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目ざめよ! 1971
目71 5/22 20–23ページ

バイオリンの名器

カナダの「目ざめよ!」通信員

アマチ,ストラディバリ,グアルネリ ― これらは,過去の名バイオリン製作者たちの名前です。彼らの作品は,バイオリンの名器の標準としての地位を幾十年も保持してきただけの非凡な調べをもって,今なおわたしたちに語りかけます。

彼らの楽器を模作するための試みも盛んに行なわれてきました。一部の製作者たちは,外観の模作には成功しましたが,さてひいてみると,残念なことに,その「音色」ですぐに正体がしれました。

にもかかわらず,今日も,アマチ,ストラディバリ,あるいはグアルネリの熱情と誇りとをもって,製作に打ち込む,並々ならぬ腕前のバイオリン製作者が少なくありません。カナダのブリティシュ・コロンビアに住むある製作者をいっしょに尋ねてみましょう。あなたは,たしかにバイオリンの名器を作るひとりの芸術家に会えます。

しかしでかけるまえに,このバイオリン製作者が,彼独特の楽器を創作する人で,他人の型をまねるだけの人でないことを知っておいていただきましょう。

彼が仕事場に使っている粗末な小屋を見回すとき,あなたはひとつのことに気づくかもしれません。そこには,それぞれ違う製作段階にあるバイオリンが2個あるだけです。彼がそれらのバイオリンについて説明してくれるのを聞いていると,彼の作るひとつひとつのバイオリンには,厳密さや,正確さや,美的感覚に卓絶した名匠の性格がしみ込んでいるということを感じます。

どんな型のバイオリン?

「最近,ある大学の教授のバイオリンをひとつ仕上げました」と彼は話してくれます。「実は,バイオリンというものは,その使用意図を考えに入れて作るものですから,私はお客様の注文に応じて,特殊の使用目的に合ったバイオリンを作ります。室内楽用,独奏用,コンサート用,あるいはオーケストラ用と,音楽家の使い道に合わせて,特別に作るのです」。

室内楽用のバイオリンは,柔らかでソフトな音を出すように作られています。一方,オーケストラ用のバイオリンは,明せきで強い音,室内楽のソフトな音よりも堅い音を出すようにつくられます。コンサート用や独奏用のバイオリンは,音量が豊かでなければなりません。わたしたちのバイオリン製作者はそれを,オーケストラ用のバイオリンのように堅くはないが,それよりも『濃い』音と説明します。

しかし,そうした希望の音質をどのようにして得るのでしょうか。彼は,製作中のバイオリンの表板のそりぐあいにわたしたちの注意を引きました。彼の説明によると,このそりが高ければ,箱の中に空気がたくさんはいるので,柔らかくてロマンチックな音が出,低ければ,震動が生じて,音がはっきりし,強くなります。オーケストラのバイオリンの場合がそうです。

材料

バイオリンを作る材料の木に気がつきましたか。あのすみにきちんと積み上げられています。よく見てください。空気がどの木にも回るように工夫されている,乾燥した場所に置かれ,湿らないようにしてあります。木が自然に乾くには6年くらいかかるのです。ですから一部の木はもう長いあいだ,あそこに置かれているのです。

使われる木の種類を調べてみると,横板,裏板,こま,さお・渦巻きは,カエデの木でできています。しかし,表板・魂柱およびカホはエゾマツでつくられています。

彼が使っているカエデ材はヨーロッパ産で,海抜450メートルほどのところにある,石灰岩の土壌の森の中で育ちました。これは木目が細いことを意味します。生育が遅いからです。木は,樹液の動きが最も少ない冬の間に切り取られます。彼が見たなかで一番質のよいカエデは,バルカン半島産のものだそうです。エゾマツはカナダ西海岸から来るもので,その質のよさは抜群です。

バイオリンの名器を作るには,ニスでさえ重要です。主人の話によると,彼は,バイオリンの型に合うように,自分でニスを作ります。使う原料は,マスチック,杜松の樹液,シェラック,ミツバチが作ったパテ,他の樹脂,アルコール,染料などです。ニスは薄く塗って,速くかわかさねばいけない,というのが彼の信条です。ニスのにおいが漂っています。

当然のことながら,この一度の訪問で,バイオリンが目の前でできあがるのを見ることは期待できません。事実,主人の話では,ふつう1年に3個しか製作しないということです。量は多くなくても,質が非常によいのです。

構造上の正確さ

主人が見せてくれているバイオリンの裏板をごらんなさい。今はざらざらして見えるかもしれません。型を取りはじめたばかりのところですから。四角に区分けされているのがわかりますか。鉛筆できれいにしるしがつけてあります。数えるとすれば200はあるでしょう。これは,バイオリンの裏板を成形するとき,木の厚さを正確に変えて行くのに役だつのです。

まず,まるのみ,それから小さなかんな,最後にけずり道具(彼はサンドペーパーは使わない)を使って,裏板を望みの厚さに成形します。この仕事はふちから始めます。外側が終わってから,内側にかかります。でき上がりの厚さは,ふちで2ミリ,中心部の1点で6ミリになります。中心部は,バイオリンの裏板の先端から195ミリのところです。この部分は,震動センターとして知られています。測微尺で各目の厚さを計りながら,振動センターに向かって,徐々に仕事を進めていくのです。こまかい部分に,そして正確さに,これほどの注意が払われるのです。あなたはそれに魅力を感じませんか。

