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  • あなたは政府に何を望みますか
    ものみの塔 1973 | 1月1日
    • が同じく健康でないかぎり完全とは言えません。そして,はちきれるような健康,平和また自由を享受している人は,だれひとりとして死にたいとは思いません。したがって,曇ることのない真の幸福のためには,死の恐怖が取り除かれねばなりません。しかしどの政府がそれをなしえますか。どの政府が,民のために,命をささえる確実な物質的備えを設け,同時にその精神的,霊的な必要を満たすことができますか。いったいそうした可能性があるのでしょうか。

      民が望み,かつ基本的に必要とする物事をすべて,またその大部分でもよいから提供しうる政府があるのでしょうか。願わしい状態をもたらしうる愛や協力の精神を民のうちに浸透させる政府があるのでしょうか。あるいは,その目標に向かって進歩がなされていると信ずる理由があるのでしょうか。今日に至るまでの人間の支配に関する記録は何を示していますか。

  • 人間による支配に関する記録
    ものみの塔 1973 | 1月1日
    • 人間による支配に関する記録

      人間の考え出しうる政府形態で,まだ試みられていないものがあるでしょうか。現代の諸政府は大部分,「政治学」の産物です。これは,人間が自分を支配する努力の面でくり返した試行錯誤に関する学問で,最も成功の可能性の多い方法を政治に取り入れることを目的としています。

      したがって少なくとも人びとの必要を満たし,人びとが欲するものを提供するなんらかの政府があってしかるべきです。そのような政府がありますか。人間による支配に関する現代の記録は何を示していますか。

      世界政府を求める訴え

      1972年5月21日,日曜日付のニューヨーク・タイムズ紙は,32か国の著名な市民からなるグループの宣言を1ページ全部の紙面をさいて掲載しました。宣言文には,「最初の地球市民」の署名があり,表題は「人間宣言」となっていますが,これは最も願わしい物事をもたらそうとして人間の支配が現在までに払った努力に対する告発状でした。それは次のような強固な主張を掲げています。

      「地球上の人命は危険にさらされている。

      「それは,人間の環境を粉砕する戦争によって危険にさらされている。

      「それは,正常な生活の見込みを破壊し,あるいは薄くする戦争の準備のために危険にさらされている。

      「それは,人権が否定されるために危険にさらされている。

      「それは空気が汚染され,水と土壌が毒されているために危険にさらされている。

      「それは,無制限の人口増加のために危険にさらされている」。

      それで,その宣言文はどんな結論を掲げていましたか。国連を支持するためさらに人間の努力を重ねようとの訴えに表明されていました。

      しかし,人間による支配に関する記録は,国連に信頼を置くことが正しいとするでしょうか。

      戦争

      『戦争による危険』について記録は何を示していますか。人間の支配は,平和を達成する方向へ進歩したでしょうか。

      「ウェスタン・プロデューサー」の報告にあるように,ノルウェー科学学会は,調べられるかぎり歴史をさかのぼって戦争のひん度数ときびしさについての計算をまとめました。それによると次のとおりです。「西暦前650年以来,1656の軍備競争が行なわれ,戦争に至らなかったのはそのうちのわずか16である。残りは,関係諸国に経済的破局をもたらした」。

      国連の歴史が始まって25年たったとき,その記録に関する評価がなされました。1970年10月18日付のフィラデルフィア・サンデーブレチン紙は,当時国連の事務総長だったウ・タントの次のことばを引用しました。

      「私がたいへん心配していることは,人間は月に到達したとはいえ,ここ地上で直面する重大な問題に対処するだんになると,わたしたちはしばしば,信じがたいほどの近視眼的利己主義,自己満足,無関心さを示すことである」。

      また,カナダの当時の首相レスター・P・ピアソンは,平和に対する国連の努力の成果を次のようにまとめました。「平和は水素爆弾という物騒なものを基礎としている。国連が,平和のよりどころとして,それにまさるものを見いだしていないのは悲しいことである」。

      すると,現実的に考えて,人間による支配は,いつの日か平和をもたらすであろうとの希望を正当化する何ものかを提供しているでしょうか。

      汚染

      戦争に劣らず深刻な危機に面しているのは,汚染の問題です。汚染との戦いのどの面をとっても山のような問題がありますが,その一つの見本として,ごみの現状を考えてみてください。リーダーズ・ダイジェスト誌は,1972年3月号のナショナル・シビック・レビュー誌を要約した記事の中で,「ごみの問題はいったいどれほど深刻なのか」という質問に対する,固形廃棄物処理についてのアメリカの指導的権威者20人以上の答えを引用しています。それは次のような事実を明らかにしています。

