世界展望
姿を消したもう一つの雑誌
◆ 最近,アメリカでは雑誌の廃刊がふえているが,ルック誌も去る10月廃刊された。廃刊の理由として上げられたのは,広告収入の大幅な減少と郵送料金の値上がりを含む諸経費の高騰であった。同誌は1969年に最高発行部数775万部を記録した。
ふえる悪魔崇拝
◆ 最近,アメリカの20歳になる一青年が『悪霊たちの40もの同盟に引き渡される』ことを望んで自らでき死したが,この事件の後,ワシントン・スター紙の合同編集者スミス・ヘンプストンは次のように評した。「権威が地に落ち,合理主義が退けられたため,人間は灯台のあかりがすべて消えたイデオロギーの海に取り残され,漂流し,新しい啓示を必死に捜し求め,1,200を下らない日刊紙の占星術欄や悪魔崇拝,イタリア式トランプ,感性にかんする講義,麻薬,聖霊降臨節主義,あるいはそれらをいっしょにしたものに頼る」。教会はそれ自体混乱しているので,こうした風潮に対処できる立場に立っていないことを指摘した同氏は,「われわれすべては迷い子である。夜は長く,われわれはなすすべを知らない」と結んだ。しかし,教会や教会で説かれる人間の教えではなく,神と神のみことば聖書に信頼を置く人々はそのように考えてはいない。彼らは,サタンの支配する現体制がまもなく滅ぼされて,神の新秩序が到来することを知って喜んでいる。
トロント市の犯罪の『爆発』的増加
◆ 最近,カナダのトロント・デーリー・スター紙は,「トロントでは暴力犯罪が不気味なほど増加している」と報じた。過去10年間にトロントの人口は25%増加したにすぎないが,暴行欧打は3倍,盗みはほぼ2倍,強姦は6倍にふえた。トロントの一住民は,「町の中は恐ろしくて歩けたものじゃないですよ。いったいどうしたのでしょうか」と語った。これも,現在の事物の体制の終わりが近づいたことを示す,聖書預言の成就のもう一つの証拠である。―マタイ 24:12。
地下埋葬場を利用するどろぼう
◆ 最近,ローマ警察の報告によれば,地下埋葬場を根城にして盗んだ自動車を売買する大規模な組織が存在するという。当局によれば,地下埋葬場には部品をはぎ取られた車が6,000台かそれ以上捨てられているかもしれないとのことである。一味は盗んだ車で秘密の入口からトンネル状の地下道内に乗り入れ,自動車から金目の物を全部はぎ取り,骨組みだけを捨てる。地下埋葬場は非常に広く,また入り口も多いため,どろぼうを取り押えるには軍の小部隊が必要であろうと当局者は見ている。
「意気阻喪させる」犯罪の大波
◆ ナイジェリアの東中央州の警視総監マイク・イベクエは,世界的な犯罪の大波を「意気阻喪させる」ものと評し,「法律が成定されればされるほど犯罪はふえ,刑罰が重くなればなるほど,犯罪はますますまん延する」と言明した。英国教会の集会の席上,同総監は,英国教会は人々を引きつける力を急速に失っていると述べ,今日の問題は「キリスト教を奉ずる人の多くがキリスト教をほとんど実践していないことにある」とつけ加えた。
分裂している教会
◆ アメリカの教会は,僧職者が社会問題に関していかに行動すべきかという点で分裂している。ミルウォーキー・センチネル紙は,そうした問題のために「ローマ・カトリックの一般信徒と聖職者双方に分裂が生じた。さらに,選抜徴兵局が襲われて,徴兵名簿が焼かれた事件に司祭が関係していたため,カトリック教徒の良心にとって,事態は頂点に達した」と報じ,結論として,「したがって,ローマ・カトリック教会は,社会的活動の点でおおかたのプロテスタント教会に劣らず分裂している」と述べた。イエスはこう警告した。「家分れ争はば,その家立つことあたはざるべし」― マルコ 3:25。
大幅に減少するルテール教会員
◆ ルーテル教会は世界的な規模のきわめて苦しい経験をしている。アメリカのワシントン・イブニング・スター紙によれば,ルーテル教会員は約9,000万人の最高数からおよそ7,300万人に減少したという。一昨年だけでも同教会は正味181万6,736名の教会員の減少という痛手を受けた。
