世界展望
注目される地震の年
◆ 「1977年が厳しい寒さの年として記録に残るとすれば,1976年は地震の年として記憶されるに相違ない」とサイエンス・ニューズ誌は述べている。同誌の指摘によると,米国地質調査局では,「昨年の地震および地震に関連した災害の死者を69万5,000人に上る」ものと推定している。世界における年間の死亡者数で1976年度の推計を上回るのは,中国で推定83万人の死者を出した地震のあった西暦1556年だけである。
家庭でのお産
◆ シカゴの大都市圏にあるイリノイ大学の准校友キャサリーン・カバラリ・マームは,自宅で赤ん坊の生まれた13組の夫婦に産前と産後のインタビューをした結果,自宅でお産することに決めた要因として次の四つを見いだした。(1)母乳で育てることや自然な出産に傾倒していること。(2)医者と病院に対する消極的な見方。(3)自宅でお産をする費用のほうが安いこと。(4)自宅出産の経験者を知っていること。
「歴史の分岐点」
◆ 1914年を人類史上の転換点と見る人は多い。ひとつにはそれは第一次世界大戦の勃発した年である。大戦とその影響についてリチャード・ディーン・バーンズは「人類」誌上に最近次のように書いている。「第一次世界大戦が歴史の中に埋もれてゆくにつれて,大変動をもたらしたこの出来事が旧秩序の終わりをしるしづけ,新秩序の命運を決めるものとなったことはますます明白になっている。歴史の分岐点として,それは世界の事物の中心が貴族的な欧州に置かれていた19世紀の終わりを告げるものとなった。早くも,1918年5月にH・G・ウェルズは大戦が欧州の政治構造を変えたにどとまらず,『社会および経済生活の根底を大きく揺るがした』ことを認識していた。指導的な知識人また政治家で,『旧体制のどれだけが今日死んでおり,どれだけを作り直さねばならないのかを認識し始めている人は今なおごくわずかである』」。
火星の衛星
◆ 火星にはフォボスおよびデイモスと命名された二つの小さな衛星がある。今年初め,米国の宇宙船バイキング1号のカメラによって(二つの衛星のうち大きいほうの)フォボスの近接写真が初めて撮影された。フォボスの表面はでこぼこで,隆起や溝のような線をはじめ多くのクレーターがある。おもにフォボスの北極から赤道近くにまで走っているこれらの神秘的な溝が何によって生じたものかは天文学者にとってなぞである。三枚の複合写真からフォボスの直径は約21㌔,頂点から底部までは19㌔とみられる。
ブルージーンズの市場
◆ AP通信の伝えるところによれば,ブルージーンズ ― 通常ブルーのデニムで作られたズボン ― がハンガリーの若者の間で流行している。欧米から輸入された外国製のブルージーンズが好まれているという。若い人々は米貨で一着80㌦(約2万4,000円)もする輸入品のほうを買い求めている。ハンガリー製のものはわずか15㌦ほどで買えるが,生地のデニムの質が劣ると言われる。
火事の時の奇妙な反応
◆ 東京の一保険会社によると,焼け出された人のほとんど三分の一は,ほとんど無価値な物を携えて,燃える家から逃げたと語っている。持ち出したのは枕,鍋のふた,花びん,かさ,片方だけの靴などであった。ろうばいしているのと,何かを助けたいという本能的な欲求とが一緒になってこんな事になるらしい。多くの人は,我にかえって,無用な物を持ち出した事に気がつくと,貴重品を取りに燃える家の中に走りもどったと述べている。現金をかき集めて家の外へ持ち出したと語っている人は10パーセントに過ぎない。
激増する企業犯罪
◆ 米国ではあらゆる規模の企業が,激増する犯罪の被害を受けている。犯罪のために企業のこうむる損失は年額およそ400億ドル(約12兆円)に上り,税引き前の総収益の17パーセント以上にあたる。これは米国のすべての男女,子供一人あたり約185ドル(約5万5,500円)になる。企業犯罪の中には贈賄,ぴんはね,偽装倒産,横領,こそどろ,保険金詐取,企業秘密の盗みその他が含まれる。保険会社によれば,毎年,倒産企業の30パーセントは,内部の盗みが直接の原因で行き詰ったものである。そしてこの盗みは平社員から社長に至るまであらゆる種類の人々にわたっている。
電話帳にない電話番号
◆ プライバシーのために自分の電話番号を電話帳に載せないように求める人が増えている。ロサンゼルスでは電話の約38パーセントが記載されていない。シカゴでは33パーセント,ニューヨーク市では5年前より三分の一以上増えて30パーセント以上になっている。プライバシーは増加するものの,全体的に見て電話の有用さは減少する。電話をかけたくても番号が分からないからである。
賭けごとに中毒
◆ 米国サウス・レイク・タホウの山中にある賭博行楽地が地震に見舞われた。カジノで自動賭博機を使って賭けごとをしていた何百人の人々も地震に揺り動かされたが,大多数はそのままプレイを続けた。あるカジノのスポークスマンのいわく,「足の下の床が抜けでもしないかぎり,彼らは賭けごとを中止しないでしょう」。
下手な字で捕まる
