「満足のいく生活」のブロシュアーを用いて聖書研究を取り決める
1 喜ばしいことに,「満足のいく生活 ― どうすれば実現できますか」のブロシュアーを用いて聖書研究を取り決めたという報告が,支部事務所に多数寄せられています。雑誌経路となっていた人や他の出版物で再訪問を受けていた人と,このブロシュアーで研究が始まっています。家から家の奉仕,非公式の証言,ビジネス街の奉仕などで積極的に配布し,良い話し合いを続けている奉仕者も少なくありません。兄弟たちは,このブロシュアーをどのように紹介し,関心を高めているのでしょうか。
ブロシュアーを紹介する
2 「王国宣教」2001年9月号の折り込みには,ブロシュアーを紹介する三つの方法が載せられています。これらの提案を活用して成功を収めている奉仕者は少なくありません。ここでは,兄弟たちが工夫し効果を上げている他の方法を幾つか取り上げましょう。
3 反応の早い区域: 資料をそのまま読むより,視覚に訴えながら会話するほうが効果的かもしれません。
「今日はこの冊子を皆さんにご紹介しています。[表紙と主題を家の人に示しながら話す。] 最近,ある国で行なわれたアンケートによると,9割以上の人が満足のいく家族生活を送っていると答えたそうですが,実際には結婚の半数近くが離婚に終わっているとのことです。満足のいく生活を送っていると思っていても,現実にはうまくゆかないというのは残念なことですね。こうしたことはよくあることだと思われませんか。[2ページと,3ページの一番上の写真に注目しながら,3ページ,1節の家族の例を口頭で分かりやすく説明する。「同じようなストレスを……家族もあります」の部分に注目する。] このような言葉にはほっとさせられますね。どのように対処できるか,次回短くお話しできればうれしく思います。[日時を明確に取り決める]」。
4 直接聖書から語る: ブロシュアーの第2部から家の人にふさわしい聖句を選びます。聖句を読み,それに続いてブロシュアーの該当する箇所とその説明を示します。以下はその一例です。
「[聖書を手に持つ。] 今日はお忙しいと思いますので,励みになる短い言葉を紹介する活動をしております。この言葉ですが,どう思われますか。[マタイ 7:12を読む。] 皆がこのようにすれば,人と人との間だけでなく,国と国の関係もよくなってずっと良い世の中になると思われませんか。お気づきと思いますが,これは聖書で,キリストの言葉です。わたしたち日本人には聖書はなじみがないかもしれませんが,生活に役立つこのような格言がたくさん収められています。[ブロシュアーの9ページ,13節にあるこの聖句を示す。] 今,お読みした言葉はここにあります。この冊子には聖書から良い言葉が30ほど載せられて抜き書きされています。ぜひお読みください」。
5 インターホンや電話での証言: 自己紹介に,第2部の中のふさわしい聖句を一つ織り交ぜることができます。あるいはあらかじめブロシュアーを開いておき,引用されている聖句を読むことができます。
「今日は,『受けるより与えるほうが幸福』という聖書の格言についてお話し合いできればと思い伺いました。__さんはこの言葉をどう思われますか。[9ページ,14節の説明を自分の言葉で伝える。] このほかにも役立つ聖書の言葉が収められている冊子を皆さんにお分かちしています」。
6 「満足のいく生活」のブロシュアーは,生活で実際に生じる問題を扱っています。初めての訪問でこのブロシュアーを紹介する場合には,特に家の人のプライバシーに配慮を示す必要があります。一方,すでに何回か訪問し,親しい関係を築いているなら,もう少し率直に話し合えるかもしれません。以下の二つの節には,そのような場合に活用できる提案が載せられています。
7 挿絵を活用する: 2ページと5ページ,3ページの一番上と6ページ,4ページと10ページの挿絵を対照させながら話し合うことができます。
「__さんはご家族のために一生懸命頑張っておられますね。自分が一生懸命にやっていることは,うまくいってほしいと思うものですね。最近,考えさせられた写真があるのですが見ていただけますか。[2ページの写真を見せる。] どこにでもありがちな家族の光景です。子どもたちは非行に走っているわけではなくごく普通の若者に見えますね。父親も悪い親ではなさそうですが,家族に何かが欠けているようにお感じになりませんか。今度は5ページの写真をご覧ください。同じ家族なんですが,先ほどの写真とはずいぶん様子が違いますね。写真のそばに記されている聖書の原則を当てはめたことが良い変化につながりました」。
8 簡潔な証言方法: 家の人の身近な問題について簡潔に話し合うことができます。
「__さんは,子どもを取り巻く環境を考えると,こんな気持ちになることはありませんか。[5ページ,2節の最初の一文を読み,それから節の続きを説明する]」。
「人間関係のいざこざが多くなったと言われる方が増えていますが,__さんはこんな経験をなさったことはおありでしょうか。[8ページ,11節の最初の一文を読む]」。
再訪問において関心を高める
9 家の人が,この情報は自分にとって必要であると考えるなら,再訪問を継続させることは容易になります。家の人とよく会話し関心事を見極めてください。資料の進め方は柔軟であってください。必ずしも第1部をすべて考慮してから第2部に進む必要はありません。満足のいく生活を妨げる問題からその解決策,という順番で要点ごとに扱うほうが,両者の結びつきが明確になる場合があります。ある奉仕者は,序文,第1部の1節,第2部の2-5節という順番で話し合い,それから第1部の3節に戻って第2部の6-9節を扱うという方法をとり,関心を高めることができました。第2部から説明を始める場合でも,該当する第1部の箇所を併せて考慮することによって,聖書の原則を当てはめる価値を強調している奉仕者もいます。
