世界展望
ニカラグアの地震
◆ 昨年の12月末,中央アメリカのニカラグア共和国の首都マナグアが大地震で破壊した。市の大半は,リヒター・スケールで6.25を記録した震動で完全に破壊された。これは原子爆弾約50個分のエネルギーに相当する。正確な死亡者数はわからないが,5千人から1万人以上に上ったものと推定されている。1931年にマナグアは6秒間の震動で破壊した。また同市では19世紀にも大地震が起きている。ニューヨーク・タイムズ紙は,「なぜ人々は地震帯にあると知りながらその都市を再建するのか」と述べ,こう続けている。「むろん,類似の危険信号が多いサンフランシスコやロサンゼルス,東京その他多くの大都市に住む人々にも同様の問いがなされねばならない。…歴史と科学の教訓が無視されることなく真剣に考慮されるなら,くり返し起こるそうした悲劇は回避できる」。
現代の人食い
◆ アンデス山中の飛行機事故で生き残った16人のうち数名が,墜落して死亡した29人の死体の一部を食べたことを認めた。それら16人は零下6度という寒さの中で69日間耐えた。生存者のひとり,ウルグアイのラグビーチームの一員は人食いを「心臓移植」になぞらえた。それ以来,アメリカ,ニューヨークに住むふたりのローマ・カトリックの神学者はその比較を「不合理ではない」と言い,生存者たちは「正当な行為をした」と述べている。
自家製の核爆弾
◆ 核物質のよりいっそうの管理が必要であるとの勧告がアメリカ原子核協会になされている。もしそうしないなら,小国やギャング,それに精神の錯乱した個人までが,自分たちの手で原子爆弾を作るようになるであろうと,アメリカのバージニア大学の教授,M・ウィルリッチは警告している。同教授によると,原爆の製造方法はもはや秘密の事がらではない。「多くの専門家は,前もって機密の資料を入手する必要のない,粗製の核爆発装置の設計と製造はもはや技術的に極度にむずかしい仕事ではないと考えている」。それゆえ,ウィルリッチ教授は,全世界でますます入手可能になっているプルトニウムやウラニウム235をいっそう厳しく制限するよう主張している。
全世界の犯罪危機
◆ 国連事務総長ワルトハイムは最近国連総会に,世界の「増大する犯罪危機」に対処するよう要請した。同事務総長は,世界中の非常に多くの地域の人びとを悩ましている,殺人,強盗,窃盗,性犯罪などの止まるところを知らない増加の傾向に言及した。事務総長の報告にはカナダ,ポーランド,ウガンダ,日本,その他の国々からの数字が挙げられており,裕福な国は犯罪に最も悩まされている。ワルトハイム事務総長は犯罪抑制の新しい方法を求めた。
平衡感覚を保つ
◆ 「スキー・マガジン」に載せられた最近の報告によると,冷たい天候は多くの場合平衡感覚に影響を与える。実験のさいに外耳に冷水を注入したら,人間の主要な平衡感覚器官である内耳はまひした。それゆえ,戸外で働く人々は冷たい天候のもとで平衡感覚を増すため,耳おおいを着けるよう勧められている。
アマゾン川の水
◆ アマゾン川の水は,「アメリカのおおかたの飲料水」より純粋であると最近のアメリカ地質調査団は報告している。同調査団の語るところによると,アマゾンの水はある場所で「蒸留水の純度にほとんど等しいほどの化学的純度を持っている」。ブラジルのオビドスでは毎分150億㍑のアマゾン川の水量が測定された。平均水量はアフリカのコンゴ川の4倍,またアメリカのミシシッピ川の10倍である。アマゾンの水は,世界中の川が海に注ぐ淡水の15%を占めると言われている。
『カトリック主義の終わり』
◆ カトリック系の雑誌である「アメリカ」に,最近,「アメリカ・カトリック主義の終わり」と題する,世論調査に基づいた記事が掲載された。調査の対象となった30歳未満のカトリック信者のうち,3分の1以上が婚前交渉は悪くないと答えている。また,調査の対象となったカトリック信者の大半は,妊娠中絶は正当な場合があると答えている。「アメリカ」誌によれば,僧職者たちは生活の真の問題を処理する力がなく,辞職する者が少なくない。同記事は次のように述べている。「どのような結末になろうとも,伝統を持ち,しっかり編み上げられた同教会の組織に瓦解のきざしが見えていることは否定し得ない。…驚くべきことは,外敵がわたしたちを滅ぼすのではなく,わたしたちが滅ぼすことである。…わたしたちの友人で,聖母礼拝の著名な研究家グレゴリー・バウムのことばを言いかえるなら,もし聖母が我々カトリック信者にこの窮境を切り抜けるよう期待するのであれば,早く…指導者と預言者を我々につかわしたほうがよい」。