表板を合わせる方法についての彼の説明を聞いていると,この部分もやはり,バイオリンの裏板と同じような方法で作られるようです。しかし,表板には,そりをきかすために,特別に手を加えねばならないことに注意してください。表板も,ふちから中央3分の1に向けて徐々に厚くなっています。一番厚いのは,こまの乗る部分です。

音響上の調和

やがて,もっと多くのことがわかって気づきます。つまり,構成部分の組みたてが忠実だということのほかに,さらに,バイオリン製作の各段階が,音響学的な意図を十分に備えているということです。表板は,たしかにそのことをよく表わしています。表面と裏面のできあがった表板を軽くたたくと,嬰ヘの振動音を出します。ところが,孔があけられると,その震動音は嬰ハに変わるのです。カホが取りつけられると,音はまた変わります。カホというのは,バイオリンの表板の裏面の,左のF孔の上端から,G線の下に,G線に沿って張り付けられる一片のエゾマツ材のことです。これは,G線が強い音を出すのに役だつと同時に,こまの左足のささえになります。これが表板に取りつけられると,震動音はまた変わってホになります。

音を逃がすF孔は,最大の注意を払って,正確に,正しい大きさに作らねばなりません。もし小さすぎれば,震動音が胴内にこもって,音がこもってしまいます。もし大きく切りすぎれば,音が薄くなり,キーキーというかん高い音がでます。

こまのデザインさえ,バイオリンの音の明せきさと調子をそこないます。わたしたちの主人は,ある音楽家の経験を話してくれます。彼はその音楽家のバイオリンを作りました。音楽家は,こまのデザインを変えたいと思いましたが,製作者にもどす代わりに,大きな町の修理屋に持って行ってしまったのです。たちまちそのバイオリンは,名調子を失いました。そして,その異質のこまを,楽器の他の構成部分と完全に音響を調和させるこまと取り替えて,やっともとの調子を取りもどしました。「このように,どの部分も音響効果にかかわる重要な働きをしているのですよ」と彼は強調します。

振動のテスト

バイオリンが完成し,弦が張られると,震動音を調べねばなりません。わたしたちの主人は,それがどのように行なわれるかを実演で示してくれます。彼はまずこう説明します。震動音は,バイオリンの表に12種,裏に12種あります。これらは全部よく調和するものでなければなりません。たとえば,左のF孔のふちの内部の,カホのところでは,震動音はイでなければなりません。左のF孔の,外側のふちのカーブの内側では,イの1音下のトでなければなりません。バイオリンは,このように,各段階で音響の調和が考慮されて,作られていくのです。バイオリンは,調和のシンフォニーといわれてきましたが,たしかにそのとおりです。

わたしたちの主人は,ここまで説明して,小さなガラス管のはいった箱に手をのばします。そして,おや指と人差し指を,砕いたみょうばんの中ですり合わせ,それから1本のガラス管の一端を,バイオリンの試験箇所につけて立て,その管を上から下に向けて静かにさすります。彼のゆびが管をなでると,バイオリンをひくときのような音が出ます。芸術家の敏感な耳がその音の忠実度を認めて,かすかな満足のいろが彼の顔にうかびます。彼はこの方法で,バイオリンの製作途上,いつでも適当なときに,望む震動音を確かめてみることができます。まさしく,調和のシンフォニーです。

『第5度で合う』

できの悪いバイオリンの共通の欠点は何か知りたいと思いますか。では彼に尋ねてみましょう。

「いちばん多いのが『第5度で合っているか』です」と彼は答えます。

「それはどういうことですか」

「『第5度で合っている』というのは,どの和弦でも,第1度の音と第5度の音は協和するということです。もし第5度が合っていなければ,演奏が非常にむずかしくなり,それを補正するために,奏者は各弦で指使いを調整しなければなりません。バイオリンの4弦は,第5度で合わせるということもおぼえておいてください。

「この誤りを避けるには,バイオリンのさおを,箱つまり胴につけるときと,黒たんの指板をさおに張りつけるときに,細心の注意を払わねばなりません。さおは,バイオリンの表と裏の両方の中心線と完全に一直線になっていることが大切です。そして,指板の末端の一番高い部分が,バイオリンの表の一番高い部分より25ミリ低くなるような傾斜に取り付けねばなりません。そうしなければ,『第5度で合う』ことにならないでしょう」。

これはちょっと考えてみないとわかりません。あなたはいかがですか。しかしもう帰る時間です。では,時間をさいて応待してくださったことに対して,バイオリン製作者にお礼を言いましょう。バイオリンの作り方は知らなくても,わたしたちはいろんな知識を得ました。バイオリンの名器を生み出すには芸術家を要することもよくわかりました。深い知識を必要とし,まるのみの一打ち,かんなのひとなで,けずり道具のタッチ,バイオリンの各構成部分が,楽器の最後の音色にどんな影響を与えるかを知っていなければなりません。

偉大な創造者によってつくられた音響上の法則といい,その法則を人間が発見したことといい,また技術家がそれを箱の中に捕えることといい,全く感心せざるを得ません。バイオリンの名器は,その結果として生まれるのです。

[21ページの図]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

渦巻

糸巻き

さお

指板

表板

F字孔

こま

横板

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