世界展望
テレビの犯罪番組が増加
◆ 実生活におけると同様,テレビで放映される犯罪場面も「爆発」的に増加している。しかも強姦から衝動的な殺人行為まで,あらゆる種類の犯罪場面がふえている。アメリカの3大ネットワークで,昨年9月に放映された殺人場面は,1971年1月から8月にかけて放映されたものの2倍であった。
学齢前の教育
◆ アメリカのプリンティング・ニュース紙に載せられたある報告によると,「今の子どもたちは5歳になるまでに4,000時間もテレビを見ていることが調査によってわかった」。ところで幼児たちはその「子もり」から何を学んでいるだろうか。暴力と犯罪がその内容のかなりの部分を占めている。親は自分の子どもがそうした生活をする者になるように訓練しているのだろうか。
迷える子どもたち
◆ 子どもによる犯罪と,子どもに対する犯罪は,他の年齢層の犯罪と比べて上昇率がずっと高い。少年犯罪は件数ばかりでなく凶悪さも増加している。アメリカのボルチモアだけでも,1年間に,10歳以下の子どもたちがこれだけの犯罪を犯している。放火12,襲撃9,自動車泥棒6,押込み169,窃盗104,強盗22。11歳と12歳の子どもの犯罪件数は,その2倍を上回る。当局はその原因を何としているだろうか。しばしばあげられる原因は,家庭教育の「全体的な崩壊」である。
親をまねる
◆ カナダとアメリカの十代の若者2万8,000人を対象に行なわれた最近の調査は,鎮静剤や興奮剤などの薬品を「多量に常用」する親を持つ青少年のあいだに,麻薬常用者が非常に多いことを明らかにした。麻薬を避ける親を持つ青少年のあいだでは,麻薬常用者が非常に少ない。
「非常緊急事態」
◆ 聖書の道徳規準を捨てたための悲しむべき影響は,性病が疫病のように広まるにつれ,ますます明らかになっている。カナダのトロントからの報告によれば,オンタリオ州で,ふつうの風邪に次いで最もまん延している伝染病は性病であるという。その土地のある医師は,事態を「非常緊急事態」と呼んだ。報告によれば,同州で届け出のあった患者の数は前年よりも32%増加している。しかも,患者の大半は届け出ていない。ソ連では当局が性病対策運動に乗り出した。これは明らかに性病患者が増加していることによる。
混迷する心理学者
◆ 数年のあいだ,科学者や研究者は,自分たちの職業が世界の諸問題に関して自分たちをどの方向に導いているかを懸念してきた。現在では心理学者が同様のことを感じている。サイエンス誌の報道によれば,心理学界は全体的に「欲求不満,方向の欠如,専門技術を社会の諸問題に適用するさいの無力感にひどく悩まされているようである」という。米心理学者協会の前会長は,「彼らが行なっていることは何の役にも立っていない」と言明した。
妊娠中絶による多大の犠牲者
◆ 最近,アメリカの首都ワシントンで法律家の会合が行なわれたが,そのときの推定によれば,毎年世界中で行なわれる妊娠中絶は3,500万件に上る。フランスでは妊娠中絶は違法であるが,生きて生まれる子どもが毎年約80万人であるのに対し,推定120万件の妊娠中絶が行なわれている。ベルギーでの妊娠中絶件数は,出生数と等しく,20万件にのぼるものと考えられている。アメリカで,希望による中絶が合法化されている土地はわずかに過ぎないが,100万件から300万件の中絶が行なわれているものと推定されている。
妊娠中絶は悪夢をもたらす
◆ 多くの看護婦は妊娠中絶手術のために,怒りや不安,また混乱に悩まされている。最近,アメリカのボストンで開かれた職業看護婦のある公開討論会の席上で,外科医バーバラ・ロケットは,毎日手術室で,「完全に手足の整った胎児」を多数処理するために悪夢にうなされる看護婦がいると語った。
押制力とはならない抗生物質