      「われわれが捨てる固形廃棄物の量は,膨大なものである。―あきかん800億個,びん380億本,紙やだんボール類4,000万トン,古タイヤ1億8,000万個家庭用大型器具2,100万点,廃車700万台。現在の処理費は年間45億ドル(約1兆3,500万円)で,この額は次の世代までに2倍になりかねない」。

      たぶん,最も危険なのは川に捨てられる廃棄物でしょう。アメリカ科学学会はこう警告しています。「われわれは,1980年までに,アメリカの22の河川すべての酸素を全部消費するに足る,大量の浮遊廃棄物を生み出していることだろう」。

      この問題は単に一国だけに限られているでしょうか。1971年12月1日付「エディトリアル・リサーチ・リポート誌」は次のように警告しています。

      「[1972年6月ストックホルムで開かれた]国連の会議にとって,また世界的な汚染をはばむためのその後の試みにとって大きな問題は,環境の実状に気づくのが遅すぎて,事態を大きく改善するには手おくれではないか,ということである。人間は実際に,あとに引くこともできない所まできてしまったのだろうか。現在の危機を前にして,世界的な協力を確保するのに必要なむずかしい政治的決定を各国はなしうるだろうか。全世界的な努力以外には何ら意味をなさないように思える。世界の生態系は1つである。したがって,1国の力では環境を浄化することは不可能である。工業汚染物や殺虫剤が大気に運ばれて全地に拡散される。ほとんどすべての国際航路は汚染されている」。

      この記録を読んで,あなたは人間による支配に信頼を置くように励まされたり,鼓舞されたりするでしょうか。

      犯罪

      犯罪は,どの政府もとどめ得ないでいるもう一つの破壊的要因です。事実,このがんのような病毒は,驚くべき割合で全世界に広がっています。犯罪が,政治に張り合う地下政治になっていると言いうるような国もあります。犯罪は,「世界的伝染病」または「国際的悲劇」と呼ばれています。

      世界で最も裕福な国であるアメリカで,犯罪は非常にはびこっています。国家の損失は現在,年間511億ドル(約15兆7,000億円)で,国民総生産1兆ドルの5%以上に当たります。しかも犯罪は「ギャング」のような人びとに限られているのではなく,膨大な額(年間80億ドル)に上る盗みが,重役や信頼されている従業員によって行なわれています。

      しかしほんとうに恐怖の念を催させるのは,暴力犯罪と財産に対する犯罪です。アメリカの都市の街路を歩くことは段々危険になっており,調査結果によると,そうした犯罪の危険はほとんど至る所で増加しています。

      アメリカ連邦警察局の統計によると,同国では犯罪が人口の11倍の速さで増加しました。凶悪犯罪(殺人・強姦・強盗・暴行・夜盗罪・自動車の盗難・窃盗罪[50ドル以上の])は,1960年の201万4,600件,1969年の498万9,700件へと148%増加しました。

      道路で襲われる心配のないことで長い間有名だったロンドンで,暴行や強盗また追いはぎがふえているため,英国人もだんだん警戒するようになっています。犯罪のおそれが広まっているため,地下(地下鉄)に警官隊が配備されるようになりました。「バーミンガムの夜は安全ではない」とある警察官は語りました。大ブリテン島における凶悪犯罪は,1966年の2万6,000件から,1970年には4万1,000件に増加しました。他の国々も同様な事態に直面しています。

      こうした諸問題が解決されるどんなしるしを,あなたは人間による支配から期待されますか。

      麻薬の問題

      麻薬の乱用は,「アメリカ史上最悪の病である」と言われており,他の国々においても同じような状態が急速に広がりつつあります。それは,犯罪の急激な増加率を生み出すおもな要因となってきました。自分の娘が麻薬の犠牲者となった,ラジオまたテレビで有名なアート・リンクレターは,1971年9月14日,ニューヨーク市における国連の特別の聴衆を前に,政府がこの問題に対して行動を起こすよう強く訴えました。彼の演説は,人びとの必要また望みや願いをかなえるのに,政府がある面で失敗したことをきわめて明りょうにしました。リンクレター氏はこう質問しました。

