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目ざめよ! 1977
目77 7/22 24–26ページ

ゴムの話

ブラジルの「目ざめよ!」通信員

巨大なジャンボジェット機が飛行場に近づきます。無事に着陸するかどうかは,多分にタイヤにかかっています。タイヤは,非常に重量のあるジェット機が接地して停止する際に大きな衝撃と激しい摩擦に耐えられねばなりません。そのような過酷な条件に耐えられる唯一の天然物質がゴムなのです。

ファイヤストン社発行ラバー誌によると,1973年中に全世界で,325万大㌧aの天然ゴムと580万大㌧の人造ゴムが生産されたものと推定されています。これらのゴムの大半は,自動車産業で用いられています。「使用可能なゴムの60ないし70%は自動車用タイヤに用いられている」と,ブリタニカ百科事典は述べています。

ゴムはどのようにして作られるのでしょうか。熱帯および亜熱帯に生育する種々の樹木から,ゴム分を含んだラテックスという乳状液が採取されます。天然ゴムを採取する上で商業的に最も価値ある樹木は,ブラジルのアマゾン川流域原産のパラゴムノキと呼ばれる堂々とした高木です。野生のパラゴムノキは,高さが20㍍から30㍍に達します。この種の木でも農園で栽培されているものは,高さが18㍍ほどあります。ゴム分を含有するラテックスの樹液源について,ブリタニカ百科事典はこう説明しています。

「大まかに言うと,樹幹は内側の木質郡と外側の樹皮に分けられる。この木質部と樹皮の境に,形成層として知られる紙のように薄い細胞層がある。樹皮がはがれた時に見える粘性の層がこれである。樹木の生長を促すこの層は,片側で木質部の新しい細胞を作り,反対側で樹皮の新しい細胞を作り出している。形成層に隣接した樹皮の柔らかい部分にラテックスの管がある。柔らかい樹皮の外側には,ラテックスの管が比較的少ない硬い樹皮がある。そして,樹幹全体は,外側のコルク層で保護されている。ラテックスの管の直径は約0.038㍉と考えられている」。

ゴムの分子は5つの炭素原子と8つの水素原子から成っています。多数のこうした分子が互いに連結して,重合体として知られる鎖状の長い巨大分子を形成します。前述のラバー誌はこう述べています。「ゴムの伸張性はその鎖状構造にあるものと科学者は考えている。科学者によると,ゴム分子の長い連鎖はうず巻きばねのようにねじれながらつながっている。ゴムを引っ張るとうず巻きの環の間隔が開き,それを放すと元に戻る」。

ジャングルの木に切り目をつけて樹液を採取

アマゾン川流域のうっそうとした密林の中で,15万人ほどのブラジル人は野生の天然ゴムを採取して生計を立てていますが,フランシスコ・ダ・シルバもその一人です。彼は,赤道の南1,100㌔ほどのところにある,アクレ州の密林に囲まれた都市リオブランコの近郊で働いています。東の空が白み始めると同時に,フランシスコの一日が始まります。簡単な朝食を取った後,フランシスコは,樹木がうっそうと生い茂る薄暗い密林を照らすため額に小型ランプを付けて出発します。猛獣やへびに襲われる危険があるので,ライフル銃も携行します。

目的の樹木のところに着くと,フランシスコはまず幹の汚れを落とします。次に,特別のナイフで樹皮の左上から斜め右下に軽く切れ目をつけ,それぞれの切り口にブリキかんをあてがいます。外側のコルク層とその内側の形成層の間から,3,4時間の間に流れ出る乳状の樹液をこのかんで受け止めるのです。樹液の量が普通より多いようであれば,ブリキかんを最高四つまで,10㌢ほどの間隔をあけて同じ高さに取り付けます。

フランシスコは,正午近くに簡単な昼食を取りますが,休む間もなく,今度はラテックスを集める仕事に取りかかります。午後5時ごろに,フランシスコは帰路につきます。この日採取した30㌔ほどのラテックスを携えて,曲がりくねったジャングルの道を進みます。このラテックスから約10㌔の生ゴムが得られます。

次の作業は草葺きの小屋で行なわれます。この小屋には窓がなく,屋根の一部が吹き抜けになっています。小屋の中央には火が静かに燃えており,その火をはさんで両側には二またの支柱が立っています。フランシスコは,棒を幾度もラテックスに浸した後,それを支柱の上に掛け,火の上で回転させながら,棒の上にラテックスをさらに流します。熱で水分が蒸発し,ゴム分の濃度が増していきます。ラテックスを加える作業を繰り返していくと,棒に付いたラテックスがしだいに黒ずんだ固形のゴム球になっていきます。20㌔以上のゴム球ができるまで,この作業を続けます。

