世界展望
金星に稲光?
◆ 1978年12月21日,ソ連の着陸船ベニェーラ12号が金星に軟着陸した際,米国の一部の科学者によって「感動的」,「驚くべき」発見と呼ばれた事柄が明らかにされたと言われる。タス通信は次のように報道している。「降下は“悪天候”の中で行なわれた。グロザ[雷をともなったあらし]を測定する計器は,降下の最中,大気中のかなりひんぱんな放電を記録した。ある大きな放電は,装置の着陸後15分間にわたって周囲に共鳴した」。地球では,稲光がした後の数秒間雷鳴がとどろくことがあるが,科学者は15分も続く反響現象に驚がくしている。
赤ん坊マンモスのその後
◆ 1977年夏に,冷凍状態でよく保存された赤ん坊のマンモスがシベリアで発見され,ソ連の科学者を喜ばせた。(1978年2月22日号「目ざめよ!」誌31ページ)国営のタス通信の今回の報道によれば,科学者はマンモスの死因が足の傷に起因する敗血症であったと考えているという。しかしそれが死後ほどなくして土砂が大量に流れ込み,その中に埋没したことも注目された。「シベリア北部にこのような洪水があったことは地質学者にとって,全くの驚きであった」とタス通信は述べている。洪水後,急激にすべてが凍結され,この小さな動物が都合よく保存された理由も同様になぞである。
過誤診療と輸血
◆ 米国の「法廷弁護士四季報」の説明によれば,医療上の過失に対して補償を受けている人は,一般の通念に反してきわめて少ないという。このような不公正を避けるため,手術および他の医療分野において補償の対象となる事故を指定した一覧表を法廷が採用し,争点をいちいち論証しなくてもすむようにすることが,同誌の記事の中で提案された。興味深いことに,デューク大学のクラーク・ハビグハースト教授の作成した外科用のリストには29の「補償の対象となる事故」が記されているが,そのうち約一割は輸血関係の過誤にかかわるものである。それには「輸血中に血液型の不適合から生ずる反応」,「輸血に伴う細菌感染」,「輸血に伴う血清肝炎」が含まれている。
安全になった日本でのドライブ
◆ 日本における交通事故の死者は1970年の1万6,765人から1978年の約8,670人まで8年間続いて減少した。これは死亡者数を1970年の最高数の半数にするという政府の目標をほぼ達成するものである。
迫害の背後にあるもの
◆ アルゼンチンにおける宗教上の少数者の迫害のことが,カナダ,オンタリオ州ハミルトンのスペクテーター紙上で論じられた。ジェイムス・ネイルソン記者は次のように報告している。「政府のおもな攻撃目標は明らかにエホバの証人である。彼らが国旗や国歌のような宗教とは無関係な象徴に対して尊崇を表わすことを拒否しているので,アルゼンチンの超愛国主義的な軍人たちは激怒している。……エホバの証人が,銃を持ったり,当局のお声がかりによる無数の愛国主義的な儀式において国旗に敬礼したりすることを拒絶することは,侵略的な外国勢力への協力と実質的に同じことであると見られている。証人がブラジルとチリのいずれのためにも銃をとらず,またいずれの国旗にも敬礼しない事実は,少しも重要視されていない」。
サウザム・ニュース・サービスのネイルソンによれば,「アルゼンチンにおいて,エホバの証人のような少数者にとっては厳しい前途がすぐそこに待ち受けている」。また彼は迫害の背後にある別の勢力を明らかにして次のように述べている。「政府の示す[ローマ・カトリックの]宗教的熱狂はいっこうに衰えるきざしがない。―どちらかと言えば,政府の宗教色は濃くなりつつある」。
子供の養育 ― どちらの親?
◆ 「子供の養育をめぐる争いの法的な決着に宗教のはたす役割があるとすれば,それは何か」と米国弁護士会報は問いかけている。次いで同会報は,ミズリー州最高裁判所の最近の判決を引用している。その判決によれば,「判事はいずれの側のものにせよその信念,教義,宗教的信条に対する是非に基づいて子供の養育の問題を決定することはできない」。この判決は,エホバの証人である母親の宗教的信条を容認し難いという事をおもな理由として,二人の子供の養育を父親に委ねた下級裁判所の判決をくつがえすものである。しかし最高裁判所は次の点を明白にした。すなわち「国家は子供を養育すべき親を決めるにあたり,いかなる信仰にも味方してはならず,子供の最善の福祉を図らねばならない」。
大学生の純潔 ― 例外的
◆ 今日の大学生の多くは,放縦な道徳が大学で一般的になっているため,処女や童貞であることに恥と罪悪感を抱いている。大学のカウンセラーの多くは,相談に来る20歳から24歳の学生の訴えが,食欲不振,疲れ,不眠,いらだちであると報告している。女子学生に質問したあるカウンセラーは典型的な患者についてこう語った。「彼女はどんな種類の避妊具も用いておらず,またそれだけでなくて,女子学生クラブの同級生が言うような,性的に活発になれる男友だちが一人もいないため,自分があまり正常でなく,あるいは欠陥さえあるのではないかと感じている」。
強盗に仲間入り
◆ クリスマスの時期の一般の買物客はどれほどキリストに似ているだろうか。南アフリカからの知らせによれば,強盗が1万8,000ドル(約360万円)の入った袋を店の会計係からひったくろうとした時に袋が破れたという。ロイター通信の伝えるところによれば,「買物客は5,6人の強盗と会計係とに加わって金をかき集めた」。会計係は2,680ドル(約53万円)を回収したが,クリスマスの買物客と強盗は1万5,000ドル(約300万円)以上をかき集めて姿を消した。
香港で作られるスイス製腕時計?
