将来に備えて建てるためのあなたの役割
1 今からおよそ1,960年前,イエスが弟子たちを集め始められた時から開始された霊的な建てる業に,クリスチャンたちは今日もなお誠実な関心を抱き続けています。(マタイ 4:17; 7:24,25,28。ヨハネ 7:46)現在に至るまで,エホバはこの業を満ちあふれんばかりに祝福してこられました。(箴言 10:22)神の王国を絶えず宣明しつつ,わたしたちは将来の拡大に備えて文字通りの建てる業にもあずかっているのです。―伝道の書 11:6。
2 現在日本では,新しい王国会館を建設する必要に迫られている会衆が数多くあり,同時に古い王国会館の改造や修復を必要としているところも少なくありません。昨奉仕年度中,日本では230もの新しい会衆が設立されましたが,その勢いは今なお続いており,現時点で会衆は2,541にまで増加しました。こうした建設計画を首尾よく成し遂げるには,資金と自発奉仕者の両方が必要になります。これらの必要を満たす面で兄弟たちの示す称賛に値する積極的な態度は,豊かに報われています。―詩編 41:1。箴言 19:17。伝道の書 11:1。ルカ 14:13,14。
多くの人々によって差し伸べられた愛ある援助
3 協会の王国会館基金に対する寄付を行なうことにより,わたしたちは「仲間の兄弟全体」に愛を表わしていることになります。(ペテロ第一 2:17)この目的で寄せられた寄付は,すでに日本国内の57の新しい王国会館の建設基金に用いられており,現在70近い会衆で利用されています。協会は,この備えから益を受けているすべての会衆と共に,個人や家族で定期的に協会の王国会館基金に対して寄付を行なってくださっている大勢の皆さんに,深く感謝したいと思います。また多くの会衆や巡回区も愛のうちにこの基金への寄付を決議してくださいました。それで長老たちは,王国会館基金の寄付箱が,はっきりと表示された,だれでも利用できるものとなっていることを確かめてください。この寄付は貸付金の返済金と合わせ,新しい王国会館の建設に用いられます。
4 あなたは建設に関連した技能や技術をお持ちですか。そうした技能や技術を持ち,それを王国会館の建設に役立てたいと思われるなら,地元の長老たちと巡回監督にその旨知らせることができます。建設奉仕者は,今や日本国内のあらゆるところで必要とされています。加えて,より多くの会衆の建設計画を援助するため,たとえ建設技術を持たないとしても,他の霊的な資格を持つ兄弟たちが,協会によって任命された地区建設委員会の指導のもとで,必要とされている仕事を行なうよう訓練を受けています。
地区建設委員会の役割
5 現在,日本では八つの地区建設委員会が,建設計画の全段階を援助するために組織され機能しています。それぞれの地区建設委員会は,速成建設に適した,協会の作成した数種類の王国会館のモデルプランを備えています。委員として働く兄弟たちは経験豊かな長老たちであり,単に建設に要する時間や費用を節約するだけでなく,品位があり魅力的な王国会館を建設するのに有益な提案を与えることができます。委員会は,王国会館の改造と新築のどちらが良いか,また候補地が王国会館の建設用地としてふさわしいかどうか,さらに建設費用の正確な見積もりなどに関して,地元の長老たちに有益な情報を提供したり援助したりすることもできます。
6 建設用地を購入する際,十分前もって,地区建設委員会に相談するのは賢明です。委員会には,兄弟たちが土地を取得するにあたって直面するかもしれない困難な事態に対処できるよう援助するための指針が備えられています。すでに日本中の地区建設委員会の司会者に関する氏名や住所,電話番号が各巡回監督に知らされていますので,地区建設委員会の援助を求めようとする会衆の長老たちは,巡回監督を通して知らされた委員会と直接連絡を取ることができます。
7 地区建設委員会の指導による王国会館の速成建設の計画には,大きく分けて二つの分野があります。その一つは短期間で建物を完成させる建設の分野であり,もう一つは,宿舎や給食など,建設とは直接関係のない種々の部門から成り立つ大会組織のような分野です。建設期間中は,建設奉仕者の働きが本当に必要とされる時間だけ現場で働くよう予定が組まれますから,それらの人たちが会衆の野外奉仕や集会にあずかれなくなるといったことはほとんどありません。
8 関東地区建設委員の一人は次のように述べています。「速成建設の初の試みとなった那珂湊では,寒波や暴風雨という悪天候のさなかで行なわれたせいもあり,大勢の建設奉仕者が,五日間現場で働かなければなりませんでした。しかし2度目に行なわれた大田原の速成建設では,四日間の建設の各段階が予定通りに進んだため,建設奉仕者たちはその働きが求められている時間帯に現場で働くだけで十分でした」。
9 この折り込みにある,魅力的な王国会館の写真をご覧ください。建ったばかりの美しい王国会館で,記念式を執り行なったときの那珂湊会衆の成員の喜びを思い浮かべることができますか。6ページの写真の田園風景に囲まれた300坪の敷地にあるこの建物は,大田原会衆の王国会館です。建物の3階を借りて使用していた今までの王国会館との違いが一目で分かります。まだ土台しかなかったときに近くの家に来た郵便配達人は,数日後に再びやってきた時,忽然と姿を現わした建物を見て頭が混乱したようでした。近くにいた兄弟に,「これは一体どういう事ですか。どこの大工さんが建てたんですか」と矢継ぎ早に尋ねましたが,建築の様子を見ていなかったせいか,その兄弟の説明を十分理解できなかったようです。これら二つの会衆は,いずれも協会の王国会館基金を活用し,地区建設委員会の取り決めを通して,安い建築費で立派な王国会館を建てることができました。