球状の重い生ゴムは,定期的に仲買人のもとに運ばれ,品質と重量に応じて代金が支払われます。その後,生ゴムは工業地帯に送られます。

ゴム産業の小さな始まり

アメリカ大陸の熱帯地方に住むインディアンの間では,以前からゴムを産する樹木のことが知られていました。この樹木は彼らの間でカウチュクと呼ばれましたが,その名には“涙を流す木”という意味があります。彼らは,この木のラテックスから,靴や布地に塗布する材料,ひょうたん形の容器,動物の像,子供の遊戯用のボールなどを作りました。

ゴム(英名rubber)という名称はどのようにして付けられたのでしょうか。その名の由来は18世紀にまでさかのぼります。18世紀の英国の化学者ジョセフ・プリーストリーが鉛筆の筆跡を消すのにゴム片を使ってみました。すると,このゴム片は実によく筆跡をこすり取る(英語で“rub”と言う)のです。では,その名称として“rubber”(“こすり取るもの”の意)以上に適切な名があるでしょうか。その呼び名はそれから広く用いられるようになりました。

ゴムに商業的価値があると考えられるようになったのは19世紀になってからのことでした。そのころ,化学工業専攻のスコットランドの化学者チャールズ・マッキントッシュは,布地に液状のゴムを塗布して防水加工を施しました。ある人々の間で“マッキントッシュ”という名で知られているレインコートはそれにちなんで名付けられたものです。

しかし,その当時,ゴムの用途は非常に限られたものでした。その主な原因は,生ゴムが熱気や冷気に弱いということにありました。暑くなるとべとついて臭気を発し,簡単に崩れてしまいます。一方,寒くなると,硬くなってもろくなります。しかし,1839年に,アメリカ人のチャールズ・グッドイヤーがこうした欠点を除去する方法を発見しました。どのようにでしょうか。

実験を重ねた結果,グッドイヤーは,生ゴムに硫黄と鉛を加えて高温で熱することを思いつきました。こうして得られたゴムには,生ゴム特有の欠点がほとんど見られなくなりました。さらに摩擦に強く弾性に富んでいることも明らかになりました。この工程は,ローマ神話の火の神ウルカヌス(英名vulcan)にちなんで,Vulcanization(加硫工程)と呼ばれています。

この発明は,ゴム製品の工業化に一つの転機をもたらす前ぶれとなりました。工業化を促進したもう一つのきっかけは,自動車その他の乗物に使われる,空気タイヤを始めとするゴムタイヤの発明でした。その後,ゴムの需要は急上昇しました。

ゴム“農園”

“ゴム・ラッシュ”の最盛期には,商人がアマゾン川流域に殺到し,ゴム成金が出現しました。価格も急騰し,1㌔が600円にもなりました。製造業者は,より安くゴムを入手できる供給源を捜し始めました。

それまで,ブラジルは生ゴムの唯一の供給国でした。他の場所でゴムの木を栽培することはできないでしょうか。1876年のこと,ヘンリー・ウィックハムという人物が,ブラジル産のゴムの木の種子7万粒を英国に持ち帰ることに成功しました。それらはロンドンのキューにある王立植物園に植えられ,約2,500本のゴムの木が発芽しました。苗木はただちにセイロンとマレーシアに送られ,そこで栽培されました。その結果,どうなりましたか。

今日では,世界の天然ゴムの約85%が東南アジアで採取されており,マレーシアは最大のゴム産出国となっています。アフリカでもリベリアやナイジェリアを中心としてゴム農園がかなり見られます。

合成ゴム

二つの世界大戦中,ゴムに対する需要が大幅に増大し,石炭や石油を原料にした合成ゴムが発明されるに至りました。“合成”という語には“組み立てる”という意味があります。これらの合成ゴムの中には,用途によっては天然ゴムより優れているものもあります。

人造ゴムの中にネオプレンと呼ばれる製品がありますが,これは石油やガソリン,太陽光線やオゾンに対する耐性という面でひときわ優れています。“極寒用”のゴムは寒冷下でも,硬くなったりもろくなったりしにくくなっています。ファイヤストン社の合成ゴム“コーラル”は天然ゴムとほとんど変わらないと言われています。

ゴムは,多年にわたって絶えず人類に役立ってきました。人類に益をもたらすこうした天然資源を地球に豊富に備えてくださったわたしたちの創造者の知恵とご親切がここに示されています。

[脚注]

a 1大㌧は1,016㌔に相当します。

[25ページの図版]

ゴムの木に切り目をつけているゴム採取者。木から流れ出たラテックスをブリキかんで受け止める

[26ページの図版]

火煙の上で球状にされる野性ゴム。炭酸の働きでゴムが凝固する

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