自宅で休暇を過ごしてみませんか
今2週間の休暇があって,気分転換が本当に必要だとします。しかし今回は,旅費を賄うだけの余裕がありません。何かよい方法があるでしょうか。
まず覚えておきたいのは,休暇とは決まり切った日常生活からの中休みであり,休息や安らぎの期間であるということです。では,自宅で休暇を過ごしてみるのはどうでしょうか。家で行なえることは沢山あるに違いありません。絵をかいたり写真を撮ったり,あるいは普段はあまり時間を費やせない趣味に専念したりすることもできます。楽しく見学できる場所や目を楽しませる物は家の近くにもあります。自宅で休暇を過ごすことには多くの利点があるのです。その幾つかを挙げてみましょう。
■ パスポートやビザがいらない
■ 通貨の両替が不要
■ ほかの言語に悩む心配がない
■ 税関や出入国管理にかかわる煩わしさがない
■ 荷造りがいらない
■ 高い航空運賃やガソリン代を払う必要がない
■ 移動のために貴重な時間を失わないですむ
もう気分がはずんできたのではありませんか。それに,あなた自身が愛用している心地よいベッドで好きなだけ眠ることさえできるのです。
どんな休暇を過ごすにしても,大切なのは計画を立てることです。いずれにしても休暇前には,実際に休暇を過ごしている時と同じほど胸がわくわくするという人もいます。自宅で過ごす休暇にも,十分な準備が必要です。そうすれば,心から楽しんで満足できるような,やりがいのあることを行なえます。
家で行なえること
休暇の思い出に写真を撮る人は少なくありません。そのような人が何千キロも旅して写真に収める物は,あなたの家のすぐそばにあるかもしれません。では,ヒナギク畑の写真や,タンポポのクローズアップ,あるいは小枝にとまっている小さな生き物の写真を撮ってみてください。もしかしたら,母校や実家や,町はずれにある祖母の懐かしい古びた農家の写真を撮っておきたいと常々思っていたのに,そうするための時間がなかったかもしれません。では,実行するのは今です。
それに写真と言えば,いつかはアルバムに整理するつもりで箱の中にしまっておいた家族の写真についてはどうでしょうか。今回の休暇で,その整理ができるかもしれません。家族みんなでそれらの写真を見ながら,昔の思い出を楽しむことができます。家族や友人のいい写真が出てきたなら,何枚か送ってあげるのも大変すてきなことです。
旅行する人は大抵おみやげを集めます。では,家の周りに何かあるでしょうか。小動物の飼育箱に入れる変わった石や,何か珍しい石を容器に一杯集めただけでも,話の種になるかもしれません。幼い子供がちっぽけな石を見て目を輝かせている様子には驚かされます。ほかにも思いつくものがありますか。貝殻や落ち葉はどうでしょうか。草木を(あるいは雑草でさえも)乾燥させて装飾品にしてみるのはいかがでしょうか。
訪ねて来てほしいと思っている家族や友人についてはどうでしょうか。ちょっとお茶を飲みに来るよう誘ってみてください。年配の人には,若者の参考のために若いころの話をしてもらえるでしょう。その話を録音してみるのはいかがですか。“おじいちゃん”はいつまでも元気でいられるわけではないのです。
休暇中,家族や友人に葉書を出す人は少なくありません。自宅で休暇を過ごすなら,机の引き出しにたまっていた手紙に遅まきながら返事を書くことができます。相手のことを今も思っており,忘れてはいないということを知らせてください。
家の周りで行ける場所
お客さんがあなたの町を訪れたなら,どこに案内できるでしょうか。見所があるでしょうか。おもしろい所はそんなにない,とすぐに思うかもしれませんが,それは往々にして,自分の町を当たり前に思っているからです。どんな所があるか調べてみましょう。地元の観光局や商工会議所のお勧めコースを調べてください。意外な場所があることを知って,うれしくなるかもしれません。
近くに博物館がありますか。あるいは見学できる工場があるでしょうか。キャンディーやチョコレートの工場へ行けば,見学できるだけでなく,見本をもらえる所もあります。ワイン工場の場合もそうです。地元の農場に行けば,子供たちに喜んで動物を見せてくれるかもしれません。また,ニワトリから卵を集める方法や,牛の乳搾りの方法なども教えてくれるかもしれません。牛乳が最初から瓶や紙パックに入っているわけではないことを学ぶのは,子供たちにとってよいことです。
外国料理のレストランに行けば,母親が料理をする手間は省けます。中華風,イタリア風,ギリシャ風など,独特の料理に加え,調度品や音楽などによって,あたかも外国で食事をしているかのような雰囲気が楽しめます。
しかし,町の中にそういうレストランがない場合はどうでしょうか。では,自宅でそのようなひと時を演出してみるのはどうでしょうか。図書館に行けば,外国の衣装や食習慣に関する情報が得られます。例えば,インド風の演出を考えてみましょう。インドのカレーの作り方が載っている料理の本を見れば,それほど難しくない料理のヒントが得られるはずです。その夜の衣装もインド風にアレンジできるかもしれません。
『そうそう,でも家族の中にキャンプの大好きな人がいれば,キャンプに行かないと休暇を過ごした気分にならないでしょうね』と言う人もいるかもしれません。では今年は,庭にテントを張ってキャンプすることができるでしょうか。また,近くの田園地方をゆっくり散策しながら,野草を摘んだり,動物や鳥を観察したりすることで満足できるかもしれません。
休暇の時期は普通,家族のきずなを強め,一緒に物事を行なう絶好の機会になるので,もしかしたら,慣れ親しんだ近所でそうするほうが家族のためになるのではないでしょうか。試してみてください。
遅れを取り戻して気分をさわやかにする
そのほか家の周りには,とてもこなし切れないと思えるほど,ありとあらゆる仕事があります。しかし,そのような仕事のために体力を使って本当に気分がさわやかになるのでしょうか。では,雨漏りのする屋根がついに修理され,引き出しにすべての取っ手が付き,ちょうつがいのきしむ音が完全に消え,満足できる休暇を終えて再び普段の生活を始めるなら,さわやかな気分を味わえるのではないでしょうか。ゲームや水泳やハイキングに費やすほどのエネルギーがあれば,そういう必要な仕事を行なうことができるかもしれません。
それにだれでも,読書や勉強をもっとしたいと思ったことがあるのではないでしょうか。これは,つまらないことではありません。何か興味深いと思えるものを調べてください。本棚から,製本した「ものみの塔」か「目ざめよ!」を取り出してみましょう。気がついたら横道にそれていて,ほかのおもしろい記事を読んでいたとしても,驚くには当たりません。あっという間に昼食や夕食の時間が来ます。信じられないほど時間が速く過ぎてゆきます。でも安心してください。今は休暇中なのですから。
自宅での休暇を演出する喜び
既成観念にとらわれず,想像力を駆使してください。そうすれば,今回の休暇が終わったときに,『本当に楽しかった。是非もう一度やってみよう』という気持ちになることでしょう。
では,試してみるのはどうでしょうか。家族で一緒に集まって,自宅で過ごす休暇を計画したいと思うかもしれません。家族の意見を募ってみましょう。もし独りで暮らしているのであれば,気の合う友人と一緒に計画してみましょう。そして,自宅で休暇を過ごしてみるのです。そうすれば,自宅を離れて休暇を過ごした場合と同じように,忙しい生活の中で一息つきたいという望みは十分にかなえられます。
[23ページの図版]
自宅で休暇を過ごす際には,田園地方を散策したり,農場や博物館を見学したり,くつろいで読書したりすることもできる