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目ざめよ! 1980
目80 1/22 15–18ページ

カラハリでの生活

南アフリカの「目ざめよ!」通信員

「水の干上がってしまったところ」。これは砂漠を表現する実に的確な言葉です。そしてツワナ語のクガラガディ,つまりカラハリにはこのような意味があると考えられています。

砂漠ときいてすぐに思い浮かぶのは,“生物の住まない荒れ地”という説明かもしれません。しかし,南アフリカのケープ州北部,南西アフリカ東部,ボツワナの中央部と西部にまたがる広大なカラハリの場合は違います。

この地域の中には,場所によって,平担な砂地全体に丈の低い植物やとげのある大きな木や草の生えているところがあります。南西アフリカの内陸部のような他の場所では,砂丘のうねりが幾キロも続いていますが,ここにも大体同じような種類の植物が見られます。この砂丘のあるものは30㍍もの高さがあります。南西アフリカ西岸のナミブ砂漠とは違い,カラハリの砂丘は先のとがっていない,不ぞろいな砂丘です。長々と湾曲したその形は,非常に大きな波を思わせます。現地では“通り”として知られている平担な部分が,約100歩ないしは300歩以上の間隔で砂丘を分断しています。

カラハリ地区を車で通り抜けるのは,野生動物園を見てまわるようなものです。そのコースとしては普通乾いた川床が選ばれます。道をひっきりなしにせわしく渡るネズミやトカゲやマングースの姿を見かけたかと思えば,次にはコウモリのような耳を持った毛のふさふさした小ギツネとか,たてがみのあるジャッカルとか,一,二匹のチーターとか,あげくはシカレイヨウなどのレイヨウの小さな群れにまで出くわします。時々数羽のダチョウに会うこともあります。この鳥が時速50㌔以上のスピードで車と並んで走るようなことがあるとしても,驚いてはなりません。カラハリではひょうやライオンの姿も見かけます。

カラハリでの証言

この地域のエホバの証人にとって最大の喜びは,聖書の真理を他の人々に分け与えることからもたらされます。この地の人々は概して非常に親切であり,聖書に対して深い敬意を抱いています。ですからエホバの証人が訪問して家の人と聖書の話をするときには,一時間ないしは二時間もかかります。聖書の中のあるテーマについてエホバの証人と話すときには議論が白熱しますが,それでも訪問が食事時だと,家の人は証人を招いて,何かの食物をふるまってくれます。食事中の会話はもっぱらうちとけた感じの世間話です。しかし食事が終わると,また元の,同じように熱のこもった討議が始まります。

農場へ行くのはひと仕事です。家は農場から15から25㌔も離れていることが多く,各々の農場は普通50平方㌔以上の広さがあります。旅をするには,道らしい道のない,他の車がつけたわだちのあとしかない砂丘を越えてゆかなければなりません。一人の人が一日に訪問できる農家はわずか三軒か四軒くらいのものでしょう。

カラハリの農業

この不毛の土地で,一体どんな農業が行なわれているのでしょうか。その大部分は牛や羊の牧畜です。特に率のよい収入源となっているのはカラクール羊の毛皮の販売です。カラクールの毛の縮れた子羊たちは,生後数時間でほふられ,その皮は世界的に有名なカラクール羊の毛皮となって高価なコートや帽子などの製造に用いられています。

この地域の大きな問題は,人間と動物のための十分の水を得ることです。試錐孔は大概砂地に掘られ,時としてはそれが300㍍以上の深さに達することもあります。水を汲み上げるためには風車や,発動機を使ったポンプが用いられています。

砂漠の生活に順応する

言うまでもなく,ここでは人間が砂漠の生活に順応しなければなりません。農場経営者がカラハリに入植したてのころは,波形鉄板で作った仮の掘っ立て小屋によく住みました。この家は日中は耐えがたいほどに暑く,夜間は寒さが身にこたえるような家でしたが,人々はこのような環境で生活することに慣れていったようです。しかし今日では,多くの農場に近代的な大きな家が建つようになりました。これらの建物はその周囲を見ると幾分場違いの感がありますが,文明の利器にはほとんど事欠きません。

家畜が砂漠で生活するのも並大抵のことではありません。草をはんで帰ってきたヤギの中には,時々,前足のひずめではなく,ひざを使って歩くヤギのいることがあります。なぜですか。このヤギは堅い地面を歩くことがないので,ひづめは磨耗することがありません。そのためひづめは長く伸び,普通に歩くこともできなくなるのです。同じような問題は牛や羊にも起こります。ですから農家の人は時々ひづめを切ってやらなければなりません。

年老いた雌羊は,太陽が照りつける時には,牧草地へ毎日歩いてゆくだけの体力がありません。となれば,家で飼育しなければなりません。もちろん飼い葉を購入するのは非常に高くつきます。この問題はどのように克服するのでしょうか。

“シャカイハタオリ”の名で知られるハタオリドリの一種が置き去りにした巣があって,これが栄養価の高いサヤヌカグサの,すぐに使える供給源となるのです。この鳥は大木の枝々に大きな巣を作ります。たくさんの鳥が時を同じくして巣を共有し,多くの出入口からひきもきらずに出たり入ったりしています。ところがやがて鳥は別の住みかへ移り,この巣は置き去りにされます。

創意を働かせて自動車を用いる

車で走り続けることができるかどうかは,時に,砂漠での生死を決する問題となります。しかしながらカラハリの住人たちは,多くの場合,ジャッキ,予備の車輪,修理用具などの必携工具に関して驚くほど無頓着です。と同時に,異常事態が発生したときには,驚くほどの創意を働かせて自動車を走り続けさせます。

