を2万ドルまで保証し,その後,同年中にこれを4万ドル(約1,200万円)に引き上げました。しかしこの機関の準備金は約55億ドル(約1兆6,500億円)にすぎず,一方,その「保証」している銀行預金は4,700億ドル(約141兆円)近くに達しています。少数の銀行が閉鎖されただけでも,この機関が破産してしまうことは明らかです。

      しかし銀行自体も現在の状態に対しては,かなりの責任があります。投資問題研究家のアレキサンダー・パリスは次のことを述べています。「戦後長い期間にわたって米国および世界で起きた金融界の質の低下には,銀行業界がすすんで一役買ってきた」。同氏の述べるところによれば,銀行業界の財政的な健全さは,「戦後の全期間を通じ,あらゆる点から見て質の低下の一途をたどってきた。そして最大限の利益の追求に走るあまり,昔は守られていた適正さの限界を大きく越えてしまった」。

      来るべき崩壊

      これは近い将来に銀行がだめになるということですか。しばらくの間はこのような事を阻止するため,政府の打つ手がいろいろあることを専門家は指摘しています。疑いなく,ある手段は一時的に助けとなることでしょう。

      政府が銀行にもっと多くの資金をそそぎ込むことも提案されています。しかしこれは負債をふやし,インフレを促進することになるでしょう。それは最終的な決算の日を延ばすだけであり,最後の結末をいっそう悪いものにするだけです。金融問題の一専門家はこう述べています,「これは解決策とはなり得ない。それは酔っぱらいの酔いをさますために酒を飲ませるようなものである」。

      政府は銀行のつぶれるような事態を許すわけがないと,多くの人は言います。しかしもしそうであるなら,事態が絶望的になるまで手を打てなかったのはなぜですか。政府に解決策があるなら,世界の経済は崩壊一歩手前にあるかわりに,とうの昔に安定し,確実であり,繁栄していたことでしょう。世界恐慌に見舞われた時にも,その何週間か前まで「政府」はそのような事が起こるはずはないと語っていたのです。

      西欧の「自由」経済においては,経済の動きはそれ自体の力によることがあり,いつでも制御できるわけではありません。これらの国々がすでに不況や危機に見舞われていることから,これは明らかです。この点についてワシントン大学の経済学教授ハイマン・ミンスキーは次のように述べています。

      「重大な金融危機の可能性は,1930年代以後のどの時期よりも今のほうが大きい。

      「従来の考え方からすれば,金融の崩壊と世界恐慌は,連邦準備金がある現在では起こり得ないし,また政府はそのような事態を阻止すると考えられている。

      「しかし今日の金融事情の下では政府はそれほど強力ではない。インフレを抑える政府の施策は金融危機を招くおそれがあり,また危機を未然に防ぎ,失業を埋め合わせる施策はインフレを促進する傾向がある。……

      「戦後の時期に安全のためのゆとりは著しく減少した。安全のためのゆとりが少ないと,金融界は安定しない。ひとつの倒産は多くの倒産を引き起こすことがある。一連の倒産それも特に金融機関の倒産は金融危機となる。……史上の世界恐慌は金融危機につづいて起きた」。

      他の経済学者は,このように二,三の大きな倒産が連鎖反応を引き起こすことを「ドミノ理論」と呼んでいます。ウォールストリート・ジャーナル誌はそれを次のように描写しています。

      「日常,実務に携わる活動家の中にも,最悪の事態を恐れていることをひそかに口にしている人さえいる……

      「その最も純粋な形におけるドミノ理論は,かなりの大きさの銀行ひとつの倒産が,その銀行と資金関係を持つ世界の他の多くの銀行を弱体化させ,恐慌的な大口預金の引出しを招いて,それらの銀行をも倒産させるというものである。

      「最初の倒産の引き金となるのは,投機による外国通貨の損失から大口融資先つまり石油輸入代金の支払いに四苦八苦している政府あるいはインフレで事業不振に陥った企業の債務不履行に至るまで,あらゆる種類のものである」。

      デュッセルドルフのドイツ銀行専務フランツ・ウールリッヒは,「このような時が遠い将来ではあり得ないという感にとらわれることが時々ある」と語っています。14年間イタリア銀行の総裁を勤めたガイド・カルリは次のように語りました。「世界がこの状態をいつまでも続けていくことはできない。我々が不況の結果を甘受しなければならない時がくる。それはイタリアのような弱い国が最初であり,ついで強い国々に波及するであろう。そして第二次世界大戦後に築かれた通貨および貿易制度は崩壊してしまうであろう」。金融問題の一専門家はニューヨークの一記者に,「古い体制の命脈はつきた」と語りました。

      それでウォールストリート・ジャーナル誌のレイ・ウィッカー記者は,「ゆえに人々がどんなにそれを求めようと,真に安全な場所はどこにもない」と結論しています。

      これは銀行に預金のある人はそれを引き出すほうがよいという事ですか。だれにしても人が自分個人の財政をどう運営するかは,自分で決めなければならない問題です。しかし他のどこに金を預けるにしても,今日どれほど安全でしょうか。総くずれになる場合,お金そのものが無価値になってしまうことが多いのを忘れないでください。

      近い将来に再び経済の崩壊するようなことがありますか。あります。しかもそれは決定的なものとなるでしょう。来るべきその崩壊の際には,どの国のお金も安全ではありません。銀行,金庫,貯金箱のいずれに入れてあろうと,投資してあろうと,たんすに秘蔵してあろうと,それは同じことです。

      どうしてそれは確かなのですか。なぜなら神のことばである聖書の預言は,お金を発行している政府自体が機能を失い,完全に滅びることを告げているからです。(ダニエル 2:44)事実,聖書によれば,利己主義の世が裁かれるとき,どんな貴金属も身の守りとはなりません。「彼等その銀を街にすてん其金はかれらに塵芥のごとくなるべしエホバの怒の日にはその金銀もかれらを救ふことあたはざるなり」― エゼキエル 7:19。ゼパニヤ 1:18。

      それは神の作る全く新しい秩序への道を開くものとなります。その新しい秩序においては,今日見られるように極端な貧困が極端な富と対照をなしているようなことはありません。深刻な不況と激しいインフレは過去のものとなるでしょう。全地の経済は,イエス・キリストが追随者に祈り求めることを教えた天の政府によって公正に管理されます。―マタイ 6:9,10。

  • 次のインフレへの懸念
    目ざめよ! 1975 | 9月8日
    • 次のインフレへの懸念

      多くの国で,物価の急騰はいくらか収まりました。とはいえ,インフレがより一層強力に抑制されない限り,次のインフレの波はすぐに押し寄せ,一層ひどい影響を与える恐れがあることをすでに示唆している経済学者もいます。米国ロサンゼルスのペパーディン大学の研究員デービッド・タークは次のように述べています。「世界経済が現在直面している最大の危険は,収まりつつあるインフレが……“許容できる”程度にまで落ち着くのを待ち切れず,我々が強力な拡大政策に転ずるという誘惑に屈してしまうことである……産業界が次のインフレを引き起こす前に現在のインフレを根絶しないなら,確かに崩壊の危険がある」。しかし,停滞している経済界に資金をつぎ込むため,現在でさえ多額の赤字予算を立てている政府があります。米国政府は,7月1日から始まった今会計年度のため,約700億㌦(約21兆円)の膨大な赤字予算を組んでいます。

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