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出発当初の人類に対する神の支配権ものみの塔 1973 | 2月1日
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に聞き従いました。彼は,「へび」は偽り者,神は真実なかたと証明する道を選びませんでした。反対に,自分の妻を喜ばせる道を選び,彼女の手から,禁じられた実を受け取りました。―創世 3:6,12,17。
人類は悪魔の支配下に入れられた
17,18 (イ)アダムはだれの支配を支持することを決定しましたか。そしてだれの側につきましたか。(ロ)使徒ヨハネはアダムの長子がだれの支配下にいたかをどのように分析していますか。
17 ここにおいて,神の支配権に対する地上の反抗が始まったのです。人間家族の地的なかしらアダムは,人間の自治を支持する決定をしました。同時に,自分ではその時気づいていなかったのかもしれませんが,別のあるものを支持する決定を彼は下していたのです。妻エバと同じく,口をきく「へび」を動かす背後の力であるサタン悪魔を,彼は肉眼で見ることはできませんでした。しかしそれにしても,彼が神の支配権に敵対するサタンの支配権を支持する決定をしていたことに変わりはありません。アダムとエバはその時から,神の支配権,神権支配に敵する,サタン悪魔の側につくことになりました。そのために,アダムとエバは喜びの楽園から追い出され,神ののろいの宿る外の地で家族を生み出すことになりました。彼らの長子カインは,神を恐れる弟アベルを殺害し,自分がだれの支配下にいるかを明らかにしました。(創世 3:17から4:16)この点を指摘しながら,使徒ヨハネは次のように書いています。
18 『われら互いに相愛すべきは汝らが初めより聞きし音信なり。カインにならうな,彼は悪しき者よりいでて己が兄弟を殺せり。何ゆえころしたるか,己が行ないは悪しく,その兄弟の行ないは正しかりしによる』― ヨハネ第一 3:11,12。
19 カインの場合と同じく,今日の人類は神の支配に服していないことをどのように示していますか。
19 これは神の支配権に逆らうことによりどんな重大な結果が生じるかを例証するものです。今日,兄弟が互いに殺し合う兄弟殺しが見られますか。それが非常な規模で見られること,特に世界戦争が起きるときには顕著に見られることをだれひとり否定できません。現代のこの世の知恵を身につけた知識人は,サタン悪魔はそのこととなんら関係がないと言うかもしれません。しかしわたしたちは,それら自説を頑固に主張する人たちよりも権威のある源から,より確かな知識を得ています。今日,兄弟を憎む者また兄弟を殺す者は,カインやアベルの時代と変わりなく,やはり同じ邪悪な者から出ています。ただ,地上の人間家族の第一世紀当時よりも,今日のほうがその数が多いというだけのことです。そうです,使徒ヨハネが兄弟に対する愛と憎しみについて先程のことばを記した,キリスト教史の一世紀当時より多くなっています。したがって今日人類は単に人間の支配下にいるだけでなく,自分にはわからなくても,同時にサタンの支配下にいるということを示す圧倒的な証拠があります。兄弟愛の欠如の増大は,人類が神の支配に服していないことを証明するものです。ヨハネ第一の書 4章8,16節には,『神は愛なり』と述べられています。
20 だれの時代に人類に対するサタンの支配はとぎれましたか。その時までどのような人たちが神の支配権を支持しましたか。
20 アダムとエバが神の支配権に敵する立場を取った日から今に至るまで,人類に対するサタンの支配のとぎれた時が,短期間ではありましたがただ一度だけあります。それは,アダムの家系の10代目の族長ノアの時代のことです。ノア以前には,忠実な殉教者アベルが,彼の崇拝した神の支配権を支持しました。アダムから7代目の預言者エノクも神の支配権を支持しました。エホバ神は明らかに,エノクが不敬虔な反対者によって殺されることがないようにと,奇跡的に彼を地上から取り去られました。それは彼がちょうど365歳のときのことでした。(創世 5:18-24。ヘブル 11:4,5。ユダ 14,15)ノアがだれの支配権を支持したかは,創世記 6章9節の記録から明らかです。こう書かれてあります。『ノアの伝はこれなり ノアは正しき人にてその世の完全き者なりきノア神とともに歩めり』。
21 (イ)イエスのどの預言に照らしてノアの時代に存在した状況を調べてみるのはよいことですか。(ロ)創世記の記録は,ノアの洪水前の時代に神の支配権が認められていなかったことをどのように示していますか。
21 ノアの時代の世界情勢が,彼が600歳になるまでにどのように展開していったかを今日調べてみるのは有益なことです。なぜですか。なぜなら,「事物の体制の終結」における世界情勢についての預言の中で,イエス・キリストは次のような意義深い説明をされたからです。『ノアの時のごとく人の子の来たるもしかあるべし。かつて洪水の前…人々は…洪水の来たりてことごとく滅ぼすまでは知らざりき,人の子の来たるもしかあるべし』。(マタイ 24:3,37-39)洪水以前の当時行なわれていた食べたり,飲んだり,結婚したりすることのほかにも,神が全地を襲う洪水をもたらさなければならない事態が存在していました。それは創世記 6章11,13節に述べられている事柄で,そこにはこう記されています。『時に世神のまえに乱れて暴虐世にみちたりき 神ノアに言いたまいけるはすべての人の終りわが前に近づけり そは彼らのために暴虐世にみつればなり 視よ我彼らを世とともにほろぼさん』。このことから,神の支配権が認められていなかったことは明りょうです。