      「空虚で,耐えられないほど苦痛の生活が人びとを麻薬に追いやるのであれば,わたしたちはその生活をどのようにして変えるのでしょうか。世界にはなぜこれほど自殺が多いのでしょうか。個人的な危機に陥り,それに立向かうことも,その危機を解決することも克服することもできない人がこれほど多いのはなぜですか。麻薬の乱用がこれほどひんぱんに悲劇の一部をなしているのはなぜですか」。

      リンクレター氏は訴えの結論の部分で,人間の支配がその目標を誤った方向に向けたことを指摘して,こう言いました。

      「人間家族のために,国連は,困っている人たちに援助の手を差し伸べなければなりません。わたしたちの世界は,大論争で分裂していますが,子どもたちがだめになってしまうのでしたら,その成果は意味をなしません。科学者は天に行く道を図示してくれますが,苦痛の世界をあとにするなら,その旅をする必要はありません。

      栄養不良

      国際復興開発銀行の会長ロバート・S・マクナマラの表わした世界の栄養不良の実状を見る人は,幸福の必須要素を人類にもたらす点で人間による支配がいかに無能であるかをさとらされるはずです。1971年9月27日,ワシントンD・Cにおいて,世界銀行総裁会の前で同氏は,あまり恵まれていない国々では,栄養不良が広く見られ,幼い子どもの高い死亡率の主要原因となっており,そのために人間の進歩をはばむ主要な障害ともなっていると述べました。

      マクナマラ氏はこう評しています。「しかしながら,1人当たり比較的小額の出費で大きな利得が得られるという証拠があるにもかかわらず,問題の解決に力を合わせている開発途上国は一国としてない」。

      さらにマクナマラ氏は,貧しい国々における子どもの死者の数が膨大であることを指摘しました。たとえばインドでは,最初の一年間に,出生する幼児千人につき150ないし200人が死ぬ広い地域がいくつもあります。

      アラブ連合共和国における1歳から2歳の間に死ぬ幼児の割合は,スウェーデンの100倍以上です。―1971年10月15日号,「今日の主要な演説」。

      それよりさらに早い時期に,つまり,1969年2月号のリーダーズ・ダイジェスト誌の中で,ある著名な科学者はこう述べました。「人類を養う戦いでわれわれの側が完全に敗北を契したことは驚くほど明らかである…飢えによる死亡率の急激な上昇をとどめることはすでにおそすぎる」。

      貧困と社会福祉

      根本的に言って,栄養不良の基本的な原因は貧困です。これは今なお,最も富んだ国々でも克服しがたい未解決の問題です。海外開発評議会の特別会員ジョン・E・ライリー博士はこう報告しています。

      「世界銀行によると,1968年現在,開発途上国における年間の所得水準は次のとおりである。アジア110ドル。アフリカ130ドル。ラテン・アメリカ370ドル。中東330ドル。これに比べて,他の諸国の1人当たりの平均所得は,アメリカ4,000ドル,カナダ2,500ドル,ドイツ1,900ドル,連合王国1,800ドルとなっている」。

      ライリー博士はさらに,所得の低い国々では何百万人という人びとが平均の半分の所得で生活していると述べています。世界支配は国連の助けを借りてまで努力をしていますが,この悲しい現状を克服しているでしょうか。いいえ,ライリー博士はこう述べています。「1971年現在の生活水準が1960年よりも実際には低くなった人が,何百万人もいると心配されている」。彼は次のように続けています。

      「これが開発途上国の概況であるが,広範の飢え,搾取,教育の機会の欠如,不平等な富の分配,病気の流行,それに言うまでもない政治的圧制などの全貌を的確に伝えるものではない」。

      世界で最も富んでいるアメリカでさえ,都市全体が福祉費の急増で財政危機に面しています。1970年に,アメリカは福祉費として128億ドル(約4兆円)を出費しました。

      現状からのがれる方法があると考えている経済学者はひとりもいません。それは,カリフォルニア,クレアモント・メンズ・カレッジの経済学者プロクター・トムソンが説明したとおりです。彼は,裕福な社会では,福祉に支出される金額がますますふえるので,援助を受ける人たちは増大していると指摘しました。したがって,「貧困は,走っている人を追う影のように,社会を追跡する」と彼は述べています。

      人口爆発

      現在の程度の人口をかかえて,問題に次ぐ問題で,どこを見ても行き詰まりの観を呈している諸政府は,破滅寸前にあるとも言えます。それでも不十分であるかのように,今ではさらに人口が増加し,そのために各政府の将来に対する計画からは不吉な前兆が消えません。国際産児制限協会のためのビクター ― ボストロム資金報告の中で,国連の開発計画の理事ルドルフ・ピーターソンは次のように述べました。

