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目ざめよ! 1970
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くじゃくの目を通して物事を見る

インドの「目ざめよ!」通信員

そもそもの始まりは,卵の殻を破ってこのわたしが鳥の世界にお目見えしたとき以来のことです。熱帯の強い日ざしに目をしょぼしょぼさせながら,わたしは途方にくれてつったっていました。なにもかもが不思議で,わたしはおどおどしていました。ママがだれかは本能的にわかりましたので,その安全な翼の下にもぐり込みました。そうしていれば安心ですし,かわいがられているのを感じました。ママはとても強そうで自信に満ちていましたから,心配は無用でした。

生後二,三日はそんな調子で過ぎました。そのときはまだ知らなかったのですが,わたしはくじゃくの雄ひなで,兄弟と姉妹がそれぞれ2羽ずついました。つまり,わたしたちの家族はくじゃくの家族としては普通の大きさだったわけです。くじゃくの巣には通常4ないし6個の卵が見い出されるからです。

巣と言えば,わたしの出生した巣は,広々としたいなかの原野のやぶの茂みのまん中に堀られたくぼ地でした。小枝・葉・草などが敷きつめてあり,とても気持ちがよく,しのび寄る敵でもそうやすやすと見つけることはできませんでした。これは観察の結果あとになって知ったことですが,ママはつやつやした薄い淡黄色の卵を5個ここで産んだにちがいありません。その各は約5ないし8センチの大きさだったことでしょう。彼女がまだかまだかと案じつつそれらの卵を28日間抱き続けた後,ついにわたしは生まれました。

ママがそうして卵を抱いている間,わたしが危うくふ化しそこなうような事件が起ったそうです。わたしたちの巣は,ジャムナ川の細い支流に近い,きびと大麦を栽培する畑の隣にありました。近くにはそのほか,岩や雑草それに深い茂みが点在している,未開墾の土地が広がっていました。その平原を見はるかすと,野生のミルタやアカシヤの木が所々に見えました。夕方近く,太陽が刻々と沈みかけていたときで,物音ひとつしませんでした。

突然,深い茂みの中に何物かがひそんでいるのに気づいたママは,全身の神経を緊張させました。鋭い目でやぶを見通したところ,餌を求めてうろついている1匹のやまねこの姿を見つけました。その空腹そうな動物が近づくにつれて,ママはいわば巣にくぎ付けにされました。しかし,ママの羽は周囲の物の色によく似ているため,気づかれずにすんだようでした。やまねこは,そのまま畑の方に去っていきました。もしそのとき母が見つかっていたなら,わたしたちはおろか母でさえ殺されていたことでしょう。なぜなら,母くじゃくは身の危険を冒しても巣を離れないからです。

くじゃくの習性

くじゃくは速くものを覚えます。わたしたちはまもなく,ママがパパの唯一の配偶者でないことを知りました。パパには配偶者が5羽もいるのです! したがって,1羽の父くじゃくは,1年間に25羽のひなくじゃくを持つことにもなります。これは,くじゃくの目から物事を見れば,ごくあたりまえのことなのです。

わたしたちの家族は,ジャイプールから遠くない,インド北部のラジャスタン砂ばくの一地方に住む小さいくじゃくの群れに属しています。わたしにはおじやおばがたくさんいます。わたしたちは生まれつき群集性ですから群生を好みます。幾つもの家族が同じ木を止まり木にして宿ることがしばしばあります。しかし,繁殖期になると,おじさんたちは配偶者を探すために,めいめい出かけて行きます。

夜がしらみはじめるころには,くじゃくはもうすっかり目をさましています。しかし,いきなり地面に飛び降りるようなことはせず,「メイーオー」というようなかん高い叫び声を立てて朝の静けさを破りながら,枝から枝を伝わって,あわてずに降りてきます。それからまず朝食をとらねばなりません。ママはわたしたちがひよこだったとき,わたしたちの大好物を捜す方法を教えてくれました。わたしたちの主食は草や穀類です。終日,穀物畑を荒らしまわることもよくあります。しかし,わたしたちはこの地方で「神聖」なる地位を与えられていますので,わたしたちがどんなに略奪をしても,村の農夫たちは平然たる勇気をもって黙認してくれます。太った汁の多いこん虫も献立の一種で,うろうろしている柔らかいとかげも食べます。パパとママは小さいへびさえ食べます。たぶん,くじゃくの目で物事を見るのでないかぎり,そんなものは食欲をそそらないことでしょう。

