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勇気を得よ ― 神の御国は近し!ものみの塔 1963 | 1月1日
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来られ,この世が「終りの時」にはいったことを示す証拠のひとつとして成就すると,イエスの言われた預言です。すなわち「この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」― マタイ 24:14,新口。ダニエル 12:4。
51 (イ)なぜ伝道のわざを一人でする必要はありませんか。(ロ)その人々と交わることはなぜ必要ですか。それはヘブル書のどんなさとしに従うことですか。
51 御国の伝道をするのは,あなた一人ではありません。全世界187の国々で150以上の言語を用いて,大ぜいのエホバの証者が活発にこの伝道をしています。彼らは「万軍のエホバ」を避け所,力,助けとしました。いま勇気を得るには,一緒に神の言葉を学んで,その持つ勇気を吸収するため,エホバの御国証者と交わることが必要です。このことについて,聖書の時宜を得たさとしに従いなさい,「愛と善行とを励むように互に努め……集会をやめることはしないで互に励まし,かの日が近づいているのを見て,ますます,そうしようではないか」― ヘブル 10:24,25,新口。
52 (イ)前途にある新しい世のことを考えるとき,なぜ今クリスチャンの勇気をつちかうことが必要ですか。(ロ)勇気のある人々は,ハルマゲドンのあいだ,何を経験しますか。
52 すべての証拠に照らしてみるとき,「かの日」は近づいています! ですから勇気,クリスチャンの勇気をつちかうため,積極的にあらゆる手段を講じて下さい。キリストと同じ勇気を持つ人々だけが,間もなく世界を滅ぼすハルマゲドンを通り抜けることでしょう。世に従う臆病な人々はその宇宙的な戦争に生き残りません。そのような人々は今日,神の側におらず,神の御子,王イエス・キリストの側にもいないからです。正義の宿る神の新しい世は,臆病者のはいる世界ではありません。聖書はそのことを明白に述べています。(黙示 21:8)二つの世界を代表する勢力間の決定的な戦いハルマゲドンにおいても,勇気のある人々は神の御国に忠実を保ち,御国がサタンの古い世に対する大勝利を得て,正義の新しい世をもたらすまで御国の伝道を決してやめないでしょう。これらの勇気ある人々は神から保護され,戦いを通り抜けてキリストによる神の勝利の御国の下,約束された新しい世にはいるでしょう。聖書のすすめにいま従うのは全く当を得たことです。勇気を出しなさい! 神の国は近づいたからです!
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神の目的をさしとめる事はできないものみの塔 1963 | 1月1日
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神の目的をさしとめる事はできない
あらゆる被造物のうち,エホバの目的が遂行されるのを,拒む事が出来るものはありません。「かくわが口よりいづる言もむなしくは我にかへらず,わが喜ぶところを成し,わが命じおくりし事をはたさん」。―イザヤ 55:11。
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神の目的とエホバの証者(その53)ものみの塔 1963 | 1月1日
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神の目的とエホバの証者(その53)
「『あなたがたは私の証者です』とエホバは言われる。」― イザヤ 43:10,新世訳
その頃,神とクリスチャンに敵対するデュプレシス一味の決定的敗北を招く一因になった別の事件が起きました。
婦人の奉仕者ルイス・ラムは,1946年12月7日,ケベック州バーダンにおいて,州警察官パウロ・ベノアの手で逮捕されました。ベノアは,「ケベックの燃える憎しみ」と題する文書を配布しているエホバの証者を逮捕するように命ぜられていたのです。ラム姉妹はこのパンフレットを持っていませんでしたが,彼は横暴きわまる仕方でこの姉妹を逮捕しました。
逮捕されたのは土曜日でしたが,彼女は逮捕の理由も明らかにされないまま,友人や弁護士を呼ぶことも許されずに,月曜日まで拘置されました。写真や指紋をとられたうえ,犯罪者のように取り扱われました。警察署の留置場は不潔で,病気の売春婦と同じ独房に入れられ,便所も同じでした。
このひどい取扱を受けてのち,この貞淑な若い女性は,月曜日にベノアから「良い知らせ」があると言われ,釈放されると告げられました。しかし一つの用件があります。このようなひどい場所に3日間も不法監禁したことに対して彼を訴えないことを誓約する一文を入れるようにと,いうのです。そうしなければ刑事犯として告訴すると言われました。一人ぼっちで,強く圧迫された状態におかれていましたが,ラム姉妹は正しい原則を固く守り,誓約書に署名することを拒絶しました。ベノアは刑法の罪状で彼女を告訴しましたが,法廷はただちにこれを却下しました。
