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目ざめよ! 1980
目80 10/22 26–27ページ

川が媒介する失明

コートジボアールの「目ざめよ!」通信員

「糸状虫症ですって? そんな言葉は聞いたことがありませんね。何のことですか」とジェリーが尋ねました。ジェリーはわたしの友人でヨーロッパの人です。

「目が見えなくなる病気のことです」と,わたしは簡単に答えました。「川が媒介する失明です。熱帯地方の幾つかの川で繁殖するブユの一種がこれを引き起こすのです」。わたしが説明するとジェリーは熱心に耳を傾けました。

「例えば,西アフリカの国オートボルタの首都ワガドーグーの西およそ70㌔の所に,ワイエンというさびれた小さな村があります。その村は,風土病のまん延している河川域の一つ,白ボルタ川の流域にあります。住民のほとんどがその病気にかかっていて,失明しているか,そうでなければ視力をひどく損なっています。

「ワイエンへ行ったことがあるのですか」とジェリーが尋ねました。

「何度かあります。最近訪問した時に,モウサに会いました。モウサは西アフリカのサヘル地区に住む7万人の盲人のうちの一人に過ぎません。失明するまでに至ってはいないものの,糸状虫症にかかって何らかの形で苦しんでいる人は推定100万人います。

「実際,モウサはその皮膚のしわが連想させるような老人ではありません。年は40そこそこですから,普通ならまだまだ活動的な年齢です。しかしそこでは,モウサは早くも年寄りで,皮膚は恐ろしいほどこわばり,しわが寄っていました。向こうずねのところを見ると,ひどくかいたために皮膚の色が変わってしまい,病変して灰色になった部分もあるピンクのできものがありました。

「モウサには妻と4人の子供がいます。ただし,ひどく貧しい生活を送っています。一番上の子は村を離れてしまいました。失明しないうちに逃げ去ったのです。わたしはその子の兄弟たちが村の他の子供たちと一緒にいるところを見かけましたが,粗い石や砂を手にして,むずがゆい腕や脚をかいていました。その程度の感染は軽いほうです。まだ視力を失っていませんから。それで,子供たちは年老いた盲目の両親の道案内を務めています。やがて彼らも目が見えなくなるでしょう。盲目になることがその人たちの人生になってしまっているのです」。

病気の伝染

Simulium damnosumという学名の小さなブユの一種によってその病気が人から人へ伝染する様子をジェリーに説明しました。そのブユは,流れの速い河川で繁殖し,人間の血を吸って生きています。この病気は熱帯アフリカに限られているわけではありません。イエメンやメキシコ,中央アメリカや南アメリカにも見られます。

モウサの場合,まさに幼いころに悲劇が臨みました。感染した雌のブユが彼を刺し,寄生虫である回旋糸状虫をうつしたのです。寄生虫の重汚染地区に住んでいたために,幼いモウサは繰り返し何度も刺されました。

「回旋糸状虫がいったん体の中に入ると,犠牲者は徐々に衰弱していきます。刺されれば刺されるほど体の中には寄生虫が多くなっていきます。15年もたつと,雌雄幾匹もの成虫が皮膚の下でとぐろを巻いて,背中やでん部,ひざの周り,時には頭部にまでこぶを作ります。体内で育った成虫は,5,000万ないしは2億匹もの“子”を産みます。これらは体中に広がり,ついには目に達します。角膜の中で虫が死ぬと,細胞が反応変化して不透明のはん点ができます。そしてその後,目が見えなくなります。

「その病気にかかった人は早晩死ぬのでしょうか」とジェリーは質問しました。

「糸状虫症そのものが命取りになることはありません。ただ,老化を早め,寿命を縮めます。けれども,そうした人々の困窮状態は大変なものです。25歳から45歳までの間の働き盛りの男の人のほとんどが盲人であれば,経済が破綻するのも当然です。それですから,西アフリカのボルタ川流域の幾つかの地区では,人々はブユを避けるために流域の肥沃な土地を離れて,ずっとやせた土地に移り住んでいます」。

薬物治療とまん延防止計画

「『川が媒介する失明』に病んでいるそのような気の毒な人々を救済するには,どんな医学上の援助がなされねばならないでしょうか」。ジェリーはその点を知りたがっています。

わたしの答えはあまり安心させるものではありません。「ここしばらくの間,調査が行なわれてきました。そして,これまでに2種類の薬,スラミンとジエチルカルバマジンが開発されました。しかし,そのどちらも強い副作用があるので,医師の非常に注意深い監督の下でなければ投与できません。実際のところ,これらの薬は集団治療には適していません」。

「寄生虫の塊でできたこぶを外科手術で取り除くことはどうですか」。

「それはより実際的な解決策のように思えるかもしれません。事実,中央アメリカではそうした処置が取られてきました。しかし,ボルタ川流域ではその策も効きめがないようです。そこでは感染率が非常に高いので,こぶを取り除いても幼虫に活動の場を与えることになるだけだからです。

「今のところ唯一の実行可能で効果的な方法は,ブユの繁殖地に殺虫剤を散布することのようです。1974年以来,糸状虫症まん延防止計画病原媒介虫まん延防止班は,ボルタ川流域に毎週ヘリコプターや小型飛行機を飛ばしてこれを行なってきました。

「その計画は,自発的に資金援助を申し出る国々と関係諸国から財政的な支持を受けて,国連の世界保健機関が取り決めているものです。ベニン,ガーナ,コートジボアール,マリ,ニジェール,トーゴ,オートボルタの7か国は,肥沃な土地が病気の汚染から立ち直って,人々が河川の流域に再び住めるようになることを願っています。まん延防止計画には,この仕事を成し遂げるために,20年という目標が立てられています。ブユとの闘いで,これまでに4,600万ドル(約110億4,000万円)以上が費やされました」。

「これまでにどんな成果がありましたか」。

「そうですね。幾つかの地域では病気の伝染が止まりました。移住者の中には,まん延防止に『成果を収めた』流域の土地に再び住むようになった人々もいます。それでも,まん延防止計画の一職員が述べたように,『病気を撲滅するにはほど遠い状態であり,病気をわずかでも減らせるのではないかという程度のことぐらいしか言えません』」。

「もちろん,糸状虫症は,人類にぞっとするような弔鐘を鳴らすように迫る数多くの災いの一つに過ぎません。人間による救済の努力は限られた,一時的なものです。しかし,この病気の犠牲になった人々が,『若い時の状態に戻った膚』を誇りとすることができる時,また,『盲目になった目を開け』てもらうことができる時,それは何という喜びとなるのでしょう」。―ヨブ 33:25。イザヤ 35:5,新。

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