世界展望
進化論者の中の新しい議論
◆ 幾十年もの間,進化論者は自分たちの理論を自然選択の過程によって説明してきた。ところが今,進化論者の新しい派が,それは全くの間違いであると述べている。英国ロンドンのサンデー・タイムズ紙の報道によれば,自然選択では単一の種類内の変化しか説明できず,この過程を用いて新種が形成されると説明することは,「実験によって試すことのできない想像的な飛躍である」と彼らは考えている。
これらの新しい理論派は説明として進化的な「飛躍」を好んでいる。同紙の報告によれば,「推理力に事欠けているわけではないのに,[彼らはその飛躍]がどのようにして起こるかを説明していない」。この議論に関し同紙は,「論議の範囲は広大であり,予見可能の将来において,合意に達する見込みはほとんどない」と付け加えている。よく耳にする言葉ではないだろうか。
哀れな赤ん坊
◆ 1979年に生まれた世界中の赤ちゃんのうち,2,100万人,つまり全体の17%は誕生時の体重が2.5㌔に達せず,標準体重を下回っていた。この数字を発表した世界保健機関(WHO)は,誕生時の乳児の体重は,「新生児が生き残る確率を決定する要因としては,単一では最重要なもの」であると指摘している。誕生時の体重が少ないことによって生ずるより深刻な悪影響の中には,けいれん性脳麻痺,聴力及び視力障害,知恵遅れなどがある。
母親の栄養失調,高血圧,喫煙,以前に妊娠した回数,健康が優れないこと,病気にかかっていることなどすべてが,乳児の誕生時の体重に影響を与える要素となっている。その報告によれば,標準体重以下の赤ちゃんを正常に成長させるためには,「ほとんどの発展途上国の経済的及び技術的能力では及ばない方法が必要とされることが多い」。ところが世界中のそうした赤ちゃんの90%はそれらの発展途上国で誕生しているのである。状況は絶望的な様相を呈している。
揺さぶられるアドベンティスト派の幻?
◆ カナダのトロント・スター紙によると,トロント市で開かれた米国神経学会の席上で,二人の医師は,「セブンスデー・アドベンティスト教会の創設者であるエレン・グールド・ホワイトは9歳の時,その額に大きな石がぶつかったことがあり,それが,同教会の教理の基本となっている幻を同女史が見る原因となったことはほぼ間違いない」と報告した。グレゴリー・ホルメス,及びアドベンティスト派のデルバート・ホッダーという医師の診断の根拠となったのは,その事件の後のホワイト夫人の行動に関する目撃証人の記録であった。報告によると,脳にこの種の傷を負った場合,その約25%は,結果として一種のてんかん症状を引き起こし,「人を宗教的にならせたり,宿命感を抱かせたり,極度に道徳的にならせたり,やたらに物を書かせたり,詳しい日記を付けさせたりする」ことがよくあるといわれている。当時の医師はこの種のてんかんにまだ気付いておらず,このような人格上の変化を医師が記録するようになったのはわずかここ5年程のことである,とホッダー医師は語った。
ホッダー医師は自分の研究が,最近アドベンティスト派の中で激化している,ホワイト夫人の著作の信ぴょう性をめぐる議論に油を注ぐものであると教会当局からみなされることを見越して,こう述べている。「これが筋の通った考えだと私は思う。これはホワイト夫人に関するすべての事柄を説明している。これが答えである」。―1981年8月8日号の「目ざめよ!」誌,30ページをご覧ください。
「礼儀正しく穏やかな」囚人たち
◆ アルゼンチンの主要紙ラ・オピニオンの元発行者ハコボ・ティメルマンは,最近書いたある記事の中で,1977年から29か月間政治犯として収監されていた時の自分の経験について述べた。ニューヨーカー誌に載ったその記事の中で,ティメルマンは,自分に食べ物を持って来てくれた4人の若い囚人との出合いを印象に残る事柄の一つとして挙げていた。そこにはこう書かれている。
「彼らは3年から5年の懲役刑を言い渡されていた。これらの青年は,夜が明けると毎朝,監房を掃除し,食器を洗い,美しい賛美歌をうたう。彼らはエホバの証人で,良心上の理由から兵役に就くのを拒んでいるのである。アルゼンチンの憲法は信教の自由を保証しているが,軍は良心的兵役拒否の原則を認めていない。それゆえ,エホバの証人は,子供までが,18歳になったら長期間刑務所に入らねばならないことを覚悟している。彼らはそうした刑を信仰の一部として甘受している。これらの青年は礼儀正しく穏やかで,刑務所内のどんな仕事や奉仕も行なう。彼らはわたしが独房囚であることを知っていたが,いつもなんとかして言葉を交わしてくれた。わたしは,一日中,人と話すことのできるこの4回の機会を待ちこがれていた」― 1981年4月20日号,108ページ。
トルコと人権
◆ トルコのミリエト紙は最近,「イスタンブールのフェリコイで,“エホバの証人”の名のもとに秘密集会を開いていた146人が逮捕された」と伝えた。その報道によると,秘密警察と軍のパトロール隊が一軒の家屋を捜索し,その秘密集会なるものに出席していた人々を“現行犯”で逮捕したのだという。どのような恐るべき“秘密活動”がなされていたのだろうか。ミリエト紙は次のように答えている。「捜索によって,被疑者の間から,『最善の生き方を選ぶ』と題する本[聖書のペテロの第一の手紙と第二の手紙を解説した本]と『奉仕会のプログラム』[宗教上の集まりの筋書]が多数見つかった」。
それは本当に秘密集会だったのだろうか。エホバの証人はほぼ5年にわたって,この同じ「家」[王国会館]で週に3回,宗教上の集まりを開いており,その事実はイスタンブールの軍司令官のもとに正しく届け出がなされている。1974年にエホバの証人はトルコの裁判所と政府によって公式に宗教団体として認められており,1980年には証人たちに掛けられていた破壊活動のけん疑が最高上訴裁判所の判決によって晴らされている。それゆえ,警察のこうした行為は,国家元首エブレン将軍の下にある軍事政権もその保護をうたっている信教の自由と人権を公然と犯すものである。―「目ざめよ!」誌,1981年9月8日号,24-28ページを参照。
『ハルマゲドンに近づく』?
