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目ざめよ! 1974
目74 5/8 17–20ページ

歩く楽しさを見つける

チリの「目ざめよ!」通信員

「今年の休暇には徒歩旅行をすることにしよう」と発表したら,あなたの奥さまはどう言われるでしょうか。おそらくさまざまな反応がかえってくるでしょう。「徒歩旅行? あんなに乗りごこちのいい車があるのに,どうして歩かなきゃならないの」。「歩いてどこまでゆけるかしら」。

ともかくためしてみてはいかがですか。妻と私と友人の宣教者が行きますから,いっしょにおいでになりませんか。そうすれば,歩くことの利点をいくつか直接に経験できるかもしれません。

まず目標を定め,どのくらいの距離を歩くかを計画しますが,これは言うまでもなく住んでいる場所と健康に左右されます。わたしたちは宣教者ですから歩くことにはなれています。わたしたちはチリの南端のマガヤナス州に住んでいますから,ベンチスケロつまり氷河を見にゆくつもりです。これが目標です。しかし目標のことばかり考えるのではなく,そこまで歩いて行く途中の旅も楽しまねばなりません。

変化に富む国

わたしたちの2週間の旅の出発点はプエルト・ナタレスです。町はずれまで来ると,親切な人がいく人か車を止めて,乗りませんか,と言ってくれますが,このたびは急ぐ旅でもないので,お礼を言って断わります。

車に縛られた人たちよりも大きな自由を持つわたしたちは,やがて騒音の激しい,ほこりっぽい道路をあとにします。人家のあるところから遠く離れるにしたがっていなかの静けさやきれいさがいよいよはっきりしてきます。草も木もほこりやスモッグでうす汚れてはいません。いなかの物音は気分を鎮め,耳に快くひびきます。小川のせせらぎや,草を渡る風の音が,小鳥のさえずりや羊の鳴き声と和して,都会生活者のいら立った神経を和らげてくれます。

入江に沿ってゆっくりと歩いていくうちに岩の多い場所が見えてきます。近くまで来ると,一頭のアザラシが平たい岩の上で満足そうにひなたぼっこをしているのが見えます。もちろんアザラシは町のたいていの動物園にいますから珍しいとは言えませんが,自然の生息地にいるところを見つけるのは動物園で見るよりもずっと興味深くスリルがあります。

「あそこの浜に,明るいピンクに見える所がありますけれどあれはなんでしょう」と妻が言いました。近づくにつれて,それは1群のフラミンゴであることがわかりました。全部で150羽はいるでしょうか。彼らは海岸の水の浅い所に立ってきょうの昼食をあさっています。しかしわたしたちの侵入に感づいて急に舞い上がりました。そのありさまは,黒と白にふちどられたうず巻くピンクの雲のようです。

確かにチリのパタゴニアは,野生動物の点でも地勢の点でも,非常に変化に富んだところです。東側には多くの大草原もしくは平原が伸び,そこにはダチョウ,グアナコ,ウサギ,キツネなどが住んでいます。西側は山丘地帯で,氷河のあるところであり,ピューマ,ガン,アヒル,カツラ(オオムに似た緑色の小鳥)などの生息地です。歩いてゆくわたしたちは,自動車であっというまに通過する人たちよりもパタゴニアをずっとよく見ることができます。

食物

ハイカーに旺盛な食欲はつきものです。そこで何を食べたらよいかという問題が起きます。前もって少し準備すれば,スペースに限界があるわりに,かなり変化のある食事をすることができます。エンドウ豆,インゲン豆,レンズ豆,米,オートミール,コーンミール,干した果物などの乾燥食糧は,栄養があり,水分がなくて軽いため,わたしたちにとっては最適です。よく焼いた肉は,気候の涼しいこの地方では1週間はもち,たき火で作る料理にもいろいろに使えます。いなかには家にあるような便利な物があまりないので,乾燥材料を前もって全部混ぜ合わせた,ベーキングパウダーで作るビスケット用の粉のミックスもとても役だつことがわかりました。わたしたちはほとんどすべての物を,水の通らない,重量もほとんどないプラスチックの袋に入れて持っています。かんづめ類は重いので,最初の日の分を少し持っているだけです。ふつかめからそれらのかんは,旅行中ずっと,やかんやカップの役目を果たすでしょう。

野生の食物も手にはいります。海岸では浅瀬でチョロつまりハマグリを拾うことができます。春ならばアヒルやガンの卵,またダチョウの卵さえ見つかることもあります。マスはたいていの川でふんだんにとれます。野生のイチゴは少しも珍しくありません。よく知られている食用キノコを見つけて献立に加えることもあります。

