世界展望
虚偽の訴えを取消す
◆ 昨年11月のUS・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は,米国のニューヨーク州ハーデンバーグの税査定官ロバート・カーウイックの言葉を次のように伝えている。「エホバの証人の所有する8,000エーカー[約3,239ヘクタール]の農場は,その生産した農産物を,[非常利団体で]免税になるため,一般の農夫よりも安い価格で政府の施設に売ることができる」。
しかし同誌の1979年4月23日号は,以前に掲載された記事が事実でなかったことを認め,「訂正」の見出しの下に次のように書いている。「米国におけるエホバの証人の統治機関の語ったところによれば,『「非営利団体」の多くに巨利』という記事[1978年11月6日号]の中に述べられていたこととは違い,この組織がニューヨーク州アルスター郡に所有する農場からは,何人に対してであれ,いかなる農産物も売られていない。またこの農場は一般の農場経営者と競合するものではない。1,031エーカー[約417ヘクタール]の農場の生産物はすべて同組織の本部で自発的に働く1,800人の本部要員の食糧にあてられているという」― 6ページ。
昔からの決まりを無視するスウェーデン
◆ スウェーデンの新生児は,生後八か月間,母親の優しい世話の代わりに,父親から,善意がこもっているとはいえ,母親よりは手荒な取扱いを受けることになるかもしれない。スウェーデン政府は,母親が働きに出ている間,父親が乳児の世話をするため家にいることを選択できるようにした。父親には給料の90パーセントが支給される。この勧めに何千人もの父親が応じた。
また最近のスウェーデン議会は,親が子供に体罰を与えることや,他のいわゆる「屈辱的な仕打ち」はすべて子供に与えることを禁ずる案を圧倒的多数で可決した。法務省では広報運動を計画中との事であり,それには子供たちに彼らの権利を知らせるビデオテープの配給も含まれるという。では親はどんな方法で子供を懲らしめるのだろうか。体罰を禁じてはいるものの,政府が親のために作ったパンフレットには「無論のこと,親であるあなたには怒ることや,怒りを表わす権利がある」と書かれている。
スペインの国庫から援助を得る
◆ 「今日のキリスト教」誌は次のように報じている。「一月に調印されたスペインとバチカンとの協定により,ローマ・カトリック教会に対する国家扶助は年額9億7,700万㌦[約1,954億円]の線で1982年まで維持されるであろう」。また協定によると,カトリック教会はその年以後,「その必要に見合う十分な資金を教会自体の努力によって」得ることを意図している。しかしこのような努力によっても,もし教会が今まで保ってきた威風を維持できないならば,政府は「所得税による歳入の一部をカトリック教会に交付することもあり得る」と協定に記されている。
ディスコに関する論評
◆ カナダのマックリーン誌は「70年代」と題する記事の中で,次のような見解を述べている。「70年代に聖歌があったとすれば,それはディスコの退廃的な四分の二拍子のビートであった。60年代の自由に体を回転させた踊り手は,ストロボスコープの下,性を強調した踊り方で自分たちの欲望をこれ見よがしに示す,血の通わないロボットに取って替わられた。その踊り方は,官能性を最も残酷で機械的な形に堕落させるものである」。
トロントのスター紙は,「ロック界でも破廉恥漢中の破廉恥漢」と評されるフランク・ザッパの次のような言葉を伝えている。彼はディスコの目的について,「将来,性の営みを行なう意図を抱いて他の人々に近づくことを願う人の活動に,ビートのきいた伴奏を提供することである」と語っている。
ナポリの迷信
◆ 最近イタリアのナポリで70人以上の幼児が,新聞紙上において“暗黒病”と呼ばれた伝染病のために死亡した。専門家の中には正体不明のビールスが原因と見る人もあり,一方,貧困と不衛生の結果と考える人もいる。しかしナポリのローマ・カトリック大司教コラード・ウルシ枢機卿は,年二回,ガラスびんの血を溶かす“奇跡”で知られ,土地の人々に崇拝される守護“聖人”ヤヌアリウスの像にいやしの力があると考えた。「枢機卿と司祭たちは神の恵みのしるしを何時間も祈り求めた」と,ニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。「しかし主祭壇の上に置かれたガラスびんの中の物質は乾いて固まったままであった」。こうして,学問のある枢機卿と司祭たちは迷信的な偶像崇拝に率先した。これは何年も前,噴火する火山から流れる溶岩を止めようとして無学の教会員が偶像を用い,同様な結果に終わったことと似ている。