夕方近く1日の終わりがくると,早めに夕食をすませ,それから逆の方法で止まり木に引き返します。つまり,おもむろに「階段」を上って,気にいった止まり木に落ち着きます。わたしたちは,夜,就寝前に大騒ぎをするという定評があります。

責任を分担する親くじゃく

わたしの両親のうち,パパのほうが問題なく色彩が豊かでした。他方ママは似合いの色を選ぶのがじょうずでした。巣と卵の世話をする際,周囲と見分けがつかないような色のドレスを選びました。巣を作ったり,卵を産んだり,卵を抱いたり,ひなの面倒をみたりで彼女はとても忙しかったので,たぶん,美しいドレスは実用的でないと思ったのでしょう。パパは卵をかえす仕事を手伝いませんでしたから,ママほど忙しくなく,尾にハンサムな羽をつけては,いばって歩きまわりました。

でも,パパは確かに群れのすばしこい指導者でした。外見とは違って,やまねこ,わし,人間など敵となるものにはいつも警戒の目をゆるめませんでした。その目といい,耳といい,ものすごく鋭敏で,くじゃくが捕えられることはまずありません。ジャングルに住者多しと言えども,ひょうが近づくのを最初に見破るのはたいていパパでした。そのような危険な事態に遭遇すると,わたしたちが飛んで逃げることは余りありませんでした。速くしかも長距離を飛べないわけではありませんが,むしろ地面を速く走るほうがよいのです。

敵のことで思い出したのですが,わたしがまだ生後わずか6か月のときにこんなことがありました。わたしたち数羽のひなどりたちが木陰で遊んでいました。1羽の幼い雄のくじゃくが早熟にも求婚の見ぶりを見せびらかして,おかしなかっこうをしていました。地りすたちがちょこちょこ走りまわり,少し離れたマルゴサ(センダン科の一種)の木には,青かけすが1羽さびしそうにぽつんと止まっていました。近くのバンヤン樹ではむくどりの群れが,ジャングルで聞かれるいろいろな物音をまねしていました。数羽のひなくじゃくが,そのうちの1羽がつかまえたとかげの取り合いをしていました。突然,パパが耳をつんざくような鳴き声を立てたので,わたしたちはみな我に返りました。危険の合図です。わたしたちは四方八方に逃げました。と,どこからともなく1羽のわしが高空から現われました。しかし,パパが警戒を怠らなかったために,事無きを得ました。

くじゃくの羽衣装

生後数か月というもの,わたしは妹たちとほとんど見分けがつきませんでした。尾羽にも違いはありませんでした。8か月たった後,くじゃくの社会のならわしに従って,わたしは家を離れて自活しはじめました。こうして,母は,次の家族を育てる仕事に当たる前,一息つくことができるわけです。このころまでには,真の尾羽の上に独特の尾羽がはえてきました。しかし成鳥となるまでには時間がかかります。羽がひとりまえにはえそろうまでに4年はかかるのですから。

何か月かたつうち,徐々にではありますが,目のさめるような綿毛と羽毛とができあがります。成鳥となったわたしは,体重5キロ,頭から尾までの体長は約2メートルに達しました。尾羽の上のおおい羽の長さだけでも1.5メートルあります。そして,12年は生きながらえる見込みがあります。それに,これからは毎年1回,服を新調できるのが楽しみですし,鉄砲ではなく写真機をもった人間なら,さぞわたしをほめてくださることでしょう。

読者の皆さんにわたしを一目お見せできたらと思います。わたしの頭には柔らかい冠羽が直立しており,両側に白いはん点があります。目のまわりも白色です。やや長めの首はまばゆいような金緑色と青色の羽毛でおおわれており,翼の下羽は緑色のはん点模様になっています。おなかのところは黒っぽい色をしています。それに比べて,わたしの翼は灰色で黒のはん点が散らばっています。わたしの真の尾羽は見えませんが,茶色がかった色をしています。

1.5メートルも後ろに引きずって歩く,わたしの長い尾羽は青銅色に似た緑色か青色をしています。その尾羽からは枝模様の羽が織り成され,皆様ご存じのあの輝くような「目」つまり斑紋が見られます。わたしはその羽を背の後ろで垂直に扇状に開かせることができますし,真の尾羽をささえとして使いながらそのままにさせておくこともできます。それはほんとうに美しい光景です。