      「世界人口の驚嘆すべき増加は,国際開発を推進するわたしたちのすべての努力の上に暗い陰を落とす。人口が20年で2倍になる国々の生活条件を改善しようとするのは,頂上に押し上げたとたんに,またころがり落ちる岩を永遠に押しつづける,シシフスの苦役に似ている」。

      さらに,食糧農業機構の総理事A・H・ボアマーはきわめて緊急の訴えをしました。

      「現在,地球の人口は無制限に増加しているが,これが,飢え,貧困,失業などの重大な世界問題を瀬戸ぎわにまで追いやっている事実に関しては,詳しく述べる必要もない。それがどんな恐ろしい結果になるか説明するまでもないし,何をすべきかを詳細に述べるのは私のすることではない。…しかし私はこの演壇から,人口の増加を抑制する必要のあることを関係者すべてに訴えたい」。

      では,人間による支配の記録について何が言えるでしょうか。人間による支配は,欠乏,恐れ,飢え,搾取,犯罪から解放されて平和のうちにともに住むための,人類の基本的な問題の一つでさえ,実際に解決したと言えるでしょうか。人間による支配は,人類が政府からほんとうに望んでいることを与えてくれたでしょうか。

      すると,人間による支配が引き続き地上で行なわれるなら,どんな前途が待っていますか。汚染,戦争,飢え,麻薬,その他のいくつかの問題のどれを取っても,その一つ一つに,地球を破滅に陥れる危険性が秘められています。そうした問題がいっしょになって,人間の知恵と努力では,解決どころか問題を減少させることさえ全くできない複雑な事態が生じてきています。

      人間がより高い所からの助言を求める時,そうです,宇宙の支配者である神に聞き従う時が来たのではありませんか。神が地の支配に関して述べること,また意図されていることは,次の記事で討議されるように,生死にかかわる問題なのです。

      [6ページのグラフ]

      (正式に組んだものについては出版物を参照)

      犯罪

      1960-1969年間におけるアメリカの凶悪犯罪は,人口の11倍の速度で増加した

      人口

      犯罪

      [4ページの図版]

      戦争 歴史の記録は,軍備競争が戦争か経済的破局のいずれかに終わったことを示している

      [5ページの図版]

      汚染 「大きな問題は…環境の実情に気づくのがおそすぎて,事態を大きく改善するのには手おくれではないか,ということである」

      [6ページの図版]

      麻薬 麻薬の乱用は犯罪の急激な増加率を生み出す主要因

      [7ページの図版]

      貧困 「貧困は,走っている人を追う影のように,社会を追跡する」 アメリカの年間福祉費 ― 128億ドル(約4兆円)

  • 獄に霊の食物を運ぶ
    ものみの塔 1973 | 1月1日
    • 獄に霊の食物を運ぶ

      ● ドミニカ共和国でエホバの証人が投獄されていたとき,面会人はいろいろな方法で食物を差し入れることが許されていました。時には一つの紙袋を別の紙袋の中にいれ,その間に雑誌や小冊子の数ページ分を忍ばせ,それから内側の袋にくだ物をいっぱいにつめて差し入れることもできました。看守はくだ物は注意深く調べますが,袋と袋の間は,くだ物の汁で袋が破れないように二重にしてあるのだと思い込み,たいてい見ようとはしませんでした。婦人の証人たちは,着ているものの中に文書の数ページ分をひそませて行って,差し入れました。このようにして投獄されている男子の奉仕者たちは,霊的に強い状態を保つことができました。―「エホバの証人の1972年の年鑑」から。

  • 神の支配権 ― 全人類に唯一の希望を与えるもの
    ものみの塔 1973 | 1月1日
    • 神の支配権 ― 全人類に唯一の希望を与えるもの

      この記事に収められている,人を鼓舞する音信は,世界各地でこれまでに合計130万人の聴衆に主要な講演として話されたものです

      「希望を持つ捕われ人よ,とりでに帰れ」― ゼカリヤ 9:12,新。

      1 人間の支配が全人類にこれまで与えてきたものについては何と言わなければなりませんか。進化論の認める作用なるものを,将来に対する希望の根拠とすることについてはどうですか。