若者に対する「優れた助言」
◆ 米国,ペンシルバニア州ニューキャスル・ニューズに寄せた手紙の中で,末日聖徒イエス・キリストの改革教会(モルモン教の一派)の牧師は次のように書いている。「若い人々が多くの誘惑と難しい決定に直面することを,我々の大多数はよく知っている。多くの場合,親も自分の役割について非常に困惑しており,導きとなる資料にも事欠いている。わたしはエホバの証人の配布している本『あなたの若い時代 ― それから最善のものを得る』を読み終えたが,この本にはあらゆる宗教の人々にとって良い助言が多く含まれている……わたしはその宗教の全体を“売り込んで”いる訳ではないが,それに何か良いものがあるなら,利用するのが賢明だと思う」。
ソ連の物価
◆ モスクワとニューヨークの生活費はどのように違うだろうか。US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌に載せられた最近の物価は次のようである。(最初に挙げたのがモスクワ価格): バター1㌔ ― 5.7㌦(約1,150円),3.73㌦(約750円); 牛乳1㍑ ― 46セント(約90円),58セント(約120円); 卵1ダース,大 ― 2.37㌦(約470円),99セント(約200円),じゃがいも1㌔ ― 15セント(約30円),64セント(約130円); コーヒー1㌔ ― 30.35㌦(約6,070円),5.05㌦(約1,010円),歯みがき粉大 ― 53セント(約110円),1.68㌦(約340円);“団地”サイズの冷蔵庫 ― 446㌦(約8万9,000円),285㌦(約5万7,000円); 半自動洗濯機 ― 250㌦(約5万円),290㌦(約5万8,000円)(全自動); 黒白テレビ ― 449㌦(約9万円),159㌦(約3万2,000円); 地下鉄運賃 ― 8セント(約16円),50セント(約100円); ナイロン・ストッキング ― 2.58㌦(約520円),1.75㌦(約350円)。医療,高等教育など,基本的項目の中のあるものはソ連では無料である。また住居費,休暇の費用その他も格安である。
移植された狂犬病
◆ 米国,アイダホ州ボイシの37歳になる一婦人は,ある林務官の角膜を右目に移植して約五週間後に頭痛と顔面麻ひのために入院した。彼女の麻ひは徐々に進行し,当惑した医師たちの懸命の治療のかいなく,彼女は短時日のうちに死亡した。その後,科学者たちは疾病の原因が,移植された彼女の角膜の提供者にあることをつきとめた。彼はその時には知られていなかった神経の病気で死んだのである。しかし冷凍にされた彼の目を改めて調べたところ,狂犬病のビールスが発見された。
日焼けに悪影響を及ぼす太陽黒点
◆ 地球の大気のオゾン層は,致命的な皮膚ガンである悪性黒色腫を誘発すると考えられている紫外線から我々を保護している。コネチカット大学のミカエル・ビオラ博士によれば,1979年は太陽黒点の活動の増加する周期にあたり,そのためオゾン層が減少しているので,太陽を好む人々にとっては危険な年かもしれないと警告されている。「どんなふうに日光にさらされるかが問題である。一年中,戸外で働くことよりも,大部分の時間を屋内で過ごし,時おり直射日光にあたるほうが危険なことのように思われる」と同博士は語っている。ビオラ博士の研究の示すところによると,海辺で長期間過ごす余裕のある職業を持つ人の,女性では足,男性では胴に最も多く皮膚ガンが見られる。
“骨を作る”
◆ 南アフリカのヨハネスバーグから約160㌔離れた山の中で,毎日幾十㌔もの骨がまき散らされてきた。野生動物の係官は,世界でも珍しいコンドルの一種を救う目的で骨を運んでいる。ハンターが食肉動物を追い回しているため,腐肉を食べる鳥の餌となる死体が減って,この醜い鳥は死に絶えつつあるという。成鳥はなきうさぎを捕食してどうにか生き延びているが,小動物の骨には,ひな鳥の成長に必要なだけのカルシウムが含まれてはいないようである。「餌の中にカルシウムが含まれていなかったため羽がもろくなり,その羽を折って多くの若い鳥が死んだ」と,ロンドンのサンデー・エキスプレス紙は報じている。「親鳥はガラスや陶器の破片を与えてひな鳥を養おうとし始めており」,しばしば致命的な結果を招いている。