消滅に向かう
◆ 最近,アメリカのデトロイト・サンデー・ニュース紙上,カトリックのヒューバート・マイノ卿は次のように述べた。「ローマ・カトリックの聖職組織は消滅に頻しているのであろうか。幾つかのしるしからすれば,そうであると言えよう。……電子計算機の資料に基づく予測によると,死亡,辞職,背信による聖職者の減少,および補充率の低下の結果,アメリカの司祭の数は今世紀末までにゼロになるとされている」。
幻滅を感じている僧職者たち
◆ 僧職を離れるプロテスタントの牧師の数は増加の一途をたどっている。彼らは,多くのカトリック司祭のように童貞制を辞職の理由にするのとは対照的に「12世紀の神学に反対する」,「あまりにも会衆の気げんを取らねばならない」,「低い報酬」,「プライバシーがない」その他の不平をいだいている。以前担当していた教区民に失望したある牧師は次のように語った。「会衆には少数の人,おそらく3名ぐらいが残って,事態を心配しています。その人たちに何か助言するとすれば,教会から出なさいということぐらいでしょう」。
物価の高騰
◆ 国際通貨基金の報告によれば,英国民の生活費は昨年の上半期末には一昨年と比べて10.3%上がった。日本では7.9%,オランダは7.6%,デンマーク,7.1%,南ベトナム,18%,韓国,14.4%と生活費はそれぞれ上がっている。
ロックン・ロールは聴力をそこなう
◆ アメリカ,サンフランシスコの言語研究所で最近,「ロック」音楽演奏者43人を調査したところ,その20%は70歳の老人の聴力しかないことがわかった。「ロック」の演奏会の音量を測定したところ,130デシベルに達するものもあった。これは幾つかのジェットエンジンが出す音量に等しい。そうした高い騒音は,回復不能の聴力障害を招くおそれがある。
ストレスは仕事にひびく
◆ 英国のロンドン・メディカル・ニュース・トリビューン誌によれば,仕事上の過度のストレスは精神障害を起こし,インフルエンザやふつうの風邪をあわせたもの以上に多くの労働時間を奪う原因になる場合があるという。ストレスは今や,労働時間を奪う原因として急激に影響力を増しているものの一つであり,従業員6人につき一人がその影響をこうむっている。昨年,英国ではストレスのために就労日数にして3,600万日を上回る労働時間が失われた。そのおもな責任は,従業員と相談せず,意志の疎通を図ろうとしない経営者側にあった。前述の医学雑誌はこう述べている。「従業員の士気の度合いと,従業員に対する上部管理職の関心の程度とには相関関係がある」。
ストレスは自殺の原因となる
◆ 英国,ケンブリッジ大教授,アイバ・ミルズは,競争の激化している職業は自殺未遂者の増加の原因となっていると語った。生産性の高上を求める傾向は,より高い賃金と弘き換えに労働能率の高上をますます要求するものとなるため,そうした要求に応じられない従業員は激しい緊張状態に追いやられる。もしこうした傾向が続けば,従業員の自殺未遂はますますふえるであろうとミルズ教授は警告している。同教授はまた,過去7年間にイングランドとウェールズで自殺未遂件数は年間5万人から9万人に激増したと述べた。
国連に生じた変化
◆ 去る10月下旬の重大ニュースは台湾の国連追放と中華人民共和国の国連参加であった。この突然のできごとは,世界各地にそれぞれの政治イデオロギーに応じて悲喜こもごもの影響をもたらした。台湾に対するきびしい処置にけん悪の情を示す人も少なくなかった。聖書の研究生は政治に関しては中立の立場を取っているが,こうした動きに特別な関心をいだいていた。なぜなら,「獣」として表わされている国連の「十の角」(黙示 17:12,16)がキリスト教世界とバビロン的な宗教すべてを荒廃させる備えをしている今,中華人民共和国の国連参加は疑いなくその「十の角」に強大な力を加えるものとなるからである。しかし,最後に勝利を収めるのは義と平和をもって治める,エホバの王国である。