あらゆる機会をとらえて良いたよりを宣明する
1 良いたよりを宣べ伝え,人々を弟子とすることは,神がクリスチャンすべてにお与えになった重要な使命です。この使命を首尾よく果たすには,積極性と進取の気性を示し,変化してゆく社会情勢の中で地域社会の生活習慣や型に合った奉仕の取り決めや証言方法を取り入れることが求められます。それでこの記事により,今後日本の野外で強力に推し進めたい奉仕の分野を取り上げることにします。―コリント第一 9:22,23。
早朝および夕方や晩の奉仕
2 都市部では共働きが増え,帰宅時間が遅くなり,多くの人々の生活は夜型になっています。一方,農村部の人々は早い時間に活動を開始しています。ですから,早朝および夕方や晩の奉仕を組織することは新しい区域の開発につながります。こうした認識に立って長老団が業を組織し率先している会衆では,予想以上の成果が見られています。それで,すべての会衆において週に少なくとも1度あるいはそれ以上,夕方や晩の奉仕を取り決めることを是非検討してください。ふさわしければ,早朝の奉仕も取り決めることができるでしょう。
3 だれがこの活動にあずかれるでしょうか。すべての奉仕者が自分の事情や状況をまず検討してみるようお勧めします。独身の兄弟姉妹をはじめ,全時間の仕事を持つ奉仕者や学校に通う奉仕者など,様々な立場の人がこの活動に参加できます。家族の頭は,家族全員で参加することを計画したいと望むことでしょう。もしかしたら未信者の夫を持つ姉妹たちでさえ,家事や生活に支障を来たさないよう計画してこの活動にあずかることができるかもしれません。
4 早朝あるいは夕方や晩の奉仕の際には,雑誌活動を行なうのが効果的です。晩の奉仕では,ある程度の用心が必要ですし,一軒の家に長くとどまることを避けることによって,家の人にも迷惑をかけずにすみます。資格ある兄弟が司会者として全体を監督することによって安全を確保し,不測の事態に対処することができるでしょう。奉仕はできるだけ二人一組で行ない,若い人同士ではなく,大人と組んで奉仕するようにします。また家の人が関心を示したとしても,家には上がらないようにするのが最善でしょう。この時間帯は家の人にとって食事や団らんのひとときであることが多いため,家の人の気持ちを察し,「普段お目にかかれないので,晩の時間におうかがいしてみました」といった紹介の言葉を用いるとよいかもしれません。早朝の場合も,最初に一言,「日中の訪問ではお会いできないことが多いので……」と述べることにより,友好的に会話を進めることができます。
5 区域の状況に適した時間帯を取り決めることは大切です。おそらく週中の集会のない晩や土曜日にこの活動を計画するのが最善でしょう。
街路伝道
6 戸別の伝道においては留守宅が非常に多いものの,街路は常に人々であふれています。それで,街路伝道を定着させ,個々の奉仕者が経験を積んでゆくことは,王国の音信をあまねく伝える上で効果的と言えます。都市部ではかなり定着してきたものの,地方では繁華街が少ないという理由で十分な支持が見られていないようです。しかし,それほど人通りの多くないところで小人数で行なうほうが効果的との報告も寄せられています。バス停,駐輪場,スーパーマーケットや図書館の付近,そして歩道など,様々な場所を区域として選ぶことができるのです。
7 街路でも,効果的な紹介の言葉が証言の成否を決める場合が少なくありません。わたしたちが最初に発する言葉は,思慮深さを反映した,えり抜きのものであるべきです。「お急ぎのところ,ちょっと失礼します」と温かく声をかけたり,「この近くにお住まいですか」と尋ねたりすることができます。また友好的なあいさつの後,「この雑誌を以前にお読みになったことがありますか」,「この主題に関心がありますか」と尋ねるのも効果的でしょう。招待ビラかパンフレットを渡すことから証言を始める方法もあります。
8 わたしたちはまず開拓者の皆さんが,街路伝道を自分の奉仕の一分野として定着させるよう是非お勧めしたいと思います。中には,見知らぬ人に近づいて路上で証言することに気後れを感じる人がいるかもしれません。しかし,最初に戸別の証言活動に参加したときにも同様の経験をしたのではありませんか。それで,すぐに成果を期待するのではなく,しばらくは試行錯誤を繰り返すことになるかもしれませんが,勇気をもってこの奉仕に取り組み,改善を図るようにしてはいかがですか。できれば住所や電話番号を尋ねるなどして再訪問を行なってください。それができない場合には招待ビラや出版物から支部の住所を示し,さらに多くの情報を求めたい場合,遠慮なく連絡を取ることができる旨知らせることができます。
