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クレタ島のブドウ収穫期目ざめよ! 1978 | 10月8日
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ブドウの葉でミンスミートやご飯を包むとおいしいごちそうができます。
村人は,ブドウを踏みつけて絞り汁を取ったあとのかすまで利用します。このかすは,家畜の飼料や肥料として使われます。しかし,これは,収穫期のもう一つの楽しい集まりでも用いられます。10月か11月に,お祭り気分の中で,この絞りかすの“煮出し”が行なわれるのです。
農民は,村のはずれで,昔から伝わるこの煮出しを行ないます。大きな石で急ごしらえの炉を作り,絞りかすをいっぱいに入れた釜をかけて,これを煮出すのです。村人は,日が暮れると,炉に火を付けてその周囲に集まり,秋の夜の冷気の中で暖を取ります。
あちこちで,おもしろおかしい冗談や楽しげな話し声が聞こえます。武勇伝や冒険物語などの作り話が若者の想像力をかき立て,子供たちは近くに座って聞き耳を立てています。おなかがすくと,炉にくべた炭火の上で丸焼きにしたおいしいジャガイモを食べます。しかし,夜になると,男たちには,釜でできる最初の抽出液を味わう楽しみがあります。これはとても強いお酒で,ツィクディアと呼ばれます。
このように,苦しい労働と努力と村民相互の協同作業の一年は,こうした祭りによって最高潮に達します。このようにするには,作業を1月から開始しなければなりません。せんていし,古い芽を切り取り,さらに多くの実を結ぶ新しい芽が生えるようにします。続いて,畑を掘り起こしたり,ハローで耕したり,くわで掘ったりする作業が,ブドウが花を付ける3月まで行なわれます。
後になって実が付くと,その先の茎を切り落として,養分を無駄にすることなく,良い実が成るように手入れをします。一方,水をやったり,肥料を施したり,亜硫酸ガスを添加したり,殺虫剤をまいたり,つるを格子だなにはわせたりする仕事も行なわねばなりません。
開花時の降霜など,天候によってはブドウに大きな被害の出る恐れがあります。また,種々の病害やイナゴ,ハチなどに対しても警戒を怠ることができません。
しかし,いっしょうけんめい働いてブドウの世話をした人は,その働きが熟したブドウの実という形で報われ,収穫期に村全体が陽気な気分に浸っているのを見る時,それだけの努力を払う価値のあったことを知ります。
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苦悩の色濃い大海目ざめよ! 1978 | 10月8日
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苦悩の色濃い大海
地中海に関連した汚染防止協定を作成するため,最近,17か国の代表団がモンテカルロで会合を開いた。水中探険家のジャック・クストーはその代表団に対し,海魚が小さくなっていること,また以前は主に海岸地帯に限られていた汚染が,今や沖合でも問題になっていることを明らかにした。トゥー・ザ・ポイント・インターナショナル誌はこう述べている。「科学者の調査結果では,魚には極めて多量の水銀が含まれているため,アドリア海の何人かの漁師の体内には猫一匹殺せる位の水銀が蓄積されている。さらに地中海産の魚を一週間に2.5㌔ずつ摂取するなら約20年後に間違いなく死亡する」。主要な問題の一つは,地中海沿岸の100を超す都市が,未処理の汚水を海に流し込んでいることである。数多くの工場が有毒な化学薬品を同様の方法で廃棄している。その結果,「地中海で泳ぐ人の七人に一人は何かの病気を拾ってくると考えられる」といわれている。
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