◆ イスラエルの軍用機がバクダード近郊のイラクの原子核施設を攻撃してこれを破壊した後,ニューズウィーク誌は小国の間の核拡散の問題を取り上げた。ニューズウィーク誌はこう述べている。「核のゲームがどれほど危険なものになろうと,恐れと疑惑の目で近隣諸国を見ている小国は依然としてこのゲームに参加する決意でいるようである。その結果……世界は,諸国家すべてがハルマゲドンにもう一歩近づいた所となろう」。
列車を転覆させた牛
◆ インド合同ニュースによると,インドで発生した史上最悪の列車事故の生存者たちは,機関士が鉄橋の上で急ブレーキを掛けた,と語っている。それはヒンズー教の神聖な動物の一つである牛をはね飛ばさないようにするためであった。これが原因で,すし詰めの車両9両のうち7両が転覆し,バグマティ川に落ちたものと思われる。溺死した乗客は800人ともそれ以上とも言われている。ビハール州首相は,その転覆事故を「記憶に残る最大かつ最悪の事故」と呼んだ。
開発者の主張 ―“ピル”は乱用されている
◆ 「私見ではあるが,ピルはむしろ若者をだめにしてきたように思う。ピルのために若者は一層勝手気ままなことをするようになっている。……だが,人は何でも乱用するものだ」。これは避妊用のピルの共同開発者ミンチュエ・チャン博士の言葉である。その結果,若者は,「性行為にふけり,他の活動にあまり注意を向けようとしない」と,同博士は嘆いている。また,性革命については次のように語った。「我々はそうしたことに関心を抱いてはいなかった。経口避妊薬は……若者が楽しい時を過ごせるようにするためではなく……人口爆発を食い止めるために開発されたのである」。
米国の銃に対するオーストラリア人の見方
◆ オーストラリアのメルボルンで発行されているエイジ紙は次のように伝えている。「米国の銃による死者の冷酷な統計を一見するだけでも,西欧の他の民主国の人々は,この問題に対するアメリカ人の態度が狂気と紙一重のものであるとの結論に達するであろう。米国では昨年,ピストルで死んだ人が約1万人いた。それに対し,人口が4分の1の英国では40人であった。1978年に……米国で10歳以下の子供が引き起こしたピストルによる殺害事件の件数は,英国におけるすべての年齢層を含めた殺人犯の数を上回った。人口が米国の半分である日本では,ピストルが使用された犯罪の件数は1979年には171件であった。西ドイツでは,69件であった。
どうしてこうした大きな違いが見られるのだろうか。エイジ紙は次のような見解を述べている。「オーストラリア,英国,カナダ,日本,ドイツ,スウェーデンなどの国では銃の所持が厳しく規制されており,同時に銃による傷害事件が非常に少ないという単純な真理を,アメリカ人は認めることができないようである。いや,認めたくないのかもしれない。銃の所持の厳格な規制と銃による傷害事件が少ないことは偶然の一致ではないのである」。
身を隠して36年
◆ ソ連の新聞の伝えるところによると,同国の警察は最近,第二次世界大戦以来36年間も暗いえんぺい壕に身を潜めていた61歳の男性を発見したとのことである。ナチに協力したかどで処罰されるのを恐れ,家族の者がかくまっていたのである。この男性はほとんど目が見えず,時間に対する感覚も失っているという。
わき見運転
◆ ヨーロッパの研究者たちの調査によると,「毎年ヨーロッパで発生する[交通]事故の5%は運転中の喫煙がその主要なおよび第二次的な原因になっている」と,イタリアのクレモナで発行されているラ・プロビンシア紙は伝えている。その記事には次のようにも書かれている。「灰が服に落ちたり,たばこが車のシートや敷物に落ちたりするため」,喫煙は特に「人の注意を散漫にする。落ちたたばこを拾おうと,ドライバーは道路から目をそらし,その結果,重大な事態に至るのである」。ラ・プロビンシア紙によると,イタリアの運輸省は,研究者たちの勧告に基づいて,運転中の喫煙の禁止を考慮しているとのことである。