◆ 最近アメリカ外科大学で開かれたある会議で,細菌学者でもある外科医ウィリアム・アルテメイアー博士は,抗生物質が25年余使われてきたにもかかわらず,けがや手術によるキズがもとで伝染病にかかる率は減少していないと語った。同博士の研究は,抗生物質が感染に関する問題の数とその複雑さを事実上ふやしたことを明らかにした。
有毒な,排水管清浄剤
◆ 排水管清浄剤は,詰った排水管の通りをよくするくらい強力だから,これを幼児が飲むと,一大事を招くことがある。液体状のものは飲み込みやすいので特に危険である。アメリカでは毎年約5,000人の子どもが,排水管清浄剤にはたいてい含まれているなんらかのろ過液を飲み込む。一般的な解毒剤としては,ミルクか水を飲み,そのあとオリーブ油か鉱油を飲むことである。排水管清浄剤は幼児の手の届かない所に置くべきである。
アメリカの核爆発実験
◆ 去る11月6日,アメリカはアラスカ沖のアムチカ島で,第二次世界大戦中に広島を破壊した原爆より250倍もの威力を持つ水爆の実験を行なった。この実験は地下1,800㍍にある15キロの球形の穴で行なわれたもので,経費は2億ドル(約620億円)であった。地震を引き起こすのではないかと心配するむきも多かったが,一つの地震も起こらなかった。
安定している太陽
◆ 科学者は,太陽が宇宙で最も安定した星の一つであるとの結論に達しはじめている。彼らは,人工衛星を使って集めた,太陽から流れ出る微粒子に関する情報と,それらの微粒子が数百万年前に月の岩石に残したと考えられている跡とを比較したのである。アメリカのサンディエゴにある,カリフォルニア大学のジェームズ・R・アーノルド博士は,こう結論している。「驚いたことに,われわれは太陽の平均価値が数百万年前と同じであることを発見した。太陽の変化は,たとえあったとしても非常に小さなものである」。
とっぴな推測をする
◆ ルイス・S・B・リーキーといえば進化論者のあいだでも有名である。彼と,彼が発起しようと努めてきた新しい研究旅行に関し,1971年10月16日付のサイエンス・ニュースは次のように述べている。「米国国立博物館の自然人類学者,T・デイル・スチュワートは,近ごろの財団の出資引き締めを指摘し,リーキーは資金のいくらかでも引き出そうと『熱意のあまり我を忘れて』いると語った。……彼は空想に駆られているのである。彼はしばしばとっぴな推測をして飛び込んできては,思ったほどうまくいかなかったと言ってもどってくる」。彼が化石の年代を推定する場合も,「空想にかられて」,「とっぴもない推測をする」ことはありえないだろうか。
役だつトウモロコシの穂軸
◆ 読者は,トウモロコシの穂軸が良い値で売れるのをご存じだろうか。アメリカでは,産業用にきれいな穂軸の需要がふえている。穂軸の,堅い内部の輪から研磨剤がつくられる。その研磨剤を使えば,ボール・ベアリングをキズつけずにみがける。穂軸の粉は,建物を爆破させる際,砂の代用となる。穂軸のきめのこまかい粉はおしろいとして使える。穂軸に化学処理を施すと,プラスチック・タイヤ・松脂・自動車のエンジンの部品を作る際に使用する化学剤ができる。ピッチは,それ自身の重さの5倍までの液体を吸収することができる吸収剤になる。
危険なもてなし
◆ 万聖節の宵祭には,アメリカ全土の子どもはねり歩き,もてなしてくれない家の人をいたずらでおどしてまわる。子どもたちにはしばしば親が同伴している。こうした風習を,子どもに恐かつを教えるものだと見る人もいれば,悪気のない娯楽と考える人もいる。どのように見られようとも,それは子どもたちにとって危険になっている。なぜなら,子どもたちがもらったアメやくだもののあるものには,カミソリの刃,針,ピン,麻薬が入っていたという知らせが全国から寄せられているからである。