を浮かべたり，元気よくあいさつをするだけで，ゆううつな気分の人には想像以上の効果をもたらします。神のことばに対する信仰に基づいた人を建て起こす話をすれば，もっと効果的です。パウロはローマの兄弟たちに会うことを切望し，そのわけを次のように言いました。「あなたがたの間に激励の交換があるようにするためです。他の者の信仰，[つまり]あなたがたのとわたしのの双方を通じひとりひとりによってです」。―ロマ 1:11，12，新。

このことは，クリスチャンが社交的な集まりで互いに交わるさい留意すべき事柄です。そうした交わりにおける会話の内容が人を建て起こす神のことばに多く基づいているならば，それを知るだけで全員が励まされるでしょう。野外宣教での興味深い経験を話したり，自分がエホバの証人になったいきさつを述べたり，新たに学んだ教理上のすばらしい点を討議してはいかがですか。こうした面で何らかの貢献をすれば，その晩を報い豊かなものにするのを助けることができます。

人々の励みとなる別の方法は，注意深い聞き手になることです。

人はしばしば，ぜひだれかに話を聞いてもらいたいと感じることがあります。心を打ち明ければ，気持ちがずっと楽になるからです。同様に注意深く耳を傾けることにより，聖書に関係した公開講演をする奉仕者を励ませます。あまり話がじょうずでない講演者は，あなたが一心に注意を傾けてくれればくれるほど励まされるものです。

とりわけ頭の特権を持つ人々すべては，自分に従う人に対して励みとなる機会をもっています。服従することは必ずしも容易ではなく，時として大きな欲求不満を起こさせることがあります。そのために従業員や妻また子どもたちは，しばしば消極的な感情に負けてしまうかもしれません。その時こそ，そうした感情に目ざとく気づき，その人本来の人がらに対してだけでなく，その能力に対しても誠実な感謝の気持ちをしばしば言い表わし，その人の気分を転換させる良い機会です。

励みとなるための助け

真に励みとなるには思いと心の双方が関係します。他の人々がどのように考えたり感じたりするか，また自分がそうした人々にどのように励みとなれるかを理解するのに助けとなるのは感情移入です。それによってその人の立場に自分を置くことができるからです。

無私の愛はそうした感情移入の動機付けとなります。無私の愛があれば，援助の手を差し伸べたり，励ましのことばをかける機会にすぐ気づくようになります。クリスチャン愛があれば，「互に勧めて各自の徳を建つべし」という助言に注意を促されるでしょう。―テサロニケ前 5:11，新。

では人々の励みとなることの報いは何ですか。あなた自身が励まされることです。箴言の次のことばは真実だからです。「人を[励ましをもってするように]潤ほす者は[それによって]また利潤をうく」― 箴言 11:25。

初期クリスチャンが迫害された理由

● ローマの歴史がイエス･キリストの初期の追随者たちの血で染まっているのはなぜか。フィリップ･シャッフは自著「キリスト教会の歴史」の中でこの問いに答えている。

「クリスチャンは神にささぐべき栄誉を皇帝やその像にささげたり，公の祝祭における偶像崇拝の儀式に参加したりすることを良心的に拒み，ローマ帝国の兵役を忌み嫌い政治に関心を示さず，人間の霊的かつ恒久の福祉に比して公民的かつ一時的なすべての事柄を重視せずに，親密な兄弟愛をもって一致し，集会にしげしげ出席したため，カイザルとローマ市民に対して敵意をいだいているとの疑いを招いた」。

確かに初期クリスチャンは，迫害される理由となったそうした事柄に関して，「支配者として人間より神に従」っていたゆえに，「憎しみの的」とされたのである。―マルコ 13:13，使行 5:29，新。