非公式の証言
9 非公式の証言を受けたことがきっかけとなって,現在兄弟姉妹となっている人は数知れません。統治体がこの数年間強調している通り,非公式の証言は個々の証人にとって見過ごすことができない重要な奉仕の分野です。実際のところ,わたしたちは全時間エホバの証人なのです。そのような意識を持って見れば,わたしたちの周囲には音信を手短に伝えることのできる人々が数多くいます。親族や知人,あるいは職場の同僚や学友などは,いずれもエホバとそのお目的について知る必要があります。さらに,わたしたちは日常生活の中で実に多くの人々と接触します。では,そうした人々や会社,商店などのリストを作り,短い証言を試みたり,出版物を紹介するなどして,一般の人々に対するのと同様に,計画的な奉仕を行なうのはいかがですか。わたしたちは,開拓者の皆さんがこの奉仕の分野をも重要視なさるようお勧めいたします。
10 非公式の証言を行なう面で成功してきた一姉妹は,「エホバと隣人に対する愛が成功の鍵です」と述べ,「長い間仲良くしてきた世の友人たちと是非共に新しい世で永遠に生きたいという願いを持つことによって,人への恐れを克服することができました。その友人たちは,普段の伝道で直接会うことができず,インターホンで話すか,従業員かお手伝いさんが取り次ぐことになるため,直接会うことのできる私が証言しなければ彼女たちは滅びてしまうと考え,良いたよりを真剣に伝える責任を感じました」と語っています。このような願いをすべての奉仕者が持つべきではないでしょうか。
11 話そうとする意識が強すぎると,なかなか話せないものです。まず,あいさつをしたりねぎらいの言葉をかけたりして,気軽に始めることができます。「だいぶ寒くなってきましたね」,「今の時期,仕事はお忙しいですか」,「ご家族の皆さんはお元気ですか」と気軽に話しかけることによって思いもよらない仕方で証言の機会が訪れるかもしれません。
12 効果的な非公式の証言にはどんな事柄が関係しているのでしょうか。事前の準備に勝るものはありません。様々な人に合った話題を考えておき,パンフレットなどを携帯するようにします。また,一方的に証言するのではなく,相手の意見を求めたり,考えを刺激する適切な質問を投げかけるなどして会話を発展させることは大切です。こうした自然な会話によって,相手を警戒させることなく音信を分かつことができるでしょう。さらに,一度に多くを伝えるよりも,状況に応じた一つの点を簡潔に伝えるということです。イエスの行なわれた非公式の証言はわたしたちが見倣うべき最も優れた手本です。(ヨハネ 4:7-26)もちろん,人々が関心を示さず,話し合いに応じない場合には,別の機会をとらえたほうが賢明でしょう。
13 残されている時が少なくなっている今,わたしたちは身近な親族をも助けたいと思います。この場合にも,親族の一覧表を作り,手紙を書いたり,ふさわしい出版物を送ったりすること,さらには個人的な訪問を計画するなど,段階的に証言を行なうことができます。巧みさと親切と辛抱強さを示してください。決して性急になることなく,聖書の教えに徐々に親しむよう助けることを当面の目標としてください。
留守宅
14 留守宅を顧みるために,最も効果的な時間帯を探し出してください。週末に繰り返し訪問しても家の人に会えないような場合には,週中に奉仕する奉仕者と週末に奉仕を予定している奉仕者との間で,留守宅の記録を交換し合い,その徹底を図ることができるかもしれません。「家から家の記録」(S-8)や個人的なノート,さらには住宅地図などを活用することもできるかもしれません。
結び
15 エホバは羊のような人々を集める業の速度を速めておられます。イザヤは幾千年も前に,人類を救出するというエホバ神のお目的を予告しましたが,今日まさにこの預言が最終的な成就を見ているのです。「見よ,今こそ特に受け入れられる時です。見よ,今こそ救いの日なのです」。(イザヤ 49:8,10。コリント第二 6:2)それで,王国宣明者の皆さん,宇宙の最高主権者であられるエホバを代表して行なう宣教活動の特権を誉れあるものとみなしてください。業を完了するために必要な活動力をエホバに祈り求め,絶えず奉仕の質の向上に努めてください。家から家の宣べ伝える業は引き続きわたしたちの奉仕の主軸をなすものですが,それ以外の方法にも勇気をもって積極的に取り組んでください。