しかし,わたしがそうするのはおもに人間に楽しんでいただくためではありません。それは配偶者を得るための手段なのです。毎年繁殖期がやってきますと,わたしは配偶者を捜しに出かけます。相手が見つかりしだい,わたしはあらんかぎり美しく見せます。彼女の前で一種の踊りをするわけです。胸を突き出し,尾羽をまっすぐにし,前向きに威風堂々と歩きまわります。その間,わたしは耳ざわりなしわがれ声を立てます。全然音楽になっていないではないかとおっしゃるかもしれませんが,その声を聞いた彼女はわたしが関心を持っていることを理解するのです。わたしの美しさが最高潮に発揮されますと,わたしは下の尾羽を震わせます。すると,後ろにたれ下がっている羽がさらさら音を立て,その音に合わせてあたかも光が点滅するような効果が表われます。それが成功すれば,1月から10月にかけての繁殖期に4ないし5羽の配偶者を勝ち取ることができます。そうなると,宝石で身を飾って後宮のそぞろ歩きをする大君になったような気がします。

もちろん,わたしの輝かしい羽毛が危険の原因になることもあります。こんなに衣装を凝らしているのですから,わたしを食用にするためにやってくる猟師で,羽を目あてに出かけてくる商人をどうしてのがれられますか。わたしの種に属する鳥を捕殺することは,法律で禁じられてはいますが,法律を無視したがる人はどの時代もいます。身の安全を図ることがわたしにとってどんなにむずかしいことか,わかっていただけますか。

危険をのがれる一つの方法は,毎年,羽の抜け変わる時期に古い羽を記念品として地面に残しておくことです。そうすれば羽の収集家たちは,その羽を拾って去って行きます。また,この不都合な羽にもかかわらず,わたしはコブラに負けないほど軽快に深い茂みの中を走り抜ける能力を持っています。さらに,多くの人はわたしを尊崇の対象物としていますから,くじゃく狩りの猟師でもそうおおっぴらに非道なまねはできません。

くじゃくの歴史

最後にくじゃくの歴史について少しお話しなければなりません。わたしたちがキジ科に属することはご存じかと思います。しかし,キジ科には親類が多いため,専門家はわたしたちに「パーオ・クリスターツス」という分類名を与えました。たぶん,わたしたちを遠い親類と区別する特徴が冠羽にあるからでしょう。わたしの祖先はノアの箱船から出た後,時たつうちインドに住みつきました。そこで,何千年もの間,わたしたちは宮廷や貴族の邸宅における鑑賞鳥として仕えてきました。外国の宮殿で,羽のはえた大使として奉仕したことさえあります。

くじゃく史上記念すべき日となったのは,わたしの著名な先祖数羽がフェニキア人の船から降らされ,エジプトの土地を踏んだときのことです。それから彼らはエジプトの宮廷に護送され,くじゃく式盛装よろしく,羽の信任状を提出したという次第です。聖書の歴史を調べますと,ソロモン王の取りよせた高価な輸入品のなかに,くじゃくがはいっていました。シオンの宮殿は3,000年も前,美しく着飾ったくじゃくを輸入することにより,一段とその壮麗さをまし加えました。(列王上 10:22,23)それから数世紀後,マケドニアのアレクサンダーは200羽のくじゃくをヨーロッパに持ち帰りました。

くじゃく史を通じていつも十分に納得できないことがあります。それは,人間の物の見方です。たとえば,インドでは何千年もの間,くじゃくは聖なる鳥とされ,時には崇拝されることさえありました。その人たちの間につたわる宗教伝説の中で,くじゃくは重要な役割を果たしたことになっています。今日のインドでも,くじゃくを殺すと刑法に触れる所があります。一方,古代ローマでは盛んに賞美され,中世ヨーロッパにおける富豪の宴には,油の乗ったくじゃくの料理がつきものでした。ですから,くじゃくの目から見ますと,解釈に苦しむことがおわかりでしょう。

さて,話を終える前に,わたしが誤解されている点に一つ触れましょう。英語には,「くじゃくのように尊大ぶる」という表現がありますが,この表現のおかげで,くじゃくと言えば尊大さや見え坊を意味するようになっています。わたしの身にもなってみてください。この表現は真実だと思われますか。最高の知恵を持たれる創造者が,物言えぬ創造物のひとつにそのような好ましくない特性を与えられると,本気に考えていらっしゃいますか。とは言っても,くじゃくの特性を完全に理解していただくためには,くじゃくの目を通して物事を見てもらわなくてはならないのですが。

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