世界展望
悪霊崇拝をもてあそぶ
◆ 幾つかの小学校における魔術の教科は,子供たちに,まじない,毒薬,呪文などを考え出すようし向けている,とニュージーランド・ヘラルド紙は伝えている。同紙は,魔術に基づく授業に言及しているが,それは西洋社会で再流行を見た秘術の慣行に酷似している。あるクラスでは,子供たちが次のように勧められた。『みんなの持っている魔女の手を使ってごらん。黒猫をなで,ひきがえるをつまみ上げて,それをかんでみてごらん。それを月に向かってかざすのさ。まじないの術が一通り終わったら手をこすり,それからまじないをかけるのだ』。別の授業では,幼い子供たちから成る幾つかのクラスが,まじないをかけたり,学校は魔術や魔女たちでいっぱいであると信じたりしていたと言われている。それは本物そっくりであるので,疑うことを知らない子供たちを悪霊崇拝的な慣行に陥れることになりかねない。
苦難に苦難を加える
◆ 世界でも特に貧しい国々では,たばこの消費量が上がり,健康および社会的な問題が悪化している。世界保健機関(WHO)はこう述べた。「緊急な処置を取らないなら,発展途上国において伝染病や栄養不良が制御される以前に,喫煙による病気が現われるであろう」。これらの土地では,売り上げを抑える健康上の警告をふつう印刷しなくてもよいので,たばこの生産者は貧しいほうの国々に力を注いでいる。そこで売られているたばこには,発ガン物質であるタールが他の場所で売られている同じ銘柄のたばこの2倍も含まれている,と言われる。喫煙問題を扱うWHOの一委員会は次のように言明した。「世界中のたばこ製造業者の無責任な振舞いは,かなりの数の不必要な死亡の直接の原因となっている」。ストックホルムにおけるWHOの会議では次のように言われた。「『香りのするところにいらっしゃい』という招待は,ガン病棟への切符となる」。
失敗に帰した自主管理制度
◆ 米国アリゾナ州に本社を持つ同系列の幾つかの会社が,自動販売機の代わりに自主管理制度を基にした販売方式で,五つの州のオフィス従業員にスナック菓子を販売した。キャンデー,チューインガムおよび他のスナック菓子の箱がオフィスに設置され,顧客は自分で買い物をし,必要なお金を置いて行くという趣向であった。しかし,系列各社の会計秘書は,この制度はあらゆる面から見て失敗であったと述べた。スナック菓子を取って,お金を置かない顧客が余りに多かったため,系列各社は破産に追い込まれてしまった。
医療と「追いはぎ」
◆ カナダのオンタリオ州最高裁判所のホーレス・クリーバー判事は,本人の同意なしに人の体に触れる権利を持っていないという点では,医師も追いはぎと同じであると言明した。同氏は学生との座談会で,情報を与えられた上での同意という考えがあることについて聞いてはいても,それを理解していない医師が多いと述べ,さらにこう付け加えている。「患者が指示を与えることが不可能な場合を除くと,それが患者の最善の益を計ることだという理由は,治療や処置など無用な干渉を正当化するものとはならない。個人の忠誠が侵害されるような場合には,温情主義や良かれと思ってしたというだけでは言い訳にならない」。同判事は,この同意ということを「恐らく現在の衛生法における唯一かつ最重要な論点」と呼んだ。
だれもが潜在的天才
◆ ベネズエラの弁護士であり社会学者でもあるルイス・アルベルト・マチャドは,正常な子供はみな,天才になる可能性を持って生まれて来ると主張し,こう述べている。「生まれつき特別の才能がある子供はいないと思う。すべての人は,生まれたその日から天才になる可能性を秘めている。人はみな知性を発達させる同じ能力を持っている」。同氏は政府から任命された知能大臣としては世界で唯一の存在であるが,適切な幼児教育の重大性を感じている。ある実験では,アマゾンの密林の中から来た35名のインディアンの子供たちが,カラカスに来ていた日本の名バイオリン奏者の指導の下で,わずか10週間だけバイオリンの演奏法を学んだ。彼の方法は,子供たちが音楽理論を学ぶ前に,楽器をあやつるようにさせることに重きを置いている。のちに子供たちは,国立青年管弦楽団と共に,ベートーベンやハイドンの難しい曲を演奏した。マチャドはこう言明している。「世界中の教育制度に罪があると思う。人をより独創性に富ませるかわりに,より独創性に欠けるようにさせている。教育制度を抜本的に変化させなければならない」。
鋼鉄生産の差が開く
◆ ウォール・ストリート・ジャーナル紙は,ソ連と米国との間の鋼鉄生産の差が,1980年代には大きくなるであろうと伝えている。現在では,ソ連が米国より25%多く鋼鉄を生産しているが,今後数年のうちにその開きは50%になると見込まれている。