自動車を砂地で運転するときの第一のルールは,タイヤの空気をできるだけ抜くことです。この方法はタイヤの壁をいためるのですが,こうすると事実上どんな砂地を運転するときであっても,砂にめり込む心配はありません。

でももしタイヤがパンクしたらどうなりますか。普通のジャッキで車を持ち上げるのは実際には不可能です。ジャッキそのものを砂の中に押し込むことになるからです。ジャッキの下に敷く一枚の厚板をいつも持っていかなければなりません。しかしこの厚板を忘れてしまった場合でも,カラハリの農夫はすぐに音を上げるようなことをしません。進まなくなった車輪の近くの車軸の下にしっかりしたもの,たとえば鉄製の道具箱,木の切り株,石などをちょっと置いて,車輪の真下の砂を掘りおこしにかかります。こうすると車輪を取りはずすことができ,そこを修理することも,予備の車輪と交換することも可能になります。次にできるだけ多量の砂を車輪の真下に再び詰めこみ,車軸を支えていた丈夫な物の下の砂を掘って,元のように車輪が車を支えるようにするのです。

しかし予備の車輪や修理用具がない場合はどうするのでしょうか。普通通り中のチューブを取り出してから親指と人さし指でパンクの箇所をしっかりつまみ,もう一方の手でチューブの残りの部分をつかんでパンクの部位をいっぱいに伸ばします。そうすると今度は別の人が,細ひもか生の皮ひもをたるませないようにしながら巻いては結び巻いては結んでパンクの箇所を縛ります。このように縛ることによって,パンクの修理が終わります。空気の抜けたタイヤには砂を入れれば良いという一見まことしやかな方法は,全く効を奏しません。

自動車の起動装置が故障した場合にも,カラハリの人々の工夫の才がすぐに発揮されます。砂にめり込んだトラックの場合,始動させようと後ろから押しても何の役にも立ちません。この問題に直面したある人は,空気の抜けたタイヤを扱うときと同じ要領で後輪の一つを持ち上げました。それから点火装置のスイッチを入れ,車のギアを高速にします。こうなるとあとはただ,自由に動く後輪をしっかりつかんで,力まかせに回転させるという問題になります。やがてエンジンが動き出します。

足跡を“読む”

これらの砂漠の住人たちが培った能力の中で興味をそそられるのは足跡を“読む”能力です。一人の年たけた農夫は足を止め,動物の足跡らしきものを調べてから,これはジャッカルの足跡だと客人に述べたことがありました。その人は綿密に調べ上げ,獣は二匹,一方は雄で一方は雌,しかも雌にはやがて子供が生まれると言い切りました。客人は笑いましたが,農夫は自分がそう判断した理由を次のように述べました。「よく見てご覧なさい。一方の足跡は大きいが,片方のは小さいでしょうが。雄が雌を連れて通ったと考えて間違いないです」。客人はなるほどと思いました。農夫は言葉を続けました。「もう一度見てみると,小さい方は砂にめり込んでいるでしょう。これは,小さい奴が,こりゃ雌に決まっとるが,大きい奴よりちょっと重いということですよ。そうすると雌は子供をお腹ん中に入れてるってことですな」。果たせるかな! この足跡を見た三日後に,この農夫はジャッカルの母親と生まれたばかりの子供を見つけました。

生き延びるための心得

カラハリの農夫たちは,人々が道に迷い,激しい熱と渇きのために車の中で衰弱しているところを発見された,などと聞くと,驚いたような顔をします。「車のラジエーターには水が一杯入っているのに,のどが渇いて死にそうになるなんて不思議だ」と人々は言います。言うまでもなく,水の中には有毒な不凍液が入っていないことを,確かめなければならないでしょう。

日中の暑さから身を守る最善の方法は,車の中ではなく,車の真下にいることです。では木陰があってもそこがだめなのはなぜでしょうか。それは,カラハリの木の下には,タンパンという小さい有毒なダニがいて危険だからです。このダニに刺されたら,とてもたまったものではありません。

暑い日中のさなかには決して長い距離を歩いてはなりません。昼間は眠り,夕方や夜に,明るい星をたよりに方角を定めながら歩く方がよいでしょう。

記憶

カラハリで時を過ごした人の中で,その時に経験したことを思い起こして,郷愁を感じない人はいません。際立った対照をなす日中の焼けるような暑さと夜の寒さ,草で覆われた一面に広がる砂丘,荒涼とした外観でありながら数多くの種類の生物に富む砂丘,これらを忘れることはできません。

太陽が地平線のかなたに沈んで暑さも峠を越したころ,人は何ものにも比べがたい安らかな気分を感じます。赤,だいだい,紫と刻々色を変える日没の光景はまさに壮麗そのものです。この時間になると,一匹のトカゲの“クーックーックーッ”というしみ入るような鳴き声に答え応じて,他の無数のトカゲも互いに鳴き交わすようになります。大気はその声で充満します。この大コーラスが終わりに近づくころには羊や牛が鳴き始め,コルハーンという鳥は曲芸でもしているかのように上へ下へと飛び交いながら耳ざわりな鳴き声をたてます。

確かに,カラハリでの生活には挑戦となることもありますが,報いもあります。この砂漠は生命の絶えた荒れ地ではありません。そこは魅力的な生物の住む領域なのです。

[15ページの図版]

置き去りにされた鳥の巣は,毎日牧草地まで歩くことのできない年老いたカラハリの雌羊の食物となる

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