「1分足らずで1,000語を教える」
「アンドレ・モーロア[フランスの作家]は,第一次世界大戦中に塹壕の中で顔を合わせた兵隊たちの間に起きたある出来事について述べている。一人のポルトガル人兵士が一人のフランス人兵士に向かって,100フラン出せば1分足らずでポルトガル語1,000語を教えると言った。フランス人兵士はその申し出に応じた。するとそのポルトガル人は,『いいかい,フランス語の中の-tionで終わる単語は皆ポルトガル語と同じだ。ポルトガル語の場合はそれが-çãoで終わるだけだ。……そういう単語が1,000以上あり,フランス語と同じくみな女性型だ。どうだ,1分もかからなかっただろう? 100フラン頂きます』」― チャールス・ベルリッツ著「母国語」。
英語をフランス語,スペイン語,イタリア語,ポルトガル語などに,またその逆に変える場合に概してこの同じ原則が当てはまります。英語の-tionで終わる単語の中にはフランス語と同じつづりのものが少なくありません。ただしフランス語にはアクセント記号の付いている場合があります。スペイン語では-tionは-ciónになり,イタリア語では-zione,ポルトガル語では-çãoとなります。例: nation: nation(フランス語); nación(スペイン語); nazione(イタリア語); nação(ポルトガル語)。