      「神の支配権」は,人間の支配権が今まで人類に与えなかったものを与えることができます。それは何ですか。「並はずれてすぐれた」ものはしばしば「神の」ものと呼ばれていますが,人間の支配が今日まで全人類に与えてきたものは確かに「神の」ものではありません。この世の物事の経過に照らして判断すれば,人間の支配は,これまですでにわたしたちに与えた以上にすぐれたものを人間に与えうるなどと約束できるものではないことがわかります。しかも,これまでに与えられたものは,魂を満足させるどころか,あまりにも期待に反するものなのです。過去幾千年の人類史の全期間を通じて人類は,人間の支配が政府の支配権という点でその臣民である人間に与えうるのは人間の支配権にすぎないことを証明してきました。人類は不完全ですから,これまで行使されてきた人間の支配権も不完全なものです。広く受け入れられている進化論といえども,人間が驚くべき有益な「突然変異」によってわたしたちの世代のうちに,あるいは今後何億年かのうちに神々に進化すると期待できる根拠を提供するものではありません。ですから,人間の支配権に基づいて,現在の世界の苦悩が除去されるなどと期待できるものではありません。

      2 (イ)希望とは何であると説明されていますか。全人類のための希望とはどのようなものでしょうか。(ロ)国際連合は世界に希望を与えるものとしてはどう評価されますか。もし国連が機能を失うとすればどうですか。

      2 人類の世界全体は絶望同然の状態におかれてきました。希望とは「願う事がらに対する期待」もしくは「願いが満たされるとの期待を伴う願望」であると説明されています。また,希望とは,「期待の的とされている人物あるいは物事」と解することもできます。人はみな,おのおのささやかな希望や恐れを持っているものですが,人種・皮膚の色・国籍・社会的な立場などのいかんを問わず,全人類があずかれる希望があるなら,それはなんとすばらしいことではないでしょうか。まさにそのとおりです。なぜなら,それは決して利己的,国家主義的また人種的に偏ったものではない,それは全人類の共通の願いや必要を満たすものだからです。世界の平和と安全のための機構である国際連合はおよそ30年間運営されてきましたが,そうした希望もしくは希望を与えるものとはなっていません。加盟国がさらにふえても,そうした失敗が成功に変わるわけではありません。国際連合は人類が自らの緊急な必要に答えて提供できた世界的な規模の最大の機関です。もし国際連合が以前の国際連盟のように機能を失わざるをえなくなるとすれば,ほかに人類はいったい何を提供できるのだろうかと多くの人びとはいぶかっています。

      3 人間に基盤を置く多くの人びとの希望は砕かれてきましたが,彼らは何を切望していますか。

      3 人類は途方に暮れています! これは疑う余地のない事実です。人間の支配権が功を奏していないことを正直に認める考え深い人びとはふえています。人間に基盤を置く彼らの希望は砕かれてきました。この点で最も悲しむべき事がらは,彼らが自分自身と他の人びとを慰めるよすがとなる希望をほかになんら持ち合わせていないということです。彼らが今いだいているのは,明確な形,あるいははっきりした輪郭さえ考えられない何ものかに対する切望や渇望だけです。しかも,心を満足させるその何ものかがどのようにして,またどこから来るのか,あるいはその到来を期待できるかどうかについては何も知らないのです。

      4 世界情勢は,将来に期待をいだいている一部の人びとにどう影響していますか。それで,彼らはどんな船乗りのようではありませんか。

      4 しかしながら,すでに絶望状態に陥って悪化の一途をたどっている世界情勢は無数の人びとの希望を葬り去りましたが,そうでない他の人たちの場合,ほかならぬこの同じ事態が,それらの人の高まった希望に新鮮な活力を与えるものとなりました。彼らは,船に乗って海に下り,恐ろしい嵐に遭遇し,「酔った人のようによろめき,よろめいて途方にくれる」船乗りとして古代の叙情詩作者により描写されている人びとのようではありません。―詩 107:23-27,口語。

      5 (イ)それら例外的な人びとは詩篇作者のどんな健全な助言に従っていますか。(ロ)人間の支配権以上のどんなものに頼れますか。それはどんな理論とは相反するものですか。