不法逮捕と悪意による告発に対し,ベノアを相手どって訴訟が起こされ,事件はケベック州の最高裁判所および州の控訴院にまで提出されましたが,両方の法廷とも,手続上の問題で訴えを却下しました。そこで事件はカナダ最高裁判所に持ち出され,エホバの証者に加えられた不法行為はカナダの最高法廷において裁かれることになりました。a
この事件は,モントリオールの兄弟が個人的な損害を蒙むったことに対し,デュプレシスを相手どって起こした訴訟と時を同じくして最高裁判所に提出され,その結末は全カナダの注目の的となりました。これは最高裁判所自体の試金石となる事件でした。一人は最高の地位を持ち,一人は下級の役人が二人とも,悪意を以て職権を濫用し,市民に損害を与えた罪を問われたのです。ケベック警察は不法逮捕に対して罰を免れるでしょうか。ケベック州で最大の権力を持つ政治家である,ごうまんな首相と検事総長は,「我は法なり」と豪語することを許されるでしょうか。
事態はカナダの歴史上類のないものであり,最高裁判所は1959年1月27日,二つの記念すべき判決を下したことにより,カナダにおいて正義の行なわれることを明白に示しました。新聞は大見出しをかかげて,うむことを知らないエホバの証者の勝利を国中に伝えました,「最高裁,デュプレシスの有罪を宣告」「デュプレシス,宗教に敗る」「デュプレシスに賠償を命ず」。デュプレシスは,保釈金を出したモントリオールの証者に利子,訴訟費用のほか3万3123ドルを支払うように命ぜられました。モントリオール・スター紙によれば,訴訟費用と利子は2万ドルから3万ドルと見積られていました。b それでデュプレシスは,その卑劣なカトリックの行動に対して5万ドル近くを支払う破目になりました。彼の州警察官パウロ・ベノアは婦人の証者を不法に逮捕したことに対し2500ドルと利子,訴訟費用の支払を命ぜられました。
デュプレシスの敗北はラジオとテレビによっても伝えられ,この大勝利は,デュプレシスの強圧手段を是認しない,自由を愛するカナダ人に喜びを以て迎えられました。彼が低くされたことを人々は喜び,また新聞記者や漫画家は,最高裁判所から公の叱責を受けて,威厳をなくしたデュプレシスのことを書き立てました。
これはトロントのテレグラム紙の社説です,
カナダ最高裁判所がデュプレシス首相に下した判決は,控訴人の勝利というよりは,権威の濫用から個人の権利を守ることが保証されたという点に意義がある。………地位,権力にかかわりなく,何人も個人に対して,たとえどんなに低い地位の個人であろうと,不公正な仕打ちをすることは許されない。いかなる権威もそれを濫用して個人の権利を侵害するのは許されない事である。権威を持つ者も法律の前では特別の恩恵を示されず,その行いに対して責任を問われる。これは最も低い人が,自分の正しさのゆえに権威に勝ったという輝かしい正義を示す。c
トロントのデイリー・スター紙は次の論評をかかげました,
デュプレシス,ケベック首相は,事実上「我は法なり」と言ったが,カナダ最高裁判所の判決はその間違いを示した。最高裁はデュプレシス氏や他の政治家がカナダ市民とその権利をふみにじることを許さないであろう。d
オッタワ・シチズン紙は,デュプレシスの横暴に対し,エホバの証者が自由のために戦って成功したことを,次のように回顧しています,
多くのカナダ人にとって,それは正義の勝利と受け取られるであろう……自分の是認しない意見を抑圧するデュプレシス氏の法律は,打ちこわされてきた。1950年,バウシャー事件において,カナダ最高裁判所は,エホバの証者のパンフレットを「扇動的誹毀」ときめつけたケベックの主張をしりぞけ,1953年には,ソーマー事件において,エホバの証者の文書配布をさしとめるために用いられたケベック市条令を,ケベックの崇拝の自由に関する法律に違反するものと裁定した。……〔デュプレシスは〕法廷における敗北によって抑制されても,政府の性格がこのようなものである限り,ケベックにおける市民の自由はおぼつかないものだ。e
さてこの二つの判決によって法の原則が確立され,官憲によって少数者の権利が不当にふみにじられたり,圧迫される風潮は,おさえられました。エホバの証者はカトリックのケベックで激しく戦ってきましたが,戦いは終っていません。しかしエホバの過分の御親切によって,真理と清い崇拝の道は,善意者のために大きく開かれ,神とキリストと自由を憎むケベックの者たちは意外の敗北をこうむりました。
第32章 伝道と印刷の面に表われた神権の拡大
トム: カナダのエホバの証者の忍耐が報われたことについて,先週ロイスさんのお話を聞くうち,あなたが2週間前,1942年のオハイオ州クリーブランド大会について言われたことを思い出しました。
ジヨン: それでこの前,1942年の「ものみの塔」を借りにいらしたのですね。何か参考になりましたか。
トム: 基調をなす話は,大会報告中の「進め」の言葉によって言い表わされていると言われましたね。「唯一の光」と題するその話から一,二の節を読んでみてもよいですか。
ジヨン: どうぞ。
トム〔読む〕
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