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目ざめよ! 1970
目70 5/8 25–26ページ

泥炭から熱を得る

ウルガイの「目ざめよ!」通信員

「何から熱を得るんですって?」「泥炭からです!」「それはなんですか。どこでとれるのですか。どのようにして使うのですか」。こうお尋ねになるかもしれません。

南大西洋のフォークランド諸島,スコットランドやアイルランドの一部,その他の幾つかの土地の住民にとって,泥炭と言えばそれは熱を意味しています。多くの場合,それは彼らに唯一の燃料なのです。

泥炭とは,腐敗した植物が圧縮されたもので,さまざまな可燃性の物質でできています。何百年,いや,おそらく何千年もの間,腐敗した草,あし,こけその他の水生植物,あるいは鳥や動物の排せつ物,もしくはその幾つかがまじって,理想的な湿気を含んで,年間平均7度の温度の下で堆積すると,やがて腐敗し,泥炭層や泥炭沼が形成されるのです。

泥炭の品質は,おもに,腐敗した植物の種類,植物の年齢,すなわち腐朽の期間,そして上部の物質からの圧力の量によって決まります。泥炭沼は,普通多量の水分を含んで,スポンジのような状態ですが,トラックなどがその上を通っても車輪がうずもれないほどしっかりしています。泥炭沼は確かに普通の野原や牧草地のように見えます。しかし,乾燥させた泥炭は石炭のようによく燃えるのです。

細菌や他の微生物は上層部の植物を腐朽させる役目をします。しかし,地層の下部には微生物はいません。地表面の泥炭は普通の芝に似ています。それは多孔質で根や他の植物がいっぱい含まれており,火をつけるとすぐに燃えてしまいます。深く掘ってゆくにつれて根は少なくなり,泥炭の質はよくなってきます。

泥炭は,泥炭沼の表面の薄い黄色もしくは茶色を帯びた繊維のあるスポンジ状のものから,底部の暗褐色あるいはほとんど黒のもろい固体に至るまで,いろいろな種類があります。ほとんど黒の乾燥した良質の泥炭は,石炭のように粉砕できます。それは層になっていますが,板のように薄く切り取ることができます。非常に関係の深い石炭と同じく,泥炭をストーブに積み重ねて燃やすと,冬の長く寒い夜の間ずっと燃えつづけます。しかし泥炭の発熱量は,同じ重さの石炭の発熱量のほぼ半分です。その熱量値はだいたい木材と石炭の中間です。

泥炭層つまり泥炭沼の厚さは,いろいろ異なります。フォークランド諸島のポート・スタンレーの近くでは,深さ三,四メートルに達するものもあり,普通は1メートルほどの厚さです。他の国では12メートルに及ぶものもあると言われています。南ジョージア島にある泥炭層は何千年も経ていて,およそ4メートルの厚さがあると推定されています。

簡単に手にはいる燃料

フォークランド諸島の多くの場所では,人々は家から出ていって,泥炭を望む量だけ自由に取ることができます。しかし,ポート・スタンレー市では,市当局が泥炭を管理し,「泥炭担当官」あるいは「燃料担当官」と呼ばれる役人が,それぞれの家庭に無料で割り当てています。ある家が売られたり買われたりする場合,その家に属する泥炭区画は自動的に売買に付されます。家を新築した場合には,泥炭層の割り当てを受けます。そして,ある区画の泥炭が尽きると,別の区画を割り当てられます。それで,望む量だけ使用できます。

同市の泥炭層は市の端から何キロにもわたっています。泥炭沼の管理は政府であるといっても,家庭で使用するために,割り当ての分を切って,運搬し,倉庫に入れるのはそれぞれの家庭のする仕事です。普通の家庭では,1年に平均して120ないし150立方メートル,あるいはそれ以上の泥炭を消費します。

泥炭を燃料にするまで

泥炭は体積の単位で測られ,泥炭沼から切り出されます。最初の層を切り取った後は,その下の層を90センチだけ取ることができ,このようにして,泥炭がなくなるまで,つまり最下層の岩盤に達するまで切り取ってゆきます。これらの層は,「一番切り」,「二番切り」などと呼ばれています。深い所の層を切り取ればそれだけ良質の泥炭が得られます。

切り取ったり,掘ったりする際,沼の排水が正しく行なわれるように配慮しなければなりません。機械を用いて掘ったり,切り取ったりする試みもなされていますが,この地方では,なんと言っても手すきが確実で,一番効果的に使用できます。その手すきは切れ味がよく,泥炭を一定の形に切るのに使われます。普通縦・横23センチ,長さ15センチに切ります。次に,かなりの水分を含んだこれらの泥炭を広げて,少し乾燥させます。やがて,その部分がよく乾燥するようにひっくり返して,山積みにします。

約1か月間乾燥させてから,泥炭は家に運ばれ,“泥炭棚”にきちんとしまわれます。泥炭を使いたい時にはこの棚からすぐもってこれます。この時点においても泥炭はまだ十分の水分を含んでいるので,ぼろぼろに砕けることなく初めの形を保っています。泥炭の中の芝が乾燥しすぎて,ぼろぼろに砕けてしまうと,取り扱いがむずかしくなり,土のようにシャベルですくわねばなりません。しかし粉状の泥炭はストーブの中でよく燃え,普通に生じる,赤味がかったねずみ色の灰ではなく,大きな固まりとなった燃えがらが残ります。

家庭にある泥炭棚は板で作られており,その板は5センチの間隔が開けられ,空気の流通が十分できるようにしてあります。これらの棚には,1年あるいは2年分の泥炭が積まれています。それで,料理用ストーブ,暖房用ストーブ,あるいは暖炉で燃やすときには,泥炭はいつでも使えるように用意されています。

泥炭を家の中に運ぶのは毎日の家事の一つです。泥炭棚から運ばれた泥炭を,望む大きさに切ります。早く暑い火が欲しい場合には,泥炭がすぐに燃えるように小さ目に切ります。大き目の泥炭はゆっくり燃え,少しずつ熱を出します。

夜,泥炭の燃える暖炉の前にすわって,緑や青そしてオレンジ色に輝く焔と,暗いへやの中にゆれるその影を見つめていると,思わずうっとりとした気分になります。そうです,泥炭から熱を得ているこの地方の安らかな家庭には,快い喜びがあるのです。

[26ページの図版]

原野に積まれた乾燥泥炭の山。これをトラックで泥炭棚に運ぶ

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