わたしたちの友人は不屈の意志を持ったパン屋で,たき火でいろいろなものを焼いてはわたしたちを驚かせます。最初に作ったのはドーナツです。彼女のドーナツの作り方は2度ふくらませる作り方です。練粉をプラスチックの袋に入れたたき火のそばにおいてその目的を果たします。あとで彼女は干したサクランボとビスケットのミックスでチェリーパイを作ります。しかし,まずいろいろな石を使ってかまどを築かねばなりません。薄い頁岩を床にし,その下で火を燃やします。作り方は多少変わっていても,キャンパーは彼女が作ったものに舌つづみを打ちます。

食後少し休憩して空を眺めます。風の強い,変わりやすい気候のこの地方の空は刻々と変化します。四つの基本的な雲の型の変形を同時に見ることができます。ふいに妻が叫びました。「ほら,ごらんなさい。雲が消えてゆくわ!」。なるほど,わたしたちが見守る何分かのうちに全部の雲が目の前から消散し,澄んだ青空が現われました。これと同じ現象は世界の多くの場所で起きているにちがいありませんが,この歩く楽しみを発見するまでわたしたちはそれに気づきませんでした。

「オベヘロ」

人家のまばらなこのエスタンシア地帯つまり羊と牛の牧場地帯では,人に行き会うことはごくまれです。最も典型的で,また出会いそうな人はオベヘロつまり羊飼いですが,この羊飼いを描写するのは容易ではありません。チリのある詩人はこの羊飼いのことを書いていますが,それによると,彼らはどの国の牧童とも違っており,特殊の服装によって見分けることはできません。みんな思い思いの服装をしています。むしろその仕事仲間によって見分けるほうが早いようです。その仲間とは彼と一体のように見える馬と,彼のそばにぴったりくっついている犬です。羊飼いはあいそうがよくて人をよくもてなします。あるオベヘロはわたしたちといっしょにお茶を飲んだあと,この先にある川の渡り場を教えてあげましょう,と言ってくれました。馬と犬を連れてわたしたちといっしょに歩きながらも,ゆだんなく見張っている彼の目は,谷の向うの400㍍ほど離れたところに羊の小さな群れがいるのを見つけ,いろいろに違う口笛と号令で導きながら三匹の犬を谷の向うの羊の群れのところにやります。すると犬たちは羊を集め谷を追いおろしておりの入口のところまで連れてきます。羊飼いの指示によく従い,羊を傷つけずに熱心に働くそのありさまには全く驚かされます。

川を渡る前にわたしたちの友オベヘロは,「ソーダ水の泉」にわたしたちを連れて行くと言います。なるほど丘のふもとにはいくつかの鉱泉があって,非常においしい天然の炭酸水が湧き出ています。泉の水に渇きをいやしたのちわたしたちは川を渡ります。増水しているのにこの地点の水量はちょうどひざまでの深さしかありません。

ぬれたものを乾かすために今晩は川の向う岸で野営します。ところである人は,そんなにぬれたり,風雨にさらされたりするのは健康によくないのではないか,と考えるかもしれません。ところが2週間のうちに数回ぬれ,しかも野宿したにもかかわらず,わたしたちのうちで風邪をひいた者はひとりもいませんでした。事実,一般には,歩いている時,そして風雨により多くさらされる時のほうがそれらの影響をよく免れるようです。

出発当初から発見したひとつの興味深いことは,以前自動車で通ったところ,そして何もなくておもしろくないといつも考えていた所でさえ,徒歩で旅をすると非常に興味深い所になるということです。ほこりに悩まされる自動車運転者には遠くの方にひとつとなってぼんやりとしか見えないかん木や樹木,峡谷,なだらかな丘などが,新鮮な空気の中をのんびりと歩いていくわたしたちにはみな興味の対象となります。

山の多い国

数日旅をしたあとわたしたちはペイン川を渡り,自動車道路の終点にたどり着きます。この地点から目標のベンチスケロ・グレーつまりグレー氷河までは24㌔ほどありますが,わたしたちは馬が踏みならした小道をそこまで歩いて行きます。曲がりくねったその小道は風景の一段と美しい地域を通ります。わたしたちの右側には,2本の有名なクエルノスすなわちペインの角 ― 雪をいただく山の峰 ― が,ノルデンスクホールド湖の澄んだ青い水の中にそそり立っています。

この谷は時々よい風洞になるようです。突然わたしは女性たちがいっしょにいないのに気づきました。振り返って下の方を見ると,彼女たちは地面にしゃがみ込み,斜面のさらに下の方まで風に吹き飛ばされないようかん木にしがみついて,仕方なさそうに笑っています。その少し下の方に,逆流する「滝」が見えます。水が風の力で垂直のがけの側面を押し上げられるのです。わたしたちは長い坂道の頂上や,水晶のように澄んだ谷川のそばなどで時々小休止します。3,000㍍を超えるペインの最高峰のふもとをたどっていくと,徐々にある高い丘の頂上に達します。氷河はそこにあります。なんと近く見えるのでしょう。でもだまされてはいけません。山の中の高い場所から見える様子は,実際とは違う場合が多いのです。わたしたちはまだ2時間ほど歩かねばなりません。この地点から見える氷河は純白でほのかに青味がかっています。左側にある湖に沿って進んで行くと,グレー湖の末端にある母氷からこわれ落ちた不規則な形の大きな氷山に出会います。わたしたちの徒歩旅行の残りの部分のほとんどは下り坂と森林です。

