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目ざめよ! 1978
目78 5/8 12–15ページ

“太陽の家”はひとつの解決策となるか

日本の「目ざめよ!」通信員

白地に赤く日の丸を染め抜いた日本の国旗は,太陽の女神,天照大神がこの国の津々浦々で崇拝されていた時代の名残をとどめています。近年,日本人の注意は再び天に向けられましたが,この度は手ごろな価格で利用できるエネルギー源を求めてのことでした。

事実日本では,幾万戸もの家々の屋根に,かなり前から太陽熱温水器が取り付けられていました。しかし,個人の住宅以上の規模で太陽エネルギーを利用することが真剣に考えられるようになったのは,1973年に石油危機が起き,それに伴ってエネルギーが配給制になる恐れが生じてからのことでした。

こうした考え方に添って,富士の裾野を背にした駿河湾に面する,人口20万3,000人余りの沼津市で,際立った進展が見られました。同市の市当局者と技術者たちは,太陽エネルギーを利用して,市の石油および電力の消費量を減らすことに決めたのです。その最初の実用的な成果は,金岡会館の新築工事に現れました。この会館は,その名も“太陽の家”,あるいはソーラーハウスと呼ばれています。完成後最初の一年に,この建物は屋根に注ぐ陽光を利用することにより,沼津市の経費を約120万円節減しました。この“太陽の家”を成功に導いた要素を,さらに詳しく知りたいと思われますか。

太陽エネルギーを利用する

地球は,人間が現在使っているエネルギーの約2万倍もの量のエネルギーを太陽から受けていると言われています。ですから,このエネルギー源に将来性があることは明白です。太陽エネルギーを利用する際に主な障害となるのは,(1)持続性に欠ける(地球の自転のため,また曇天などのために日照が妨げられる),および(2)単位面積当たりのエネルギーが低いので,このエネルギーを利用するには広い面積を必要とする,の二点です。

太陽エネルギーを利用するために検討されている数々の異なった方法は,1㍑の水を20分で沸騰させる反射調理器から,太陽エネルギーを直接電気に変える太陽電池(普通シリコンで作られている)まで多岐にわたります。南フランスには,3,500枚の小さな鏡の焦点を一点に合わせ2,980度もの高温を作り出す,大きな太陽熱溶鉱炉があります。科学者の中には,集熱器を衛星軌道に乗せ,そのエネルギーを(マイクロウェーブにして)地上の大きな受信装置に送ることを提唱している人もいます。また,広い砂漠に太陽エネルギー集熱器を据え,そのエネルギーでタービンを回す蒸気を作り出すことにより,米国の電力需要をまかなってゆけると考える人々もいます。

そうです,太陽エネルギーを利用する方法は数多くありますが,こうした方法は大抵の場合,大きな規模で実用化するにはまだまだ研究を重ねなければなりません。しかし,“太陽の家”で採用されているシステムはすでに実用化されており,汚染のない太陽エネルギーを用いて,お金と資源を節約しています。それが非常な成功を収めたため,沼津市都市環境部住宅営繕課の渡辺清彦課長補佐は,三年以内に,官公庁の新しい建物には同様のシステムを取り付けることが必要になるだろうと考えています。

沼津市の当局者は,総合的な太陽エネルギー・システムの完成を待たず,すでに開発されているものを採用することに決めました。このシステムは簡単なものですが,30%の効率で作動します。晴天の日には,床面積716平方㍍の二階建の建物の冷暖房と給湯を十分にまかなえるだけのエネルギーをこのシステムが集めます。雨天や曇天の場合には,補助ボイラーを運転しなければなりませんが,そうした日は三日に一度ほどの割です。しかし,熱エネルギーの三分の二を太陽から得るということは,自国で消費する石油の98%を輸入しなければならない国では注目に値する進展です。“太陽の家”は,その名称の由来となっている太陽のエネルギーをどのようにして利用しているのでしょうか。

屋根の上には224枚の集熱器が並んでおり,直射日光を捕らえるためにいずれも25度の傾斜角をもって設置されています。どの集熱器にも,日光を透過させるためにガラスの覆いがしてあります。水は内部の細い黒い管を通って循環する際に温められます。加熱された水は容量20㌧の蓄熱そうに送られますが,そこでは水温が沸点に達することもあります。この蓄えられた温水の温度が屋根の上の集熱器の温水の温度よりも低くなると,小さなポンプがその温水を建物の中のラジエーターに送って循環させ,送風器がその熱を各部屋へ送ります。さびや沈積物が生じないようにするためこの水には溶剤が含まれているので,それを飲むことはできません。しかし,大きな蓄熱そうの内部にある500㍑入りの別の貯湯そうが熱せられ,給湯用の温水が作られます。

ガス冷蔵装置に使われている原理を応用することによって,建物の冷房にも太陽エネルギーを利用できます。ですから,屋外が暑くなればなるほど,冷房のために使えるエネルギーが増えることになります。夏の暑い日に“太陽の家”に入って,屋内の気温が摂氏25度に保たれているのを膚で感じると,太陽エネルギーを実用化する方法があることを確信させられます。

