世界展望
都市の生活費
◆ (スイスのジュネーブに本部がある)ビジネス・インターナショナル社は,最近調査した59都市のうち,生活費の最も高いのは東京だと述べている。それに次ぐ上位十都市は,大阪と神戸,チューリッヒ,ジュネーブ,ストックホルム,ウィーン,オスロ,ラゴス,コペンハーゲン,フランクフルトである。ニューヨーク市は経費の点では18位であった。生活費のかからない都市の中には,メキシコシティー,ボゴタ,リオデジャネイロ,リスボン,サンパウロ,マニラ,ヨハネスバーグ,バンコク,モンテビデオなどがあるが,生活費の最も安かったのはブエノスアイレスである。
太陽の大爆発
◆ 昨年の7月11日,太陽の表面に見られた爆発はある意味で従来観察された爆発のうち最も規模の大きなものだった。それはある種の通信手段を一時的に混乱させただけでなく,地球を回る二つの人工衛星に取り付けられているX線探知機をだめにしてしまった。同時にその爆発で宇宙に磁場が送り出され,普通は太陽系外から地球に降り注ぐ宇宙線を,一時的にさえぎってしまった。
血液“代用物”の優れた価値
◆ ミュンヘン大学の外科医学研究所の指導の下で,バイエルン州南部の31の診療所が三年間にわたって,輸血を施された患者と血液“代用物”を施された患者との比較研究を行なった。その研究結果は,このような“代用物”を用いる方が,輸血を施すよりもはるかに併発症が起こりにくいことを示している。20万単位の血液“代用物”を用いた症例で,併発症が起こったのはその0.033%にすぎなかった。しかし輸血には種々の危険が伴うということがその報告の中で言及されている。大都市の中には,輸血を受けた患者の10人に一人が肝炎に冒されているところもあると言われている。
ハンガリーの聖書事典
◆ 最近,ハンガリーで定められている年一回の読書週間中に,国営の出版社が「聖書小事典」を発行した。その一週間が終わる前に,印刷された7万8,000冊の本が売り切れ,ベストセラーとなった。その本の編集者たちは,聖書を「人間の文学的な創作」として解説することが自分たちの意図したところだと語っている。タイム誌によれば,共産党の新聞ネプサバドシャグはこの事典は三つの目的があって出版されたと述べている。第一は聖書の表現を理解させること,第二は「信者との対話」を深めることである。第三としてその新聞があげている目的は聖書の知識によって「実のところ当局のイデオロギーを強化できる」ということである。タイム誌は次のように報じている。「他のすべての共産主義政体と同じく,ハンガリーの場合も無神論が行き渡っている。そして580万人のカトリック教徒と260万人の新教徒が祝う宗教行事を事実上容認しながら,その国には聖書そのものが手に入る店は,教会の書店一軒だけしかない。聖書は在庫切れになることが多い」。
ガンの罹病率
◆ 米国では胃ガンによる死亡率が10万人につき7.2人であるのに対し,日本では46.6人となっている。日本人の間でその比率が高いのは食物中の硝酸塩の量と関係があると考えられている。一方,腸のガンによる死亡率は日本では10万人につき4.8人であるが,米国では18.3人となっている。また,乳ガンの場合も日本では10万人に対してわずか5.4人であるが,米国では29.6人という数字が出ている。これはニューズ・ウィーク誌に載せられた,世界保健機構によるデータである。
冥王星の衛星が発見される
◆ ワシントン発UPI特電によると,最近米国海軍観測所の天文学者たちは冥王星の最初の衛星を発見したと発表している。その衛星は,アリゾナ州フラッグスタッフの天文台で望遠鏡を使って撮影された冥王星の写真用感光板を調べていた際,ジェームズ・クリスティが発見したものである。クリスティは1978年4月と5月に撮影された感光板と1965年及び1970年に撮影された写真を比較していた際,細長いもやのようなものが位置を変えていることに気付いた。これは以前に発見されたことのない衛星であることが分かった。冥王星は太陽から最も遠い惑星であるが,新しく発見された衛星と冥王星との距離は1万9,000㌔と報告されている。
犯罪の増加
◆ 66か国を対象とした1970年から1975年までの調査の結果は,その間に世界中で犯罪が急増したことを示している。これは,1980年にオーストラリアのシドニーで開かれる国連犯罪防止会議の準備を行なうウィーンの研究員たちが最近報告した調査の結果である。1970年から1975年までの間に麻薬関係の犯罪が114%増加し,その間に窃盗罪が179%増加していることを専門家たちは知った。
しわがれ声で鳴く小さな動物
◆ ウェスタン・オーストラリアの北端のある密林で,恐らく世界で最小のものと思われるカエルが発見された。成長してもわずか1.3㌢ほどだが,体長の100倍もはねることができる。このカエルは独特なしわがれ声で鳴くと伝えられている。
頭髪の移植
◆ 脱毛に対処するために行なわれる頭髪の移植は,「男性の間で最も一般的な美容手術」となってきた,とモダン・メディシン誌は報告している。しかしこの臨床医学誌は,こうした処置によって動静脈ろう孔と呼ばれる病気が再度生じたことを述べている。同誌は一例を挙げ,移植が完了してから一年半後に,「ある34歳の男性は右耳に低いぶんぶんうなる音が聞こえ,最後に移植片を取った耳の辺りがうずいたりはれたりし,また右目がかすむと苦痛を訴えた」と述べている。しかしろう孔が除かれた後,こうした異常はすべてなくなった。
