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世界終末の脅威
核の冬の理論によると,TNT火薬50億㌧相当の爆弾が核戦争で爆発すれば,その結果,特に大都市から巻き上がる粉じんや煙のために,北半球は何か月間も,生命を脅かすほど厳しい寒さのもとで暗闇に閉ざされることになります。ノーベル賞受賞者のハーバート・A・サイモンは「サイエンス」誌の中で,「この分析結果が正しいとすると,たとえ無防備な敵に対してであっても,核による大攻勢をかけて自滅を免れる国は一つもない」と述べています。
この理論が実証されるなら,核軍縮を促す大きな動因となると考える専門家は少なくありません。「恐ろしいことではあるが,核の冬の問題を認めることは,最後の土壇場の大きな光明になるように思われる」と,トマス・パワーズはアトランティック誌の中で書いています。しかし,それによって軍備競争に終止符が打たれるでしょうか。そういうことはまずないでしょう。パワーズによれば,「周囲の市街を焼き尽くすことなく,都市の中の標的を破壊する,現在のものよりずっと小型で命中精度の極めて高い武器をさらに多く」備えた「全く新しい型の兵器」を超大国は製造せざるを得なくなるということです。同氏は結論として,核の冬の問題によって「大戦争の起きる可能性はなくならないが……,それによって計画立案者たちは世界の終末とは逆の新たな方向へ向かう」と述べています。
核の冬の脅威は希望を差し伸べるどころか,新たな恐れを生じさせているに過ぎません。対立の結着をつけるために超大国が「自滅の危険のない」武器を配備する可能性がさらに強くならないでしょうか。交戦中の国々が死に物狂いになり,敗北を喫さないために自滅の危険を冒しても核兵器を使用することがないでしょうか。諸国家が利己的な軍事戦略を用いていることもまた,全能の神がご自分の戦いであるハルマゲドンをもたらされる理由になります。その戦いは間近に迫っています。神のみ言葉は,「軍勢が多いことによって救われる王はいない」との保証を与えています。―詩編 33:16。啓示 16:14,16。
ハルマゲドン ― 何のことか
あるテレビ討論会の席上,米国のレーガン大統領は,聖書の預言が「ハルマゲドンを1,000年先のこと」としているのか,それとも「明後日のこと」としているのかはだれにも分からないと述べました。しかし,世界キリスト教会統一運動公益センターであるクリスティック協会の調査担当理事,アンドリュー・ラングは,レーガンが述べた幾つかの事柄を要約し,「ハルマゲドンはわたしたちの世代に起こるかもしれない,ハルマゲドンは中東で起こるかもしれない,ハルマゲドンにはソ連軍が関係するかもしれない,ということが繰り返し述べられている」と語っています。
聖書の述べるところによれば,神の恵みを受けている「大群衆」は生き残りますが「人の住む全地の王たち」はハルマゲドンに集められて滅ぼされます。(啓示 7:14,15; 16:14,16; 19:19-21)ハルマゲドン(ヘブライ語で「メギドの山」を意味する)とは,中東にある実際の場所のことではありません。また,諸国の軍隊が,聖書に出て来る古代都市メギドの周辺地域にすし詰めの状態で入り込むことも考えられません。したがってハルマゲドンとは,ある情勢,すなわち世界がエホバ神に敵対して集合する,もしくは結集する情勢のことです。そうした情勢には前触れとなる「しるし」があり,わたしたちは現在その「しるし」を目撃しています。ハルマゲドンは確かにわたしたちの世代に起きるのです。―マタイ 24:3-15,21,34。
十代の出産
「黒人の十代の少女の間に妊娠と出産が増えていることを心配する人々の中には,その実利的な面だけに目を向けて問題の解決を図ろうとする傾向が強く見られる」と,黒人のコラムニスト,ウィリアム・ラズベリーは書いています。それはどういう意味でしょうか。十代の少女は子供をもうけないようにと告げられますが,その理由として挙げられるのは次のような事柄です。すなわち,「教育が妨げられ,出世の見込みもなくなり,人生で好機をつかむことも難しくなる。また,体重が少なく,学習困難症になりやすい子供の生まれる恐れがある」ということです。しかし,「私が興味深く感じ,また驚かされるのは,こうした論議の中で道徳の問題がめったに取り上げられないことである」とラズベリーは語っています。
しばしば妊娠という結果を招く男女の乱交が聖書の道徳律に反するということを十代の若者に教えなければならないのは確かです。(ガラテア 5:19-23)また,神の言葉の中に示されている,結婚と子育てに関する諸原則をも教えなければなりません。クリスチャンは「若さの盛りを過ぎ」るまで,すなわち性欲が最初に盛んになる,あるいは強くなる時が過ぎるまで自制を培って結婚するのを待つべきであるという意味のことを使徒パウロは述べています。(コリント第一 7:8,9,36)現代の諸研究は,最良の親になるのは円熟した人々であることを示し,これらの道徳律と原則を裏付けています。