まもなくわたしたちは捨てられた羊飼いの小屋を見つけます。氷河の端に近いこの小屋でわたしたちは一夜を過ごします。

もちろん,氷河をよく見ることをあすまで延ばすつもりはありません。朝になると雨が降っているかもしれません。

氷河のクローズアップ

森の中を少し歩いて行くと樹木のない開けた場所に出ます。わたしたちの目の前には,太陽の光の中で白く輝く不思議な美しさを持つ巨大な氷が,山の頂上に向かって目のとどく限り伸びています。

「どのくらい大きなものなんでしょう。末端など見えませんね」と友人が尋ねます。グレー氷河の幅は2,400㍍から6,400㍍と変化があり,長さはざっと16㌔はあるとみてよいでしょう。といっても実際には16㌔のところでパタゴニア氷河の主要部分と連結しています。パタゴニア氷河は世界最大の氷河の中にはいります。4,000平方㌔以上の土地をおおっており,南北の全長は555㌔におよびます。グレー氷河は,アンデス山脈の南端をおおう主要な氷河の氷原から海や湖に下る多くの支流氷河のひとつにすぎず,チリ,アイセン州のコイアケのすぐ南で終わっています。その大部分はチリの中にありますが,それでも数本の氷の腕を,国境を超えて東のアルゼンチンの方へ延ばしています。

いっしょに氷のところまで降りていってもっとよく観察しましょう。氷を詳細に調べてみると,白くても雪のようではなく,また鏡のような大きな氷塊でもありません。それは粒状氷雪と呼ばれる粒状構造物です。もちろん氷河は雪が凝固した結果できるもので,雪の溶ける量よりも降る量のほうが多い多くの山丘地帯や極地に見られます。氷河の末端すなわち氷河が湖と出会う箇所では,ちんちんと鳴る氷,打ち寄せる水,水滴などが絶えず音をたてており,時おり大きな氷塊が湖の中にざぶんと落ち込んで間を入れます。

不思議なことに,水は透明で無色ですが,普通の氷には気泡が閉じ込められているために遠くから見ると白く見えます。しかし氷河の氷の割れたところ,あるいは一部分が最近こわれ落ちた箇所はどこでもすき通った美しい青色です。というのはそこには,普通の氷と違って,空気が閉じ込められていないからです。これは氷河の氷が人工の氷よりも溶けるのが遅い理由のひとつです。

「どうして氷河は深い割れ目や先のとがったぎざぎざの塔などで,でこぼこしているのでしょうね」と妻が言います。実はそれらは見えない谷床の状態を反映しているのです。谷床の面が平担でないために水が割れるのです。さらに日射や風や水などによる侵食も,氷河面に深い割れ目や高い尖塔を作ります。これが生ずるところでは,氷河を渡ることは非常に危険です。しかし氷の表面がかなりなめらかで割れ目が少ないところもあります。そういう箇所は歩いても安全です。ここでは,青くて水晶のように澄んだ氷の上を小さな川がいくつか曲折して流れています。

「でも堅い氷がどのようにして『流れる』のでしょうね」と友人が尋ねます。氷河の「流れ」すなわち動きは,気温,雪と氷の堆積量,氷の面の傾斜度,谷床の平坦さと傾斜の大小などに左右されます。前進を妨げる岩がある時には,岩の前で溶けてそれを乗り越え,岩のうしろでまた凍ります。この作用は再凍と呼ばれるもので,氷点に近い時にだけ可能です。気温の低いところでは,氷は粘性のある可塑性流動によって,つまり結晶をこわさずに形を変えることによって前進することができ,谷床の湾曲部やでこぼこした箇所もこのようにして通過します。

氷河を前にして湖のそばに立ち,15㍍ないし30㍍上に向かって伸びる,青みがかった白い氷の彫刻を見上げるとき,わたしたちはみな,この発見こそこんどの旅行の最高潮をなすものであることを確信します。ここでは実際に,創造者のすばらしいみわざのひとつ,「畏怖の念をいだかせる氷の輝き」を見ることができます。―エゼキエル 1:22,新。詩 104:24。

しかしこの雄大な景観とも別れをつげて帰らなければならない時です。徒歩ですからコースを変えて全く違った風物を見るのもたやすいことで,氷河からの帰途も同じく楽しい旅です。

興味深い事がらは世界のどこにいても発見できます。休暇が2日であろうと2週間であろうと,都会に住んでいようといなかに住んでいようと,ちょっと趣向を変えて車をやめ,徒歩旅行でどんなことが発見できるかためしてみるのはいかがですか。

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