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目ざめよ! 1981
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どのようにして遺伝子の組み替えを行なうのですか

ある遺伝子の組み替えをしたい場合,どうしたらよいでしょうか。

まず,目当ての遺伝子,つまり特定の蛋白質のための“暗号”すなわち“設計原図”を含むDNAの位置区分が必要になります。今では,種々の“遺伝子装置”を使って,不活性の化学物質から単純な遺伝子を合成できます。もっと複雑な遺伝子の場合は,生体細胞のDNAを調べてその位置を定め,必要な遺伝子を取り出すことが必要です。

次にプラスミドと,制限酵素と呼ばれる特別な化学物質が必要になります。後者はプラスミドの的確な場所を破壊して開口部,つまり遺伝子を付着させるための“粘着性の先端”を造ります。

また,組み替えようとしている遺伝子の言わば「スイッチを入れる」特別な遺伝子にその新しい遺伝子を正しくつなぐことも忘れてはなりません。そうしないと,新しい遺伝子はいつまでも仕事を開始しないでしょう。遺伝子を組み込もうとしているプラスミドやバクテリアには,その新しい遺伝子は必要ではないのです。それは宿主にとって益となることを何もしてくれません。その遺伝暗号が指示するものを造って時間やエネルギーを浪費することなど,どうしてできるでしょうか。

「スイッチを入れる」というのは,バクテリアをだまして,自分に必要なものを生産していると思い込ませることです。もっとも実際には,それらのバクテリアは人間が必要としているものを造っているのです。このスイッチの役を果たすものは“調節遺伝子”と呼ばれています。

次に化合調節遺伝子と新しい遺伝子を組み合わせて一緒にし,それを粘着力のある沢山のプラスミドと一緒にします。すると一部のプラスミドが新しい遺伝子とつながり,再び環状になります。次に,“組み替えの終わった”プラスミドを皿の中に入れ,沢山のバクテリアと混ぜます。すると一部のバクテリアがプラスミドを吸収します。バクテリアはしょっちゅうプラスミドを交換しています。例えば,抗生物質に対する免疫性を与えてくれる新しい遺伝子の得られる所には普通,プラスミドが存在しています。

もしこのすべてが順調にいけば,バクテリアの少なくとも一部は目当ての新しい遺伝子を持つプラスミドを吸収することになります。そして,プラスミドの少なくとも一部はバクテリアの体内で活動を開始し,バクテリアの中のリボゾームや他の“働き手”を使って人間の望んでいるものを造ってくれます。バクテリアは人間の思い通りに働く小さな“工場”となったのです。しかもこれには自ら増殖するという特別の利点があります。バクテリアは分裂して殖えますが,そのすべてに先の特別の遺伝子が含まれており,すべてのバクテリアが望み通りの蛋白質を造ってくれるのです。

[8ページの図版]

遺伝子 + プラスミド = 修正されたプラスミド → バクテリアに吸収される

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