◆ わずか8年前にはスイスの時計メーカーが世界市場の7割を支配していた。今やその売上げは30パーセント以下に落ち込んでいる。スイス・フランの価値の上昇と競争品である低価格のデジタル時計がこの落ち込みの原因と言われる。伝えられるところでは,あるメーカーは,スイスにおける生産コストが高いために電子モジュール部門を香港に移しつつあるという。他のメーカーも追随する可能性がある。業界では精密機械,脈拍調整器,電子火災報知機などの他の分野にも進出して製品の多様化を図っている。
ソ連の人口調査
◆ ソ連では1979年の人口調査のため,今年,100万人の国勢調査員が市民の家庭を訪問することになっている。ある国々で行なわれているような郵便による国勢調査ではなくて,調査員が各家庭を訪問する。1,000万平方㌔以上に及ぶ北方のツンドラ地帯では,辺ぴな山地やさびれた村落を訪れるのに,健脚の調査員が何㌔も歩かねばならないようである。調査の結果明らかにされるソ連の人口は2億6,000万人と推定されている。
警官の代用
◆ アイダホ州警察では人手を省くユニークな方法を最近試みた。車のスピードを落とさせるため,警官の乗ったパトカーを一日中,道路のはたに置くよりも,偽の警官 ― 借りてきたマネキン ― を乗せたパトカーでもけっこう役に立つと警察では考えた。初日の勤務を終えてみて,制服を着たマネキンの存在は効を奏したと言える。人形の乗ったパトカーの前を過ぎる時,車は平均時速108㌔から時速89㌔の制限速度にまでスピードを落とした。しかし州警察のトム・プロクター本部長には心配な事がある。「もしそれがだれかに盗まれたら,我々は本当に当惑するだろう」と彼は語った。
費用のかかる教育
◆ 東京では私立の学校が授業料を平均四万円値上げした。これで親は私立の学校に入っている子供一人につき,平均して年額55万円を払わされることになる。授業料の最高は97万5,000円である。これらの私立学校からは有名な大学に入る機会が多いので,多くの家庭では経済状態から見て得策でなくとも,子供を私立に入れることを誇りにしている。
イルカを欺く
◆ 漁場を荒らすということで,昨年,日本の漁師が約千頭のイルカを殺した時,抗議の国際世論が高まった。水産庁ではイルカを殺さずに漁場から追い払う方法がないものかと研究を始めた。その成果がイルカの天敵であるシャチすなわちサカマタの実物大のプラスチック製の模型である。ところが利口なイルカはシャチの如きものがそこにいるだけでは驚かなかったようである。しかしその研究の責任者矢島信一氏によれば,飢えたシャチの声を録音して水中スピーカーから流したところ,「イルカは恐怖の様子をありありと示した」。
山のゴミ
◆ 登山者が山にごみを捨てることを何とか防ごうとしている日本の環境庁は,日本アルパイン・クラブと日本山岳会に訴えることにした。環境庁では,この春の雪どけ以後,山がごみだらけになるならば,入山前に料金を微収するなどの方法で登山者に清掃費用の負担を求めざるを得なくなると話している。一例をあげると,前穂高岳では,集めたごみ2.5トンをヘリコプターで下ろすことが必要だった。
高校の“セックス・クラブ”
◆ 大阪で約60人の高校生が放課後の“セックス・クラブ”を作っていたことが最近明らかにされた。ある特定のホテルに高校生がしげく出入りしているといううわさを調べ始めた警察では,彼らがこのような“ラブ・ホテル”で約1年にわたって性行為にふけっていたことを発見した。英文毎日新聞によれば,「売春も盗みも関係していない」ので高校生たちは学校に引き渡された。グループは妊娠したメンバーの中絶費用を集めていた。
ローマクラブの最新の見解
◆ 今では有名な「ローマクラブ」は,10年以上前に,資源および人口の危機を先進国に警告した。知識人のこの国際的なグループは現在の人類の状態をどう見るのかと問われた同クラブのアウレリオ・ペッチェイ会長は,パリの経済誌ビジョンの記者に次のように語った。「世界情勢はすべての面で悪化している。科学技術の進歩があったのは無論であるが,それらは組織と調整に欠け,その多くは他の問題をひき起こした。…それで10年前と比べて人間は困惑と心痛の度を深め,不安を感じている」。将来について,同会長は次のように語った。「我々は10年前に警告を発した。しかし振り返ってみると,当時,対策を講ずることはきわめて容易であったが,今それは非常に難しいと思う。しかし今,何らかの手を打つ必要ははるかにひっ迫している。人類が現在とは異なる道を選ぶのに残されている時間は10年足らずだと思われる。現在の道を進むなら必ずや破滅に終わることになろう」。
動物に鍼療治
◆ 日本の一獣医は家畜の様々な病気に鍼療治を行なっているという。その話によれば,なかんずく四本の帯電した鍼を使って,腹部手術後の牛の痛みを和らげ,出血を減らすことができる。この獣医によると,家畜の所有者が支払う額は薬剤療法と比べて鍼療治のほうが5,000円から1万円も安い。