22,23 (イ)洪水前の時代に,サタンの支配は女を『とつがせなど』したことと関連してどのようにその力を増し加えましたか。(ロ)天使と人間の結婚から生まれたネピリムが,人類にとって道徳的に助けとならなかったことは何から明らかですか。
22 洪水前の時代に,人間家族に対するサタンの支配は力を増し加えることになりました。どのようにしてですか。イエスは,ノアの時代に触れたさい,『とつがせなどし』と述べておられます。(マタイ 24:38)当時とついだ女の中には,創世記 6章4節で『神の子たち』と呼ばれている者たちの妻になったものが多くいました。その者たちは,かつてサタン悪魔がそうであったように,天的な「神の子」でしたが,結婚の相手になる,人のむすめの『美しさ』のゆえに,地上に下ってそこに住むよう誘惑されました。
23 そこで,それら天的な『神の子たち』は,化肉して人間の姿を取り,『その好む所の者を取って妻としました』。おのおの二人以上の妻をめとったことでしょう。そうした天使と人間の結婚から生まれた子孫の中には,聖書がネピリムと呼ぶ者たちがいました。それは,「打ち倒すもの」,すなわち,だれかを,または何かを,力ずくで倒す者という意味を持ちます。彼らは『勇士にして古昔の名声ある』者でした。(創世 6:1-4)それら混種のネピリム,あるいは打ち倒すものが,純粋な人種にとって少しも道徳的な助けとならなかったのは明らかです。なぜなら,聖書はその後の状態について,地は乱れ,暴虐が満ちたと告げているからです。これは明らかに,『神の子たち』である天使が,性的な満足を得るために「人の女子」と結婚することにより,罪深い行動をしていたことを証明するものです。
24 (イ)それらの結婚した『神の子たち』は罪を犯しましたか。だれの側につきましたか。(ロ)洪水の時,ネピリムはどうなりましたか。結婚した『神の子たち』はどうすることを余儀なくされましたか。
24 それら神の天の子たちが,目に見えない霊的な身分,また天界の神の奉仕における自分たち固有の住みかを去ることにより罪を犯したことは,聖書に明確に述べられています。(ペテロ前 3:19,20。ペテロ後 2:4,5。ユダ 6)そういうことをした彼らは疑いなく,天においても地においても,神の支配権に反対するものでありました。つまり,サタンの支配の側に,その下にいたのです。彼らの混種の子孫ネピリムは,世界的な洪水のさい生き残りませんでした。そのうちのひとりとして,ノアと彼の三人の息子の作った大きな箱舟には入れられませんでした。母親が人間であったために自らも人間であった彼らは,地の親族とともに洪水でおぼれ死にました。彼らの父である天使たちは自らを非物質化し,不承不承,やむなく天の領域に消えて行きました。そこで彼らはサタン悪魔を自分たちの支配者として,彼に加わることを余儀なくされたのです。
25 サタンの支配はどのように中断しましたか。人類は何のもとで新たに出発しましたか。
25 この世界的な洪水は,人間家族に対するサタンの支配を中断しました。大洪水の間箱舟の中にいた,ノアとその妻,彼の三人の息子と三人の義理の娘は,みな神の支配権を支持しました。彼らは全地をおおった大洪水を生き残りましたが,神の支配権に反対した人たちはことごとく洪水ででき死しました。その結果,ノアと,彼とともに生き残った者たちが箱舟を出て,清められた地を踏んだとき,人間家族は再び神の支配権の下にあったことになります。その証拠に,エホバ神は神聖なる支配者としてノアとその家族に,エデンでアダムとエバに告げたこと,すなわち,明示された神の特定の律法に従って地を自分たちの子孫で満たすよう命令しました。(創世 6:13から9:7)こうして人類は,神の支配権の下に二度目の出発をしたのです。
26 神が今日の地の状態に,より大きな関心を当然示すべきであるのはなぜですか。神がこれに対して,ノアの時代と同様に,何かをなさるかどうか,わたしたちはどのように知ることができますか。
26 地が乱れ,暴虐の満ちた,洪水前のノアの時代の状態が聖書に記されなければならなかったのであれば,この20世紀におけるより大規模な地の乱れ,より広範に及ぶ暴虐は当然言及されなければならないはずです。創造者なる神は,ノアの時代よりはるかに深刻な現代の世界情勢に対し,ノアの時代ほどには関心を示されないでしょうか。一貫性という規準に照らしていうならば,神は現代の情勢に対しはるかに深い関心を示すべきであり,天と地の創造者として何かの手段を講じなければなりません。神の忠実なみ子イエス・キリストは,神がそうすることを預言しました。
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真実の希望を指し示す司祭たちものみの塔 1973 | 2月1日
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真実の希望を指し示す司祭たち
● 二人のカトリック教会の司祭は,エホバの証人たちがすばらしいわざを行なっていると感じ,証人たちと聖書を研究するよう,自分の教会の教会員に別々の時に勧めました。あなたはそうした区域で奉仕したいと思われますか。ニカラグアのある村のこと,一婦人は夫をなくして間もなく,心を取乱しながら,司祭から慰めと希望を乞い求めました。そしてその司祭はまちがいなく彼女に希望を与えました。司祭はその婦人に,ものみの塔聖書冊子協会発行の「失楽園から復楽園まで」と題する書籍と「新世界訳聖書」を手渡し,これらの本には彼女が必要としている真実の希望が書かれていると言いました。―「1972年のエホバの証人の年鑑」(英文)から。
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