わたしたちすべてが教える業にあずかる
1 わたしたちの主,イエス・キリストがまさに弟子たちを後にして天に行こうとしておられた時,弟子たちに言い残していかれた事柄があります。「それゆえ,行って,すべての国の人々を弟子とし,……彼らにバプテスマを施し,……教えなさい」。(マタイ 28:19,20)わたしたちは出かけてゆき,人々を教え,彼らがバプテスマを受けたキリストの弟子となるよう助けているでしょうか。
2 古い体制の終わりが急速に近づいた今,滅びゆく体制に何の希望も真理も見いだせないゆえに,人々は流れのように,エホバの真の崇拝に集まって来ています。それはまさにイザヤ書 2章2,3節に述べられている通りです。「末の日に,……すべての国の民は必ず流れのようにそこに向かう。そして多くの民は必ず行って,こう言う。『来なさい。エホバの山に,ヤコブの神の家に上ろう。神はご自分の道についてわたしたちに教え諭してくださる。わたしたちはその道筋を歩もう』」。
3 ここ日本でも現在7万人を上回る人々が王国の真理を人々にふれ告げていますが,1年前,その数は約6万2,000人でしかありませんでした。7万人を上回る奉仕者が現在合計で10万件以上の家庭聖書研究を通して人々を教えており,『来なさい。エホバの山に,ヤコブの神の家に上ろう。神はご自分の道についてわたしたちに教え諭してくださる。わたしたちはその道筋を歩もう』と人々に呼びかけて援助を差し伸べているのです。この春の記念式には17万人もの人々が集まったことを考えてみると,この体制が終わる前に,バプテスマを受けたキリストの弟子となるよう,わたしたちが援助できる人々がまだ多く残されているように思えます。
4 真理にいくらかでも関心を示す人々をどのように援助することができますか。家庭聖書研究で教えることができますが,何よりも大切なことは上記のイエスのご命令と,宣教の目的をしっかり認識することです。イエスのご命令は長老や奉仕のしもべたち,あるいは開拓者など特定の立場の奉仕者に対してなされたものでなく,すべての弟子にあてられたものであることを忘れてはなりません。
5 わたしたちは家から家の奉仕,再訪問そして家庭聖書研究など宣教のいろいろな分野に携わりますが,これらすべてはバプテスマを受けたイエスの弟子を生み出すという宣教の最終的な目的に向けて努力が結び合わされたものであるべきです。(1)家から家の奉仕や雑誌活動により,わたしたちは王国について証しをすると共に,関心を示す人々を探し出すことができます。(2)関心を示した人々を再訪問することにより,王国についてさらに証言を行なうことに加えて,示された関心を高め家庭聖書研究を取り決めることを目ざします。そして(3)家庭聖書研究により,徹底した証言を行なうことに加えて,学んでいる人がキリストの真の弟子,つまりバプテスマを受けた弟子となるように援助できます。この一つ一つの段階は鎖の環のように関連したものですから,最終的な目的を達成するためにどの段階もおろそかにできません。
6 わたしたちは宣教の目的を十分に認識し,それに向かって良心的で,意欲的な努力を続けてゆきましょう。家から家に奉仕する際,文書を求めたり関心を示したりする人がいるならば,必ずノートに書き留めるようにすべきです。場合によっては,何ら出版物を配布しなくとも,尋ねられた質問や示された関心のゆえに,家の人が誠実に真理を探し求めている人であることがわかります。ではこれらの人々をノートに書き留め,早い機会に再訪問を行なうようにしましょう。
7 再訪問を行なうことは難しいことのようにお考えになりますか。しかし,もしあなたが家から家の奉仕を行なっておられるなら,再訪問はそれよりもやさしい奉仕であることに気付かれるでしょう。なぜなら再訪問は最初の訪問で何らかの関心を示した人々に親しい友好的な訪問を行なう活動だからです。親しみ深い態度で,短い訪問を何度も繰り返し行なうことにより,家の人の関心を高めることに成功し,研究を取り決めることができるのです。エホバのご意志を喜んで行なおうとする態度と隣人に対する誠実な愛はわたしたちをこの業に動かすはずです。
8 いろいろな報告によりますと,新しい奉仕者がどこの会衆でも大勢いるので,これら新しい方々が教える資格を十分に備えた奉仕者となるために組織的な援助が与えられねばなりません。会衆や群れごとに援助の取決めを徹底し,特に再訪問や研究といった教える業で助け合いましょう。奉仕の友として二人が一緒に再訪問を準備し,練習し,野外で共に働くのは良いことです。家から家の奉仕が終わる時,前回の奉仕の際,何らかの関心を示した人々を一緒に再訪問するようにしましょう。再訪問を繰り返すことにより,関心は高められ,家庭聖書研究を行なうことができるようになります。
9 再訪問や家庭聖書研究など教える活動によく慣れていないと思う方がおられるなら遠慮なく,長老や群れの司会者に近づいて援助を求めてごらんになってください。喜んで共に働く奉仕の友を取り決めてくれるでしょう。『行って,人々を教え弟子としなさい』との命令を与えられたイエスはこう続けておられます。「見よ,わたしは事物の体制の終結の時までいつの日もあなた方と共にいるのです」。イエスが共にいてくださるのですから,教える業に参加することがわたしたちにとって不可能だとか,難しいと考える必要はありません。大切なことは,わたしたちを業に用い,指導を与えてくださっているエホバとイエス・キリストに信頼し,導きと助けを求め,滅びゆく体制に残されている真理を求める人々に純粋な愛の動機で援助を差し伸べることです。伝道者各人が少なくとも一つの家庭聖書研究を司会するとしたら,さらに多くの人々を助けることができるでしょう。それを目ざして努力しましょう。