沼津市の“太陽の家”は,とりわけ北緯35度線と南緯35度線の間で利用できる豊富なエネルギー源を活用する実際的な例です。沼津市の当局者は自分たちの方向づけが間違っていなかったとの確信を強め,同市の愛鷹山付近に建てられた新しい養護老人ホームにも,太陽熱冷暖房を設置しました。

この新しいホームの床面積は“太陽の家”のほぼ二倍に相当するので,同ホームの太陽エネルギー・システムの熱容量は“太陽の家”のそれの二倍以上になります。屋根の上に取り付けられた522枚の集熱器は,ホームの冷暖房,および給湯のためのエネルギーを供しています。将来の増築の可能性を考慮に入れて集熱面が100平方㍍余分にあるので,この装置の効率は37%に上り,後で使うためにエネルギーを蓄えておくこともできるようになっています。

将来のエネルギー問題の解決策?

太陽エネルギー・システムを採用するに当たって,困難な点や不利な点がありますか。確かにあります。2平方㍍の集熱器とパイプの中の水をバランスを取って循環させることは最大の問題でした。しかし,この問題は克服され,“太陽の家”のシステムは,維持にも比較的手間がかからずに作動しています。恐らく,最も不利な点は当初の費用でしょう。当初の費用は,ガスや石油を使う従来のシステムよりずっと高くつきます。しかし,燃料費を節約できるので,“太陽の家”にこのシステムを設置するために当初かかった余分な費用も,七年間で償却できます。あるいは,このまま石油の価格が上がり続ければ,もっと早く償却できるかもしれません。愛鷹山の養護老人ホームの建築費は1,850万円ほど余計にかかりましたが,運営後4年もすれば,元が取れると考えられています。どうしてですか。このホームの冷暖房費は年間75万円ですが,50人を収容する同規模の施設で従来のシステムを採用している所では,年間520万円かかっているからです。

それで,“太陽の家”はどんな印象を与えますか。まず第一に,この建物は,太陽エネルギーに対して現実的な見方をするよう教訓を与えています。これは総合的なエネルギー・システムではありません。照明や事務機器の作動,そして太陽エネルギー・システムとつながったポンプや放風器を動かすためにも電気が必要とされます。また,雨天や曇天の場合には補助ボイラーを使わねばなりません。(これは別個のシステムではなく,単に太陽エネルギー・システムの水を熱するためのものです。)一方,昼間の時間の三分の二に相当する,日の照っている時には,さもなくば反射して大気中に戻っていったり,屋根に吸収されたりしてしまうエネルギーを,実質的には公害のないシステムを使って活用できるのです。

わたしたちの印象に残る二番目の点は,一つの都市が,普通に採用されている冷暖房の手段をためらいなくやめたということです。これは地球の資源の利用法を検討してみる必要性を銘記させます。このままでゆけば,地球の燃料資源は比較的短期間で枯渇してしまう,と懸念する人は少なくありません。しかし,そうした燃料を使うほうが便利なため,人々は新しい方式を採用するとなると二の足を踏みます。たとえ新しい方式を採用するほうが将来性はあるとしても,自分たちのエネルギー消費を調整するよう求められたり,当初の設備投資が高くついたりするとそうした方式を採用しかねるのです。

第三に,太陽エネルギーに頼ることは,より単純なものや当たり前とみなしていたものに対する感謝の念を築き上げるのに役立ちます。興味深いことに,“太陽の家”の中を案内してくれた,沼津市の技術者は,これらの建物ができるまで,太陽が毎朝昇ることにどれほどの意義があるかを本当に認識してはいなかったと語りました。そのことをちょっと考えてみてください。もし太陽の光が注がなかったとすれば,地球上どこでも気温は零下240度になってしまうのです。

屋根の上に集熱器がなくても,太陽エネルギーはわたしたちの生活に様々な仕方で影響を及ぼしています。太陽からの光によって,植物は空気中の炭酸ガスと,土の中の水から得た水素を炭水化物に変え,それがわたしたちの食べ物になるのです。風は太陽エネルギーが形を変えたものといえます。陸地や大気が暖まったり,冷えたりする結果として風が吹くからです。太陽熱によって,毎日大量の水が地球から蒸発し,それが後に雨や雪になって降り注ぎます。その水が川や貯水池に蓄えられると,人間は水車や水力発電システムによって,蓄積された太陽エネルギーを利用することができます。

地球は毎年,7×1017㌔ワット時のエネルギーを太陽から受けています。しかし,この驚くべき量のエネルギーも,太陽の放出するエネルギーの総量のほんの一部にすぎません。というのは,太陽はあらゆる方向にその光を輝かせているからです。人間がこの事実上無尽蔵のエネルギーを将来どの程度利用できるかはいずれ明らかになるでしょう。しかし,“太陽の家”のような近代的な建物のことを考えると,その気になれば,人間は太陽エネルギーを実用化できる,ということが明らかになります。

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