10 第2部の用い方が鍵: 聖書研究を取り決める上で,第2部で関心を高めることができるかどうかが鍵になります。資料を表面的に読み進めるだけでは,家の人の関心はそれほど高まらないかもしれません。聖句というすばらしい素材を,奉仕者がどう調理するかが大切でしょう。
11 この部分で取り上げられている30余りの聖句について良い準備を行なってください。ある奉仕者は,次の四つの観点から一つ一つの聖句を分析したノートを作成しています。(1)その聖句の意味を説明する,(2)取り上げた聖句の原則がなぜ役立つのか考慮する,(3)この原則を知っているのと知らないのとでは生活にどんな違いが生じるか推論する,(4)この知恵の言葉を生活の中で具体的にどのように当てはめてゆくことができるか話し合う。聖句について活発に話し合い,その原則が役立つことを家の人が得心できるよう導いてください。
12 例えば,2節に出てくる箴言 22章6節について次のように話し合うことができるかもしれません。
「子どもが幼い時から,親が,正しい一定の価値規準を教えなさいという格言ですね。子どもが何も分からないうちから親が方向づけを与える権利があるのだろうかと考える方もおられますが,__さんはどう思われますか。[相手の答えを聞く。] 親が何ら価値規準を与えず,子どもをしつけないなら,友達,テレビ,マンガなどが親の代わりに子どもの心を方向づけてしまうかもしれませんね。この格言には,彼は年老いても離れないであろうとありますが,ある科学雑誌には,人格の大部分は学校に上がる前に確立されていて,それが人生に影響を与えるという研究報告が載せられていました」。
13 聖書を身近に感じるように助ける: 第2部で良い話し合いができたものの,第3部に入ると話題が宗教的になるので関心が冷めてしまうということもあるようです。何ができるでしょうか。一つの方法として,第2部を話し合う際,第3部の内容を少し折り込むことができます。例えば,第2部から何回か話し合った後に,第3部の2,3節に少し触れ,聖書が信頼できる書物であることについて短く話し合います。特定の聖句の持つ知恵だけでなく,それを収めている聖書に,家の人の注意を少しずつ向けることができるなら,二つの資料の隔たりを小さくすることができるでしょう。
14 第3部の3,4,6,8節には,二重かっこで示された問いかけがあります。聖書が霊感を受けた書物と言える証拠を提出し,その意味を考えるよう読者に促しています。それで,ある証拠を取り上げたなら,この部分に注意を向け,「__さんはどう思われますか」と尋ねてください。家の人は学んだことの意味を理解することができ,心が動かされるでしょう。今まで学んだ格言が,神の言葉であることを認識するなら,霊的な食欲はさらに高まります。
15 創造者に目を向ける: 第4部は,聖書から神へと,人々の目を向ける上で,要となる資料です。3,4節の趣旨を理解するなら,説得力のある扱いをすることができます。過去の「目ざめよ!」誌を参考にして次のように言うことができるかもしれません。
「進化論を唱える科学者たちは,生物が少しずつ継続的に進化したと言います。しかし,科学が発達するにつれ,細胞や分子など,今まで小さな変化とみなされていたものが,非常に複雑な仕組みを持ち,大きな役割を果たしていることが明らかになってきましたね。[16ページの挿絵にあるタンパク質とDNAに触れる。] わずか一つの細胞の中に入っているDNAだけでも100万ページ分の情報が入っており,この遺伝情報が犬と魚,シマウマとバラの花,そして人間同士の違いを作り出しているそうです。[引用されている科学者の言葉を読む]」。
「__さんは,ハエ叩きでハエを取ろうとして逃げられたことはありませんか。そのとき,ハエにとって,ものすごい乱気流が生じたはずですが,全く影響を受けなかったかのようにして飛び去ってゆきますね。どうしてこんなことができるのでしょうか。実は,ハエには一対の平均棍と呼ばれる器官が,胸部から羽の裏側に突き出ています。これが,乱気流によって生じた体のねじれを感知しバランスを崩さないようにしているそうです。ハエのこうした働きと同じことを機械にさせようとするとどれくらいのコンピューターが必要だと思われますか。この写真にある大型コンピューター1万個分が必要になるとのことです。それだけの機能を小さなハエの体に収めるとしたらどれだけの知性が必要だと思われますか。[16ページ,4節の最初の一文を考慮する]」。
16 挿絵や写真を効果的に用いる: 第5部以降,聖書の教理的な説明に入ります。挿絵を分かりやすく訴える仕方で説明することを目指してください。例えば,25ページの写真を次のように話し合うことができるかもしれません。
「大人にも危険な採鉱作業をしている子どもたちですね。結核や気管支炎にかかることも少なくないようです。子どもたちは,債務奴隷労働者と呼ばれ,南アジアなどでは,わずか8歳か9歳で,親の借金の返済のために工場主に引き渡されます。一生奴隷のように働いても借金を減らすことさえできないようです。[22ページの写真を振り返る。] 一見関係がないように思えますが,これらの子どもたちには共通しているところがあると思われませんか。[両者ともに,親や先祖の選択の結果,ひどい状態になっていること,自力ではそこから抜け出すことができないことを話し合う]」。
17 わたしたちの区域で効果を上げている取り組みについて取り上げました。これらの提案の中から一つを選び,自分の言い回しに調整し,繰り返し用いてみてください。しばらくすると,別の提案を活用することができるでしょう。4月から6月にかけて再びこのブロシュアーが野外で用いられます。良い準備をして奉仕に参加することにより,一層多くの人が聖書研究を司会するという喜びにあずかることができますように。