      5 それら例外的な人たちとはいったいだれですか。世の苦悩は悪化の一途をたどっているのに,彼らの希望はいよいよ明るさを加えてゆくのです。彼らは他の人びとの持っていないものを得ています。それは何ですか。彼らは古代の叙情詩作者の述べた次のような健全な助言に従っている人たちです。『もろもろの君によりたのむことなく人の子によりたのむなかれ かれらに助けあることなし その気息いでゆけば かれ土にかえる その日かれがもろもろの企てはほろびん』。(詩 146:3,4)この古代の筆者はわたしたちに対して,人間の支配権に望みをかけないようにと助言しました。それで,今日この助言に従う人たちは人間の支配権以上のことを考えます。しかし,ほかのどこに目を向けられますか。人間は進化したとする進化論を支持する人びとや,唯物主義という理論に従う人たちは,人間のような物質的なもの以外にほかにたよれるものは何もないと唱えます。彼らが自らの絶望状態に気づき,ついには自暴自棄に陥るのはそのためです。彼らの理論は満足のゆくものではないばかりか,納得のゆくものでもありません。なぜなら,それは不合理で,歴史の事実にも反するからです。しかし,わたしたちが期待すべき,人間の支配権以上のものが確かにあります。それは何ですか。神の支配権です! これこそ希望をいだいている現代の人びとが期待を寄せているものです!

      わたしたちの希望の中心となるもの

      6 昔の筆者が詩篇 146篇5-10節でわたしたちに注目させているのは何ですか。

      6 前述の古代の叙情詩の作詞者がわたしたちに注目させているのはそのことなのです。彼は自分自身の経験と観察に基づいて語り,次のように続けています。『ヤコブの神をおのが助けとし その望みをおのが神エホバにおくものは幸いなり こはあめつちと海とそのなかなるあらゆるものを造り とこしえに真実をまもり 虐たげらるるもののために審判をおこない飢えたるものに食い物をあたえたもう神なり エホバはとらわれたる人をときはなちたもう エホバはめしいの目をひらき エホバは屈者をなおくたたせ エホバは義しき者を愛しみたもう エホバは他邦人をまもり みなしごと寡婦とをささえたもう されど悪しきものの道はくつがえしたもうなり エホバはとこしえに統御めたまわん』― 詩 146:5-10。

      7 では,今日,だれがこの神聖な支配者を必要としていますか。そのみ名はどれほどきわだっていますか。

      7 人間の支配権とその欠陥と無能さゆえに,あなたはその『虐たげらるるもの』あるいは『飢えたるもの』のひとりとなっていますか。『とらわれたる人』あるいは『めしい』または「屈者」のひとりですか。それとも,「他邦人」あるいは『みなしご』または「寡婦」ですか。それでは,古代の叙情詩作者が指摘し,名ざしをしたこの王こそ頼って然るべきかたです。その支配権は神聖な支配権です。というのは,支配者であるそのかたは,神だからです。そのかたは,インドその他,人の住む地上の他の場所で崇拝されている何千万もの神々すべての中でそれと見分けられない無名の神ではありません。そのかたは,人間によって名づけられた神ではなく,かえって自らご自身に名を付された神です。天地の他の神で,その名によって呼ばれる神はいません。霊感を受けたその叙情詩の作者はこの神の名を7回指摘していますが,その名とはエホバです。

      8 (イ)だれに望みを置く人は幸いですか。ロマ書 15章13節はそのかたのことを何と呼んでいますか。(ロ)神によって保証されたこの希望をあらゆる種類の人びとが持てるようにするため,神は何を書かせましたか。

      8 まちがった知識を持つ,偏見のある人は,このエホバという神とは何のかかわりも持たないよう思いとどまらせようとするかもしれませんが,この神に望みをかける人は,たとえ今日のような暗い時代にあっても前途の幸福を待ち望めます。古代の叙情詩作家は,『その望みをおのが神エホバにおくものは幸いなり』と述べました。(詩 146:5)19世紀以前のこと,エホバに望みを置いていたひとりの人はエホバのことを『望みの神』もしくは「希望をお与えになる神」と呼びました。(ロマ 15:13,新)エホバは全人類があずかりうる希望をわたしたちに与えることのできる唯一のかたです。なぜなら,エホバは人類の創造者だからです。全人類の望みを置けるのはエホバだけです。エホバが提供する神の支配権は,全人類に希望を与えるものです。もし神がそれを提供しなかったとすれば,全人類に希望を与えるものはほかにはなかったでしょう。あらゆる人種・部族・国民・言語からの人びとが,神によって保証されたこの希望を持てるようにするため,神は霊感のもとにしるされた聖なる書,つまり聖書を書かせました。神の名の署名を付して著わされたその驚くべき書物を調べれば,この確かな希望についてつぶさに学ぶことができます。

      9 (イ)人類に希望が必要であることをご存じだったゆえに,神はどんな希望を人類に与えましたか。(ロ)ロマ書 15章13節には,この希望にあずかる人たちのためのどんな祈りのことばが述べられていますか。

      9 この神聖な実在者であるエホバは,

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