沈黙したとき
◆ イタリアのフローレンスのあるテレビ局が,上半身裸の女性講師を呼び物にした体操番組を放映したところ,地元の修道会の修道士たちが,「家庭に悪魔を直接送り込んでいる」と言って抗議した。しかし,非難されたテレビ局が商売敵の他のテレビ局のポルノ番組を引き合いに出すと,修道士たちは沈黙した。「[その競争相手のチャンネル]の支配人はカトリックの修道士であることが分かった」と,テレビ・ガイドは伝えている。
豊富な植物
◆ アラスカ,カナダ,大陸部の米国,グリーンランドには幾種類ぐらいの植物が生育しているだろうか。スタンウィン・シェトラーとローレンス・スコッグの発表した目録には1万6,274種が載せられている。しかし,「さらに追加されるべき植物に関する報告が植物学者たちによってすでに送られてきている」と,サイエンス・ニューズ誌は述べている。
医師への謝礼
◆ 最近,ホワイトハウスの賃金物価安定協議会は,米国では医者に支払う報酬が1950年以来273%も上がっていると報告した。米国民は診察および治療費として1950年には27億㌦(約5,400億円)を医者に支払っているが,1978年にはこの額が350億㌦(約7兆円)に達するものと予想される。このうち60%は報酬そのものの値上がりによるものとされている。米国の医師たちは「報酬の引き上げの結果,他の職種の人々の四倍もかせいでいる」とパレード誌は伝えている。
休暇の方が望ましい
◆ ドイツ医師連盟の最近の調査によると,労働者にとってストレスを減らすには,週の労働時間を短縮するより年に二回休暇を取ったほうが体のために良いという。「同調査は,労働組合が,週の労働時間を短縮するより休暇をさらに一回増やすよう交渉することを勧めている」とAP通信は伝えている。「労働者は短縮された就業時間の中で同じ量の仕事を果たすことを期待されるからである」。
増加を続けるインドの人口
◆ 現在インドの人口は約6億3,420万人と推定されている。一番新しい人口調査(1971年)によると,その数は5億4,800万人だった。したがってこの国の人口は毎年約1,300万人の割合で増加していることになる。もしその増加率が続けば,1991年までにインドの国民は7億9,900万人を数えるようになる。
税金の支払い
◆ 税制財団の報告するところによると,米国では地方税,州税,連邦税を払うために一般国民は一年のうち124日働いていることになる。
セメントは砂糖の収穫量を増やす
◆ オーストラリア砂糖管理局は,サトウキビを植える一か月前に酸性土壌にポートランド・セメントをすきで混ぜ込んだところ,クイーンズランド州ではサトウキビの収穫量が50パーセント近く増加したことに気付いた。セメントに含まれる鉄とマグネシウムが収穫量を増やしたと考えられている。英国のニュー・サイエンティスト誌の伝えるところによると,「あるテストの際,1ヘクタール当たり4㌧のセメントを使用したところ収穫量は44%増加し,また2.5㌧使用したときには33%の増加が見られた」。
ペットが出会うと
◆ 二匹の全く異なったペット,つまり黒ネコと白ウサギが最近米国のミネソタ州イーガンで珍しい騒ぎを引き起こした。ウサギの飼い主は,近所の家のネコが自分のペットをひどくおびえさせたと主張し,動物の監視人に連絡した。警察はすぐにそのネコを見つけ出し,約三時間後に射撃場で撃ち殺した。それに対してネコの飼い主は,その地方には動物を処理する前に五日間生かしておかねばならないという条令があるとして,警察を告訴した。裁判所はその飼い主のためにペットの損害賠償金40㌦(約8,000円)と懲罰的損害賠償金5,000㌦(約100万円)を裁定した。
英国のアラブ人
◆ 現在英国のロンドン及びその近郊には4万世帯のアラブ人が住んでいると言われている。パレード誌によると,彼らの数はアラビア語と英語で書かれた標識はもちろんのこと,アラビア語の新聞がそうした地域で必要とされるほど多くなっている。
ぶどう酒が魚を殺す
◆ 最近,フランスのあるぶどう酒製造業者の腹を立てた一労働者の行動から,幾千匹もの魚が死ぬという結果が生じた。その従業員がフランスのニュイ・サン・ジョルジュの下水管に約60万㌦(約1億2,000万円)にも相当するバーガンディを流し込んだところ,そのぶどう酒は最後にムーザン河に流れ出た。その結果,川の水がひどく汚染され,魚が幾千匹も死んだ。
犯罪に携わる女性
◆ 司法援助管理局の支援のもとに行なわれた研究で,イリノイ大学のリータ・J・シモン教授は,1975年に米国で逮捕された女性が犯罪の16%に荷担していることを発見した。この数字は1953年の10.8%から見ると上昇している。AP通信は同教授の次のような主張を伝えている。「外で働く女性が次第に増えるにつれ,彼女たちは横領や盗みを働けるような仕事に就くことになる。これだけ婦人の労働力が増大しているのだから,これは単に平均値の問題にすぎない」。