10 その優れた機能性についても注目してください。まず,聴衆席はいかがですか。質の良い固定椅子が,演壇を楽な姿勢で見ることのできる位置に,前後の間隔を十分にとって取り付けられています。全体的にゆったりとした造りになっており,2時間近くの集会であっても出席者に疲れを感じさせないように配慮されています。広いロビーは,集会前後の交わりのスペースとして活用できるようになっています。出席者が温かい歓迎を受け,歓談できるスペースがあるのは大変望ましいことです。ダクト方式を採用した空調システムは,騒音や震動が少なく,会館全体を快適に保つものとなっています。トイレについて言えば,男性用と女性用がそれぞれ離れたところに設けられており,両者が同じ入口を使用するということはありません。加えて身障者用のトイレもあります。このように優れた機能を備えた美しい王国会館で神の言葉の教育を受けられるとすれば,それは地域社会の人々にとってもエホバの民にとっても,計り知れない益をもたらすものとなるに違いありません。
11 日本各地の地区建設委員会は,今後さらに経験を積むにつれ,月に一つの割合で新しい王国会館を建ててゆく予定ですが,こうした建設計画で修得された技術は,大会ホールの建設をはじめ,自然災害に見舞われた兄弟たちの家や王国会館の復旧作業を援助するなど,多くの分野で活用されてゆくことでしょう。加えてこの新しい取り決めを通して,霊的にも益がもたらされるようになります。地区建設委員の一人は,その点について次のような報告を寄せました。「地元の会衆の協力はひときわ優れたものでした。だれもが共に働くことに喜びを見いだしていました。それに,各地から集まった腕に覚えのある建設技術者たちが,自分の技術ややり方に固執せず,霊の実を表わし,一致と協力のうちに事を成し遂げてゆくさまは感動的であり,その時の光景はわたしの脳裏に焼き付いて離れません」。
王国会館建設計画の資金の準備
12 王国会館建設計画にとりかかるためには,まず最初に必要な資金を準備しなければなりません。(ルカ 14:28-30)長老たちは,関係する費用を会衆内でどの程度賄えるかを知るため,(1)土地の取得や建設に要する費用として,まとまった金額をどれだけ寄付できるか,(2)会衆の成員からの貸付金の額とその返済期限,(3)会衆の通常の運営費に加えて,貸付金返済のために会衆の伝道者は毎月どのくらい寄付できるか,といった点を調査します。
13 こうした調査の後,会衆の長老たちが協会の王国会館基金からの資金援助を希望するなら,予定している計画案と必要な資金に関して巡回監督と話し合います。巡回監督は,会衆の必要や計画の詳細を協会に知らせることにより会衆を援助します。巡回監督によってこうした情報が協会に送られた後,協会との連絡は関係する会衆と直接行なわれるようになります。資金援助は,基金がある限り必要に応じて順次差し伸べられるでしょう。
熱意にあふれた精神を保つ
14 すべての人は,協会の王国会館基金を支持する面で称賛に値する寛大さを示してくださっています。援助を受けた会衆から数多くの感謝の言葉が寄せられています。会衆の間でまさに「均等」が図られているのです。(コリント第二 8:14,15)ある会衆からは次のような手紙が寄せられました。「このすばらしい取り決めに心から感謝しています。そして,協会の王国会館基金に寄付してくださった大勢の寛大な兄弟たちすべてに,この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。……わたしたちの王国会館建設計画を成功させる面で,すべての皆さんから差し伸べていただいた助けに,重ねて感謝をお送りいたします」。
15 新しい王国会館を建設する際,計画を成功させるのは,皆さんの意気込みと熱意,さらには積極的な精神です。そして,その同じ精神をもって,なお一層多くの人々が真理の知識に至るよう導き,共に王国会館に集うよう励ましてください。そのような熱意は集会の出席者の目ざましい増加や会衆全体の成長につながることでしょう。長老団も会衆も,エホバが増加をもたらしておられるこの時期をしっかりと見定める必要があります。事態の進展をただ成り行きに任せるのは賢明ではありません。現在,三つないし四つの会衆が一つの王国会館を使用しているとすれば,長老団は直ちに行動を起こすべきでしょう。王国会館の必要性を現実の問題として取り上げ,会衆の総意に基づく同意を得た後,まず資金計画に着手すべきです。次いで,王国会館として使用できるふさわしい建物を賃借するのか,それとも土地を賃借または購入して王国会館を建設するのかを決めることにより,その目標に向かって会衆の総力を結集することができるでしょう。ひとたび方針が決まったなら,その地区を担当する地区建設委員会と連絡を取り,最初の時点から良い指導を受けることができます。
16 将来どのような拡大と増加が待ち受けているのかわたしたちには知るよしもありません。しかし,これから先どれほど大勢の崇拝者たちが増し加わろうとも,それらの人々を迎え入れる態勢を整えておく必要があります。将来に備えて建てる業において,わたしたちすべてが,身体的にも,物質的にも,霊的にも,エホバと共に働く者となれますように。この終わりの日の最終部分にあって,神の王国の組織へ走り込んでくる人々をふさわしく世話するわたしたちを,エホバは必ずや祝福してくださるに違いありません。―イザヤ 60:8,10,11,22。
[4ページの図版]
茨城県那珂湊会衆の王国会館は,3月21日から3月25日までの五日間で完成した
5月2日,午前8時30分
[5ページの図版]
5時間後
[6ページの図版]
モデルプランに基づいて建てられた栃木県大田原会衆の王国会館は5月2日から5日までのわずか四日間で完成した