◆ ニューヨーク市のある銀行の出納係は,金を渡せと書きなぐった紙片を強盗に手渡された。払戻し請求書に書かれたその文字はあまりにもきたなく,誤字だらけであったため,出納係はその男に言った。「あなたの言われることが分かりません。もう一度書き直してください」。しかし彼女はその男が何の目的で来たのかということだけは分かった。彼女の驚いたことに男は客用カウンターのところにもどって新しい払戻し請求書をひっぱり出して書き直し始めた。その間に出納係は音の出ない非常ボタンを押したので,強盗はたちまち御用になった。
いんちきな慈善
◆ 慈善の目的で金集めがされる時,困っている人々の手に渡る額は微々たるものである。集められた金の大部分は“経費”になってしまう。トロントのスター紙は,その市の「慈善団体」が恵まれない子供たちのためにという名目で約50万ドルを集めたと報じている。しかし法廷の判事は,子供たちのため実際に使われた額がその1割にもみたない事を発見した。この事件に関して語った言葉の中で判事は,「役員の給料,職員の賃金とボーナスとして支出された額が多過ぎる」と述べた。
頑強なアリ
◆ 害虫駆除の専門家は,「外国から米国に入ったファイアー・アントの駆除が今のところ不可能」なことを認めている。ファイアー・アントは米国では1918年に初めてアラバマ州で発見された。以来このアリは南北両カロライナ州からテキサス州に至る南東部八州に広がり,推定1億5,000万エーカー(6,000万ヘクタール)を荒らしている。このアリに刺されると痛い。一匹のアリは約20回刺す力を持っている。少数ではあるが,これが致命傷になる人もない訳ではない。このアリはその大きなアリ塚が収穫また農作物や飼料の刈取りの邪魔になるので農夫にとってもやっかい者である。これらのアリ塚は場所によって46センチぐらいの高さのものがあり,1エーカーに30から50を数えることもある。しかしファイアー・アントにも益するところがない訳ではない。彼らは家畜や農作物にとって危険な他の昆虫を食べるという有益な働きをする。
最も恐れられている病気
◆ 米国人を対象としたギャラップ調査により,米国人の最も恐れる病気はガンであることが確認された。調査に応じた人々のうち58パーセントがガンを一番に挙げ,以下,失明(21パーセント),心臓病(10パーセント),関節炎,小児麻ひ,手足の切断(各2パーセント)の順であった。肺結核とつんぼを挙げた人は1パーセントに過ぎず,答えを保留した人は3パーセントであった。
電話で童話を聞く
◆ 「レニングラードでは25種類の情報を電話で入手できる」とソビエト・ライフ誌は自慢している。「適当なダイアルを回すと童話を聞ける」のもこのサービスのひとつであると同誌は伝えている。「市でいちばん良い俳優がレニングラードの子供たちに童話を聞かせるようになって今年が6年目である」。
最低の出生率
◆ 米国の婦人の産む子供の人数は米国史上最低となっている。出生率は平均して婦人一人あたり子供1.8人にまで低下した。この割合でゆくと,一組の夫婦が自分たちに代わるべき子孫を生み出していない事になり,したがって米国の人口はやがて増加を見ないことになろう。それどころか減少が見られることになる。すでに表われている直接的な結果のひとつとして,13歳以下の米国人の子供は,1970年と比べて現在760万人も少ない。その結果,小学生の年令層は1970年以来580万人,率にして10パーセント以上も減少した。これは子供の衣服,ベビー・フードその他の商品の生産高の減少など,他の広範な分野にも影響を及ぼしている。
サボテンどろぼう
◆ アリゾナとカリフォルニアでサボテンが盗まれ,造園業者に売りとばされていると,パレード誌は伝えている。ある筋の推定によれば,アリゾナのサボテンの20パーセントが盗まれてしまった。
直接の払込み
◆ 米国では社会保障制度による年金受給者の約10パーセントが銀行振込みによって毎月の支払いを受けている。しかしこれには問題がある。一部の銀行は振込みがあった時に当人に通知することを怠ってきた。また支払いに伴ういろいろな知らせも,銀行が転送を怠るうちに紛失することがある。また口座に入金されるのが遅れるため,小切手が“不渡り”になった例も時にあった。しかしチェンジング・タイムズ誌は次のように述べている。「財務省は銀行に対し,振り込まれた年金を毎月3日までに必ず口座に入れるようにとの通達を出した。また社会保障局では,各種の知らせを受給者に直接に郵送することを始めた。一部の銀行は,払い込まれた年金を口座に入れるまで,当座預金口座の毎月の計算書の郵送を遅らせている」。
『世界最大のカラーテレビ』
◆ 32インチ(81㌢)のカラーテレビが最近,日本で売り出された。伝えられるところによればメーカーのソニーが『世界最大のカラーテレビ』と銘うったこのテレビ,お値段のほうは3,300㌦(約99万円)である。
「アルコール中毒の危険」
◆ キール大学の研究者たちが行なった最近の研究は,10歳から18歳までのドイツの青少年の六分の一が「アルコール中毒の危険にさらされている」ことを明らかにしている。両親の飲酒の習慣がおもな要素であることが明らかになった。「父親が常習的な大酒飲みである場合,研究の対象となった例についてみると,21パーセントの子供がやはりそうなる」とパレード誌は伝えている。