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目ざめよ! 1971
目71 2/8 26–27ページ

ヒトデの爆発的増加

ハワイの「目ざめよ!」通信員

何十年ものあいだ,「トゲの冠」(crown of thorns)と称するヒトデはまれにしか見られなかった。1920年代に行なわれた,オーストラリアのグレート・バリア・リーフ沿いの大がかりな調査では,たった1匹しか発見されなかった。ところが今日,南太平洋の海中にはこのヒトデがうようよしている。まさにヒトデの世界の人口爆発である。

ヒトデの増加は,人間にさまざまな問題をもたらした。サンゴ礁が,群がるヒトデによって破壊されているのである。サンゴ礁を作る小さなサンゴポリプは,ヒトデにとって自然の敵であることを考えると,この現象は妙だ。ポリプは,遊泳している,ヒトデの幼虫をむさぼり食べるからである。しかし,今や形勢は逆転した観がある。

1万匹から2万匹の群れをなしたトゲの冠ヒトデはオーストラリアのグレート・バリア・リーフを400キロにわたって広範に破壊した。他の島々,たとえばグアムやフィジーでもサンゴ礁に被害が出ている。また,ハワイ沖のサンゴ礁から約1.2キロ離れた地点で大型のヒトデ2万匹が発見された。

ヒトデのこうした爆発的な増加の原因はなんであろうか。海洋の状態が不均衡をきたしたからである。それについて,一権威者は「これは,海洋生物学史上かつて聞いたこともない,驚くべきできごとです」と語っている。

トゲの冠ヒトデ

ヒトデのからだは,車輪のように,中央の一点から広がっており,多くは五つの腕を持つ。ところがトゲの冠という変種は腕の数が通常16で,その名前が示すとおり,60センチの背面は,毒を帯びた長いトゲでおおわれている。

ヒトデの腹面中央の口から,各腕に一つずつ,16の溝が出ている。その溝の中に,「管足」と呼ばれる細い管が配列してあり,各管足の先端には吸盤がついている。したがって,そうした吸盤が各腕にいく百もついているわけだ。

ヒトデがおなかをすかした時に一番よく働いてくれるのはこの管足で,6平方センチ当たり約11キロ相当の力でしっかりと吸いつくことができる。したがって,大きなカキでさえこじあけて食べることができる。ヒトデがサンゴを食べる時には,ねらった食物の上に多くの腕をただ広げるだけである。こうして良い足場を得ると,それから驚くべきことが起こる。ヒトデは波状の胃を裏返しにしながら口から出して,地に落下したパラシュートのようにそれを獲物の上に広げ,そこへ胃液を注ぐ。こうして,食事を楽しむのだ。

他のヒトデの場合と同様,トゲの冠ヒトデも驚くべき生物だ。たとえば,腕が古くなってとれても,新しい腕がはえてくる。事実,中央の盤の一部がついていれば,1本の腕からヒトデのからだ全体ができる。

爆発的な増加の理由

しかし,ヒトデの爆発的な増加をもたらした不均衡状態の原因はなんであろうか。はっきりとはわかっていない。オーストラリアの場合に当てはまると思われるのは,トゲの冠ヒトデを食べる数少ない生物の一つ,大ほら貝の減少によるとする考えである。巻貝と普通呼ばれている,このきれいで大きな軟体動物の長さは,時に,30センチにもなる。大ほら貝はヒトデをつかまえると,それをすっかり食べてしまう。トゲでおおわれたヒトデを食べた時には,あとでトゲをはき出す。

ところで,ヒトデを食べるほら貝が少ないのはなぜだろうか。問題を調査した,オーストラリアの海洋専門家筋は,旅行者や貝がら収集家たちが大ほら貝を手に入れたがることから,こうした事態が発生したものとみなしている。というのは,サンゴを食べるヒトデによって最も大きな被害を受けるのが,堡礁の内側,すなわち人間の接近しやすい側であることを発見したからである。オーストラリアのクィーンズランド大学のロバート・エンディーン博士の算定によれば,1949年から1959年にかけて,貝がら収集家がグレート・バリア・リーフから持ち去ったほら貝は,少なくとも10万個に上るという。

これまでに起きた,他の自然環境の不均衡の場合と同様,こうした海洋現象の背後には,またもや,人間がいるようだ。アメリカ内務省の賛助を得て,この問題を調査した一流の科学者たちは,多くの情況証拠に基づく次の五つの考えを導き出した。彼らの発見によると,人間は,サンゴ礁の微妙な生態学的平衡を,一つだけでなく,いくつかの仕方で乱したことがわかる。その仕方とは,(1)原爆実験による多量の放射線放出,(2)数少ないほら貝に対する行き過ぎた収集,(3)過度の海底浚渫,(4)DDTによる汚染,(5)漁猟の際のダイナマイトの使用。

人間が海溝を爆破したり,魚をとるためにダイナマイトを仕掛ける際,サンゴも滅ぼされることがある。生きたサンゴからできているサンゴ礁が人間によって滅ぼされると,ヒトデの幼虫を食べるポリプがいなくなる。次いで,ヒトデの幼虫は死んだサンゴ礁に住みつき,危険に冒されずに成長する。一権威者は,グアムやポナペにいるおびただしい数のヒトデは「爆破箇所や浚渫場所の付近で最初に発見された」と報告している。このように,この問題が,人間によって引き起こされたものであることを示す証拠は多い。

問題に対処する

ヒトデの増加をとどめるための,オーストラリアの計画の中には,生きた針差しともいうべき,このトゲの冠ヒトデを大規模に採集することや,ほら貝を輸入して,ヒトデを食べさせるために放流することも含まれている。また,ほら貝を多数繁殖させる方法も目下検討中である。現在グレート・バリア・リーフからほら貝をとることは禁止されている。

中には,オーストラリアにヒトデを撲滅する緊急計画を立てるよう勧める権威者がいる。しかし,「問題の真相を理解して,正しい評価が下せるまでは,トゲの冠ヒトデを滅ぼす計画や対策を急いで立てるつもりはない」と,オーストラリア連邦教育科学大臣,ニゲル・H・ボウエンは語っている。

行動を起こす前に十分の知識を得ることは賢明である。たとえば数年前,ヒトデがカキを食べることに憤慨したカキの漁師たちは,ヒトデをつかまえると細かく引き裂いて海にほうり込んだものである。彼らは自分たちの問題を単に大きくしていたということなどつゆ知らなかった。なぜなら,もぎ取られたちっぽけな1本の腕は,1匹のれっきとしたヒトデになれるからだ。

ヒトデを敵視する報道は多い。しかし,はたして,敵視されるべきだろうか。それは,人間が地球に対して行なったしわざと,その必然的結果としての害が自分の身にはねかえってきたことを示す,もう一つの例にすぎないのではなかろうか。島民の一部にとって,サンゴ礁の破壊が海洋食品の資源を失う結果をもたらしたことは確かだ。しかし実を言えば,地球は,食糧供給資源に影響を及ぼす変化を絶えず遂げているのである。にもかかわらず,地上には十分の食物がある。したがって,人々を飢えさせる原因となるのはヒトデではなく,人間の設けた国家的境界線,およびどん欲な商業主義である。

自分の力では制御しえない変化が起きた場合,人間は環境にそって生活し,環境と協力し,自分の活動を調整することを学ばねばならないし,そうすることが要求されている。そうすれば,ヒトデを敵視するかわりに,驚くべき生物として,ありのままに見ることができるであろう。

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