ユダヤ教の礼拝にロック音楽
◆ ユダヤ教で儀式文を読み上げる役をするカンターたちが,最近カナダのトロント市で会合し,ユダヤ教の礼拝に若い人びとを引きつけるため,ロック音楽を採り入れることを話し合った。ニューヨークのヘブライ統一大学出身のカンター,ハワード・スタールは,それは「妙案」であると言って,こう付け加えた。「それは,彼らを会堂に集めるためで逃がさないための手段だ。―努力しだいでは成功の見込みがないこともない」。
競争と八百長
◆ アメリカで最近開かれた,『スポーツと倫理』に関するあるシンポジュウムでは,増大する八百長の問題が議題の中心となった。代表者たちは,八百長の原因が競争の圧力にあることを認めている。アメリカのシカゴにあるジョージ・ウィリアムズ大学の教授,J・キーティングは,「運動競技が引き起こす道徳的な問題の大半は,その原因をたどるとただ一つの点,すなわちそれが非常に競争的であるという点に行き着く」と語った。同教授はさらに,「激しい競争心には欺きと虚言と偽善が伴うのが常である」とも述べた。ニュージャージー州ブルームフィールド大学のW・サドラーによれば,競争が生む悪い結果は競技場だけにとどまらない。同氏はこう語った。「競争は祖国を堕落させている。スポーツは人生に対する備えとなると言われている。しかし私は,『いったいそれはどんな種類の人生か。激しい競争の,そして情も容赦もない人生か』と言いたい。
妄想と睡眠薬
◆ ふたりの精神病学者によるテストは,ほとんど睡眠薬の成分として用いられているスコポラミンが偏執病や幻覚を引き起こしうることを明らかにしている。通常,大量投与がこのような反応をもたらす。スコポラミンを含む容易に入手できる鎮静剤を用いて自殺を試みる者が増えているが,結果はしばしば死ではなくて,恐ろしい精神の錯乱である。スコポラミンはまた,自分がだれでどこにいるのかさえ忘れさせてしまう。そのうえ,この薬はLSDなどと同様に密売されている。LSDの働きを弱めようとして薬を飲む人々は,実際にはスコポラミンの影響を増大させているのかもしれない。
フットボールでの負傷事故
◆ アメリカの大学40校のフットボール・チームに関する調査は,1970年の秋のシーズンだけで,1,468人の選手が合計2,782回負傷したことを明らかにしている。その内訳は,ねんざ,打撲傷,筋違いが2,040件; 脳しんとう,180件; 骨折,118件; 脱臼,69件; 熱射病,26件であった。一人の選手は死亡し,負傷者のおよそ7%は長年にわたって身体障害者になるものと予想されている。ひざ,足首,そして顔が普通最も傷つきやすい部位である。負傷事故の大半は正規の試合のさいに起きている。
若者のりん病
◆ アメリカ,カリフォルニア州南部のサンジエゴ郡の報告によれば,1961年 ― 同71年の間に15歳から19歳までの若者のりん病患者は132件から1,041件に増大し,20歳から24歳の年齢層の間では303件から1,927件に急増した。その統計が物語る,「恐ろしい」事実に衝撃を受けた,公衆衛生局の当局者,ドナルド・G・ラムラス博士は,同地方の教育者に対して次のように語った。「もし生徒が現在の性病り患率と同じ割合ではしかにかかったなら,父兄はあなたがたの戸口を激しくたたいたり,あなたがたの事務室にピケを張ったりして,何らかの措置を講ずるよう要求するであろう。しかし彼らはそうしてはいない。そうしている間に,狂暴な流行病は何ら妨げられないまま一般民衆を襲っている」。
ゴキブリ退治の薬
◆ アメリカのロスアンジェルスにあるカリフォルニア大学の教授,ウォルター・エベリング博士は,硼酸がゴキブリ退治に効くことを発見した。硼酸は大方の殺虫剤よりも安くて安全であり,しかも一度散布するだけで長く効果がある。ゴキブリは硼酸に対して免疫性を持たないようだ。硼酸をどのように使うのだろうか。その白い粉末をゴム製の丸いしぼり出し器に入れて,家具の下や後ろ,また部屋の隅その他の場所に吹きつける。後にゴキブリがそこを通り,あとで足をなめてきれいにすと,硼酸を飲み込む。それが体内で毒となり,ゴキブリを殺すのである。効き目は遅いが確実である。