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かわいた土地に隠された水目ざめよ! 1970 | 5月22日
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が含まれているからである。しかし家畜の飲料水としては貴重な存在で,実際のところ,オーストラリアの羊の約20パーセントは完全に,または一部をこの地下水にたよっていると言われる。
大鑽井盆地の炭酸ナトリウム含有量は,1ガロンにつき20グレンから120グレンである。しかし牛は1ガロンにつき1,000グレン,羊は1,350グレンかそれ以上含まれていてもよく育つから,地下水に含まれている鉱物質は家畜にとっては問題とならない。
地下水は,地上に掘ったみぞを通して,望みの場所に送られる。なかには,多数の牧畜業者に地下水を供給する井戸もある。ひとつの井戸に端を発する一番長いみぞは,クインズランド州ボロンの近くにあるワイルド・ホース井戸から出ているもので,180キロ余におよぶ。この自噴井の1日の水出量は約300万リットル余である。以前とちがって最近の自噴井は,水を使わない場合には,水の噴出を押え,自噴を完全にとめてしまうようになっている。こうして地下水を保存し,その圧力を保持しようというわけである。
いつまでもつか
興味深いことに,これらの吹き井戸の噴出量は1914年までは増す一方で,当時は1日に最高約13億リットルの地下水が地上に噴出していた。しかし1914年から噴出量は徐々に低下しはじめ,それ以来,何千という井戸が掘られたにもかかわらず,地下水の総噴出量は現在の水量にまで低下した。大鑽井盆地の現在の噴出量は1日に約7億5,000万リットルとされている。
どうしてこんなに低下したのだろうか。多数の井戸が掘られて大量の地下水が放出され,それとともに水圧が大幅に低下したからである。また,多孔性の岩層を透過して帯水層にはいってくる水量が,吹き井戸から噴出する水量より少ないのである。こうして噴出量は徐々に減少している。
大鑽井盆地で過去60年にわたり生じてきたことは,庭に水をやる注水ホースを使う時に起こることと比較できるかもしれない。ホースの口を指でふさぐと,水圧と水量がホースの中で増すために,指をはずすと水が勢いよく吹き出る。しかし,水量は,また減少し,ホースからは一定量の水が流れるようになる。指を離してから一定した流量にまで減少する時間はほんの二,三秒であるが,大鑽井盆地の場合はこの減少が何年にもわたり,徐々に進行してきたのである。そして現在も減少をつづけている。
一部の牧畜業者は地下水がついには枯渇してしまうのではないかと憂慮している。しかし渇れる心配はないようである。この地下の帯水層は,1日平均,約4億9,000万リットルの水を得ているので,吸い込まれる水と,出ていく水の量が等しくなるまで噴出量は減少するとみられている。
そういうわけで,牧畜業者は向こう何年間も水の心配はいらないようだ。まったくこの広大な鑽井盆地はなんと不思議な土地であろう。ここオーストラリアの地下水は,たしかに,乾燥した土地のための隠された水と言えよう。
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真理を学ぶかつての修道女目ざめよ! 1970 | 5月22日
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真理を学ぶかつての修道女
● マルタ島の人々と親しくなるには,偶然の機会をとらえて真理を証言するという方法があります。エホバの証人で,この島を巡回しながら奉仕する責任を持つ人は,奉仕者たちが羊のような性質の人々に会えるよう,祈りの中で神の導きを願い求めることの大切さを強調しました。奉仕を始めたばかりのある熱心な伝道者は,それを実行しました。その後まもなく,ショッピング・センターで,見知らぬ人がこの伝道者に近づき,つぎのように話しかけました。「わたしはこれまでに何度もあなたをお見かけしましたが,いつも落ち着いていらしって幸福そうです。心が平安である証拠ですね。こんな時代に,よくそうしていられますね。わたしにその理由を教えていただけませんか」。この人は,かつて修道女でしたが,数年間修道院で過ごした後,そこに見られる不誠実さが堪えられなくて修道院を出たことがわかりました。
伝道者はただちに,自分のいだいている「希望の理由」を話しました。「とこしえの命に導く真理」と題する手引きを使って聖書研究が始まり,良い結果が生まれています。この人は英語が読めず,しかもマルタ語の聖書の手引きが入手できないので,思うように速くは進歩しませんが,エホバの証人のすべての集会に定期的に出席しています。
― エホバの証人の1970年度年鑑より
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